いざ丸一日暇を持て余すと気力が起きないって本当なんですね。
不健康な睡眠時間になってるのを除いて食欲とかも前より少し落ちました……
(食事代、酒代が減ってありがたいっちゃありがたいんですが)
前回載せたアンケート結果を確認しました。
とりあえずは今まで通り投稿直前に返す方針で行かせて貰います。
個人的に早めの返信が欲しいという読者の方は予め感想の方にその旨を伝えて戴ければ作者の裁量でなんとかしようと思います。
「………」
狐人族達の熱い自己紹介を聞いたハジメは反応に困ってしまう。
エタノは懐にしまった扇を手に取り開いて、パタパタ煽ぎながら話し始めた。
ポーズを止めたエタノの部下らしき狐人族達は後ろに下がって直立する。
「さぁさぁ狩人様、自己紹介も終えたことですし商談を――――――」
「お、お待ちなさい!勝手に話を進められては困りますわ!!そもそもッ、フェアベルゲンを追放された狐人族がどうして樹海にいるのですか!!?」
「いやアルテナさんや。俺の肩越しに怒鳴らないでくれるか……」
エタノに突っかかるアルテナはがっちりハジメの肩を掴んで半身を隠している。
なんかちょっと草と土の匂いに混じって女性っぽい花の香りがするような……
等と口には出来ないハジメは冷静にツッコミを入れつつ事態を収拾しようと一歩踏み出す。
「俺の名前はハジメ、ハンターだ。エタノさん「呼び捨てでも構いませんわ♡」それじゃエタノ。話があって会いに来てくれたってのに悪いとは思うが、俺は急いで村に戻らなきゃいけないんだ。話ならまた今度に―――――」
「技能”瞬歩”」
ハジメの言葉を遮って短く詠唱したエタノは一瞬、彼の視界から消えた。
驚き身構えるより先にハジメの眼前に微笑を浮かべたままのエタノが現れる。
(―――ッ!?間合いに入られ……いや、それよりも……今の動きを、捉えきれなかった……)
否、正確には消えていなかった。
動体視力で追いきれるギリギリの速さでハジメとの距離を詰めたのだ。
扇をいつの間にか胸の谷間へとしまって、エタノはハジメの両肩へと手を置いた。
警戒するハジメの耳元へ自ら顔を近づけて囁く。
「そんな邪険になさらないでください。ハジメ様が住んでいる村に、毒で死にかけの人間が運ばれてきたことも、ハジメ様がそれを助けるために薬の素材を求めて樹海に入ってきたことも。ワタシ達は
「なッ―――」
更に驚愕で目を見開くハジメ。
事情を知っているということはエタノ達は半日の間、村の近くにいたということになる。
それどころか、リンネとの会話まで盗み聞きされていた。
鳴子に引っかかることなく、ハンター達にも気づかれなかった。
言葉を失ったハジメへ追い打ちをかけるようにエタノは部下に顎で合図を送る。
「大変身勝手な事とは思いましたが……先ほど川にて放置されていたズワロポスの死体と、離れたところで蔦に絡まったまま死んでいたプケプケ亜種の死体。こちらまでお運び致しました♪」
ガラガラ、ガラガラと木製の車輪が不安定な地面を進んで茂みから現れる。
硬い木の台には紐で括られたズワロポスとプケプケ亜種が横たわっていた。
屈強なエタノの部下達が荷車を牽いているのだ。
「―――――――――」
「ご安心下さい。商売人の誇りにかけて死体を載せる以外の目的で手を触れたり等はしておりませんので。……商談の続きになりますが、お話は
「――――――不死虫と不老蛾を探しに」
「そちらも、抜かりなく♡天狗獣分の荷車も此処に……」
再び指をパチンと鳴らしたエタノ。
彼女の背後から木で出来た虫かごのようなものを取り出す部下が一歩進み出る。
籠の中には捕まえたばかりの不死虫と不老蛾。
混乱して言葉に詰まったハジメはため息を吐き、観念したように首を縦に振った。
「村まで来られたら色々と問題になる。樹海の出口までだ」
「かしこまりました♪………お前達の出番ですよ!」
「「「「「アイ、アイ、マム!」」」」」
狐人達が5人がかりで荷車にビシュテンゴの死体を載せていく。
三台の荷車を14人の狐人が牽く側と押す側に分かれて動かし、ハジメはエタノに手を引かれて彼女達の乗り物だという草食種のモンスター”アプケロス”の背に乗った。
警戒心の強いことで知られるアプケロスが人を上に乗せたことにふと違和感を覚えたハジメは、ある可能性に気づいて冷たい視線をエタノに向ける。
「……コイツは支配種か……?」
「あら、分かりますか。魔人族の方をフェアベルゲンまで道案内したお礼の代わりにとワタシ達に何頭か譲って下さったので、それを使役動物として活用しているのですよ」
「…………」
ハジメが険しい表情を浮かべたことに気づいたエタノは慌てることなく「こここっ♪」と優雅に笑って、再び胸から取り出した扇で口元を隠す。
会話には混じってこないが、アルテナはハジメの背後でじっとしている。
エタノがつま先で甲殻の先をトントンと叩くと、アプケロスは歩き出した。
「ご心配には及びません。ワタシ達が使役するモンスターはあくまで
「……そうか。
「はい♡ご理解いただけたようで」
ヘルシャー帝国も生活のために草食種のモンスターを自然から捕まえてきて飼い慣らし、エタノの言う使役動物に分類される役畜や乗用獣、駄獣、輓獣として利用しているのだ。
支配種として戦争に使っていないだけでやっている事はエタノ達と変わらない。
それを理解したハジメは目を閉じて思考を冷静に切り替える。
「それで商談っていうのは?」
「今後ワタシ達はトータスに生きる者全てを相手に商売をしていくのです。その第一歩として長老から精鋭揃いの部下と商品を託されたワタシは初めて樹海でお見かけしたハジメ様に、狩人最初のお客様としてワタシ達の商会を利用して頂きたく、こうして会いに来たのです」
「……なんで俺を選ぶ?俺が樹海に来たのを見てたってことは、俺と一緒にいた他のハンター2人も見てただろ。あの人達の方が商売相手として相応しいとは思わなかったのか?」
「えぇ確かに。あの方達がハジメ様より優れた狩人であるということは黒狼鳥と戦っている最中に見抜けました。それでも敢えてワタシがハジメ様を選んだ理由というのは――――――」
「理由は……?」
アプケロスの背の上で、剥ぎ取りナイフの手入れをするハジメ。
アルテナはモンスターの背の上に乗るという人生初の出来事に動揺して、ひしっとハジメの背にしがみついたまま目を瞑っている。
扇で仰ぐ手を止めたエタノは頬を赤くしてハジメの目を見つめて答えた。
「
「…………………えぇ…………?」
「はぁっ!?」
ハジメは呆けた声を上げて剥ぎ取りナイフの手入れを止める。
今まで黙っていたアルテナも驚き声と共に目を見開く。
畳んだ扇を手の平の上でギュっと握り締めたエタノ。
「だって……あの黒狼鳥を相手に丸腰で生き延びて、武器を手にした途端に強気な笑みを浮かべて戦いを挑む殿方なんて初めて見ましたもの……。雌は逞しい雄に惹かれるのですよ///」
「けど俺、ボッコボコにやられてたぞ」
「そんな姿も含めて愛おしいと思ったのですッ!!!」
ぐっと握り拳で力説するエタノはずずいとハジメとの距離を詰める。
アプケロスの背の上から降りる訳にもいかず、ハジメは仰け反った。
アルテナが「ぐぬぬぬ!」と悔しそうな表情で彼の背後からエタノを睨む。
まるで先を越されたと言わんばかりの表情だ。
「ハジメ様、ワタシは貴方であれば良い御返事が頂けると信じております!貴方が望む物をワタシは必ず提供致します!だから、だからどうか今後ともワタシ共を利用して下さい――――!」
「お、おいっ落ち着けエタノ。近い、近いっつーの!」
(っがあああああぁぁぁぁぁ色々ヤベェ!!)
ハンターとしての意識から半強制的に性少年モードへ切り替わるハジメ。
形振り構わずハジメへと体をくっつけるエタノの色々なものが当たる。
片膝を立てて胡坐をかいていた彼の足に柔らかな双丘と桜色の髪がふれた。
上目遣いに潤んだ瞳と獣臭に混じる少女の柔らかな香り。
理性を揺さぶられるハジメも自然と顔が赤くなって視線があちこちに泳ぐ。
(当たって―――柔らかい二つの凶器が膝、挟んで―――ッ!!)
「ハジメ様がお望みとあらば、この身を夜の慰みに使われるのも――――」
「いや待て待て待て待て!そんな簡単に自分を売るようなことは――――」
「そうですわ!!勝手なことを言わないで下さいましっ」
ふにゅん。不意にハジメの背中へと柔らかい別の双丘が押し付けられる。
同時に肩から身を乗り出すようにエタノを威嚇するアルテナ。
ハジメはがっと目を見開いて心の中で絶叫する。
(っぎゃああああああああぁぁぁぁ!!?アルテナ、おま背中に、おま、おっ!?)
「ハジメ様にはこのアルテナ・ハイピストと結んだ約束が御座いましてよ!」
「は~?突然ワタシとハジメ様の商談に割り込んだかと思えば何を言っているんですかこの貧相な箱入り森人小娘が!そもそも誰の許可を得て、対価も払わずにアプケロスの背に乗っているというのです?貴女、立場分かってますぅ?」
ハジメに対して恍惚とした表情を向けていたエタノが一転して、アルテナを睨みつけて眉に皺を寄せながら罵倒する。突然の変わり様にハジメは若干引いた。
彼女の罵倒を受けたアルテナは一瞬「ぐっ!?」と怯むがすぐに笑みを浮かべて――――――
「……ハッ!立場ですって?それは樹海から追放されたくせに、どの面下げて樹海に再び足を踏み入れたのか狐人、貴女達が弁えるべきではなくってぇ~お・立・場・を?」
「――――ッ……あぁん?」
あのお淑やかだったアルテナお嬢様はどこへ消えてしまったのか。
エタノも眉間に青筋を浮かべてドスの利いた声音へと変わる。
ハジメは察した「これアカン奴や」女同士のキャットファイト(ガチ)が始まる。
巻き込まれてはたまらんと両手で2人の肩を同時に掴むハジメ。
「はい、いったん止まれお前らぁ!!」
「「やんっ♡」」
(何で肩掴んだくらいで色っぽい声出すんですかねぇ!!?)
ぐいっとエタノを引き剥がして、アルテナを背中の奥へと押しやる。
心で突っ込みを入れながら自制心を保ったハジメはまずアルテナに向き合う。
「アルテナ、お前の言う約束ってのは何のことだ?」
「―――狩りが終わった後で言うつもりでしたのよ。……ハジメ様、シアさんがハンターになって村に戻ってくればまた樹海に来て話をする機会があると……貴方はそう仰いましたわね?」
「あぁ。……それが?」
「……口約束になってしまいますが……。もし、シアさんと私が友達になって話し合える場を設けられたのなら……その時は貴方にも同席して頂きたいのです」
「なんでまた俺に―――「それはお答えできませんッ」―――そ、そうか……」
「―――と、兎に角!約束ッ、して……頂けませんでしょうか?」
「……分かった。何時になるかは分からないが、約束するよ」
「ッ!!本当ですの!?信じますわよ私!!」
「あぁ。シアには俺から伝えておくよ」
「~~~ッ」
感極まった表情を浮かべてアルテナは再びハジメに抱き着こうとする。
流石に二度目は自制心が持たないと彼女を抑えて、彼はエタノに向き直る。
彼女は2人のやり取りを聞いてつまらなそうにしていたが、パっと表情が明るなった。
「ではっ、ワタシへの返答をッ!」
「……まぁ、その……こいつ等を運んでもらってる礼もしたいし、俺個人としては金銭的な懐にも余裕がある。それを踏まえたうえでエタノにはこれから色々と頼むことがあるかもしれない」
「ッ―――えぇ、えぇ!ハジメ様の頼み事であれば何でもお引き受け致します!!」
「一応、念のために言っておくが。
「勿論ですッ!このエタノ……次からはもっと身なりを整え、場を弁え、時間を見計らい、空気を読んで、再び訪れる逢瀬の時を心待ちにしておりますので!!」
「大袈裟だな。……じゃあ改めて、宜しくなエタノ」
「はいっ!!今後とも宜しくお願い致しますッ、ハジメ様!」
ハジメは友好の証として握手をエタノに求めた。
彼女は差し出された手を両手で包み込むようにしてギュっとする。
苦笑するハジメの後ろで、アルテナが頬をぷく~と膨らませていた。
こうして美少女2人と甘酸っぱい一時を過ごしたハジメであった。
*
雨が止み、夜空が雲の合間から覗き込む。
アプケロスの背から上を見上げていたハジメ。
色々あって疲れ切ったアルテナは後ろで眠そうに目を擦っている。
そんな時だった。
樹海の中から聞こえる音にピクッとエタノが耳を立たせる。
ハジメもスッと体を起こして、周囲を見回す。
急に2人が動いたことでアルテナも意識を覚醒させた。
「ど、どうしたのですか……?」
「……ハジメ様、これは」
「あぁ。どうやらお迎えが来たみたいだな、アルテナ」
「お、お迎え……?」
首を傾げたアルテナは、そのタイミングでようやく音を拾った。
正確には遠くで木の上から彼女の名を呼ぶ仲間の、森人達の声を。
彼女が花畑からいなくなって数時間は経過している。
恐らくは気を失っていた護衛が大慌てで仲間に助けを求めたのだろう。
「もう目的は済んだし約束もしたんだ、早く仲間達のところに戻ってやれ。こんなところで
「そうですわ。万が一にもハジメ様の商品に傷がついたら、貴女責任取れますの?」
「わ、分かりましたわ。私は此処で―――」
言うや否やアルテナはアプケロスの背から降りて近くの木の根に立つ。
彼女を毛嫌いしているエタノは「シッシッ」と野犬でも追い払うように手を振る。
ハジメは少しだけ迷いを見せながらも微笑を浮かべて告げた。
「約束の話をする時には、お茶とお茶菓子を準備しといてくれ」
「……えぇ。とっておきを披露しますわ!」
「またな、アルテナ」
「御機嫌よう、ハジメ様」
ニコリと笑って、アルテナは早々に木の上へと昇って駆けていく。
遠ざかる気配を追いながら、ハジメは心の中でホッと息をついた。
(まさか俺が美少女相手に別れの挨拶をする日が来るなんてな……)
村に来てからルゥム、シア、アルテナ、エタノと美少女との出会いが増えた。
人生が灰色から一転、バラ色なんじゃないかと錯覚しそうになるハジメだった。
……ハンター稼業が絡んでいるからバラ色というよりは血の赤色な気もするが……
「さて五月蠅い小娘を追い払って早々にですが……出口が見えてきましたわ」
「あぁ……あれは村の灯りだな」
何度か霧に包まれながらも真っ直ぐと道を進んだアプケロス。
その背に乗った2人に見えてきたのは遠くに見える点のような火の橙色。
雨も上がってゲブルト村の誰かがモンスター除けに点火したのだろう。
木々の中を抜けて背の高い草の生える場所でアプケロスは止まった。
「楽しい2人の相乗りも一瞬でしたわね」
「何言ってるんだか。……本当に支払いはいいのか?」
アプケロスから降りたハジメは背後の荷車に目を向ける。
此処まで休みなしでエタノの部下達は荷車を牽いて来たのだ。
雨でぬかるんで歩き辛い道もあっただろうに、誰も送れなかった。
荷車で縛られているモンスター達の死体にも特に傷などついていない。
これだけの事をされて虫まで準備されたのに、料金は一切かからない。
流石にハジメもタダというのは居心地が悪かったのだ。
「マイハウスまで戻れば貯金がある。少しだけでも」
「んもぅ、ハジメ様ったら真面目なんですからぁ♡初回限定サービスって最初に言ったじゃありませんか。ちゃーんと此処まで頑張った部下達の労働に見合う対価は支払いますし、休む時はしっかりと休ませる……商人の頭を張る者として心得ていますわ♪」
「……分かった。次からは遠慮なく金額を言ってくれ」
「はい♪……それでは、ハジメ様……ワタシ達はこれにて―――」
アプケロスに乗ったまま、再びあの緑の葉の外套を被るエタノ達。
樹海の中へ踵を返してアプケロスが見えなくなるころには、彼女達の姿も樹海を包む霧と夜の闇が覆い隠していた。
ハジメは内心「あの外套について聞くのを忘れていた」と思いつつ、視線を向ける。
松明が燃える村の道を、遠くから駆けて来る人影がいた。
月明りに反射する青白い長髪が、その人影の正体を教えてくれる。リンネだ。
「―――――先に戻ってたんですね」
「まぁね。……それより少年、素材は集まったみたいだけど後ろの荷車は?」
「親切な亜人が貸してくれたうえに、此処まで運んでくれたんですよ」
「……へぇ。亜人が人族を助けるなんて……一体どういう心境の変化かしら」
ハジメが答えるよりも先に「まぁいいわ」と会話を打ち切るリンネ。
ビシュテンゴの載せられた荷車をぐいっと牽いてマイハウス向かって歩き出す。
ハジメもプケプケ亜種の荷車を牽いてそれに続く。
残るズワロポスの荷車は、プケプケ亜種の荷車を置いてから再度取りに行くことにした。
ヒロインフラグを乱立していく主人公の鑑
なお、メインヒロインが不在のため、簒奪ワンチャン……?
ちなみにエタノですが戦闘能力は無い(技能はそこそこある)という感じで
部下達が実力だけならギリ原作の強化版兎人族に張り合えるくらいは強いです
感想、質問、ご指摘等お待ちしております!
初期で構成していたプロットより大幅に話数が増えてしまったので、本作を第一部として続編(2nd的な)を作り本作を完結させようか迷ってます。(それで投稿ペースが遅れる等はありません)
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続編にして
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このまま話数増やしてもいいんじゃね?
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打ち切りはヤメロォ!
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もっと周りの話補完して♡