まだ書くか未定ですが優花の生死を分けられるように短めの話になります。
自分で幕間読んでて思ったのが、ヤッベそういえば愛ちゃん護衛隊と勇者パーティーを除く遠藤君+その他が全く入ってないやん!(幕間のベヒモス戦以外)
あの子達の成長(するかは作者次第ですが)も書くべきか……
そういえばお姫様も空気だし、そろそろ……
うーん、悩み処さん
ゲブルト村は突然の雨と来訪者に騒然としていた。
リンネに担がれた優花を、なんともいえない表情で見ていたハジメ。
アボク達の姿が見えてきて、動揺を悟られないために平静を装う。
「どうしたのかね、こんな泥だらけになって……!」
「ごめんね村長さん、後ろの子が毒で死にかけててそれを治しにきたってこと以上を説明する時間も惜しいくらい切羽詰まった状況なんだ。アゥータ坊やはどこにいるか教えてくれないかな!」
「あ、アゥータじゃと…!?奴ならついさっき村を出て―――」
アボクがそう言い終えると、リンネの後ろで優花が苦しそうに咳き込んだ。
咳と共に赤というよりはどす黒い血が地面に飛び散って雨に濡れた大地に吸われていく。
それを見て普通じゃないとアボクは即座に気づいて判断をする。
「ハジメ君!君の家がここから一番近いだろう、そこに彼女を運ぶんだ!」
「――――ッ!!はいっ」
まさか自分の家に担ぎ込むとは思わなかったハジメだが、アボクの必死な様子と咳き込んでからも目を開けない優花の状態を見て迷っている暇はなく返事をした。
リンネは片腕で背負った優花の体を持ち直して歩き出す。
アボクは村の中で治療が出来る者を集めるように男衆へ呼びかける。
先導するハジメはマイハウスの扉を開け放ち、物が置かれていたベッドの上を空ける。
間髪入れずにリンネが入り、外套を脱がせた優花をベッドの上へと後ろ向きになって下ろす。
素顔が露わになって、ハジメは優花の姿に言葉を失う。
(……なんだ……これ……!?)
全身に浮かぶ青紫色の斑点、黄ばむ肌と赤黒い線の這う血脈。
震える唇は乾ききって、口の端から吐き出すところを失った唾液が零れる。
上半身は不規則にビクンと痙攣して、彼女の体から生気が抜けていくようだった。
彼女の体は病か何かに身体を侵されている。
そう思っていると、髪から滴る水滴を払い終えたリンネがハジメに声をかけた。
「この子の体は無数の毒に侵されてる。いま生きているのが奇跡みたいな状態なのよ」
「……この村に来たのは、アゥータさんに会う為ですか……?」
「正確にはこの村の近くにある樹海での採取を依頼したかった……解毒に必要な素材は全て樹海にある。アタシは見ての通り片腕しかない、だからアイツを頼ろうと思ったんだけどね……」
そう言うと、リンネは家の外が騒がしくなっていることに気づく。
アボクの呼びかけて村中の医学に心得のある人間が集まってきたのだ。
彼女は詳しい説明をしに行く少しの間、優花の傍についてくれとハジメに頼む。
「…………」
ベッドに寝かされて衰弱しきった優花をハジメはじっと見つめる。
苦しそうに息を吐いて小刻みに体を震わせる、浮かぶ脂汗に混じり膿が出た。
(……どうしてなんだろうな。人が死ぬかもしれないって時に、何も感じないのは)
持ってきた椅子に腰かけて、目の前で苦しみ悶える優花をじっと見つめる。
突然の思いもよらぬ顔見知りとの再会に驚いたが、幸か不幸か向こうは意識が殆どなく、ハジメのことを認識出来ていなかった。
……しかし解毒し、意識を取り戻したらどうなってしまうか?
「………っ……」
綺麗さっぱり忘れた……つもりだった。
ハジメの脳裏を過る、忌まわしい元の世界での苦痛でしかなかった日常。
罵倒、嘲笑、嫉妬、無能の烙印……全て鮮明に思い出してしまう。
胸に手を当てて憎々しげに優花を見下ろすハジメ。
彼女が意識を取り戻して、ハジメを認識してしまったら何が起きるか?
容易に想像できる。戻ってこい、迷惑をかけるな、心配かけた皆に謝れ。
被害妄想かもしれないと一笑するのは簡単だが、今までの経験からハジメは確信に近い自分の起こり得る未来を心の中で断言できる。
(こいつが……コイツさえ此処からいなくなっちまえば……)
自分で手を下すことはしたくない。そこまで
けれど、もし仮にリンネがアゥータの代わりに助けてくれと言ってきたなら?
ハジメは簡単に首を縦に振ることが出来るだろうか……
(いいじゃないか、こんな女…見殺しにしたってさ……!)
心の底、真っ暗闇の中で無数の感情を表した
怒りや憎しみ、悪感情の代理人である
(こいつが目を覚まして、他の奴らに居場所が知られてしまったら?……僕はまたあの地獄よりも辛い日々に逆戻りなんだよ。そんなのは御免だね、僕は今の生活がとても気に入ってるんだ)
(……助けるくらいはいいだろ)
不安そうな面持ちで青臭い正義感や善意、道徳心に染まった
(確かに俺の居場所が他のクラスメイトに知られるのはマズい。……けど、それならそれで助けた後に俺のことは誰にも言わないでくれってこっちから頭を下げりゃ――――)
(あははははははははっ!!それ、本気で言ってるのかな!?こいつが分かったって言ってくれるかも分からないのに!コイツだけじゃない、他のクラスメイトに置き換えたって同じさ!!自分が受けてきた仕打ちを忘れた訳じゃあないよねぇ!?)
学生服に戻ったハジメが腹を抱えて笑い転げる。
しかし見上げたその顔は泣き腫らした目をして、歪な笑顔を浮かべていた。
今の姿のハジメが反論出来ずに苦悶の表情で後退る。
(……最初から人を疑ったら、誰も信じられないだろ……。裏切られたっていい、それでも自分が正しいと思う行動を選ばなかったら……この先、一生後悔するだろ)
(ふざけるな!!!後悔なんてしない!コイツは此処で死ねばいいんだ!)
(……ダメだ、後悔しない為にも……助けるべきだ…!)
(死ね!)(助けろ!)(死ね!)(助けろ!)
(死ね!)(死ね!)(死ね!!)(助けろ!)(助けろ!)(助けろ!!)
(死ね!!!)
「―――――――け……てッ!」
ハジメの意識は突然聞こえてきた優花の声によって現実に引き戻される。
悩んでいるうちに意識が戻ったのだろうかと身構えて立ち上がった。
しかし優花は目を覚ました訳ではなかった。苦悶の表情を浮かべ、目は瞑ったままで右手を上げて宙で弱々しく何かを掴むようにを繰り返している。
「だ、れか……助け、て……っ」
「………ッ!!!」
血で汚れ、乾ききった唇から発せられた彼女の声。
その言葉を聞いたハジメは胸を刃物で刺されたような衝撃を受ける。
彼女の姿が……
「――――ッッゲホッ、ゴェッ……!」
再び咳き込み、激しく四肢を痙攣させる優花。
口から吐きだされた血がベッドと、ハジメの足元に飛び散る。
ハジメは俯き、足元に広がる血の雫に映る自分を見た。
その姿はかつての自分で、悪意に満ちているか?
それとも今の自分が、善意を奮い立たせようとしているか?
「俺、は――――――」
読者の皆さんは頭の中で自分2人飼ってたりしますか?作者は飼ってます。
今回のハジメ君が迷っていた「園部優花を助けるか?見殺しにするか?」という迷いに善意は今の生活を送って心に余裕があるポジティブハジメ君が「助ける」
悪意は前の生活で精神的に病んでいたネガティブハジメ君が「見殺し」
という構図になっております。
感想、質問、ご指摘等お待ちしております!
初期で構成していたプロットより大幅に話数が増えてしまったので、本作を第一部として続編(2nd的な)を作り本作を完結させようか迷ってます。(それで投稿ペースが遅れる等はありません)
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続編にして
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このまま話数増やしてもいいんじゃね?
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打ち切りはヤメロォ!
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もっと周りの話補完して♡