モンスターハンター・トータス   作:綴れば名無し

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 注意です、ギャグとかシリアスみたいに書いてますが、ただの甘々な話です。
作者が考えてる途中で「ヤバい達する!達する!」って叫びながら書いてました。



錬成師の看病 シア編

 

 すっかりルゥムに気に入られたシアだが、人前でうさ耳を弄られて悶えるのを見られたのは恥ずかしかったらしく、村長宅のベッドに腰かけてからは黙りこくってしまう。

アボクが「程々にするんじゃぞ」と窘める。

しかしルゥムは何の事か分からないといった様子で首を傾げた。

 

「まぁその―――――なんだ。元気出せよ、嬢ちゃん」

「止められなかった俺が言うのもどうかと思うが、ルゥムさんも悪気があった訳じゃないんだ」

 

「………はい………」

 

 内心ハジメも「触ってみてぇ」とか思っていたが、シアの尋常じゃない様子からそれをやったら確実にセクシュアルハラスメントでギルティ。牢屋暮らしの生活になりかねない。

先ほどまでピンと立っていたうさ耳は中ほどで曲がり、しゅんと垂れている。

どうやら感情の起伏に連動して耳は動くようだ。

 

「―――――さて……とりあえず嬢ちゃんがこんな様子だ。話はまた後で聞くとするか」

「ふむ……お主ら2人には村の近くを見回ってきて貰えるかの」

 

「言われずとも。――――そらルゥム行くぞ」

「………(こくっ)」

 

 元の無表情には戻っているが、ルゥムの視線はシアのうさ耳に向けられている。

シアは2度目があったら困ると言わんばかりに自分の体を抱きしめた。

アゥータが半ば強引に、ルゥムの手を引いて外に出ようとする。

自分も行くべきなのではとハジメが立ち上がると、アボクがそれを制止した。

 

「ハジメ、悪いが彼女の面倒を見て貰えないかね?」

「えっ――――けど、村の近くの見回りが……」

「心配すんなよ。村の周りくらいは俺ら2人の目と耳でカバー出来らぁ」

「………(こくっ)」

 

「私はこれから男衆に話を聞いて、明日からの作業について話し合うからここを離れる。彼女を1人にしておくのは可哀想じゃろうて――――それに……命の恩人である君が傍にいてくれた方が、彼女も安心して休めるとは思わんか?」

「………そういう事なら……」

 

 アボクの言う事は正しい。何かに襲われて記憶を失い、慣れない村のベッドで1人寝かされるシアは先ほどから口では感謝を述べているものの、何処か忙しない様子で辺りを見ていた。

かつての帝国が亜人を奴隷にしていた事も関係しているのだろう。

そう考えたら助けて村に連れてきた自分が責任を持って彼女の看病をするのは当然の事。

 

(…………こっちを見ていた……?)

「――――――………あっ……」

 

 視線を感じたハジメが、アボクからシアに目を向けると、彼女は慌てて視線を床に向ける。

何か思うところがあったのか、うさ耳は不規則にピコピコと揺れた。

ハジメはそんな彼女の仕草が可愛らしくてフッと微笑み、アボクの提案に頷く。

 

「分かりました村長。――――そういう訳で、しばらく此処にいさせて貰うぞ?」

「は、はいっ――――あ、あの……!」

 

「どうした?」

「~~~っ!!ふ、ふちゅちゅか者でしゅがっ――――あぅっ」

 

 不束者ですが、これから宜しくお願いします。とでも言おうとしたのか、シアは言葉が噛み噛みになってしまったのに気づいて顔を真っ赤にして俯いた。

それを見てハジメの背中がゾクゾクっと高揚感に震えて、内心頭を横に振る。

 

(何を期待してるんだ俺は……!相手は怪我をした女の子、()()はいかんでしょう……!)

 

 というか、看病する者と看病される者の間に不束者云々の言葉は要らないと思うのだが。

彼女はそういった言葉の使い方を知らないのか、或いは照れ隠しと緊張のあまり言葉の選択を誤ったのか―――何にせよ微笑ましい事だとアボクは思った。

 

「ははっ。お互いに初々しい反応でこっちが潤うねえ!……そんじゃま、行くとしますか!」

「…………」

 

 扉を開け放って、アゥータとルゥムは出ていった。

程なくして村長も「世話をするのに家の物は好きに使って構わんぞ」と出ていく。

部屋の中には顔を赤くしてベッドに腰かけるシアと、ぽりぽりと頬を掻くハジメだけ。

 

「「……………」」

 

(―――――参ったな。こうして看病と言われたら……何を話せばいいのやら……)

 

 何時までも自分が突っ立っているのはベッドに腰かけたシアが見上げる形で、首を疲れさせてしまうだろうと思ったハジメは、近くにある椅子を引いてきて腰かける。

シアは膝の上に手を乗せたままもじもじするだけで無言。

 

「…………あ~……その、水かなんか飲むか……?」

「っ……い、いえ……平気……ですぅ」

「そ、そうか……」

 

(会話が終わってしまった。ハハッ、そういえば俺って女の子と話した経験って思い返せばリーナくらいしかいなかったな……オワタ……どうすりゃいいんだこれ……)

 

 訓練所で一緒だった同期のリーナにしても、向こうから話しかけて来る事の方が多かった。

レイはレイで寡黙な時もあれば、意気投合した時はお互いに饒舌で喋り続ける。

同性の方が気兼ねなく話が出来るんだなと高校生になって知ったハジメ。

 

(あれ……そもそも俺って普通に話が出来る同い年の相手ってそんなにいなかったような……?―――――はははっ、おっかしいな~……目から涙が~……)

 

 実際には涙など流してはいない。心の中で血涙を流しているだけだ。

しかしこれは由々しき事態である。会話が出来なければシアは安心出来ないだろう。

何とかして彼女を安心させようとする、かつてボッチだった少年の努力が始まる―――!

 

「シアは食べ物とか何が好きなんだ?」

「――――あっ。……えっと……”ハルツィナ・キャロット”……の甘煮……」

 

(自分でもビックリするぐらい唐突な話題の切り出し方ァ!そしてコミュ障がよくやる質問のテンプレやってどうすんだ俺ぇ!つーか分からん、キャロットって事はニンジン…‥なんだよな!?)

 

「へ、へぇ~……そのハルツィナ・キャロットの甘煮ってのはどんな味がするんだ……?」

(よしいいぞ俺ナイスゥ!こうやって自然に、会話を繋げていく、これが会話なんだよ!)

 

「………御免なさい。名前は覚えてるんですけど……味の方が曖昧で…」

「あぁー……そっか、そうだよな。俺の方こそスマンな」

(しまったあぁぁぁ!!シアは今記憶がないから、こういう記憶の部分に関する話題ってのはNGなんだぁぁぁっ。何やってんだ俺ぇぇぇ!そんなだから教官にいつも怒られるんだろうがぁっ!)

 

――――貴様の語彙力はジャギィの鳴き声にも劣るなハジメ訓練生!!

 

 何時だったか、シュヴァルツ教官に言われた罵倒を思い出してしまうハジメ。

訓練中は必死だったからあまり気にしていなかったが、彼の言う通りだった。

心の中で数秒前の自分をど突き回したい衝動に狩られたハジメ。そんな彼の様子を見たシアが何を思ったのか少し考える素振りを見せて、ゆっくりと口を開いた。

 

「―――――あの……ハジメさんは、何がお好きなんですか……?」

「えっ……俺か……?―――言われるとそう、だな………米……かな」

 

「………こめ?」

「……白米とも言うんだけどな。俺の故郷で昔からある主食。稲に生った籾の外皮を取り除いて、そのままじゃ硬くて食べられないから、釜を使って炊きあげるんだ。……噛むと甘くてさ」

 

 シアからの思わぬ助け舟に戸惑ったハジメは咄嗟に答えて少し後悔する。

トータスでは主食として麦が親しまれており、米が主食と言うのは珍しいものだった。

樹海で生まれ育ったシアが分からないのは当然だろう。

しかし彼女は耳をピコピコ動かしながら、興味津々といった様子で続きを促す。

 

「……甘いんですか?」

「果物とか、そういう物の甘さとは違うんだけどな。……小さい頃からずっと食べてきたんだ……もう何か月も食ってない気がするな……。最後に食ったのは、異世界(こっち)に来る前だった」

 

「……こっち……って」

「………実は俺、この村で生まれて育った訳じゃないんだ。――――それどころか、この世界では生まれてすらいない。―――――別の世界から来たって言ったら……信じるか?」

「―――――――っ!」

 

 何故こんな話を彼女にしたのか、ハジメは後になっても分からなかった。

ただ―――――自分という人間がどういうものか知ってもらいたい。心の奥底でそんな思いを抱きながら、ハジメはぽつりぽつりと今迄の事を語る。

シアは驚き目を見開いたが、彼の語る言葉の続きが気になって夢中で首を縦に振った。

 

 平和な国から来て、いきなり戦争をしろと、世界を救う勇者になれと言われたあの日。

無能の烙印を押されて、全てが嫌になって逃げだした。その結果、一度は死にかけた。

ゲブルト村に来てからは大変な事もあるけれど、毎日が少し楽しいと感じてしまう。

異世界に来た事が、悪い事ばかりじゃなかったと―――――――そう思えるようになったから。

 

「こうして、自分の事を他人(ひと)に語れるくらいには……俺の心にも余裕が―――」

「……………」

「――――――――シア?」

 

 ちょっと自分語りが長過ぎて、彼女が退屈しているんじゃないかとハジメは顔をあげる。

ところが、シアは黙ってハジメの話に聞き入ったまま―――ポロポロと泣きだしていた。

ギョッとしたハジメが慌ててポケットを弄りハンカチを取り出す。

 

「わ、悪い!こんな話聞かせるべきじゃなかったよな!?」

「……ッ……違うんです……。悲しくて泣いているんじゃないんです……。ハジメさん……私……()()()んですっ……!私が見た未来は――――決して間違っていなかったんだって……思えて!」

 

 嬉しい?未来を見た?

どういう事なのかとハジメは首を傾げたが、それよりもシアが泣いてしまった事の方が重要だ。

ハジメはそっと彼女の頬へ手を伸ばして、零れ落ちそうな涙をハンカチで拭き取る。

 

「ちょっとじっとしててくれ……」

「……はいっ」

 

 先ほどよりは明るく、少し嬉しそうな声で返事をしたシア。

椅子から立ち上がって片膝立ちの姿勢に屈んだハジメに対して、彼女は涙を流しながら、大輪の花のような笑みを浮かべていた。ハジメは心の中で静かに呟く。

 

(―――――色々と引っかかる事はあるが……何はともあれ、笑ってくれたようで何よりだ)

 

 ―――――――この世界で彼女(シア)は、笑顔が世界一素敵な女の子だから。





 メインヒロインの外堀を徐々に埋めていくシア。
まだ出てこれないユエ、素材になっていないか心配のティオ。その他多数
モンスターハンターじゃなくてヒロインハンターに改名しろよハジメ

感想、質問、ご指摘など待ってまーす!

初期で構成していたプロットより大幅に話数が増えてしまったので、本作を第一部として続編(2nd的な)を作り本作を完結させようか迷ってます。(それで投稿ペースが遅れる等はありません)

  • 続編にして
  • このまま話数増やしてもいいんじゃね?
  • 打ち切りはヤメロォ!
  • もっと周りの話補完して♡
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