12月29日追記 最新作更新に詰まり、本文を一部改変(リメイク?)しています。
テンプレですが主人公、その他登場人物の紹介。初手から原作に無かったシーンだったり、原作の場面一部改変を交えての出発となります。
序章 物語はIFから始まった
”南雲ハジメ”はクラスメイト達と共に異世界”トータス”へと召喚された”神の使徒”の一人、ありふれた天職”錬成師”の青年。
クラスメイト達が優秀な戦闘職として力を開花させるのと対照的に、一般人並のステータスで成長速度が著しく遅い彼は知識を収集する事で周りとは違う方向で努力をしようと試みた。
趣味の合間に人生が座右の銘と言うくらい、普段は怠け者のオタクなハジメだが、異世界召喚という異常事態を前にして故郷への帰還のためにその時ばかりは頑張ろうと思った。
しかし周りはそんな彼の努力を否定し嘲笑い、ここぞとばかりに彼を嫌う者達は難癖をつけて故郷に居た頃よりも過激に彼を虐めるようになった。
ただのオタクというだけなら彼はここまで虐められなかっただろう。
彼が虐められる原因の一端は、クラスメイト達の中心的存在にいる女子生徒”白崎香織”がハジメに対して親密な関係を持とうとした事に起因する。
どうして彼女がハジメに仲良くしようとしたのか、ハジメ自身は全く身に覚えがなかった。
だから彼女を好いている虐めの主犯格”檜山大介”から憎悪とも呼ぶべき嫉妬の苛立ちをぶつけられても、ハジメにはどうする事も出来ない。
更にそこへ追い打ちをかけるように白崎香織の幼馴染であり、これまたクラスメイト達の中心的存在と呼ぶべき男子生徒”天之河光輝”がハジメを目の敵にしており、虐められる原因はハジメ自身の日頃の行いにあると彼は言う。
異世界召喚に巻き込まれたクラスメイト達と、偶然教室に居合わせた社会科教師”畑山愛子”が唯一ハジメを助けられる立場である筈なのに、周りの意見に流されてまともに教師として機能してくれない。
針の筵なんて言葉で片付けられないほどの絶望的な状況。
これが故郷で行われている事だったなら、ハジメはいつも通り家に帰ってから趣味に没頭して嫌な事を全部忘れて気持ちをリフレッシュ出来ただろう。
だが此処は異世界。彼の趣味に合うものなどある筈もなく…ましてや衣食住すら現代水準から遠くかけ離れた中世もどきの生活を強いられる。
心身を蝕まれたハジメはある日、遂に決心して行動に出るのだった……
*
ハジメ他神の使徒達の異世界召喚から約一か月近くが経過した。
神の使徒は”聖教教会”と親密な関係にある”ハイリヒ王国”に滞在して、人間族の敵”魔人族”との戦争に備えて訓練に明け暮れていた。
ハイリヒ王国の東、王都から一番近い”宿場町ホルアド”の宿屋に神の使徒は滞在している。
彼らが此処に来た目的は魔物が巣食う”オルクス大迷宮”に挑み、魔物との戦闘経験を積む為だ。
彼らの引率として来たハイリヒ王国騎士団の騎士団長”メルド・ロギンス”の部屋にハジメが尋ねたのは夜遅く、翌朝にはオルクス大迷宮での訓練が開始される。
クラスメイト達の大半は魔物との実戦を前に不安を抱いている。
若干数名は恵まれた天職と強い力を得たことで武者震いに震えているのだろうが…
メルドは彼が訪ねて来た瞬間、何か相談でもあるのかと陽気に尋ねた。
だがハジメの口から出た言葉を聞いた瞬間、耳を疑った。
「神の使徒を辞めたい……!?」
「僕には神の使徒を名乗る資格なんてありませんから……」
淡々と喋っているハジメは、明らかに目が虚ろだった。
ショックを受けたメルドは数秒間フリーズした後、ハッと我に返って言葉を返す。
「だ、だが光輝や他の者が納得せんだろう!」
「それも含めて、こうして夜分遅くにお伺いした事を先ず、深くお詫び致します」
言い終えるとハジメはゆっくり膝を曲げて地面へと落とし、正座の姿勢から両手で三角形を作るようにして上半身を床と並行にして頭を下げた。
日本人ならその姿が何を意味するのか一目見れば分かるだろう。
「な、なにをっ――――」
「これは僕の国で一番誠意のある謝罪と請願の意を表す礼式です。このままの状態で聞いてください。…僕が神の使徒を辞める事を、僕が此処を出ていった後の翌朝に他の使徒達に話して下さい」
「おい、坊主!話を―――」
「当然ですが僕は使徒を辞めるので、王国が僕の為に用意したお城の部屋は片付けて貰って結構です。頂いた食事や衣類に関しては其方のご厚意という形で受け取らせて頂きますので、それに釣り合う金銭の支払いは出来かねます事をご了承いただければと……」
「坊主っ―――!!」
ハジメの発言があまりに衝撃的かつ一方的過ぎて、メルドは口を挿むことが出来なかった。
だがこのまま押し切られてしまえば彼の要求を受け入れたことになってしまうと、彼はハジメの肩を掴んで無理やり立ち上がらせるようにして元気づけようとする。
―――それが彼の怒りを爆発させるとは知らずに。
「少し落ち着け…!明日からオルクス大迷宮での訓練が始まるから、お前は不安になってるんだ。―――頭を上げろ、普通に立ってシャキッとしないか。神の使徒がそんな事を―――「黙って受け入れろよ!!」ッ!?」
鼓膜をビリビリと震わせるほどの怒鳴り声を上げて、ハジメはメルドの胸倉をつかんだ。
彼がそんな事をするとは思わず、普段なら胸倉を掴もうとする手くらい止められる筈のメルドは唖然としてなすが儘にされてしまう。
トータスに来る前よりも更に痩せ細り、活力というものが徐々に失われていたハジメが憤怒の表情を浮かべ、これまで言いたかった罵詈雑言を目の前の相手に叩きつける。
「俺みたいな無能なんていらないって皆思ってるんだろ!?あいつ等も、国王も、貴族の連中も、お前も!!錬成師なんざ戦闘職と比べりゃクソの役にも立たないって皆言うもんなぁ!?じゃあ俺が神の使徒を辞めたって何の不都合もないだろうがよ!!」――――――もう、放っておいてくれよ。お願いだから……そうじゃないなら、殺してくれよぉ。この世界の人間がどうなるとか、俺らには関係のない話だろ……なんで俺ばっかりっ――――――」
―――こんな目に遭わなければならない。
そう言いたかったが、言葉より先に感情の決壊が早かった。
メルドから手を離して、ハジメは大きく鼻を啜ってから淡々と話し始める。
「―――――正直、何も言わずに出ていくのが一番だとは思いましたよ。けどあんた等から受けた衣食住の恩はある訳だし、俺は貴方を他と比べて
メルドから手を離して、ハジメは一歩半後ろへ下がってから頭を下げる。
部屋を出て行こうとする彼に向かって、メルドは手を伸ばそうとしたが―――
その瞬間、彼の放った言葉を思い出して苦悶に満ちた表情を浮かべ、伸ばした手を止めてしまう。
静寂に支配された夜の部屋で、メルドは暫くのあいだ悩み続けるのだった。
*
(……意外と上手くいったんじゃないかな、口下手の僕にしてはね)
宿屋の廊下を一人静かに歩くハジメ。その胸の内は「大人相手に俺は言いたい事を言いきった。やり遂げたぜ」という達成感に満ち溢れている。
人前でみっともなく涙を浮かべて怒鳴るのは男として少々恥ずかしい気もしたが、あれくらい大袈裟に訴えないと彼の思いはメルドに伝わらなかっただろう。
肩越しに振り返ったメルドの部屋から追ってくる気配がないのは、上手くいった証拠だ。
もしメルドがこれでも考え直すよう言って引き止めて来るのなら強硬策に出るのも止む無しと思っていたが、どうやらその必要は無さそうだ。
さて…過去を振り返るのは此処まで。
心機一転、ハジメは事前に纏めておいた荷物を置いた自室へ戻ろうと前を向き―――
「あっ…南雲くん!」
―――部屋の前に立っていた一人の少女に呼び止められて思わずため息を吐きたくなった。
(厄介事は終わったと、安心した矢先に
部屋の前に立っていたのは
彼女を好ましく思う同級生の男子達が見れば垂涎の的になること間違いなし。
臍の下辺りで腕を組み、両方の二の腕で自身の胸を強調する形がなんとも蠱惑的である。
…が、彼女の事をあまり好ましく思っていないハジメからすればそれはどうでもいい事だった。
(なんでこんな時に僕の部屋の前に居るのかなぁ…もし他のクラスメイトに見られでもしたら勘違いされるって思わないのかなぁ…檜山くんが見たら即刻嫉妬で怒り狂いながら僕を刺しに来ないか心配だよ。天之河くんでも嫌だけどね。ネチネチと嫌味を言われるし…)
「…白崎さん、こんな夜遅くにどうしたのかな?」
「ごめんね。ちょっと話したい事があって来たんだけど、ノックしても返事がなかったから。もう寝ちゃってるなら明日の朝にでも改めて来ようと思ってたの―――会えて良かった」
(僕は良くない。これっぽっちも良くない)
白崎香織=ハジメにとって面倒事の火種という図式が完成されている以上、周りに人がいなかったとしても彼女と目を合わせたり、会話をすることを避けたい。
しかし此処で焦って彼女を追い返そうものなら、涙目で彼女に相談を持ち掛けられた彼女の友人が―――普段は保護者目線で何も言わない癖に―――すっ飛んでくるだろう。
それに反応して天之河が、取り巻きの坂上が、他のクラスメイトが~の連鎖反応が起こる。
するとどうなるか?「南雲ハジメが白崎香織を泣かせた」という事実のみが騒がれる。
夜中に他人の睡眠を邪魔したかもしれないという彼女の非常識を無視してだ。
(…落ち着こう。ここは冷静に…今が
「ハジメくん、部屋の中に居なかったって事はどこかいってたの?」
「ん、ふあぁ~……ごめん。ちょっとトイレにいってた…もう眠くてさ…」
ちょっと大袈裟にハジメが―――さっきの八つ当たりで泣きそうになった事を誤魔化すついでに―――欠伸をして眠そうに目を擦る。
こうすれば普通の人なら相手を気遣って話したい事を後回しにしてくれるだろう。
香織がその通りに明日以降に話す予定を変えてくれれば、全て万事解決だ。
彼女が目を覚ました頃にはハジメもホルアドを出ているから話は出来なくなる。
しかしハジメが思っていたよりも香織は図太い少女だった。
「そ、そっか…話したい事があるんだけど。ダメ…かな」と彼女は申し訳なさそうに目を泳がせた。どうやら意地でも話がしたいらしい。
内心「チッ」と舌打ちしつつ、彼もわざとらしい微笑を浮かべて答える。
「…話したい事があるなら聞くよ。…そんなに長くは聞けないけど」
「ほ、本当!?…えっと、それじゃあ端的に言うね――――――」
――――――結果から言って、ハジメにとって人生でトップ5に入る無駄な時間だった。
香織がどうして彼の部屋に来たのか?それは数時間前に、彼女が見た悪夢がきっかけである。
夢の中で彼女はハジメが暗闇の方へ歩いているのを見て止めようとするのだが、追いかけても彼女の手は彼の背に届かず、最後には消えてしまう。
なんともメルヘンチックな少女漫画の女の子が見てそうな悪夢の話だが……
(この後の事を考えたら、ある意味当たってるのが草生える。予知夢って奴かな)
だとしたら香織には占い師の才能があるんじゃないかとハジメは言いたくなる。
しかしそんな悪夢を見たからと言って彼女がわざわざハジメの部屋にまで来てハジメに言いたかった事が「オルクス大迷宮の訓練には参加せず、宿屋で待っていて欲しい」だった。
流石にこれは笑えなかった…というか彼は内心呆れ半分、無自覚に憤っていた。
ハジメが戦えない錬成師で、ステータスも一般人並みの足手纏いだと神の使徒全員が知っている。
香織が言っている事は「役立たずだから、わざわざ戦いに出て犬死にしなくていいよ」という風にも解釈出来てしまう…むしろそっちの方が彼女の本音かもしれないと思うくらい。
彼女にとって恐ろしい夢だったのか、語る姿には真剣みが感じられた。
だがそんな事を言われてハジメが「うん、分かったよ」と答えたところで、本当に明日のオルクス大迷宮にいかなくていいのか?と聞かれれば答えはNoである。
神の使徒のリーダー役であり、勇者の天職を持つ天之河がそれを許さないだろう。
ただでさえ彼は香織とハジメが関わる度にどこからともなく現れて会話に割り込んで来ては、ハジメに対して細かい文句を言わなければ会話も成り立たない存在だ。
…ハジメから言わせれば、ぶっちゃけ頭の病気を疑うレベルの人間である。
(理由は凡そにして察しがつくんだけど…じゃあそれをハッキリ言えよって話)
ハジメを虐めたがっている檜山辺りも便乗して批難しに来ることは目に見えている。
結果、強引に数の意見で押し切られてハジメは「戦う事を拒もうとしたチキン野郎」のレッテルを張られながら訓練に参加する事になるのだ。そうに決まっていると彼の第六感が告げていた。
(…ま、どう答えようと結果は変わらないんだし…こういう時は―――)
「そう…だね。ありがとう白崎さん。明日出発前にメルドさんと相談してみるよ」
「っ…うん!じゃあ、私もう行くね。ごめん、眠いのに付き合って貰って」
(自分の言いたい事だけ言って撤収ですか。自己中心的なのは天之河くんとそっくりだよ)
「平気だよ…おやすみ白崎さん」
「…おやすみ南雲くん!」
良い笑顔で小走りに去っていく香織が手を振っている。
ハジメはその姿が見えなくなるまで寝ぼけ眼で下手糞な作り笑いを浮かべながら手を振り返していたが、見えなくなった途端にげっそりと疲れた顔で溜息を吐いた。
「はあぁ~……マジで疲れた……演技ってしんどい」
部屋の扉を開けて中に入ったハジメはさっさと着替えて準備をする。
異世界召喚時に着ていた制服はまだ王城に残っているが、別に大事なものとか入っている訳じゃないから失っても構わない。…持っていったら後々面倒な事になるとも予想していた。
机の上に広げた羊皮紙には、簡易的なトータスの地図が書いてある。
これはハジメが神の使徒を辞めた時に一人で行動するであろう先の展開に備え、時間の合間に本と睨めっこしながら書き写したものだ。
ハジメがいるのは大陸の北側中央ハイリヒ王国領南の宿場町ホルアド。
そこから西に広がるライセン大峡谷と荒野を越えた先にある場所が目的地だ。
トータス屈指の広さを誇る樹海が、恐らくハジメにとって人生最初で最後の一人旅の終着点。
異世界に来てからずっと趣味に生きられず、絶望した日々を送っていた。
もう生きていても死んでいても、故郷に帰れるかも分からないのなら最後くらい―――
(エルフ耳とかケモ耳の美少女を見て死にたいよなぁ…触れたら言う事なしなんだけど)
―――最後くらい、男の薄汚れた煩悩に最後の生を託す。
宿場町ホルアドの暗闇を、彼は物陰から物陰へと飛び移るようにして移動する。
彼はまだ知らない…いいや、たとえ知っていても今更止める術はないだろう。
ただ一度の
トータスに跳梁跋扈する魔物”モンスター”とそれを狩る者”モンスターハンター”が世界の中心だ。
どちらも今の彼にとって、まだ
待ち受ける全てに心動かし、歴史の歯車として人知れず大舞台の主役として存分に回り給えよ。
初見の方はかなり困惑するかもしれませんが、本作のハジメ君は原作とはちょっと違う方向で
年相応とも言えますし、彼を取り巻く環境(後に幕間の物語で語られる原作回をちょっと重めにした話)を踏まえれば当然の反応になるかなと……
感想、質問、ご指摘等お待ちしております。
初期で構成していたプロットより大幅に話数が増えてしまったので、本作を第一部として続編(2nd的な)を作り本作を完結させようか迷ってます。(それで投稿ペースが遅れる等はありません)
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続編にして
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このまま話数増やしてもいいんじゃね?
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打ち切りはヤメロォ!
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もっと周りの話補完して♡