モンスターハンター・トータス   作:綴れば名無し

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 今回はMH3で初登場の可愛いアイツが?




命育む地の歓迎

「――――――なんだ、これ………」

 

 3人が樹海へと足を踏み入れて、振り返って入り口が見えなくなるまで歩いた頃。

目の前に広がる異様な光景にハジメは言葉を失った。

 

―――ギャアギャア!

―――キーキキキッ…

―――ピーヨッピョッ!

 

 入り口で見ていた樹海の木々は、全長が精々4、50メートルだったのに対して、樹海の中を迷路のように張り巡らされた巨木は、100メートルを余裕で超えている。

空の景色は傘のように広がって何重にも伸びる枝葉が見えなくしていた。

太い幹に苔や蔓が絡まって、小さな虫達や鳥が羽休めを出来るような場所を作っている。

それらを支える根っこは一本一本が大きく、様々な形で地面へと延びており、根本には小さな洞穴のような場所が幾つも見えた。……そこに住む小動物の姿も。

 

 木々の間を飛び交うのは翼竜種”メルノス”の群れ。

くすんだ青色の胴体に、鮮やかな黄色混じりの翼と、細長い尻尾を持つ小型のモンスター。

碇状の嘴で木の実を啄み、眼下を歩くハジメ達を見て首を傾げている。

普段は臆病で、危険を察知すると群れで逃げ出すようなモンスターなのだが、地上を歩くハジメ達と、木々の上で生活するメルノス達と、かなりの距離が開いていた。

だから多少なりとも警戒はしても、普段通りに生活を送っているのだろう。

 

 木の幹を緑色を基調とした鳥”シンリンシソチョウ”がよじ登っている。

ある程度の高さまで登った別のシンリンシソチョウが、別の木へと滑空して飛ぶ。

明るめの緑色の翼と、青い尾羽の美しさに感嘆の息を漏らす。

 

 木の根元で、小型の草食モンスター”ケルビ”が草を食んでいた。

ハジメ達に敵意がないと分かっているのか、それとも単に脅威と感じてすらいないのか、ケルビ達は黙々と食事を続けている。

……が、一頭だけ群れのリーダーらしき雄は、顔をあげてハジメ達をじっと見つめていた。

 

 生き物も尋常じゃない数が目に映るが、植物や虫はそれ以上かもしれない。

様々な薬を調合する際に用いる()()()()()素材として知られた”にが虫

モンスターの目を眩ませる投擲武器”閃光玉”の素材となる”光蟲

”薬草”は採りつくす事が不可能と思えるくらい、そこら中の地面に生えている。

属性やられ等の状態異常を治せる青い実”ウチケシの実”も生えていた。

 

 今装備してはいないが、主にハジメやアゥータが使っているボウガンの弾の素材となる植物。

弾を発射する際に用いられる火薬の代わりとなる”チャッカの実

弾のベースとなる”カラの実” 貫通弾に使われる”ツラヌキの実” 

ハリの実” ”カクサンの実” ”ザンレツの実” etc.

 

ハジメは確信を持って、これだけは言えると思った。

――――――――――ーハルツィナ樹海は、そこに在るだけでハンターが生活を送るのに困らない素材の宝物殿、楽園のような場所であると……。

 

「よぉ、どうだいハジメ。これが樹海の中だ」

 

「………予想以上……ですね。それ以外に言葉が見つかりません」

 

「ハハッ。此処を訪れたハンターは誰もが同じリアクションをするもんだ」

「……アゥータさんも?」

 

「あぁ、火山に雪原、砂漠に地底と色々見てきたが……樹海が一番衝撃的だったよ」

 

 普通なら夜の森は暗く足元が見え辛い。

凸凹と不安定な道を進むのは危険であり、視界が悪い中でモンスターに襲われたら一巻の終わり。

……しかしハルツィナ樹海はどうだろうか。

 

「……俺達が樹海に入ったのは、真夜中でしたよね?」

「だな」

 

「何で森の中だけこんなに、昼間みたいに明るいんですか……?」

「そりゃあ……()()の、お陰だろうよ」

 

 ハジメの疑問にアゥータは木の根元や幹を複数箇所指した。

距離が離れていたハジメは少し目を凝らして、地面の裂け目や幹の割れ目から、淡い緑の光を放つ()()の正体に気づく。

 

「―――――()()()?」

 

 魔力を吸収・蓄積する事で発光する性質を持つ鉱石。

硬度は低く、単体では武器としての用途はない。ただ、ある研究の過程で魔力を鉱石に限界まで蓄積した状態で割ると、目が眩むほどの光を放ったという記録が残っている。

 

 そんなものがハルツィナ樹海の、ハジメ達がいる場所でも数十カ所で光っていた。

であれば樹海の中が昼間のように明るいのも頷けると思ったが、ハジメはふと疑問を抱く。

緑光石が光るには魔力が必要不可欠だ……周りのそれは何処から魔力を吸っているのか?

ハジメの疑問が口に出るより先に、アゥータの説明が早かった。

 

「樹海全体に漂う霧や、土中の成分には微量だが魔力が含まれている。帝国の学者先生達もお前と同じ疑問に行き着いて頭を捻った。現在最も可能性が高いと言われている仮説として、樹海の中に生息する生物達に自然の魔力が備わっていて、それらが死んで土に還った時に魔力が土や、土から養分を吸収する木々に行き渡った。その結果、偶然地表に顔を出した緑光石が魔力を吸収・発光するようになって今の環境が出来上がった……ってな」

 

 先頭を歩くアゥータと、後方を警戒するハジメの間を歩くシアがビクッと肩を震わせる。

亜人族でありながら魔力を持って生まれた彼女にとって、無視できない話だ。

そのことを聞こうと彼女が口を開いた―――次の瞬間

 

 

―――――グゴアアアァァァァッ!!!

 

 

 

「きゃあぁっ!」

「―――ッと!?」

 

 アゥータは聞き慣れて、ハジメは村で一度聞いたことのある声を耳にして身構える。

しかし突然のことに驚いたシアは悲鳴をあげて後ろに下がり、足元の木の根に躓いた。

ハジメは咄嗟に受け止めよう両手を広げ、シアはくるりと半回転してハジメと向かいあう形で綺麗なダイブを決めてしまう。

 

 ボフッ、もにゅっと倒れる音に混じって柔らかい感触がハジメの胸板に押し付けられた。

 

(――――ッおぉああぁぁぁっっぶねえええ!こ、これってシアのおっぱ…!おっ、あ!―――)

 

 

 内心滅茶苦茶同動揺しているハジメは、グッと顔を引き締めてその場で踏み止まる。

ハジメの肩に掴まる形で倒れずに済んだシアが、顔を赤くしてバッと離れた。

 

「す、すみませんハジメさん!私、ご迷惑をッ」

「いや……。……気にするな……」

 

 体を離す時に、ふと鼻先をシアのうさ耳が通り過ぎた。

獣独特の臭いに混じる女の子特有の柔らかな空気が鼻腔を擽る。

ハジメは周囲の警戒をしなければと慌てて視線を逸らした。

―――決して、股座が夜のテンションでアゲアゲになったとかではない。

 

 いつの間にか片手剣を腰から抜いて盾を正面に構えていたアゥータが、視線を向けず陽気に声をかける。彼は視線だけ、周囲から姿を消した鳥や虫達1匹に至るまで忙しなく動かしていた。

 

「おうおう性少年。そんな調子で狩りが出来るのかい?」

「~~っ!!」

 

「嬢ちゃんも、連れて来たのは俺だが……心の準備くらいしときなよ?」

「は、はいっ」

 

 声は穏やかだが、アゥータの纏う空気は臨戦態勢のそれだ。

気を緩めてしまったハジメは一度大きく息を吸って、気を引き締める為に顔をバシッと叩く。

 

(―――――ルゥムさんと同じくらい……だったかな……)

 

 

……やはり、ちょっと気が緩んでいるのかもしれない。

 

 

「……アゥータさん。さっきの咆哮って」

「あぁ、()()()()()()()()()()

 

 火竜リオレウス。以前ゲブルト村を襲った飛竜種のモンスター。

そんな大物が樹海の中を徘徊しているのかとハジメは緊張感で顔を引き攣らせる。

シアは恐怖で今にもスカートの中身が濡れてしまいそうだった。

2人よりも遠くの音をハッキリと聞き分けられる彼女にしか分からない恐怖というものがある。

前へ踏み出す足はゆっくりと、視線だけは左右上下にと落ち着かない。

 

 鳥や虫の鳴き声はいつの間にか聞こえなくなっていた。

アゥータは一本の大木を越えて先を見ようと太い木の根から頭を覗かせて―――

 

「……やっぱりな」

 

 その場で後ろのシアとハジメに手を突き出し「待て」の合図をするアゥータ。

一度頭を引っ込めて、アゥータはハジメに向かって小声で見たものを伝える。

 

「ハジメ。後学の為に見てみるといい」

「……?は、はい」

 

 後ろの警戒をアゥータと交代して、ハジメは木の根から頭だけ出した。

そして……樹海の中を流れる小川とそこに立つモンスターの姿を捉える。

 

「……あれは?」

 

―――キュルルッ、クルルルッ!

 

 ハルツィナ樹海の深い緑よりも、鮮やかな芝生を思わせる黄緑の体色。

横から見て平仮名の く の字に見える逆関節の鳥足。

今は折り畳まれた尻尾。開けば扇状になるものと思われる。

イャンクックのように飛ぶ以外では畳まれた羽と羽関節の先にある爪。

黄色いラッパを思わせる嘴。、首下内側の周りが丸く赤みを帯びている。

大型に分類される鳥竜種モンスター。彩鳥”クルペッコ

  

 イャンクック同様にトータスの広い範囲で生息が確認されているモンスターであり、個としての戦闘力はイャンクックと大差ない…‥のだが。

 

―――クルル~

 

「……食事中……か?」

 

 川面をじっと見つめて、サシミウオの群れを狙うクルペッコ。

どれを捕まえるのか決めて口を開いて川に突っ込もうとした瞬間

 

 

―――ギャオッ 

 

 バシャン!と水が撥ねてサシミウオが姿を消してしまう。

いつの間にかクルペッコの脇に忍び寄ってきたジャギィが、狙っていた獲物を横取りしたのだ。

 

―――ギャアァァッ!?グエエッ!

 

 当然クルペッコは怒り狂う。ジャギィはサシミウオを銜えて草むらに姿を隠した。

追いかけて八つ裂きにするのは造作もないだろう。

しかし今は腹が減っている為、クルペッコも無用な争いをしたくなかったのだ。

鼻息を荒くして再び川面に顔を向けると、サシミウオ達が戻ってきていた。

 

―――クルゥ~……

 

 次は邪魔される事もないだろうと高を括る。

口を半開きにして、唾液が川面に落ちないようにしながら突っ込もうとしたら……

 

―――ギャオッ

―――……クルゥ~?

 

 バシャン!別のジャギィが再びクルペッコの脇から素早くサシミウオを横取り。

先ほどのジャギィと群れで動いていたのだろう。別の茂みに隠れていってしまう。

流石にクルペッコの空腹も限界にきていた。

 

―――グエエッ!グルルァァッ!

 

 珍しい()()()()()で荒々しくその場で地団駄を踏むクルペッコ。

ちょっとしたモンスター同士の微笑ましい光景に、ハジメはクスッと笑った。

一度だけ木の根から頭を引っ込めて、後方を警戒していたアゥータと会話する。

 

「アゥータさん……あれはどういう……」

「まぁもうちょい黙ってみてろ……運が()()()()()―――」

 

 そう言われてハジメが木の根元から再び顔を覗かせると……

 

 どうやらクルペッコはめげずに三度目の魚取りに挑戦しようとしていた。

だがジャギィ達は性懲りもなく次も横取りしようと集まっていたのだ。

それに気づいたクルペッコは怒り、グッと息を吸い込んだ。

赤みを帯びた首下が吸い込んだ空気を溜めて風船のように膨れ上がって

 

 

――――スゥッ……グゴアアアァァァァッ!!!

 

 

「ぬおっ!?」

 

 クルペッコの嘴から()()()()()の咆哮が発せられた。

ジャギィ達は驚いて一目散に小川から逃げ出すが、ハジメは両手で耳を塞いだ。

それを予見していたかのように、アゥータは自分の手でシアの耳を覆っている。

突然の事にドギマギしたシアだったが、咆哮を聞いてその場に縮こまってしまう。

 

「――――さて、ハジメ……アレを避けて通れると思うか?」

 

 咆哮の怯みから立ち直ったハジメに、アゥータが笑みを浮かべて問いかけた。

3人は木の根に身を隠しているが、向こう側ではクルペッコが嘴をガチガチ鳴らしている。

飛んでいく様子がないのを見ると、その場から動くつもりはないようだ。

ハジメ達が向かいたいのは小川を越えた先の方角……見つからずには難しいだろう。

 

「……やるしかなさそう……っスね」

「そういう事だ。―――嬢ちゃんは木の根の間か、茂みの中に隠れておきな」

 

「は、はいっ」

 

「よし――――」

「さて、と――――」

 

 

「「一狩り行くか!」」

 

 2人は武器を手に、木の根を飛び越えてクルペッコの前へと躍り出た。





 クルペッコ、鳴き声……ウッ、アタマガッ……!
緑光石が閃光玉になるかと思いきや、今作のハジメ君はステータスが謎状態なので原作のように魔力操作が備わっていないという……
メイン火力魔法の吸血娘、はよ来て!(なお、モンスターには効果がない)
シアも一応は魔力操作使えるらしいんですけどね……。

感想、質問、ご指摘等待ってまーす。

初期で構成していたプロットより大幅に話数が増えてしまったので、本作を第一部として続編(2nd的な)を作り本作を完結させようか迷ってます。(それで投稿ペースが遅れる等はありません)

  • 続編にして
  • このまま話数増やしてもいいんじゃね?
  • 打ち切りはヤメロォ!
  • もっと周りの話補完して♡
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