タイトルで色々と迷ったけど、とりあえず投稿しました。
前回ハジメのハンターランクに関して質問を頂けたのでそれを機に主要人物紹介①を少しだけ書き直しました。
今後も変化があった場合は前書きにてお知らせします。
「――――――はい。手続きはこれで終了です、後はお任せください」
「ありがとう御座いました」
ブルックの集会所受付窓口にて、ハジメは最低限の武器・防具以外の素材・アイテム等をギルドに預けることにした。ついでにゲブルト村でこなしたクエストや特別任務の報告を済ませて、彼のハンターランクは5から13へと昇格した。
一番のポイント加算が高かったのは、やはりハルツィナ樹海での一件だった。
本来は下位のハンターが歴戦級の特殊個体に挑むことは厳禁とされているが、亜人族、魔人族絡みの案件だった為、止むを得ずの交戦だったと既にアゥータから連絡が入っていたという。
逆にゲブルト村で正規の手続きを踏んで達成したクエストの点数は低かった。
これは単にモンスター討伐や狩猟ではない納品・採取系のクエストだったからだ。
しかしハジメはこれを不満に思う事はなく、寧ろ誇らしい気持ちだった。
彼にとってクエストを達成して得られる評価点よりも、村人からの感謝が嬉しいから。
ハジメが踵を返すとと後ろで今度はテレサベルが受付嬢の方へと歩いていく。
すれ違い様に「どうも」と頭を下げると、彼女も笑みを浮かべ会釈する。
テーブル席に戻った時には頼んでいたボコボコーラのジョッキが机に置かれていた。
「やっ、おかえり~」
セレブリティーの入ったマグカップを手に香りを楽しんでいるリンネ。
彼女の向かい側で乳白色のミラクルミルクが入ったマグカップを凝視している優花。
見た目は只の牛乳だが、匂いを嗅ぐとイメージと違う匂いがするという。
呆れた笑みを浮かべてハジメは自分のジョッキを手に取りながら彼女に言った。
「毒じゃねえから飲めって」
「わ、分かってるわよ……んくっ……!」
覚悟を決めてマグカップを口付けて一口飲む優花。
すると不思議なことにひんやりしたミルクは見た目よりも甘過ぎず、フルーツ牛乳を飲んでいるような甘味の中に果物の爽やかな風味が広がり、舌の上で若干のとろみを感じた。
喉を通って胃に収まる頃には驚きが喜びへと変わっていた。
「美味しい……!」
「だろ?滅多な事が無い限り飲み物にハズレはねえよ」
そう言ってハジメは自分のジョッキに注がれたボコボコーラをぐいっと飲んだ。
この世界で云う所のコーラは故郷のコーラの原点に近い。
名称は違うが樹海等で採れる木の実から抽出したエキスを炭酸水で割ったもの。
一説によるとボコボコーラには怪力の種が用いられているのだとかなんとか……
「……っぷぁ~……あ゛あ゛~染みるぅ」
「……そのリアクション、中年のオッサンみたいね」
喉を炭酸の泡が通った後の爽快感と舌に残る濃い甘さの快楽によるダブルパンチ。
淑女の前というだけあって盛大にゲップするわけにもいかずぐっと堪えたハジメ。
優花の突っ込みにも「うっせ」と半笑いで返せるくらいボコボコーラの味が美味しかったのだ。
この時、彼は気づかなかったがドリンクを飲んだことでスキルが付与されている。
「――――――んで……この後はあの人待って、此処で暫く時間潰しますか?」
ハジメが飲む手を止めて半身振り返り目を向けたのは受付で話しているテレサベル。
受付嬢と何やら楽し気に話をしており、時折手を口に当てては優雅に笑っている。
それを遠目に眺めるハンター達が(主に野郎中心)鼻の下を伸ばしていたのは此処だけの話。
「そうねぇ~……個人的に話がしたいだけだったから。ハジメ君と優花ちゃんは先に今日の泊まる宿を探して貰った方がいいかもしれないわ」
ハジメ個人としては周りのハンター達の反応から察するに相当の腕利きハンターである
しかし、それではハンターの話についていけない優花が会話の中で孤立するだろう。
荷馬車はギルドの人間がハジメの荷物を回収する手筈になっているので放置でいい。
陽が傾く前に三人が泊まる宿を探すべきというのは正しい判断である。
「分かりました。これ飲み終わったら俺と園部は宿探しに町を歩きます」
「決まりね。…………フフッ、早めに宿が決まったら優花ちゃんをデートに誘ってあげなさい」
「えっ!!?」
リンネが笑みを浮かべてそう言うと、優花はバッと二人を交互に見て動揺する。
その一方でハジメはリンネが意味深な視線を自分に向けていることに気づいた。
何を意味しているのか何となく察しがついたハジメはフゥと息を吐いて言葉を返す。
「揶揄わないで下さい。明日からの旅に必要な物を買っておけって事でしょう」
「ちぇー何よ~……ちょっとは後輩らしくお姉さんに弄られなさいよね~」
「え、あ……か、買い物ね!買い物……アハハッ……」
納得してホッとしているような
ハジメは彼女が既にミラクルミルクを飲み干していたことに気づいて、スッと手に持っていたジョッキを口につけて一息でボコボコーラの中身を飲み干した。
ドン!と置いては彼女達に失礼だと思い、ジョッキを机にゆっくりと置いて立ち上がるハジメ。
「それじゃあ宿が決まったら集会所にまた来ますんで」
「了解~お二人さん、ごゆっくり~♪」
「もうっリンネさん!!」
最後まで揶揄う気満々だったリンネに少し怒った風の優花。
ハジメと二人で歩き出した優花は一度だけ振り返った。
話が済んだのかテレサベルが席に着いて、二人とリンネを交互に見ている。
テレサベルと目が合った優花は微笑み手を振る彼女に顔を赤くして早々に前へ向き直った。
*
幸いにも集会所を出て探そうと思っていた宿屋はすぐに見つかった。
ハジメが出会い頭に会った町人に尋ねると、無料で配布されているガイドブックを貸してくれて、二人は”マサカの宿”という建物に向かった。
「いらっしゃいませー!マサカの宿にようこそー!」
建物の扉を開いてすぐに出迎えたのは給仕の恰好をした少女”ソーナ・マサカ”
この宿の女将の一人娘らしく、元気のよい声と共に二人の所へ駆け寄ってきた。
「宿泊のご予定ですか?」
「あぁ、女二人に男一人で」
「分かりました、空き部屋を確認しますのでお掛けになってお待ちください!」
そう言って小走りで受付の奥へとソーナは消えていった。
彼女に言われた通り受付の傍にある二人は腰掛ける。
優花はちょっとだけ普段の仕返しをするつもりで意地悪い笑みを浮かべてハジメに聞いた。
「意外ね、南雲ならああいうメイド服見てなんか反応すると思ってた」
「俺は変態かっつの。確かに珍しい恰好だとは思うけどよ」
「だってオタクの人ってメイド萌え~とか多いってよく言うじゃない?」
「一般論にしても偏見が過ぎる。オタクで一括りにされてるが好きな物は人それぞれだっての。俺はパソコンとか情報系、それとファンタジー小説とかの激重な設定が好きなだけで、メイド服とかコスプレにそこまで興味は沸かねえよ」
優花はふぅんと感心したようにハジメの言葉を聞いて考えを少し改める。
確かに世間一般、特にニュースとかで偶に出て来るオタクに対する考え方は二次元の美少女を見てムフフと気持ち悪い妄想をするファッションセンスゼロのダメ人間みたいなものが多い。
しかしハジメの言う通りオタクにも種類がいて、第三者からジャンル違いのもので弄れられる側としては不快な思いをする事が多々あった。
「人の噂とか一般論ってアテにならない事が多いのね」
「……まぁそういうオタクが学校みたいな集団生活の場で良い悪い関係無しに目立っちまうてのは否定しねえけどな。上手く立ち回れる奴は普通の奴らの輪に混じって公私別にして生きられるし、俺みたいに何もしない奴は嫌われ、虐められても言い訳出来ないだろうしな」
「自分が何もしなかったっていうのは認めるのね……」
「事実だしな」
そんなこんなで二人が話をしているとソーナが戻ってきた。
余談だがソーナが着ているメイド服というのは今時のメイド喫茶とかにあるフレンチ系ではない。
きちんとした濃紺のロングドレスに装飾の少ないエプロンを巻いたヴィクトリアンメイド風である。本物のメイドオタクがこの場にいたら輝く宝石を見るように目を潤ませていただろう。
「確認したところ三人部屋と二人部屋が空いていますが……」
「ん……成程」
ソーナが言葉の後半を濁した事でハジメも納得し、隣で優花が固まっている。
仲の良い男女とかであれば二人部屋を迷わず選択する。しかし今この場にいないリンネも数えて選択肢は三人部屋以外にない筈なのだが……
(うら若い乙女の部屋に野郎がってのは問題だよなぁ……)
(な、南雲と同じ部屋!?……でもリンネさんもいるから……あぁ、でも……!)
寝泊まりする部屋に親しくもない男がいるというのは宜しくない。
寝起きというのは女性にとって無防備な姿を晒す瞬間でもある。同性であればそこまで気を遣う必要はないが、異性に見られるのは如何なる事情があっても避けたいものだ。
ハジメもそういった口にし辛い事情を察して、早々に決断を口にした。
「分かった。男はキャンセル、女二人で二人部屋を頼めるか」
「畏まりました」
呆気に取られている優花の前でお辞儀をしたソーナが去っていく。
ハジメは渡された宿泊日数と名前を書き込み、前払いで料金を支払おうと懐を漁る。
ハッと我に返った優花は慌てて問い詰めた。
「な、南雲はどうするの!?」
「集会所の宿でも借りるさ。一日だけの予定だし、いざとなりゃ野宿する」
成程と納得した優花だが心の中に少しだけ彼に対する罪悪感を抱いた。
マサカの宿から集会所までは少し距離がある。荷馬車を準備してマサカの宿の前に止めたらハジメは彼女達より少し早めに起きて合流する等の手間がかかるからだ。
そんな事を思っているとハジメは立ち上がり肩を回しながら言った。
「宿は決まったんだ。買い出しいくぞ」
「……うん……」
強引に決められてしまい、胸にしこりを残したまま優花はマサカの宿を後にした。
マサカの宿から雑貨等が建ち並ぶ店の通りにまでは徒歩で数分と掛からなかった。
優花はとりあえず気持ちを切り替えてハジメに話しかける。
「それで買い出しって具体的に何を買うの?」
「ん……あぁ、それか。園部、お前が欲しいものでいいぞ」
「えっ……何それ、どういうこと?」
ハジメの言葉で怪訝そうに優花は彼を見上げる。
肩を並べて二人が歩くと、背が高いハジメを彼女は必然的に見上げる形になるのだ。
彼は軽く肩をすくめて両手を頭の後ろで組みながら言った。
「旅に道具とか食料は村で準備してあるから必要ない。リンネさんが言いたかったのは、お前の服とか身嗜みに必要な雑貨の事だったんだよ。……お前、町に入ってからずっと気になってんだろ」
「………」
本心を知られていたと優花は驚き目を見開いた。
今の優花はお世辞にも清潔的、年相応の可愛らしさ等が失われている。
数日間寝っぱなしで手入れもしなかった髪は傷んで肌も少し汚れていた。
前の服は血まみれ吐瀉物まみれで捨てる他なく、今着ている服はゲブルト村で貰った麻布の服だ。
貰い物だから大切にはするが、見た目に拘りたい年頃の少女には少し気になるものだった。
本人の名誉の為にも下着がどうなっているかまでは伏せておこう。
それをハジメもなんとなく察しがついており、今まで黙っていたのである。
「宿で石鹸とかは借りれるだろうけど髪の手入れとかはまた別の物が必要になるだろ?俺はあんまりっつーかそういう全く分からんからお前が自分で探してくれ。金出して荷物持ちは俺がやる」
「で、でもそんな悪いよ……私の為に南雲にそこまで……」
「俺は構わねえ、依頼の一環だしな。ただ、気を使ってくれたリンネさんの事を考えてやれよ」
「うっ……」
そう言われると何も言い返せない優花だった。
これで断ったらまた優花は罪悪感を背負い込むことになる。
それに……身嗜みを気にしていたのは言い逃れ出来ない事実だ。
髪の先を摘まんで弄ったり、こっそり自分の臭いを嗅いだりしていたのだから。
「……じゃあ、お願い……」
「あいよ」
こうして傍から見れば少年と少女のデートは始まったのである。
離れたところの集会所で時間的にそろそろだろうとリンネは一人ほくそ笑む。
話しているテレサベルはどうしたのかときょとんとしていた。
空に昇った太陽がゆっくりと降り始めた昼頃の事である。
ハジメ君と優花さんお互いに気にし過ぎない程度で軽口を交わせる仲に発展していたという。
恋人以下、友人くらいのこの距離感好き……次であの人登場かな?
ソーナが原作より大人しいのはハジメがバッサリ三人部屋と言わなかったからです。
感想、質問、ご指摘等お待ちしております!
初期で構成していたプロットより大幅に話数が増えてしまったので、本作を第一部として続編(2nd的な)を作り本作を完結させようか迷ってます。(それで投稿ペースが遅れる等はありません)
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続編にして
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このまま話数増やしてもいいんじゃね?
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打ち切りはヤメロォ!
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もっと周りの話補完して♡