先に本文ではぐらかすように書いてるので此処でドストレートに書きますが
ハジメはこやし玉を触った手でアルテナの腕を掴んでいます
当然アルテナの腕にもこやし玉の一部がつくわけで……
思わぬ形で再会したハジメとアルテナ。
土砂降りの雨の中でプケプケ亜種とビシュテンゴが追ってきていないかを警戒しながら、ハジメは傍らで身を寄せて来るアルテナに話しかける。
「……少しくっつき過ぎだぞ……」
「……雨に濡れて肌が冷えているので」
名前を呼んで頬を染めていた彼女が、身を寄せて来る理由がハジメには分からない。
彼女が人間を嫌っている亜人族のである以上、彼女の行動が好意によるものという可能性は限りなくゼロに近い。それなのに肩が触れる程に接近してくるというのはどういう訳なのか……
「お前らは人間が嫌いじゃなかったのか?」
「それは亜人族の一般論ですわ。何事にも例外はありましてよ」
冷淡な口調でそっぽを向きながらアルテナはそう答えた。
行動だけ友好的に見えるが、仕草には真逆の感情が垣間見える。
ハジメは眉間に指を当てて彼女が不機嫌になった理由を聞いた。
「……
「……思い出させないで下さいまし」
さっきのことというのは、アルテナを認識してすぐのこと。
ハジメは彼女の掴んでいた手にベットリついた茶色いそれから目を逸らした。
しかし目敏くそれに気づいた彼女が茶色く悪臭を発するこれは何だと問い詰め、ハジメは謝罪と共にこやし玉の原材料を白状した。
それを知った彼女は顔色を真っ青にして吐きそうになりながら木の肌を伝う雨水で懸命に腕についた茶色いそれを洗い流したが、物が取れても臭いが残ってしまったのだ。
自分を助けるために咄嗟にとった行動だったとは流石に理解していたのか、恨むような目でハジメを一睨みしてからは声を荒げることなく今に至る。
此処で騒がしくされたらモンスターに見つかる危険が生じるため、止むを得ず初めて会った時のように口を手で塞ぐことも考えていたハジメは、彼女が少しでも理性的に感情を抑えて口数を減らしていることに内心感謝していた。
「……それで?これからお前はどうするんだ」
「どうする……と聞かれましても」
「俺はさっきの二頭を狩りに来た。さっきの所まで戻らなきゃならん訳だ。それじゃあ一人残されたお前は?仲間が助けに来てくれるまでじっと息を殺してるか、その足で集落まで戻るか」
「此処で待つのも、戻るのも懸命な選択とは言えませんわね。……それにしても貴方……あの恐ろしい魔物を二頭纏めてお一人で倒すつもりでいますの?」
「そうだよ。ついでに不死虫と不老蛾ってのも集めなきゃならねえから、先にあいつ等を狩っておかねえと探すのに余計な手間が掛かっちまうからな」
無茶だ。アルテナはそう心の中で思った。
魔物は森人族の戦士数十人がかりで数日かけて、
倒さずに撃退するだけでも戦士達は死を覚悟する。
「正気の沙汰とは思えませんわ」
「普通の人間……まぁお前ら亜人から見てもそう答えるだろうな。ちょっと前まで俺も無茶苦茶だと思ってたよ。……けどな、
まだまだ未熟者だと自覚はしているが、ハジメもそれなりの覚悟を決めている。
自分がモンスターに食われて死ぬか、モンスターを狩って生き残るか。
弱肉強食の土俵に立った時点で、正気か狂気か等と些細なことだった。
「……何か事情がありますの?」
「死にかけの女の子を助けるのに必要な素材を集めに来た。それだけだ」
「女の子……ッ!?まさか―――」
「勘違いするな、シアのことじゃねえよ」
そうですか。と安心して胸を撫で下ろすアルテナ。
ハジメは以前から思っていた疑問を彼女に投げかける。
「あの時は黒狼鳥と戦ってる最中で詳しく聞けなかったが、お前はなんでシアのことを他の奴らと同じように嫌ったりしないんだ?」
「そ、それは……」
「お前の母親、爺さん、他の森人族はシアを忌み子と呼んで処刑しようとした。その中でお前だけがシアと友達になりたいと言い、他の種族…
彼女が長老の孫で族長の娘という事からあの時ハジメは利用しようと考えた。
しかしその考えもアゥータ達の到着で意味を成すことなく全ては終わった。
シアは生き延びて、アルテナに一度も会うことなく樹海を出て行った。
全てが終わった後だからこそ聞けるアルテナの本心にハジメは興味を抱く。
真っ直ぐと見つめられて、アルテナは再び顔を赤くしながらしどろもどろに答える。
「……私は外の世界を知りません。集落から少し離れた花畑で花を摘むかお爺様やお母様が管理している本を読んで知識を収集するほかに何もさせて貰えなかったのです」
(超がつくほどの箱入り娘ってわけか)
それにしては武器庫に入ってきた時のハジメに殴り掛かったりとアグレッシブな一面もあったようだが、
アルテナは樹海の木々で隠れた空に目を向けて言葉を続ける。
「それを恨むことはありません。私はあと数十年もすればお母様のように一族の長として振舞わなければなりませんから、貞淑に努めることが一族から私に求められているというのであれば応えるのは当然の義務でしてよ」
「……そうか」
ハジメは内心アルテナの評価を改めなければならなかった。
箱入り娘という一言で片付けて良い少女ではない。自分と同い年でありながら自由を許されず、それを悲観することなく受け入れて前を向きながら生きる彼女は、正真正銘の
「ただ…」と言葉を繋げてアルテナはシアを思い浮かべる。
「同族の者達は私を敬い慕ってくれます。それを悪いとは思っていませんが、私も……幼い頃に呼んだ本に綴られる登場人物達のように、お互いの本心を曝け出せるような、感情を共有しあえる……友人が欲しいと思ったのです」
(……友達……か)
脳裏に過ぎるレイを始めとする同期のハンター達を思い出すハジメ。
彼らも今は遠く離れた地でモンスターと戦っていたりするのだろう。
アルテナの気持ちが少しは分かるハジメは思ったことを口にする。
「んで、お前は他の亜人族みたいに他の種族を下に見なかった訳だ」
「……他の者達から聞いた話を鵜呑みにしてしまえば、私も彼らの意見に同意するでしょう。……ですが私は自分の目で見定め、自分の考えを貫くことで……今のフェアベルゲンに根付いた見方や考え方を変えていくべきだと……そう思っているのです」
シアを忌み子と呼ぶのなら、アルテナは恐らく革新的な異端児といったところか。
これまでの亜人族の常識を覆して、他の種族に歩み寄ろうとする考え方を持っている。
ハジメは彼女になら少しだけ気を許してもいいだろうと、シアのことを話す。
「……シアは今ハンターとして遠くにいってる」
「……えっ?」
「半年もしない内にハンターになって村に帰ってくれば何度も樹海に入ることはあるだろうよ。……その時にお前が面と向かって 友達になろう って言えばいいんじゃないか?」
アルテナは驚いた表情でハジメをじっと見つめる。
何故か無性に照れ臭くなったハジメは頬をポリポリと掻いてその場から立つ。
雨は少しだけ勢いが弱まったが、地面には無数の水溜りが出来ている。
時間の経過とともにこやし玉の効果が切れた二頭が暴れ出す頃合だ。
「長話が過ぎたな。俺はあいつ等を狩りに行く、お前はここで―――」
「お待ちくださいッ」
歩き出そうとしたハジメの腕を掴むアルテナ。
振り払うつもりで肩越しに振り返ったハジメが見たのは……
強い意志を瞳に宿してキッと口元を強く結んだ彼女の姿だった。
「私に良い考えが御座いましてよ」
一族の次期族長として覚悟完了してるアルテナ
それでもボッチは寂しいので友達が欲しいと思ったと同時に他種族と関係を悪くする必要が本当にあるのかと疑問を持っている人間族的にはかなり重要人物として扱われそうな娘でした
しれっと書いてますがアルテナのメンタルは作中指折りです
短期間で二度の恐怖体験を経ても興味や好奇心を絶やさず、それどころか危ない性癖に目覚めそうな……ハジメ君は素直に自分よりメンタルお化けじゃんと気づいて感心してます
感想、質問、ご指摘などお待ちしております
初期で構成していたプロットより大幅に話数が増えてしまったので、本作を第一部として続編(2nd的な)を作り本作を完結させようか迷ってます。(それで投稿ペースが遅れる等はありません)
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続編にして
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このまま話数増やしてもいいんじゃね?
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打ち切りはヤメロォ!
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もっと周りの話補完して♡