樹海編の話を書きながら「そういえばこいつ等の扱いはどうしていたのか」と思い出して、唐突にぶっこんでいくスタイル。
此処は樹海の中、フェアベルゲンのある種族の者達が暮らす名もなき集落がある。
獣人種に分類される小型のモンスター達 ”アイルー” ”メラルー” ”チャチャブー”
”テトルー” ”ガジャブー”の五種類の種族が共同で暮らしていた。
―――ニャニャッ、ウニャー?
―――ニャッウニャニャ、ニャーッ!
―――ヂャヂャー!ヂャ!
―――ニャオンッ、ッルニャー?
―――グギャー!ギャギャ、グギャー!?
……と、このように何を喋っているかは初見ハンターどころか作者ですら分からない。
技能”言語理解”を持っているか、段ボールを被る伝説の傭兵なら理解できるかもしれないが…
緑色の大きなドングリを鞄代わりにしている骨のツルハシを手にしたアイルーが疑問を口にして、それに答えたのはメラルーとチャチャブーの種族のリーダー達。集まってきたテトルーの言葉にガジャブーが勇敢そうに鳴き声をあげて獲物を振り回す。
実のところ、彼らは独自の文化とはいえ言語を理解して文明を築き上げた種としては亜人族とは比べ物にならない長い歴史を持っているのだ。
今や反逆者として歴史に名を刻んだ
…もっとも、歴史を残すという行為に興味のない彼らがそのことを覚えているかは怪しいが……
亜人族からは矮小な弱い魔物と嘲笑されて相手にされず、樹海の外に出ればそこそこ歓迎してくれる人はいるが、逆に魔物であるというだけで畏怖して殺しにかかってくる人もいる。
だから外で人と共に暮らしている仲間達とは違い、彼らは森の部族として穏やかに暮らして―――――
「うおぉぉぉぉーーーっ!!?」
叫び声にビクッとした獣人達。
直後、茂みを突き破って一人のハンター、ハジメが地面を転がる。
煤だらけで、防具の至る所から血を流していた。
――――ニャッ!?ニャーッ!
――――……フシャーッ!!
――――ヂャルァー!!
――――ニャニャニャ、ニャーン
――――グギャォ、ギャォギャーッ!
彼らの穏やかな日々は、突如として終わりを告げるのだった。
*
「―――っきしょぉ!痛っ……!」
イャンガルルガから逃げ出したハジメは、ものの数分もしない内に追いつかれてしまった。
木々の間を走り回って、時には身の丈よりも大きな植物に隠れたりもした。
それでも逃げきれず、火球を足元に食らって吹っ飛んだのである。
呻き声をあげて、先ほどの吹っ飛びの際に切った肩の傷を手で押さえつける。
回復薬もない今、常人よりも優れた体の自然治癒力だけが頼みの綱だ。
それでも間に合わない時……ダヴァロスの言葉とクエストの依頼文が脳裏を過った。
「―――んの野郎ぉ……!誰が、負けるかっつーんだ、よ……!」
転がった先が樹の根本だった。
ハジメは地面から盛り上がった根の一部を杖代わりに掴んでヨロヨロと立ち上がる。
ゆっくりしている暇はない。すぐにでも動き出さなければ奴が―――
「……に、人間のお兄さん。怪我してるニャ?」
「……あぁ?」
声のする方に視線を向けると、謎のガラクタの山に身を潜める獣人のモンスターがいた。
ゲブルト村で料理をしているウマアジ達とは違って、衣服などを身に纏わない二足歩行の猫。
クリーム色の毛並みにつぶらな瞳は、常時であればハジメの心を癒しただろう。
しかし今はクエストの途中、イャンガルルガ相手に丸腰で逃げ回っている最中だった。
ぐるりと周囲を見渡して、ハジメは此処がアイルー達の住処だと察した。
「あ、あぁ~……俺は平気なんだが。……その、スマンな。お前達の集落に勝手に入っちまって」
「ニャ。それは仕方ないニャ。―――でもニャんで―――」
そんな怪我しているニャ?そう聞く前に答えの方からやってきた。
バサッ、バサッ!と翼を羽ばたかせて、イャンガルルガは集落の頭上を通り過ぎる。
それを見たアイルーは手に持っていたツルハシを落とし、メラルーはぶるりと身震いをしてその場で失禁。テトルーもぷるぷる震えながら蹲る中、チャチャブーとガジャブーだけが好戦的に雄叫びをあげて獲物を手にしていた。
「――――――こういう訳なんだ、スマンがこれで失礼するぅぅっ!!」
―――グルェアアアアアアアァァッ!!
ハジメが全速力で駆け出すのと同時に、イャンガルルガは機関銃並の連射速度で火球を撃った。
当然撃った先にハジメの姿はなく、代わりにアイルー達の集落が点在している訳で―――
直後、五種族は各々絶叫しながら逃げ出すのだった。
(本当にごめんよぉぉぉぉ
心の中で謝罪しながら、火球の熱を背中に感じたハジメは逃げ足の回転を上げる。
防具を着ながらの逃走では常時よりスピードは出ない筈だが、ハンターは防具を着ていても逃げるときは普段よりも速く逃げ回ることが出来るよう訓練されていた。
「ニャ―!!待つニャー人間さん!ボク達を巻き込んでおいて、それはないニャー!!」
「うおぉぉぉっ、後ろから追っかけてきやがったぁぁっ!?」
シュタタタタッ!と四足歩行で木々の間を駆け抜ける獣人達。
先頭を走るアイルーのリーダーが、ハジメに並走する形で怒りを込めて叫ぶ。
ハジメは更に後方から追いかけて来るイャンガルルガを見ながら言葉を返す。
「だからゴメンて!!俺も吹っ飛ばされた先にお前らの集落があるだなんて思いもしなかったんだよ!?―――ッ兎に角、弁償も謝罪も日を改めてやるから!今は俺から離れて逃げろ!」
「お兄さん、弁償とゴメンで済むと思ったら大間違いニャ!!ニャにか事情があるんなら洗いざらいぶちまけるニャー!―――というか、黒狼鳥は完全にボク達もロックオンしてるニャー!」
アイルーのリーダーが言う通り、イャンガルルガの攻撃する先にはハジメから足元を逃げる獣人がいた。飛び掛かった勢いで嘴を地面に突き刺しては抜いてを繰り返す攻撃を、獣人達は紙一重で躱している。
ハジメは申し訳なさそうに顔を歪め、アイルーのリーダーに向かって叫ぶ。
「森人族の武器とか宝物が保管されてる木を知ってるか!!?」
「ニャ!?突然どうしたニャ。そりゃ場所くらいは知ってるけどニャ!」
「そこに連れてってくれ!それまでに後ろのアイツを少しの間、惹きつけられたら、ついでに走りながらで話をしてやる!」
「チャチャチャッ!オレ様達が足止めするッチャー!」
「奇面の!我らも囮に加わるぞ!!」
後ろから追いかける五種族の内、チャチャブーとガジャブーの集団が離れる。
離れる際に、イャンガルルガ目掛けて鉈や壺爆弾を投げつけながら。
投げつけられた鉈が嘴を掠め、足元で爆発する壺爆弾に気を取られたイャンガルルガ。
怒りを灯した双眸は蟲のように足元へ集る獣人に向けられた。
――――ギャアァァァォオォォォォッ!
「―――ッ助かる!!」
*
「ニャ!?樹海は今、そんニャ事になっていたのかニャー!!」
「あぁ。――――――つーか、樹海で暮らしてて気づかなかったんかいお前ら!?」
森人族の集落にも、既に魔人族がモンスターを連れて現れたという報告が届いているのだろう。
弓や剣を手に険しい表情で巡回する森人族の戦士以外に、動く者の姿は見えなかった。
ハジメは木の根元にアイルー達と身を隠して、これまでのことを話し終えていた。
「え、いや、そんニャ……樹海が騒がしいなんてよくある事ニャし…ニャ?」
「そうニャ!そうニャ!話を伝えてくれない亜人達が悪いニャ!ボク達被害者ニャ!」
「我々は外界との接触を好まない。故に世情には疎いのだ」
語尾にニャをつけて話す(言語理解を保有するハジメでもそう聞こえる)アイルーとメラルーに対して、テトルーだけは変に貫録のある口調で喋るから、見た目の可愛さとのギャップに思わず笑いそうになったハジメは、軽く咳払いをして誤魔化す。
「ごっほん!―――とりあえずだ、俺はイャンガルルガを倒す。けど、それには森人族に奪われた俺の武器を取り戻す必要がある。―――お前らはどうする?」
「ニャ、ニャー……どうするって聞かれてもニャ」
「こんな一大事に、集落のお宝の心配もオチオチしてられないニャ」
「樹海が魔人族の手に落ちるのは時間の問題だろう。”森の虫かご族”としては、ハンターに協力して、魔人族を退け、ついでにハンターが助けたいという兎人族も助ける為に手を貸すつもりだ」
テトルーのリーダーの言葉に、アイルーとメラルーはハジメをじっと見つめる。
少し離れたところでイャンガルルガの鳴き声がした。巡回の森人族が忙しなく動き回った。
まだチャチャブーとガジャブー達が抑えてくれているのだろう。
しかし長くは持たない。
「…仮にイャンガルルガを倒したとして、俺と兎人族は間違いなく亜人達に殺される。―――――集落を壊した償いもする為にも、お前らが協力してくれるなら俺にも少しだが考えはある……!」
その言葉を聞いて、アイルーとメラルーは同じタイミングでゆっくりと首を縦に振る。
一番に協力を申し出たテトルーが責任を取る形で、獣人族達との共闘関係が築かれた。
ハジメはアイルーのリーダーが指さす方向、宝物庫と武器庫のある木に目を向けながら話す。
「此処にいる三つの種族と俺、それぞれが違う動きをして貰う。アイルー達はあの宝物庫と武器庫の木から少し離れた―――そう、あの木の根元だ。真っ暗で見え辛いが、あそこに俺の先輩にあたるハンターと兎人族達が囚われてる。彼らを助け出して事情を説明してくれ。
―――メラルー達は巡回の森人族から獲れるものぶんどって場を混乱させる陽動をお願いしたい。
―――最後にテトルーはリーダー以外、俺と一緒に来てくれ。……テトルーのリーダー、アンタには一番大変な役をお願いするかもしれない」
「委細承知。言ってくれハンター」
「……この樹海を出てすぐの所にゲブルト村ってヒトの住む村がある。そこに住むルゥムって女のハンターに助けを求めて欲しんだ。……出来るなら村の村長アボクさんに、ハンターのハジメから帝国軍の助けを借りたいって言伝も伝えてくれ」
「……村の者はワタシ達を畏怖して、迫害しないだろうか……?」
「大丈夫だ、村には5匹のアイルーが暮らしてる。……ヒトに話しかけ辛かったら、ウマアジって名前の料理長アイルーに俺の言伝を一言一句逃さず伝えてくれ」
「そうか……。よし!改めてその頼み、引き受けた!」
こうして緊急クエスト[魔人族の挑戦状]に協力者として獣人が参戦した。
ハンターと協力してクエストをこなす獣人は”オトモ”と呼ばれるのだが……
彼らとハジメの関係がこの先どうなっていくのかは、まだ分からない。
ハンター(武器、防具無し)+野生のオトモ達vs傷ついたイャンガルルガ
ハンターの中の人がプロハンだったら罠とタル爆弾だけでワンチャン勝てた()
感想、質問、ご指摘等お待ちしております!
初期で構成していたプロットより大幅に話数が増えてしまったので、本作を第一部として続編(2nd的な)を作り本作を完結させようか迷ってます。(それで投稿ペースが遅れる等はありません)
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続編にして
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このまま話数増やしてもいいんじゃね?
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打ち切りはヤメロォ!
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もっと周りの話補完して♡