モンスターハンター・トータス   作:綴れば名無し

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 当然の如く推奨BGM「牙を剥く轟竜」(モンハン)
アンケート結果を確認したところ、微妙にあった方が嬉しいという声が多かったので、それ無しの文章力で勝負せんかい!という声も戒めとして受け止めつつ採用の方針でいきます(絶対的に不安なのがこの先どんどん咆哮描写でもろ被り多発という)

 作者はこれを書くにあたって、先の展開をどう運んでいくべきか悩んで自らハジメ君とほぼ同じ状態(アイアンハンマーⅢ・下位防具装備・護石無し・装衣無し・アイテム砥石以外禁止)という縛りプレイを科してティガレックス(MHW:IB仕様)に挑みました。

 5分で三乙を連続でやらかして見事に詰みです。ウン、シッテタ
マスターランク相手に下位装備はやっぱ無理でした……
その後恨みが深かったのでドラゴンフル装備でキッチリ仕返しをしましたがッ!
今回はそんな体験を基に話を書こうと思います。


緊急クエスト・ブルックの町防衛戦②

 

 ティガレックスはまだハジメに気づいていない。

しかも今は捕食に夢中だ。奇襲を仕掛けるには絶好のタイミングだろう。

ハジメはいったん目を閉じて精神統一のつもりで大きく息を吸って、なるべく声を漏らさないように出来るだけゆっくりと、長く吐き出す。

 

「――――――ふぅ……」

 

 安直な策だが頭に浮かんだのは奇襲による頭部狙い。凶暴なティガレックスであっても、頭部への執拗な攻めによって眩暈を引き起こしてしまえば身動きは取れないだろう。

 

 ハジメは頭の中で首を横に振った。ハンマーの力を過信し過ぎであると。

仮に最初の一撃が決まってもドスゲネポスの時と同じように眩暈が起こるのは続けて攻撃を与えなければならない。その間ティガレックスの猛攻を食らえば確実に殺される。

 

 続いて目的である町の防衛のために誘導すること。幸いハジメの周囲には投げられそうな石ころが無数に転がっている。それを使ってティガレックスを町から引き離すのだ。

再度首を横に振る。ティガレックスに追いつかれないという保証はない。

 

 ティガレックスの最も警戒すべきは巨躯に釣り合わぬ運動神経。以前目にした図鑑の解説にもあった通り飛竜種という分類でありながらティガレックスの飛膜を生やした前脚は飛行する機能を失う代わりに、後脚と合わせて地上を素早く移動する力を得ている。

如何に健脚のハンターといえど、時速30~40キロは超える足の速さを持つ相手に逃げ切れるか?

 

(無理だ)

 

 ハジメは自問自答しながら更なる考えに頭を使う。

三つ目の選択肢はあえてこの場での時間稼ぎに徹すること。攻撃よりは回避にのみ専念して、逃げではなく対峙という形を保って他のハンター達が到着するのを待つ。

これだけの大物が暴れていれば東門に到着したハンターの何人かは気づくだろう。

 

 あれこれと考えている内に決断の時は迫っていた。

ティガレックスの食事は終わり、次なる獲物を求めてかスンスンと周りの臭いを嗅いでいる。

ハジメは最後に岩陰からそれをチラと見て引っ込んだ。

 

(………三つ目の選択、それに合わせて可能な限り狩猟を視野に入れて、最悪の場合は―――)

 

 二つ目の選択肢に変更すればいい。

この時ハジメは無意識に焦っていた。

ドスゲネポスとの戦いで蓄積した体のダメージが尾を引いている。出血は止まっているがスタミナと体力の低下は著しく、麻痺の後遺症か左腕に力が上手く伝わらない。

 

「――――――よし」

 

 覚悟を決めてハンマーを構えたハジメは岩から岩へと身を隠しながら接近する。

ティガレックスも何かが近くにいる事を察知しているのか、牙を剥き出しにして唸り声を上げた。

 

 ハジメとティガレックスの距離は数メートル。

幸運なことにハジメはなんとかティガレックスの死角である背後に回り込めた。

ここから顔を狙って攻撃することは容易ではないだろう。だからハジメは敢えて狙いを変える。

 

(驚異的な加速力の大本……後脚なら!!)

 

 前脚はあくまで走り出した後脚の補助装置の一つに過ぎない。

後脚を壊されてしまえば走りに支障を来すのは必然である。

ハジメは勢いよく岩陰から飛び出してハンマーを腰で溜める。

 

 ハンマーが届く距離まであと三メートル、ティガレックスは気づいていない。

ハジメの溜め攻撃が二段階を通過して最大の溜めに移行するまであと2秒。

あと二メートル弱、ようやくティガレックスは背後から忍び寄る彼に気づいた。

前脚と尻尾の間を刺すように己の体をティガレックスの内へと滑り込ませる。

 

「はあああぁぁぁぁっ!!」

 

 溜め込んだ力を解放して振り上げ時に軽い一撃を見舞い、頭上にハンマーを構える。

ティガレックスの双眸が足元の存在(ハジメ)を敵と認識するまで一秒も掛からなかった。

鈍い音がしてティガレックスの左後脚に鎚がめり込んで――――――

 

――――――鉄鉱石の硬度を上回る脚の硬い肉質に大きく弾かれてしまう。

 

「………っ!?」

 

 ハジメは知らなかった。前脚が補助装置であるなら後脚は走る為のバネである。

それ故に高密度の筋肉が覆う後脚の肉質は鱗に覆われた胴体と変わりなかった。

奇襲の優位性(アドバンテージ)を台無しにしたと気づいて、彼は息を呑んだ。

ティガレックスは前脚と後脚を同時に使って跳躍してハジメから距離を取る。

 

 再びハジメは判断を誤った。

絶好の機会を失って確かな一撃を与えられなかった事に焦り、ティガレックスに向かって駆け出して距離を詰め、自分と向かいあう形となった頭部に攻撃を仕掛けようとしたのだ。

ティガレックスがすぅと目に見えるほど空気を大きく吸い込んだと気づいた時には遅かった。

 

―――グゥルガアアアアアアアアアアァァァァァァァァ!!!!!!

 

「ぎっ――――――!?」

 

 ティガレックスの咆哮は、通常の大型モンスターのそれとは一線を画す。

奴に轟竜という呼び名がついたのはその獰猛で荒々しい生態に加えて、異様に発達した大鳴き袋が生み出した()()()()()()()()()()()()という最大の特徴によるものだった。

 

 ハジメはそれをまともに食らった。

よく日常生活で人に起こるような耳鳴りなんていうレベルじゃない。

耳を真っ赤になるまで熱した錐で刺すにも等しい激痛が走った。

同時に全身を打ち付ける目に見えない衝撃が防具に亀裂を走らせて、剥き出しの手足や顔の皮膚が無造作に引っ張られた脆い紙のように裂けてしまう。

 

 漫画のような表現だが、ハジメの体は宙を舞って後ろへと吹き飛ばされた。

地面をごろりと転がって意識がハッキリとする頃には、彼の耳は周囲の音が一時的に聞こえなくなっていた。視界が揺らぎ、自分が荒い呼吸を不規則に繰り返していることが分かる。

人は想像を絶する痛みに対して絶叫する余裕も失われてしまう。

 

「……ごぉ……ふ、ぐぁ……っ……!」

 

 地面から起き上がってハジメが次の行動に移るまでティガレックスは待ってくれない。

距離が開いたハジメに向かって前脚に力を込めたティガレックスは宙へと飛び上がる。

かつてイャンガルルガに食らった突進とは比較にならない巨体の飛び掛かり。

 

 ハジメの体に飛び掛かったティガレックスの頭が衝突する。

目を見開いて口から血飛沫を吐き出すと同時にハジメは再び後方へ吹き飛んだ。

運悪く後方にあった巨大な岩へと背中を叩きつけられた。

 

「―――――が、ぁっ…!」

 

 ティガレックスの猛追は止まない。

威勢の良い鳴き声を上げてハジメに向かって突進を始めた。

ハジメは起き上がる力も残っておらず、最後の足掻きで地面を転がりながらそれを避ける。

 

 広げた前脚に潰されそうになったが彼は回避に成功した。

ティガレックスは先ほどハジメが叩きつけられた岩にその牙を突き立てている。

幸運にも突き刺さった牙が岩から抜けないのか、ティガレックスはその場で藻掻いていた。

 

(い、まの……うちに……!)

 

 視界はぼやけているが、ハジメはなんとか立ち上がる事が出来た。

ハンマーを手に持って戦える余裕など満身創痍の彼には残っていない。

心の内から湧き上がる恐怖を偽るように、ハジメは冷静は判断を下す。

 

(今の俺じゃ……奴に勝てない……!この場は引いて、他のハンター達が来るまで何処かに身を潜めて……やり過ごすんだ……っ、そうしないと俺は、俺は――――――)

 

 

()()

 

 ハンターになってから久しく忘れていた死の恐怖が再び彼を襲っていた。

強靭な肉体に宿る精神に恐怖という名の毒が付け入る隙はない。

しかし絶対強者(ティガレックス)を前に、いつまでも平静を装ってはいられなかったのである。

脇目も振らずハジメはその場から駆け出した。

 

 背後で岩から牙を引き抜く奴の声がする。

逃げようとする彼に対してティガレックスは容赦なく追い回す。

ハジメは地面をドンドンと震わせながら近づいて来るティガレックスから、まずは何とかして姿を隠さなければと走りながら前方に映るものを見て考える。

 

 ハジメとティガレックスが駆けている先の荒野には下に向かって斜面が広がっていた。

その途中や下りきった先には岩と岩が重なって出来た隙間が見える。

彼はなんとかそこに滑り込んで身を隠そうと考えたが――――――

 

 不意に後ろを走るティガレックスの足音が変わった。

走るよりも確実な獲物の捕らえ方を熟知していた奴は、走っている途中で前脚に力を溜めるようにして地面を蹴って空中へと躍り出て、走る彼に向って巨大な咢を広げる。

 

「―――――――――ッ」

 

 ようやくハジメは此処で振り返って、自分の判断が間違っていたことを悟る。

視界がスローモーションの如く揺らいでいき、自分の五感というものが一つ一つ消えていく。

傷を負った四肢が帯びた熱は急速に冷めて、あれほど五月蠅かった耳鳴りは止まっている。

口の中の鉄錆の味と不快な砂利の音がしない、ツンとしていた鼻の痛みが収まっていた。

自分の背に突き刺さるティガレックスの牙と青空に飛び散った血飛沫を最後に意識は途絶えた。

 

 

 

クエストに失敗しました

 

町へ帰還します……

 

 

 

 




 流石に主人公死亡はないので最後の二行を追加しました。
余談ですがティガレックス以外の候補としてハジメ君の相手にあと3体のモンスターが控えてました。こんな感じで ”モノブロス亜種” ”テツカブラ” ”バサルモス”

 テツカブラを二つ名にしなかっただけ殺意は控えめですがね(でも潰す気でいたという)
あとはハジメ君とティガに狩られた奴らドスゲネポス、ドスマッカォの二頭も加えていたところにダイスロールで順番を決めてこうなりました。

感想、質問、ご指摘等お待ちしております!

初期で構成していたプロットより大幅に話数が増えてしまったので、本作を第一部として続編(2nd的な)を作り本作を完結させようか迷ってます。(それで投稿ペースが遅れる等はありません)

  • 続編にして
  • このまま話数増やしてもいいんじゃね?
  • 打ち切りはヤメロォ!
  • もっと周りの話補完して♡
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