モンスターハンター・トータス   作:綴れば名無し

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 さぁやって参りました、ハジメ君とクラスメイトの再会(やけに嬉しそうな作者)
第一回戦、お相手は二次創作でヒロイン率高めの園部優花さんです
作者は途中までアニメ版の姿でイメージを固めて頭の中で行動させていたのですが
漫画版を見たらあら不思議、シアもなんですがドストレートに言ってイイッ!
まぁ、それはそれとして……彼と彼女はどんな風に話し合っていくのやら
ラゥンドワン、ファイッ(格ゲー風)



少女は自らの行いを省みて、少年は空を仰ぎ見る

 

 ゲブルト村で思わぬ再会を果たしたハジメと優花。

彼が本当に自分の知る南雲ハジメなのか確かめる彼女の声は震えていた。

一方でハジメは淡泊に……ルゥムを参考にした無表情を貫いている。

いつまでも肩を掴んでいる訳にもいかず、入り口の脇に寄り掛からせて―――

 

「…………だったらどうなんだ?」

「ッ!?」

 

 肯定も否定もしない。冷たく突き放すような言い方でハジメは質問し返す。

その返しを想像していなかった優花は息を呑んで言葉に詰まる。

彼女が何も答えられないのを好機とハジメは更に言葉で迫った。

 

「驚くようなことか?それを確かめて何をどうしたいんだお前はよ」

「そ、それは……」

 

 皆のところに帰ってきて欲しい……そう言うつもりだった。

けれど優花の脳裏に過ぎった清水の彼女を見る目が、怯えていたのを思い出す。

彼女一人だけではなく、神の使徒そのものを嫌悪していた清水。

 

 メルド団長が言っていた事が本当なら、ハジメは自分たちを嫌っている。

理由は言うまでもない、無能と嘲笑われたことが苦痛だったからだ。

優花は自分に非があるかどうかよりも、そのことで愛子が悲しんだことを憂いていた。

 

 しかし優花も事が単純じゃないと理解している。

ハジメの対応は明らかに「放っておいてくれ」と暗に言っているようなもの。

それを無視して彼が此処にいるとクラスのみんなに教えたら……?

自分はあの時、清水を助けた魔人族同様に殺されるのではないか?

何よりも……自分を助けてくれた彼に恩を仇で返すような真似は……

 

「あーっ!ハジメ君、なぁに園部ちゃんを連れだしてんのよー!」

 

 二人の沈黙を破ったのは井戸から帰ってきたリンネだった。

髪を洗ったばかりなのか、髪の先から水滴がポタポタ落ちている。

ぷんすかと擬音がつくように脇腹に手を当てて怒るリンネ。

ハジメは優花から視線を外し、軽く肩を竦めておどけた調子で返した。

 

「―――リンネさん。俺が連れ出したんじゃなく、勝手に飛び出して来たんですよ」

 

「そうなの?じゃあ園部ちゃん!ダメでしょ大人しく寝てなきゃ」

 

「えっ。あ、あの……っ」

 

 リンネにむんずと肩を掴まれた優花は再びマイハウスの中に戻される。

有無を言わさずベッドに座らされて「じっとしてなさい」と言われた。

優花は抵抗することも出来ず、ただ茫然としている。

 

 戸口で武器を下ろして、外の切り株に座ったハジメは剥ぎ取りナイフを手入れしていた。

実はリンネ、二人がただならぬ様子で話し合っていたのを軽く小耳に挟んでいたのだ。

彼女は戸口に寄り掛かって顔を合わせようとしないハジメに聞く。

 

「んで、そんな怖い顔してどうしたのかな?ハジメ君は」

 

「……ちょっと井戸の水で顔洗ってきます。詳しいことは園部(アイツ)に聞いて下さい」

 

 昨夜のような明るい表情は消え失せ、ハジメには暗い雰囲気が漂っていた。

何か二人にあるとは思っていたリンネだが内心「こりゃ重い話かな」と頭を抱える。

―――と同時に昨夜彼が言っていた報酬とは別のことを頼むかもしれないというのを思い出す。

 

 自分が不用意に口を挿んではいけない内容なのは明白だ。

しかし自分は年長者として若者同士の不仲を解消する義務がある。

何よりも……彼の姿が()()()()と重なって見えた……放っておけないと思った。

 

 先ずは彼の言う通り事情を詳しく知らなければ始まらない。

リンネはマイハウスの中に戻ってベッドで座ったままの優花の隣に腰かける。

 

「あの子に詳しいことは優花ちゃんに聞けって言われたんだけど」

 

「……リンネさんには私達のことあまり話してませんでしたね……」

 

 優花は静かにゆっくりと、神の使徒について順を追って話すことにした。

自分達は神に召喚されて異世界から来た勇者である。

リンネもそれが神の使徒であるとは一応聞かされていた。

この時、優花は気づかなかったが、異世界の話を聞いても()()()()()()()()()()()

 

 トータスの多くの人は異世界の存在をおとぎ話程度にしか知らないというのだが……

まるでその世界の事を知っているかのような……

 

 元の世界に帰るには魔人族との戦争に勝たなければいけない。

それに反対した愛子は作農師という天職を持っていたことから戦争へ参加しない代わりに王国各地の農業を発展させる手伝いをすることになり、大迷宮で騎士達が死んだのを目の当たりにして戦うことが怖くなった優花達は彼女についていったのだ。

 

 そしてここからが肝心な……ハジメについての話である。

リンネも話の流れから彼が神の使徒の関係者であると分かって続きを促す。

 

「あいつ……南雲は錬成師ってあまり強くない天職と低いステータスだったことでクラスの皆から馬鹿にされて……それが苦痛になってたんだと思います。オルクス大迷宮の攻略を始める前の夜にメルドさんの所に行って、神の使徒を辞めるって言ったきり行方不明だったんです。……まさか、こんなところで会うなんて思いもしませんでした……」

 

「成程ね、さっきの彼はそれで……優花ちゃんから逃げてた男の子も似たような感じかな?」

 

「はい。……これは私の想像なんですけど、清水は南雲の代わりに虐められていたんだと思います。みんな慣れない環境でストレスを抱えていたから……多分、その捌け口になって―――」

 

 そこまで語り終えて、優花は頭を抱えて俯いてしまった。

今更、振り返って自分の浅慮な行動を後悔する。清水が辛い目に遭ってたのは少し考えれば想像できた筈だ。それをどうにかして止めることも出来た筈だ。()()がそうしなかったから清水は居なくなり、自分は死にかけて愛子を余計に悲しませ、心配させてしまった。

 

 もっと遡ってしまえば、南雲に行われていた私刑も止めていれば良かったのだ。

それを自分には関係ない。辛いのは皆同じだと目を逸らしていた結果が……

全て自分が全部悪いんだと自責の念が溢れた優花は強く目を瞑った。

 

「あまり深く考えちゃいけないよ、優花ちゃん」

 

 不意に優花の頭にポンと誰かが手を置いて優しく撫でる。

誰かは言うまでもなくリンネだ。彼女は優しく微笑み優花に言った。

 

「簡潔に言って君達”神の使徒”とハジメ君は仲が良くない訳だ」

 

「……はい」

 

 ここで優花は自分はどちらでもないと答えようとしたが思い止まった。

その一言が周りを悪者にして自分だけ彼に許して貰おうとしているみたいで、人として最低な選択を選びたくなかった理性がそうさせたのである。

 

 そこへ顔を洗ってもまだ仏頂面のハジメが戻ってきた。

彼は二人が話しているのを横目に机側の椅子に座って黙っている。

話しかけ辛い優花の代わってリンネが口を開いた。

 

「事情はある程度把握出来たよ。―――こういう問題は赤の他人が口出ししちゃいけないねぇ……当事者がきちんと話し合って、どうするか決めないと」

 

「……意外ですね、てっきり神の使徒(そっち側)に肩入れするもんだと思ってましたよ」

 

 バッと顔を上げた優花は驚いた様子でハジメを見る。

彼は冷たい視線を優花だけでなくリンネに対しても若干向けていた。

失礼な態度かもしれないが、彼にとっては厄介ごとを連れ込んだ元凶でもあるのだ。

彼女もそれを分かっていてか特に怒ったりせず平然と受け入れている。

 

「あっはっはっ!アタシはこれでも元ハンターだからね、んで今は宿屋の従業員。可愛い後輩であるハジメ君を先輩として助けたいとも思うし、宿屋を利用してくれたうえに町の仕事も手伝ってくれた優花ちゃんの意志も尊重したいところなのよねぇ―――だから中立の立場で物を言うわ」

 

 スッと目を細めて笑うリンネと真正面から向き合ったハジメ。

一瞬だが彼女から発せられた圧に押されて表情を崩す。

彼は一息ついて落ち着きを払い、今度は優花と向き合う。

 

「……ッ!」

 

「もう一度聞くぞ園部。俺のことを知って、お前は俺をどうしたいんだ?」

 

「……あたしは……南雲、あんたにもう一度戻ってきて欲しいと思ってる」

 

「……へぇ……」

 

 外は陽が出て温かいのに、マイハウスの中だけが冷えているようだった。

優花を見るハジメの目が一段と鋭さを増して、彼女はぶるりと身を震わせる。

しかしリンネが諭すようにハジメへ微笑みかけて、それはすぐになくなった。

 

「……けど、あたしは南雲に助けてもらった……あんたはあたしの命の恩人なのよね?」

 

「俺より先にリンネさんに感謝するのが筋だと思うけどな」

「はいそこでハジメ君は卑屈にならないの~君も助ける為に頑張ったのは事実でしょ~?」

「卑屈になんて……いや、なんでもないっス」

 

「……きっと皆のところに戻ったら、南雲は辛い目に遭う」

 

 優花の言ったことをハジメは「当然だな」と同意する。

一部か、或いはほとんどのクラスメイトから罵倒されるのは目に見えていた。

教会や王国が何かしてくる可能性も十分考えられる。

今度は逃げ出せないよう監視をつけられてしまうかもしれない。

もうハンターとして活躍する機会は失われてしまう。

ハンターでなくなったのならハジメが取る行動は………

 

「だから、言わない」

 

「……………はぁっ?」

 

「南雲がここに居たってこと誰にも言わない。秘密にする」

 

 一言声を上げて驚き固まったままのハジメ。

リンネは意外そうに「ほお~」と感心している。

優花は情けない笑顔を浮かべて彼をまっすぐ見つめて言った。

 

「恩を仇で返すようなことをしたら……きっとあたしは後悔するから」

 

「……園部、お前……」

 

 ハジメはちょっとだけ彼女を見る目が変わる。

今までは自分を中傷してきたその他大勢のクラスメイト達と変わらなかった。

しかしこっそり彼女とリンネが話しているのを聞いて色々と考えさせられた。

 

 清水がいなくなったというのも驚いたが、その後で彼女が自分や清水がいなくなったのは自分のせいだと責めていたことで、他のクラスメイトや自分になかった責任感というものを強く持っている少女なのだと知って評価を改めた。彼女は()()()な人間だ。

ほんの少しだけ表情が和らいだハジメを見て、リンネもホッと一息ついた瞬間―――

 

「――――――あっ!?待って、でも南雲が生きてるって事だけ、それだけ愛ちゃん先生に伝えさせて。それ以外は絶対に、この村で生活してるとかハンターやってるとか一切喋らないから!」

 

 バキッと空気に亀裂が入ったような気がした。

咄嗟だったとはいえ優花は彼の地雷を踏んだかと硬直する。

リンネも「それは後から言っちゃダメでしょおぉぉぉ」と頭を抱えていた。

 

 優花はうっかり言い忘れてしまったのだ。

誰にも言わないと言ったが、正しくは「ハジメが生きているという事だけ先生に伝えて、それ以外は絶対に喋らない」と言うつもりだった。

流石にこんな後出しをされたら彼も怒るかと二人は様子を窺うが……

 

「………」

 

 意外にも彼は怒っていなかった。

口元に手を当てて何かを考えているようだ。

二人の視線に気づいたハジメはため息一つ吐いて答える。

 

「……分かったよ、お前の言ってる事は理解したつもりだ。お前がここに来た経緯から察するに、畑山先生(あのひと)も相当苦労してんだろ?あの人ちっこくて頼りない癖に自分は大人だからって責任感とか無駄に一人で抱え込んじまってそうだし……」

 

「……うん。南雲がいなくなった後は……暫く元気がなかった」

 

「……はぁ……それなら、事前に俺への私刑(リンチ)を止めて欲しかったんだが……まぁ今更か」

 

 椅子から立ち上がり、大きく伸びをしたハジメは外へ歩き出す。

優花は最終的に彼がどう判断したのか分からなくなって俯く。

しかし動く際に彼が浮かべた表情を見て察したリンネだけ一人安心して笑みを浮かべる。

 

「お前の答えは聞いた。それでお前をどうこうするつもりはない、てか面倒臭ぇからやらね。……先生に俺が生きてるってこと伝えるのも好きにしろ……ただ、約束は違えるなよ」

 

「ッ――――うん!」

 

「あぁ、それとな園部……」

 

「……なに?」

 

「――――――此処に来たのがお前で良かった。早く元気になれよ」

 

 まさかハジメからそんなことを言われるなんて誰が予想出来ただろうか。

二人からは見えないがハジメは若干顔を赤くしながら照れ隠しでまた首後ろを掻く。

リンネは「あらま~青春かしらぁ?」と口に手を当てて揶揄うように笑みを浮かべる。

優花も再会して自分を恨んでいたかもしれないという男子にそんなことを言われるとは思わなかった。頬を朱に染め、半口開けて放心状態だった。

 

 空にかかる厚い雲に遮られても、風に流されて陽の光は燦々と降り注ぐ。

外を歩くハジメの足元で水溜りが陽の光に照らされて反射した。

彼はスッと目を細めて……遠い故郷を想いながらぼそりと呟いた。

 

「……俺の柄じゃねえな、あんなキザな台詞吐くってのは……」

 

 





 無自覚乙女ブレイカーハジメ君ここに爆☆誕
まぁまだ彼女の心がブレイクされているかは分からないんですけどね
行動が先走って相手の事を考えていなかった優花でしたが、清水君の一件とハジメ君に助けられたことで多少は考える余裕が出来たってことで……
なお、清水君は多分ですがまだ恨んでいる模様

感想、質問、ご指摘等お待ちしておりますわ!

初期で構成していたプロットより大幅に話数が増えてしまったので、本作を第一部として続編(2nd的な)を作り本作を完結させようか迷ってます。(それで投稿ペースが遅れる等はありません)

  • 続編にして
  • このまま話数増やしてもいいんじゃね?
  • 打ち切りはヤメロォ!
  • もっと周りの話補完して♡
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