モンスターハンター・トータス   作:綴れば名無し

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 今回はシアの一人称視点から始まります。
あまり一人称で書いたことのない作者ですが、とりあえず頑張りました。
ちょいグロ注意?

   


彼女の悪夢・占術師

 

 

 

――――――――――――――暗い。私が目を開けた先の景色。

終わりの見えない真っ暗な世界に、私1人だけが立っていた。

 

「………ここは……どこなの……?」

 

 記憶喪失の私が思い出せるのは自分の名前と、断片的な過去の実体験。

ゲブルト村という人族の住んでいる村に、傷だらけの私をハジメさんが連れてきてくれた。

 

 かつて人族は亜人を奴隷にしていたと聞いて、目が覚めた時はとても不安だった。

でも、私の看病をしてくれたハジメさんや村の人は良い人ばかりで、私に着る物を貸すばかりか、食事まで与えて体を綺麗にしてくれた。

 

 覚えているのは、日が沈み始めた頃になって夕食を持ってきてくれたハジメさんにお礼を言った事と、満腹感で襲ってきた睡魔に抗えず、ベッドに眠ったところまで。

どうしてこんな真っ暗闇の中で意識を取り戻したのかを考えようとした……次の瞬間。

 

――――ズキリ。と私の頭に割れるような痛みが走った。

 

「ひぎぃっ!?」

 

 思わず悲鳴をあげて蹲ったが、頭痛はまだ続く。

その時、強く瞼を瞑った筈なのに、何処か見覚えのある景色が瞬く間に浮かんでは消えていった。

 

「―――――いま、のは……?」

 

 生い茂る草木、様々な動植物と、それらを覆い隠す深い霧。

見間違う筈もない。それは()が暮らしてきたハルツィナ樹海だ。

 

――――ズキリ。また頭が叩かれるような痛みに襲われた。

 

 今度は声もあげられずに、両手でこめかみを強く抑えて歯を食いしばる。

また瞼の裏に見覚えのある光景と、今度は見慣れた同族の姿が映っていた。

()()()()()の仲間達が、私の父カム・ハウリアが樹海の中を走っている。

その顔は焦燥感と恐怖心に支配されており、私は思わず叫んだ。

 

「……お父様!!」

 

――――ズキリ、ズキズキ!さっきまでとは比にならない痛みがやってくる。

 

「ぐ、ぁ、あああああああああああああっ!」

 

 痛い、苦しい、辛い、悲しい、怖い、虚しい。

頭痛に伴って、胸の内側を抉るような感情の波が荒れ狂う。

 

 ハウリア族の背後から、翼を広げた鳥のようなモンスターが襲ってきた。

逃げる同族たちの中で、一番小柄で足の遅い子供の背後にモンスターの爪が迫る。

 

「――――――っ!! やめ――――」

 

 私が懇願すると、子供の小さな背中を、黒い鉤爪がばさりと切り裂いた。

足を止めて振り返った同族から悲鳴があがり、子供の身体は地面へとうつ伏せに倒れる。

切られたところから血が滲み、次第に地面へと溢れて血溜まりが出来上がった。

 

「あ、あ……ぁっ!」

 

 悲鳴をあげる力もなく、私は体の内から震えてその場にしゃがみ込んだ。

父が既に死んでいる子供の亡骸へと駆け寄って、助けようと手を伸ばす。

そこにモンスターが巨大な嘴を振り下ろして―――――

 

ぐちゃ と不快な音が耳に聞こえて、私は恐る恐る顔をあげた。

そこには()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()があった。

 

「――――――――――」

 

 ……これは悪い夢だ。そうに違いないと、私は必死に言い聞かせる。

昔からそうだった。私は悪い夢を見て、そのことで何度も皆に迷惑をかけた。

 

 私が持って生まれた()()にない力。

それを知った他の亜人達に忌み嫌われ、住む場所を追われたのは、私のせいだ。

………あぁ、全てではないが、()()()()()

 

「――――やめて、もう……やめて下さい……」

 

 私の目の前で、ハウリア族の皆が一頭のモンスターに殺されていく。

1人は私が生まれた時から面倒を見てくれたお姉さん。片腕ごと食い千切られて悲鳴をあげようとした瞬間、爪で胸を貫かれて絶命した。

 

「――――ああぁ……あぁぁ、ぅぁ……!」

 

 1人は私を庇ってくれた近所のおじさん。モンスターが吐いた火の玉で足を焼かれて地面をのたうち回ったのが災いして、体中を炎が包んでいき、最後は掠れた声をあげて地面に倒れる。

 

「……いや、いや……」

 

 小さな子供のように首を振って夢から醒めるよう自分に命令する。

けれど何も起こらない。私の意志など関係無しに、目の前の光景は進んでいく。

また1人、次は3人、そして10人……皆殺されて、皆死んでいた。

 

 

 最後に真っ暗だった筈の世界に光が差して――――――ー

血みどろの樹海に1人、私だけが立ち尽くしていた。

運悪く目の前に転がったハウリア族の誰かの首と目が合う。

死んでいる筈なのに、首は独りでに口を動かしてこう言った。

 

 

 

 

「お前のせいだ」

 

 

 

 

 

「嫌ああああああぁぁぁぁぁッ!!!?」

 

 その悲鳴を聞いた瞬間、弾かれたように椅子から立ち上がったのは2人だけ。

シアのいる部屋に最も近い席だったハジメが扉を蹴破って中に入る。

部屋の中は荒らされた形跡がなく、窓も開いていない。

ただ、薄暗い蝋燭の灯りが僅かに届いたベッドの上で、シアが何かに怯えていた。

 

「シア!!」

 

 ハジメが駆け寄って手を伸ばすが、パシッ!と渇いた音が部屋に響く。

シアは伸ばされた手を反射的に叩いたのだ。

驚き目を見開いたハジメは、もう一度手を伸ばしながら声をかける。

 

「大丈夫かシア?しっかりしろ!」

 

「――――嫌……もう許して……!ごめんなさいごめんなさい。……皆……私は……」

 

 今度は手を叩かれなかったが、声をかけられたことに対してシアは反応を示さない。

それどころか、焦点の合わない目でブツブツと独り言を呟き、小刻みに震えていた。

少し躊躇ったが、ハジメはシアの肩を掴んで揺らす。

 

「おいシア何があった!?シア、シアッ!!!」

 

「…………ぁ…………」

 

 やっとシアの目に光が戻っていく。我に返ってゆっくりと顔をあげると、部屋の中をぐるりと見渡して、最後にハジメの心配そうな表情を目にして、唇をわなわな震わせる。

 

「――――ハジメさん……私……」

「落ち着け、ゆっくりでいいから。何があったか話してくれ……」

 

 何があったか。そう聞かれた瞬間、シアは夢の事を思い出した。

僅かに戻った自分の記憶、悪夢という名の()()()()()()()

それを覆す為に、シアは泣き出しそうな顔でハジメに縋って声を絞り出す。

 

 

 

「お願いします、ハジメさん……!私の、私の家族を……助けて下さい……!」

 

 

 

 

 

 




シアが見ていた悪夢の光景をイメージし辛い方の為に分かりやすい例えを幾つか

映画「ザ・グリード」の後編シーンにあった、化け物に食われた人々の遺体
アニメ「ベルセルク」1話のガッツが見た悪夢の最後ら辺
   「リゼロ」の魔女教による虐殺


頭痛を体験したい方はワインがぶ飲みをおススメします。
割とガチで次の日がしんどいことになるので、休日前推奨。
(なお、どうなっても作者は責任を取れませんので悪しからず)

感想、質問、ご指摘など待ってまーす♪

初期で構成していたプロットより大幅に話数が増えてしまったので、本作を第一部として続編(2nd的な)を作り本作を完結させようか迷ってます。(それで投稿ペースが遅れる等はありません)

  • 続編にして
  • このまま話数増やしてもいいんじゃね?
  • 打ち切りはヤメロォ!
  • もっと周りの話補完して♡
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