最近、昼夜逆転の生活してるなぁとか思っている作者です
部屋のカーテン全部閉めて電気だけつけてヘッドフォン装備して執筆をしていると時間の感覚が薄くなりましたねえ
YouTubeでモンハン拠点のリラックス系まとめ聴いてると眠くなりますが
今回の話はそれを聞きながら読むのがいいかもしれません
しっとりとした土と草の臭いが鼻を擽り、夜明け前の風が髪を撫でる。
ふと目を覚ましたリンネは寝ぼけ眼で椅子に座ったまま大きく伸びをした。
厚い雲は幾つかの残っているが、空には群青色の絨毯。
優花の顔色は昨日までの衰弱ぶりが嘘のように穏やかで、スゥスゥと寝息を立てている。
それを見てリンネはよかったと微笑む。
「……くぁ~……」
欠伸をしたリンネの後ろでガタンと物音がした。
振り返った彼女の目に乾いた防具に袖を通すハジメの姿が映る。
アイアンハンマーⅢの汚れを布で拭き取り、鎧の背に引っ掛けた。
「お~早いねハジメ君。……見回り?」
「リンネさん……おはようございます。えぇ、昨日の雨で鳴子が壊れていないか確かめに」
そう言ってハジメは気まずそうにベッドで眠る優花をチラと見た。
昨夜に与えた特効薬のお陰で峠を越したが油断は出来ない……と思っている。
そんな彼の様子に気づいてリンネは手をひらひら振った。
「症状はもう出てないから平気よ。多少の後遺症はあるかもしれないけど……あとは体内に残った毒素の残留物を出すだけだから。暫くの間はアタシが見ておく」
「……ありがとう御座います」
「いやいや、お礼を言わなきゃならないのはこっちよ?急に押しかけてきて無理言ったんだから。あの時言えなかったけど、報酬の方はアタシからハンターズギルド経由で支払っておくわね」
「それに関してなんですが、今回のは特別任務とか通常の採集/討伐クエストとは関係なしに俺がいない人の代わりをボランティアで引き受けただけなんで金銭とかの支払いはありませんよ」
「えぇっ!?それはちょっと人が良すぎよ。契約金もなしに討伐と採集を並行してやって貰ったんだから最低でも一万ルタは請求してもいいんだからね」
「流石にそんな高額を貰うほどの仕事はしてませんよ(ほとんど亜人族に協力して貰ってたし…)上限を一万としてその半値……五千ルタでも多い方だと思います」
リンネは驚いて目を丸くする。
目の前の青年は労働に見合う対価を低く見積もり過ぎだ。
緊急時とはいえマイハウスと寝床を貸したことも報酬に含めるのであれば、リンネの提示する金額が適正なのだが……
彼女の提案を断って、ハジメはマイハウスを出ようとする。
家の入口を潜る際に立ち止まり、振り返ってリンネに言った。
「今回の
「分かったわ。それにしても、報酬が要らないなんて……変わってるねハジメ君は」
「……懐に余裕があるからって調子こいて善人ぶってるだけですよ」
照れ隠しで首の後ろをガシガシと掻いて、ハジメはマイハウスを後にした。
リンネは「見栄を張っちゃうよねぇ…あの年頃は……」と懐かしむように目を細める。
椅子から立って凝り固まった腰をぐるりと左右に振れば音が鳴った。
喉が渇いて水を飲もうと台所へ向かおうとした時だった――――――
「リンネさん……」
「ッ!!優花ちゃん。目が覚めたのね!」
掠れた声に振り返ると、まだぼんやりとした様子の優花が目を覚ましていた。
リンネは起き上がろうとする彼女に「まだ大人しくしてて」と制止をかける。
「……私、あれからどうなって……」
「貴女が意識を失って2,3日経ったわ。ここはヘルシャー帝国領の辺境にあるゲブルト村」
「……他の皆は……?」
「……順を追って話しましょうか」
机の前から椅子を引っ張ってきたリンネはベッド脇に置いて座る。
優花は体を起こさずに手だけを顔の前に出してぼんやり眺めた。
毒に侵されていた時の斑点や黄ばみが消えて、普段と同じような手がそこにあった。
もう片方の折れた手は痛くて動かせなかったが……
リンネはまず最初に優花へ謝罪した。
清水を追いかけてあの魔人族に襲われそうになった時、リンネが彼を殺すのを躊躇った事で優花が危険な目に遭い死にそうになったことを。
優花は
それからリンネは優花を託されて荒野をひた走り、ゲブルト村に辿り着いた。
村にいたハンターの青年に協力を仰ぎ、特効薬の材料を集めて作った。
暗闇の中で感じた体に染み渡った物の正体が分かってホッとする優花。
「……それで、そのハンターさんは?」
「彼はいま見回りに行ってるわ。陽が昇れば帰ってくる」
「………あの―――」
優花は特効薬を飲んだ後に触れた手のことについて尋ねようとした。
しかしリンネに「もう少し落ち着いてから、帰ってきた彼を交えて話しましょう」と諭されて大人しく閉口する。
ゴツゴツと硬く心休まる一肌の温もりが、まだ残っている気がした。
優花は件のハンターがどんな人なのか少しだけ期待を抱く。
……夜中に見た彼が
*
「……やっぱり緩んでたか」
村の近く、ハルツィナ樹海の草木が生い茂るところでしゃがむハジメ。
その手には鳴子が握られているが、鳴子の紐は地面に落ちていた。
昨夜の内に見回りをしなかった自分を責めるのは後にして、今はモンスターが一匹も通ってこなかった事に感謝するしかない。
「”錬成”」
ハジメは泥の中に沈んだ紐を出すために錬成で地面を動かす。
ぼこっと出てきた紐を手で掴み、切れている箇所がないかを丹念に調べる。
それが終わると再度紐を木々の幹に通して固く結んだ。
手で鳴子を軽く揺らしてしっかり動作することを確認して次へ向かう。
これを数十カ所、補修含めて3,40分使うことになる。
「……よし……これで全部か」
最後の鳴子、荒野側にもっとも近い箇所を直してハジメは息を吐く。
地面に俯くようにしてしゃがんで錬成をするのは中々に疲れることだ。
泥に触れた手の先がすっかり冷たくなり、腰が少しギシギシ鳴る。
立ち上がり手の甲を背に回してトントン叩くハジメ。
幸いにしてモンスターが近くをうろついている事はなかった。
いつも通りにモンスターのフンを撒いて見回りは終わる。
(…………ッ)
ふと足を止めて荒野の方を振り返ったハジメは妙な違和感を覚える。
モンスターの姿はなかったが、それ以前に荒野の方がやけに静かなのだ。
樹海から餌を求めて飛んでくる鳥や地面に巣を作った虫の姿もない。
しかし荒野を進んで確かめるわけにもいかないので、さっと踵を返した。
(今日の間にアゥータさんも帰ってくる。それで確認すりゃいい―――)
アゥータが帰ってくれば、リンネとの話も盛り上がるだろう。
そうして毒の影響がなくなった優花が目を覚まして……
彼女の名前を心で呟き、ハジメの表情にすっと暗い影が差す。
(……園部……か……)
ハジメの中では特に意識して彼女を見た覚えがなかった。
クラスメイトの男女数人と仲良くして、実家が洋食屋だったとか。
それくらいの事しか知らず、仲が良くも悪くもない。
(……まぁ俺は仲いい奴なんていないけどな)
寧ろハジメを悪く思っている生徒の方が多かっただろう。
ハジメも学生の本分を怠って集団の輪を乱した自覚はある。
しかしそれでも自分の趣味を優先した結果があの様だ。
(アイツが何て言うか……まぁ想像しうる限りは―――)
なんとなくだが
……何時かの予定だった
それを滞りなく進めるためにシア、リンネという保険もかけた。
あとは出たとこ勝負、運を天に任せるしかない。
「おやハジメ君、おはよう」
「村長。……おはよう御座います!」
マイハウスまでの帰り道、陽の光が荒野の地平線から差し込む時間帯。
数人の村人が家から出てきて畑仕事やそれぞれの朝のルーティンを進める。
ハジメは声をバッタリ会ったアボクに声をかけられて足を止めた。
「今朝も見回りご苦労様。あの娘は大丈夫かね」
「えぇ。昨夜の内に特効薬を飲ませたから、あとは自然と回復するだろうってリンネさんが」
「そうか、それは良かった。しかし君には悪いことをしたね。本来であれば村長である私の家が広いのだから其処に運び込めば良かったものを焦って急ぎだったとはいえ君の家に―――」
「気にしないで下さい村長。人命救助が最優先ですから」
「そう言ってくれると助かるよ。後でまた話を聞かせてくれないか?」
「え、えぇ……。それじゃ、自分はこれで」
歯切れの悪い返事をして足早に去っていくハジメ。
アボクは首を傾げたが、何か事情があるのだろうと深く考えなかった。
道中ハジメは同じように村人たちに優花の無事を聞かれては答え、その度に憂鬱な気分を抱えずにはいられなかった。
*
「……ん」
窓から差し込む陽の光が気になって優花は体を起こす。
リンネは外に出て水を汲みにいっているが、じきに戻ってくるだろう。
窓の枠に手をかけて上半身を起こした優花は窓の外を覗く。
「……っぁ……!」
陽の光が目に差し込んで一度目を瞑ってしまったが、再度手で陽の光を遮りながら外の景色を見て感嘆の息を漏らす。
草原の先に延々と続く赤褐色の大地、吹き抜ける風の心地よさ。
今まで愛子達と王国を巡って泊まった宿にはなかった新鮮な感覚だ。
「すぅー……ッ」
深呼吸をすると、雨が降った後の潤いが残る空気が美味しく感じる。
改めて自分が生きていられたことに感謝していた優花だったが――――――
「……あっ!?」
景色を眺めていると、視界の端でとんでもない光景が飛び込んだ。
小さな子供が恐竜のような四足で歩く巨大な魔物と一緒に歩いている。
襲われてしまうかもと勘違いした優花はベッドから飛び出た。
「―――っぅ!」
数日間寝たきりでまともに食事もとっていない彼女の体は立つのも辛い。
しかし子供が襲われているかもしれない、助けなくては!と体に鞭打つ。
武器は無いが、せめて子供の手を引いて逃げるくらいは出来る―――!
家の出入り口向かって駆け出す優花。
しかし足を縺れさせて、前のめりに倒れそうになってしまう。
「きゃ――――――」
「おっと!?」
そこへマイハウス前にタイミングよくハジメが戻ってきていた。
彼はさっと駆け出して倒れそうになった優花の肩を掴んで支える。
「おいおい、病み上がりが無茶すんなよ」
「―――ッお願い、あの子を!魔物が―――」
「魔物?……あぁ、アプトノスのことか……ハハッ!心配すんなよ、ありゃ村の家畜みたいなもんだ。何もしなきゃ襲ってくることはねーし、害はねえよ」
「で、でも―――!」
「
「………………どうして、私の名前を…………貴方は……」
半狂乱だった優花は一旦落ち着きを取り戻した。
自分の肩を掴んで支えてくれていた人物へゆっくり視線を向ける。
聞き覚えのある声だが、目の前にいる人物は少し違っていた。
体つきは以前よりもずっと逞しく髪は白、瞳は赤に染まっていた。
「……まさか、本当に……!?」
目の前の男には
男子三日会わざれば刮目して見よ。
彼は三日どころか何か月も行方不明だった。
震える声で優花は手を伸ばして問う。
「アンタ……南雲ハジメなの……?」
さ あ 、 ど う し ま し ょ う ?
感想、質問、ご指摘等お待ちしております!
初期で構成していたプロットより大幅に話数が増えてしまったので、本作を第一部として続編(2nd的な)を作り本作を完結させようか迷ってます。(それで投稿ペースが遅れる等はありません)
-
続編にして
-
このまま話数増やしてもいいんじゃね?
-
打ち切りはヤメロォ!
-
もっと周りの話補完して♡