モンスターハンター・トータス   作:綴れば名無し

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 怒涛の感想を読んで「ひょぉぉぉぉ!!!」と声をあげ歓喜した作者です
と同時にごめんなさい;そりゃ読者の方にも忙しい事情がありますから、毎回投稿してすぐに感想が貰えるだなんて思い上がりも甚だしいってもんですよね……猛省……

 それに伴って感想欄の評価を無に変えました
色々な感想をくれる方がいて、その中でもドストレートに正論や意見を作品ないし作者に伝えてくれる方も作者的には大歓迎なので、それらが悪い評価を受けて見えなくされてしまうのも折角の感想をくれた方に申し訳なかったので;
(勿論、それを見てムッとする方もいらっしゃるかとは思いますが、人の意見や感想は自由に発信されるべきというのが作者のスタイルなので……)

 独り言があまり長くなってしまうと本文読む前にブラウザバックされそうな気がしたのでこの辺で区切らせて頂きます;
あ、活動報告にハイテンションの理由は書いてあるのでもしよければどうぞ


霧雨に包まれた樹海の出会い

 雨雲に隠れた太陽はやがて人知れず、地平線の向こうへと消えていた。

夜空の星明りも届かない樹海は沈黙と霧に包まれている。

ゲブルト村に続く道を1人歩く髪の長い女がいる。リンネだ。

 

「………」

 

 空色の綺麗な髪はベットリと赤黒い血で汚れ、腰に提げたデゼルヴェントは切れ味が低下して、切先から柄に至るまで彼女の髪のように血がこびりついている。

片方しかない腕で麻袋の口を結ぶ紐を肩にかけて黙々と歩く。

中には4体のモンスターを()()して剥ぎ取った素材の他に、湿地帯にのみ生えるコナマキダケだけでなくハチミツやアオキノコ、薬草といったハンターが普段使っている素材も入っていた。

 

「………ふーっ……」

 

 雨に濡れたまま、顔から感情というものを消している。

長く息を吐いたのは、体を巡る熱い思い(激しい殺意)を発散させるため。

狩りを終えた後はいつもこうだった。下位のモンスター程度に彼女が不覚を取る事はないが、片腕だけで4()()()()に相手をするのには流石に気を張る必要があった。

 

 今の状態のまま村に戻れば、見た目も相まって余計な心配をかけてしまうだろう。

降り注ぐ雨が沸騰した頭と体を冷やして落ち着きを与えてくれる。

 

(名前も知らない青年ハンター君……あとは君の頑張り次第だよ……)

 

 リンネは遠くに見えてきた優花の眠るマイハウスと樹海を交互に見て思う。

他の村人達にはなかった、青年(ハジメ)だけが優花を見た時の明らかな動揺。

それが何を意味するのか……彼女はなんとなく察しがついた。

嬉しさ半分、()()()()半分に心で呟く。

 

(アタシ以外にも……ハンターになれる奴が出て来るなんて……ね)

 

 

「…………ッ」

「…ハジメ様?」

 

 誰かに声をかけられたような気がして後ろへ振り返るハジメ。

しかし後ろにいたアルテナはきょとんと首を傾げるだけ。

彼の視線は彼女の後ろ…樹海を抜けた先にあるゲブルト村へと向いていた。

 

(……考えすぎ……か?)

 

 優花に薬の素材を届けるまでのタイムリミットにはまだ余裕がある。

木々の隙間から覗く空が暗くなり始めた時間を午後6時から7時と仮定して、樹海に入ってからまだ3、4時間程度しか経っていないのだ。

残る素材は天狗獣ビシュテンゴが持っているデカデカ柿、不死虫と不老蛾の三種類。

 

 アルテナ曰く「不死虫と不老蛾の生息場所には心当たりがある」とのこと。

残るビシュテンゴも先ほどのプケプケ亜種を狩猟してから気配を近くに感じた。

彼女の耳が捉えた音を頼りに進む方角から、雨の中でもハジメの鼻が獣臭とこやし玉の臭いを嗅ぎ取った。自然と体の臨戦態勢を整えておく。

 

「……アイツとの距離はどうだ?」

 

 先ほどから立ち止まってアルテナの方を見続けたままのハジメ。

彼女はじっと見つめられることに慣れていなかったために、何かお花畑な妄想を頭で浮かべていたのか、彼の問いかけにハッと我に返って顔を赤くしながら自信満々に答える。

 

「もうじき私たちの視界に入ってくると思いますわ。向こうが私たちに気が付いている様子はありませんが、ご油断なさいませんよう」

 

「俺は問題ない。それよりも、お前こそ呆けて顔を赤くしてどうした?……何を考えていたのか敢えて聞かないが、判断が遅れてお前がモンスターに襲われたりしても助けられねぇぞ」

 

「なっ、誰のせいだと思って――――」

「………?」

「……いえ、何でもありませんわ……」

 

 ハジメが無意識で見つめていたことを悟り、目を伏せて口と閉ざすアルテナ。

自分の立場を弁えたうえで、余計なことを考えていたのは自分なのだから、どんな理由があろうとじっと見つめてきただけの彼を批判するのは筋違いというものだ。

 

 前に向き直ったハジメが歩き出したのを見て、アルテナもそそくさ後に続く。

あのプケプケ亜種を狩っていた彼の姿をアルテナは終始目を離さず見ていた。

森人の戦士が鉄の矢を射ても、鋼の刃で切りつけてもまるで歯が立たなかった相手を、彼はほんの数分のあいだで巨大な鎚一本で追い詰めてトドメを刺した。

別格の強さ……アルテナには彼が見た目よりもずっと強大なものに見える。

 

(……もし、もしもこの方が私たちにお力添えをして下されば……)

 

 フェアベルゲン全体が抱える問題の解決に大いに役立つことは間違いない。

食料の問題も住む場所の問題も、必ず妨げになるのは魔物の介入だった。

追い払うことは出来ても必ず犠牲が出る。

ならばいっそ、魔物を倒すことに特化した者達の力を借りればよいだけのこと……

 

……だが物事はそう簡単に進まない。

今まで対立し、樹海に踏み入った物を邪険に扱った相手に亜人族が助けを求めるか?

固定観念に囚われている今の長老達では聞く耳を持たないだろう。

彼女の祖父アルフレリックも言葉に耳は貸しても首を縦に振るかは分からない。

母アイリスなど厳格な女性(ひと)は正気を疑って猛反対してくるだろう。

 

 そして何よりも……とアルテナは悲しそうな顔でひっそり俯く。

過去の遺恨を水に流して、ハンター達が亜人族の為に戦ってくれるのか?

 

「止まれ」

 

 ハジメの一言だけ発した声を聞いて現実に引き戻されるアルテナ。

今度こそ余計な考えを巡らせるのは後回しだと気を引き締めた。

 

 2人の正面に聳え立つ木の裏から聞こえるボリボリという咀嚼音と獣の呻き声。

指をさして右へ移動するよう後ろのアルテナへ合図を送ったハジメ。

ハンマーを構えて、いつでも仕掛けられるように構えている。

 

 足音を立てないようゆっくりと歩いて、木の根に寄り掛かるようにして2人は音の発する方へと近づいた。獣の息遣いは荒く、ほんのりとだが甘い香りが漂ってくる。

 

(……見つけた……)

(間違いありませんわ。あの時の…)

 

 木の根からゆっくりと顔を出して覗き込んだ2人。

ビシュテンゴは顔についたこやし玉をどうにか取って、機嫌の悪さを食欲にぶつけているのか、懐から取り出したデカデカ柿を口いっぱいに頬張っていた。

 

 アルテナは周囲の木々や足元の地形を見渡して、ビシュテンゴが掛かりやすい罠を考える。

そこでふと視界の端に映ったのが、何かの偶然で成長した木の枝に挟まった大きな石。

木の枝を少し動かせば落ちてしまいそうなそれは当たれば確実にビシュテンゴを仕留められる。

 

「ハジメ様。あちらの―――」

「ん」

 

 ビシュテンゴに気づかれないよう少し木の根から離れてアルテナは説明する。

落石の罠とそこまでの誘導、落石後の追撃を考えてハジメは頷いた。

 

 初動、ハジメがビシュテンゴの背後に忍び寄って鎚の一撃を加える。

その後反転して落石の位置までビシュテンゴを誘導し、アルテナが枝を壊す。

落石が命中すればハジメは追撃を加え、本命のデカデカ柿確保に動く。

外れればアルテナは即座に身を隠し、ハジメは真正面からの戦いになる。

彼女の危険度を限りなく低くして考えた作戦にお互い同意した。

 

「私は先回りして罠の方へ……」

「あぁ、頼んだ」

 

 木の根を足場にさっと上にいくアルテナ。

ハジメは再度ハンマーを構えて木の根に戻り、もう一度ビシュテンゴがその場から動いていないかを確認して、ゆっくりと力を溜めながら近づく。

 

 数メートルの距離まで詰めれば、流石にビシュテンゴも気づいた。

柿を食う手を止めて、辺りを見回そうとした瞬間――――――

 

「っらあぁぁ!」

 

 最大の溜め攻撃まで時間が間に合わなかった。

咄嗟にハジメは足元の木の根を踏み込んで跳躍して、空中からの叩きつけを放った。

しかし――――――

 

(ッ!!?)

 

 横殴りの衝撃を受けて、ハジメの体は木の根の方へと吹っ飛ぶ。

ハンマーを構えた状態ではまともな受け身も取れず、彼は地面をごろりと転がった。

口に入った砂利と唾を吐きだして顔を上げる。

 

「……げほっ……やって、くれるじゃねえか……!」

 

 ハジメを横殴りにしたのは、ビシュテンゴの尻尾だった。

異様な発達を遂げた尻尾の先は本体が動くよりも先に迎撃したのだ。

初めて相手にするモンスターということもあって予測がつかなかったハジメは、不敵に笑いながら自分を睨みつけて来るビシュテンゴに吠える。

 

「ッ来いやああぁぁぁぁ!!」

 

 ハジメの叫び声に感化されたのか、ビシュテンゴも負けじと咆える。

更に懐からデカデカ柿を取り出して尻尾で掴む。

そのまま空中に跳ねて体を一回転させて、尻尾の先から柿が飛んでくる。

 

「ちぃっ!」

 

 ハジメは起き上がった直後に木の根の脇へと飛び込み前転する。

柿の砕ける音がしてハジメのいた地面が僅かに凹む。

果物だと油断して食らえば骨の1,2本は折れても不思議じゃない。

そう思って冷や汗を流しつつ、ハジメは更に挑発する。

 

「どうした下手くそ!その爪と牙は飾りかコラ!!」

 

 ハンマーをしまい、両手を叩いてワザと乾いた音を連発する。

口元は自然と笑みを浮かべ、目だけはしっかりとビシュテンゴの動きを捉えている。

ビシュテンゴは地面に着地して、更なる追撃を加えようと前のめりになった。

 

(今だ!!)

 

 牙獣のモンスターに見られる突進や飛び掛かりの前兆(サイン)だと分かったハジメはすぐさま挑発を止めて、一目散に罠のある木へと走り出した。

当然ビシュテンゴは獲物を逃がすまいと追ってくる。

木の上では既にアルテナが枝に手をかけていた。

ハジメが岩の真下に来た瞬間、彼女に向かって叫ぶ。

 

「やれぇ!!!」

 

「っぁああ…!」

 

 人生で一番と思うくらいの力を込めて木の枝を引くアルテナ。

ミシミシと嫌な音を立てる木の枝の拘束が緩んで、巨大な岩が動き出した。

ハジメの背後から追ってきたビシュテンゴが、一撃を加えようと口を開く。

振り返ってハジメはハンマーを構えて言った。

 

「さっきのお返しだ。柿より食い応えあるぜ!!」

 

 枝が折れる音と共に岩が落下する。

気付いたビシュテンゴが避けようとするが時すでに遅し。

岩の塊がビシュテンゴの胴体を押し潰して、衝撃を受けて砕け散る。

尻尾で岩の一部を受け止めようと足掻こうとした瞬間―――

 

「っらあ!」

 

 ハジメは落ちて来る岩を避けようともせず、懐へと飛び込んだ。

ビシュテンゴの腹を狙った一段階溜めのアッパーが突き刺さる。

上からの岩、下からの鎚。

絶叫して倒れ伏すビシュテンゴから三色の柿が幾つか地面に落ちた。

 

 デカデカ柿、ドクドク柿、ピカピカ柿をとりあえずの精神で全て拾ったハジメ。

しかしこれで終わりではない。ハジメはこれらの素材のある注意書きを覚えていた。

ビシュテンゴから落とし物として入手できる柿は回復アイテムとして使える他、投げナイフ等の代わりにモンスターに当てれば状態異常の効果を与えることが出来るのだが、特定の条件を満たさなければすぐに傷んで使い物にならなくなってしまうのだという。

 

 故に薬の素材として持ち帰るまでのタイムリミットがこの素材に設けられている。

まだ不死虫や不老蛾の採集も残っているハジメは早々にビシュテンゴを狩猟しなければならない。

起き上がろうとするビシュテンゴの腹に再度溜めアッパーを見舞うハジメ。

 

「どっせぇ!!」

 

 苦しそうに呻き声をあげるビシュテンゴの顔は血に塗れている。

背中から頭にかけて落石のダメージが確実に入っている証拠だ。

骨にまでダメージが入っているのか、両腕と腕羽の動きが悪い。

ハジメはもう一撃を顔に叩き込もうと回り込むが―――――

 

「ッ!」

 

 視界の端から飛来する黒い影に気づいて後ろに転がってそれを避けた。

それはビシュテンゴが唯一被弾を免れた箇所、発達した尻尾の先端だった。

尻尾をうねらせて懸命に距離を詰めて来るハジメを追い払うビシュテンゴ。

 

(近づけるか……?)

 

 一旦距離を取って右、左と揺さぶりをかけて駆け込むハジメだがハンマーを振るう前のタイミングで尻尾に行く手を阻まれて攻撃が出し辛くなっていた。

被弾覚悟で攻撃を仕掛けるのも手だが、彼は堅実な攻めを考えている。

これ以上のダメージを食らわず、一方的かつ致命傷になり得る一撃。

何か手はないかとビシュテンゴと周囲の環境にさっと目を向けるハジメ。

 

 その時、ビシュテンゴの背後にある岩の挟まっていた木の幹にツタが途中まで伸びているのを見つけたハジメ。

訓練所で教わったハンマーのある使い方の応用について思い出した。

 

(坂道でハンマーを溜めた状態で振るう際、跳躍してから前に回転を加えることで空中ブン回しの連撃が与えられる。これが坂道以外でも使用可能な条件として、跳躍するのに適した壁面の足場……()()()()()()()などが例として挙げられる……!)

 

 教官の説明を頭で全文思い出したハジメは一気に距離を詰める。

ビシュテンゴは当然尻尾で更に攻撃を仕掛けて来るが、ハジメは脇を通り過ぎた。

斜め後ろにハンマーを構えて溜めに移行して、木の幹へと片足を引っかける。

 

「フッ―――――!」

 

 蔦に引っ掛けた方の足に力を込めて勢いよく駆け上がり、2歩3歩と幹を上る。

当然数歩も歩けば重力の法則に従ってハジメの体は下に落ちていくのだが――――

 

「オオオォォッ!!!」

 

 落ちると思った瞬間に木の幹を強く蹴って宙へ飛び出す。

ビシュテンゴが尻尾で再び横から殴りつけようとするのが、溜めの解放に伴って体を前のめりに倒す要領で回転させたハジメはそれを難なく躱した。

空中回転攻撃を始めたハンマーを止められるものなどない。

ましてやその場から逃げ出すという判断が遅かったビシュテンゴの運命は決まっていた。

 

 一撃、二撃、三撃、四撃と鉄の塊がビシュテンゴの体に確実なダメージを決める。

重く圧し掛かる打撃は骨、内臓を潰して見た目よりも内側に死を刻む。

最後のひと鳴きすらも喉を背中側から強打する鎚によって打ち消された。

ドン!と地面に鎚の先を叩きつけて着地を決めたハジメ。

ビシュテンゴが地面に横たわって……やがて動かなくなる。

 

「………っつぁ~……!」

 

 膝立ちの姿勢から立ち上がろうとしたハジメを襲うのはぐらりとした倦怠感。

何故なら彼は木の幹を駆けあがってから空中回転攻撃を決める今の間、息を止めていたのだ。

喉奥からせり上がる熱い息を出しきって、少し回る視界を片手で抑えながら言った。

 

「これで……一歩前進……だな……!」

 

 ノーダメージとはいかなかった。

しかし初見のモンスターを、自然の罠によるアシストがあったとはいえ二頭連続で狩猟するという経験を得たハジメは、ハンマーの使い方のコツをわずかに掴んだ気がして達成感に満ちていた。

まだ木の上で様子を見ているであろうアルテナに声をかけようと振り返って―――

 

「失礼、少々そこでお待ちになって下さいまし」

「…ッ!」

 

 木の上、周りの木々の根本、背の高い草の茂みから突如現れた深緑の外套の集団。

その内の一人、小柄な人物に声をかけられたハジメは目を見開いて驚愕する。

 

(いつの間に周りを……音や気配をまるで感じなかった……)

 

 小柄な外套の人物はすたっと木の上から降りてきてハジメに近付く。

ニヤニヤと、外套に隠れた顔半分のうち口だけが笑っているのが見える。

ハジメは彼らが武器を向けていないことから敵意がないのは感じられたが―――

 

「ハジメ様ッ!!」

 

 木の上から小柄な人物に続いてアルテナが飛び降りて来る。

彼女は鋭い目つきで周囲を囲む外套の集団を警戒しながら、彼の背後を守る。

敵意がない以上、戦うことはないだろうと緊張を解くハジメはこう思った。

 

(なんだろうな……この圧倒的既視感(デジャヴ)

 

 以前もこうして樹海の中でモンスターと戦い終わった後に囲まれたような。

その時は問答無用で弓矢を向けられた挙句の果てに武器を没収されたような。

頼むから今度ばかりは武器の没収は勘弁してくれと思うハジメであった。

そんな彼の心の声などお構いなしにハジメをジロジロと観察する小柄な人物。

 

「あぁ、やっぱり。その身なり、その面構え。……その手に持っている武器(えもの)は聞いた話のそれとは違っていますが……まぁいいでしょう!お初お目にかかりますわ、勇ましき狩人様♪」

 

「…誰だお前ら、俺に何の用だ。……それともコイツに用か?」

 

 後ろで小刻みに震えているアルテナが気にかかるハジメ。

自分がどうなっても逃げ出す方法は考えているハジメだったが、目の前の集団がアルテナに何かするつもりで集まってきたのだとすれば守る手段が限られているハジメには少々厳しい状況である。

小柄な人物は「まっ!」と心外そうに口元へ手を当ててクスクス笑った。

 

「いえいえいえとんでもございません。ワタシ達がお会いしたかったのは貴方様ただ一人。そちらの貧相な温室育ちの森人娘はこちらの想定外ですわ♡」

「なッ!?貧相ですって―――」

 

(……確かにシアほどじゃないが、こいつ(アルテナ)も年相応に悪くない体つきしてると思うけどなぁ)

 

 小柄な人物に指摘されたアルテナが顔を真っ赤にしてハジメの肩越しに怒る。

内心ハジメは少々細すぎる気もするが、胸の大きさ尻の形から手足のバランス、ちょっと地面にまで伸ばしているのは気になるが整った綺麗な金色の長髪も絵になるくらいの美少女だとは思っていたりする。…というかエルフ娘なので普通にハジメの好みストライクゾーンである。

そんなことを考えていると、小柄な人物はあっと声をあげてまだクスクス笑った。

 

「これは大変失礼いたしました。これから商談(ビジネス)の相手となる御方に顔を隠したまま名乗りもしていないとは……これでは今後の信用問題に発展しかねませんね。今後は気をつけますわ」

 

「では……」と小柄な人物は片方の手をあげて指をパチンと鳴らす。

すると周りを囲んでいた外套の集団がその手で外套の肩の留め金と思しき部分を掴んだ。

パチンと外してバサァッ!と派手に外套を脱ぎ捨てた中から現れたのは……

 

「生まれは樹海、育ちも樹海、一族営み数百年!」

 

「汗水流した命がけの商いも売り上げ右肩下がり!」

 

「移ろいゆく時代の流れ、変わる世界のビッグウェーブ!」

 

「乗るしかないと決断したのは我らが族長ルア・シェンホア!」

 

「福は内ではなく外に在り、鬼は外でなく内に潜むと甘い声で囁く魔性の者達!」

 

「しかし我らは商人!そこに善と悪の壁はなく!」

 

「人間、亜人、魔人、竜人、神、そこに差はあれど違いなし!」

 

「商売繁盛、物々交換ならば万事解決!」

 

「さぁさぁ寄ってらっしゃい見てらっしゃい!」

 

「懐事情に余裕があれば買って下さい割引交渉も可!」

 

「条件次第ではオマケもつけるお客に優しい商売魂!」

 

「武器が欲しい?防具が欲しい?素材が欲しい?何でもありますよぉ!」

 

「モノに限らず、必要とあらばカラダも売りますよ!」

 

「情報も最新の国家機密から眉唾物の伝承まで!」

 

 計14人の狐耳と尻尾を生やした亜人族の屈強な男衆が整列して大声をあげた。

最後に1人、ハジメの前に立っていた外套の人物……少女が名乗りと共に締めの一声を発する。

 

「狐人商会(仮称)ハンター専属担当……”エタノ”と申します。お見知りおきを狩人様♡」

 

 桜色の髪をサイドテールにした狐耳に尻尾、きつね目の少女エタノはしてやったりと悪戯が成功した子供のようにハジメへ向かって微笑を浮かべた。

ハジメは最近思うようになった。……俺、女難の相出てるかもしれへんわ。

ハルツィナ樹海一帯に降り続いた雨が少しだけ弱まった。

 




 これを書きあげたついでに登場人物紹介とかも増やしたいところ
更新された場合は「人物紹介、設定など」に追加されていると思います

 最近、ケモ耳少女の魅力に目覚めつつある作者の意志で生まれたオリキャラ
人物紹介に軽く乗せたフルネームですが、とある妖怪の名前をアナグラムにして作られています(物凄く分かり易いかも……)
次は美少女2人に挟まれたハジメ君、色々と頑張る……かも!

それと…大したことではありませんがアンケート乗せておきます
此方はある程度票が集まったと作者が判断したら受付終了する予定です

感想、質問、ご指摘などお待ちしております!

初期で構成していたプロットより大幅に話数が増えてしまったので、本作を第一部として続編(2nd的な)を作り本作を完結させようか迷ってます。(それで投稿ペースが遅れる等はありません)

  • 続編にして
  • このまま話数増やしてもいいんじゃね?
  • 打ち切りはヤメロォ!
  • もっと周りの話補完して♡
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