モンスターハンター・トータス   作:綴れば名無し

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 大型連休中にモンスターハンターXX購入した作者です
古き良きモンハンという感じに懐かしさを覚えつつ、ワールドでどっぷりハマった動きの違いに慣れずテツカブラに苦戦しました……
早く斬破刀作りてぇ

 今回は最新の幕間の物語の後の話になります
特に伏線とか分岐とかなしに、ハジメとお嬢様のお話
ちなみにお母さま(アイリス)と爺さん(アルフレリック)出す予定はありません。2人とも幕間で少し書いたように仕事で忙殺されているので
本文の前半がスマホで書いた奴なので見づらくなってるかも?
ちょいちょい修正入れていきます


偶然の発見と再会

 

 樹海に入ってハジメが最初に感じたのは違和感。

彼は特別任務を受けた時とほぼ同じ入り口から入った。

にも関わらず、目の前に広がる光景は記憶にあったものとほとんど別の…辛うじて面影を残しているだけの樹海内の姿だった。

 

 あの時と違い今は昼間、雨も降って多少の変化はあっても不思議ではないだろう。

しかし近くの見覚えある植物に手を触れて、ハジメは違和感の正体に気づいた。

 

(この短期間で森が成長しているのか……?木々の枝葉から根に這う苔まで…成長速度が地球のそれと段違いだ)

 

 雨が降っているせいか、木々を飛び交っていた鳥や地面から顔を出していた虫の姿が見えない。

 

「先に進むしかないか……」

 

 樹海が自分の知る常識の通用する環境でないことを再認識して、ハジメは考えを打ち切って歩き出す。

彼の耳はまだ勢いのない雨が降る樹海の中でも微かに発せられる小型モンスターの鳴き声や足音を捉えていた。

 

 巨大な木の根元に身を潜めて前方の様子を窺う。

斜面にある大きな岩の影に2頭の番と思われるケルビが雨宿りをしている。

 

 ハジメはハンマーに手を伸ばしてしゃがみ姿勢のまま木の根から移動してケルビに気づかれない岩陰の近くまできた。

 

 両手に持ったハンマーを軽く振りかぶってハジメは雄のケルビの後頭部を殴りつけた。

鈍い音がして、うめき声を上げた雄のケルビがその場に倒れ込む。雌のケルビは背後から突然現れたハジメに驚いて、岩陰から飛び出して茂みの中に走り去っていく。

 

「これで一つ目。悪いが少しだけ動かないでくれよ…」

 

 目を回して昏倒する雄のケルビにそう言って、ハジメはハンマーを背負い直して腰から剥ぎ取りナイフを抜く。

雄のケルビの額から生える黄緑っぽい色の角、それを根元から頭部に余計な傷をつけないようにナイフで切り込みを入れる。

 

「―――ッ!」

 

 一息吐いてからぐっと角を持つ手に力を込めた。

ポキッと切り込みが入った箇所からケルビの角が取れる。

それと同時に雄のケルビは意識を正常に取り戻す。

 

「よう、目が覚めたか…っとと!!」

 

 起きるや否やハジメの足元で暴れ出すケルビ。

恨めしそうに折った角を持つハジメを見るが、戦う気がない雄のケルビは雌が去っていった方へと駆け出した。

 

「ふぅ……次はズワロポスか」

 

 次はケルビのように気絶させて殺さずに素材を手に入れることは出来ない。草食とはいえ狩るのは初めての相手に期待を膨らませるハジメは、角をアイテムポーチへとしまって先へ進んだ。

彼が目指すのはかつて彩鳥クルペッコ、雌火竜リオレイアと戦った樹海の中にある川である。

 

 

 ズワロポスというモンスターは水辺を好む。

というのも縄張りを水辺に作る習性があり、湿地帯や火山帯といった気温が高い土地に住むことの多いズワロポスは外敵から襲われにくく、餌の確保も容易な場所として水辺を選んでいるのだ。

 

(奥に3頭、左手前に2頭、川の中に1頭…周りをウロついてるのが群れの偵察…真ん中で寛いでるのが群れのリーダーか大事な雌ってところか……)

 

 偶然木に生えていたツタの葉を使い、太い枝の上によじ登ってハジメは見つけたズワロポスの群れを観察していた。

動きは緩慢だがそれも戦闘になればどうなるか分からない。たった6頭とはいえ集団を相手に真正面から戦いを挑むのは愚の骨頂。

 

「それなら……フっ!」

 

 ハジメは川に来るまでの間に拾った石ころを思い切りぶん投げた。

少しだけ弧を描いて落下した石ころは、3頭が歩いていた先の茂みに音を立てて落ちた。

 

 突然の物音にズワロポスは過敏に反応する。

尻尾を盛んに振り回し、雄のズワロポスにいたっては体の大きさを誇示するかのように威嚇のために後ろ足2本で立ち上がる。

 

 偶然にも3頭が不審な動きを見せたのに気づけたのは左手前の2頭だけだった。

川の中にいる1頭は餌を食べることに夢中で気づいていなかった。

群れの5頭が音の方へと歩いていくのを見て、ハジメは早々にケリをつけようと木から飛び降りる。

 

 残る1頭は背を向けてハジメに気が付いていなかった。

雨音や川の流れる音でハジメの足音に気づいていないようだ。

 

「好機!」

 

 ハンマーを後ろに構えて、ハジメは両腕に力を溜める。

ドクンと心臓が大きく跳ねる。力を溜める武器を使用する際に使用者であるハンターだけに聞こえる自身の鼓動だ。

 

 小走りに近付くハジメが川の砂利を踏む音でようやくズワロポスは近づいて来る外敵に気が付いた。しかし警戒して声を発するより先にハジメが二度目の鼓動を感じて仕掛ける方が早かった。

 

「っらあ!!」

 

 気合の入った声と共に大きく踏み込んだハジメはハンマーを振るう。

地面スレスレから半円を描くように繰り出される渾身のアッパー。

正面から向かい合っていたズワロポスの弛んだ皮膚に隠れた下顎を狙って放たれた一撃は鈍い音と共にヒットした。

 

 口から砕かれた歯と赤い血がボタボタと垂れて川の中に落ちていく。

ハジメはハンマーを一度引いて、力を溜めず横に振ってズワロポスの眉間を狙った。

これもヒット。頭部を鉄の塊で二度も殴られたズワロポスはうめき声をあげる。

 

「オオォッ!」

 

 頭上に振り上げたハンマーをズワロポスの鼻先へと叩きつける。

ゴキャッと嫌な音が響いて、鼻から夥しい量の鮮血が噴き出た。

先ほどのアッパーに加え眉間に一撃、鼻先も強打されたズワロポスは助けを求める声も上げられず地面へと崩れ落ちる。

 

「―――――よし!」

 

 まだズワロポスは死んでいない。しかし瀕死の状態ではある。

故にこの後苦しませず一撃を以て終わらせなければならない。

後ろへ一歩下がったハジメは後ろにハンマーを構えて力を溜める。

一度、二度、三度目の鼓動と共に彼の両腕に力が漲る。

 

「オォッ!ッシャアアッ!」

 

 再び頭上へと掲げられた鉄の鎚。

それが虫の息だったズワロポスの頭蓋に叩きつけられた。

潰れて砕け散った肉片が辺り一面を真っ赤に染める。

ビクンビクンと二度の痙攣を最後に、ズワロポスは死んだ。

 

「………っし」

 

 顔についた血を手の甲で拭い、ハジメは武器をしまう。

早々に目的の素材を手に入れなければ仲間のズワロポスが帰ってくる。

剥ぎ取りナイフを手に胴体へ回り込んだハジメは天辺の背から切り込みを入れた。

 

 ナイフの切っ先が弾力のある皮を裂いて肉まで到達するのにさほど力を必要とはしなかった。しかし血に混じったどろりとした(あぶら)のようなものが刃を伝って手元を狂わせようとする。

これこそがハジメの目的の素材である。

ズワロポスの肉厚な皮に含まれる()()()。防水性が高く、肉食のモンスターの牙や爪で貫かれても致命傷に至らないように分厚く育った皮にのみ溜まるそれは保湿成分が含まれており、薬用効果の高さ故に医学者から注目されているものだ。

 

(依頼外であればギルドに提出して()()()()に換算して貰うんだけどな……)

 

 訓練所で読んだことのあるズワロポスと武具などの素材に数えられない項目の詳細を思い出しながら、ハジメはナイフを持つ手を片手に切り替えて、残る片方の手で腰のアイテムポーチから空き瓶を取り出す。ナイフの刃を引き抜いて、溢れて来る垂皮油を瓶いっぱいに詰める。

 

「これで二つ目確保。次は―――――」

 

 と言いかけたハジメの耳に聞き慣れないモンスターの咆哮が届いた。

その場からさっと後ろに引いて、ハンマーに手をかけるハジメ。大きく開いた目で周囲をぐるりと見渡し、聞こえる音の全てに神経を尖らせるが……

 

(――――――チィッ!)

 

 雨脚が強くなってきた。

顔や手についた血と膏が流れ落ちるのはありがたいが、雨粒が地面や木々に落ちる音に阻害されて遠くの音が聞こえづらくなっている。

ハジメは苦々しく表情を歪め、周囲を警戒しながら思考を巡らせた。

 

(この雨の中でさっきのモンスターの鳴き声を聞き分けられなかった。……声量的に中型か大型なのは間違いない。この雨の中で聞こえるほどの距離ってことはそう遠くはないのも確かだ。……さて、どうするか……)

 

 可能性は限りなく低いが欲している素材のモンスターであることを祈りつつ、声のした方角に正体を確認するために向かうべきか。

それとも頭の中で予定していた通りに虫の採集を先に済ませるか。

 

 すると再び、今度はモンスターの鳴き声ではない音が聞こえてきた。

バキバキッ!と勢いよく木の枝が砕ける音、ズシンと地面に落ちる音。

微かにだが音の中にモンスターのような鳴き声が混じっている気がしなくもない。

 

(……しかし暴れるモンスターの近くで採集ってのもぞっとしないな……)

 

 採集に夢中になったハンターがモンスターに襲われてしまうことは珍しくない。大抵のハンターは採集目的で訪れた周辺のモンスターを撃退ないし狩猟してから採集に移るという。

モンスターを無視して採集だけを行えるのはよほど襲われても避けるないし躱すことに自信のあるハンターか、或いは負傷も覚悟の上で採集に執心する狂人だけだろう。

 

 ハジメは土砂降りの雨で濡れた顔をブンブンと振った。

それと同時に行動を決めた。音がする方へと向かったのだ。

狩猟する必要がなければこやし玉で追い返せばなんとかなる。

雨の中で効果は半減しているかもしれないが、使わないよりはマシな結果になるだろう。

 

「さて……鬼が出るか蛇が出るか!」

 

 思わず口にした言葉だが、狙っている素材のモンスターはその特徴どちらも当てはまらない。

鬼というよりは天狗みたいな牙獣、蛇というよりはカメレオンみたいな鳥竜。

鬼や蛇といった二つ名のつくモンスターもいるが、今回はお呼びでない。

 

 

「……音が近い、そろそろか」

 

 ズワロポスの群れがいた川のエリアから少し進んだ先の木々の中。

走り続けるハジメの耳に、今度はしっかりと鳴き声と音が届いた。

鳴き声は2頭分。聞いたことのないモンスターの鳴き声だ。

破壊される周囲の木などの音から規模はそこまで大きくない。

 

 ハンマーに手をかけて、アイテムポーチから一応こやし玉を選ぶ。

異臭発するモンスターの排泄物だったものを指先で触れるのも嫌な気分になるのだが、今後は慣れていかなければならない。

ようやく木々の隙間からモンスター達のシルエットが見えた。

 

「――――――オイオイオイ、なんつー偶然っつーかビンゴだよ」

 

 狩猟の神様にでも愛されているんじゃないかとハジメは笑みを浮かべる。

目の前で争い合っている二頭のモンスター。()()()()()()()()を持つプケプケ亜種と()()()()()を持っているビシュテンゴだ。

 

 しかし二頭同時というのはかなり厳しい状況だ。

争い合って疲弊しているとはいえ、戦ったことのないモンスター二頭を相手にハンマーでどこまでやれるのか。ハジメは前の敗北を思い出してしまい、自信をもって狩れるとは言えなかった。

 

 ふと片方の手が触れたこやし玉に視線を落とす。

ワンチャン相手をするのは一頭ずつの方が無難でないだろうか?

先にプケプケ亜種と戦って、その間ビシュテンゴには予めこやし玉を顔にベットリくっつけておけば戦いに割り込んでくることはない。

 

 エリアから移動したビシュテンゴを追いかける手間はかかるが、素材を狙って確実に狩猟するということを前提に考えれば悪くない考えだろう。

 

(……やるか!)

 

 いい加減、片方の手についたこやし玉を雨でもいいから洗い流したい。

ハジメは考えを固めてこやし玉を取り出して振り被ろうと木から顔を出して―――

―――狙いを定めた先で二頭の足元で怯える森人族の少女と目が合った。

 

「ッ!?」

「あ、ぁぁ……!」

 

 恐らくモンスターの争いに巻き込まれてしまったのだろう。

ふとハジメは自分の進んできた方角と距離を思い出して、今いる場所の近くが森人族の集落があったところからそう離れていないということに気が付いた。

 

 恐怖で腰を抜かした少女が声をあげられずに手だけを伸ばした。

 

()()()

 

 少女の求める声なき言葉にハジメは動きを止める。

しかし同時に二頭は争いに割って入ろうとする闖入者(ハジメ)に気づく。

プケプケ亜種のギョロっとした丸い目と、ビシュテンゴの黄色い瞳に映るハジメ。

二頭は争いを止めて威嚇の声を上げた。

まだ足元の少女には気づいていないようだが時間の問題だ。

 

「――――――クソっ!」

 

 ハジメの思い出す限り森人族には嫌な目に遭った記憶しかなかった。

弓を向けられて目隠しに手足を縛られた挙句、武器を取り上げられた。

そして高圧的な物言いで問答無用の死刑宣告。

 

 黒狼鳥との戦いで巻き込んでしまったことは申し訳ないと思う反面、武器を取り上げたのは森人族なのだから自業自得だと言いたい気持ちも少しあった。

 

 しかし目の前で助けを求めてる者を見捨てるようなことはしたくない。

悪態をついたハジメはこやし玉を()()、それぞれ狙いを定めて投げる。

ベチャリと嫌な音を立ててこやし玉を顔の近くに当てられた二頭は絶叫してその場で悶絶すると、地面や木々に顔を突っ込んで嫌な臭いの元凶を擦りつけようと暴れ出した。

 

 ハジメは弾丸のように駆けだして、座り込んだままの少女の腕を掴む。

驚いたように少女が目を見開いていたが、ハジメはお構いなしにぐいっと引っ張る。

そのまま来た道を戻り、倒れてそのままのズワロポスの死骸がある川を横切り、目に見えた木の根元へと少女を先に押し込む形で飛び込んだ。

 

「……ど、どうして此処に貴方が……?」

「静かにしてろ!今はお前に構ってる余裕が―――」

 

 と言いかけてハジメはようやく落ち着きを取り戻した思考が、少女の声に聞き覚えがあることを教えると同時に以前の記憶の一場面を瞬間的にフラッシュバックさせる。

まだ掴んだままの手から視線を少女の腕、肩、顔と上げる。

 

「ハジメ様」

「アルテナ……ハイピスト……!?」

 

 森人の少女とは嘗てハジメが森人族の集落で何度か言葉を交わした相手。

困惑と恐怖の色を瞳に宿し、なぜか頬がほんのり赤く染まっているアルテナである。

 




 ワールドでハンマーの溜め滑走攻撃を未だに楽しむ作者です
ちょっとだけ今後の描写の為に操虫棍にも手を出してみましたが……
いやー虫エキス集めるのに時間かかりまくって見事に野良の地雷と化してましたね
運悪く救難に入られてしまった方に申し訳ナス
次はランスと狩猟笛を練習しようかな?
あ、それとほぼ確定事項なので告知をば……
今章で登場するオリキャラヒロインが一名追加されます
登場は次々回か、短い一人称視点で幕間を書こうか考え中です

感想、質問、ご指摘などお待ちしております!

初期で構成していたプロットより大幅に話数が増えてしまったので、本作を第一部として続編(2nd的な)を作り本作を完結させようか迷ってます。(それで投稿ペースが遅れる等はありません)

  • 続編にして
  • このまま話数増やしてもいいんじゃね?
  • 打ち切りはヤメロォ!
  • もっと周りの話補完して♡
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