モンスターハンター・トータス   作:綴れば名無し

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 いよいよ地震の正体が判明します……!
……ってもう感想欄で殆どバレテーラ、流石に露骨過ぎましたか……
何気に幕間から久しぶりの皇太子兄貴登場です


大地を震わす其の名は

 

「フフフ~♪ン~♪」

 

「……なぁエタノ、流石にくっ付き過ぎじゃないかと言いたいんだが?」

 

「え~?良いではありませんかぁ♡」

 

 ブルックの町中を兵士達に囲まれながら荷車を牽いて歩く一団がいた。

人々は亜人―――その中でも滅多に姿を現さなかった―――狐人の登場に驚いている。

一方で狐人の男達は視線を気にすることなく堂々と道の真ん中を歩いていた。

エタノだけがハジメに話しかけては抱き着こうとしていた。

彼女の過激なスキンシップを内心で嬉しく思いながらも、流石に公衆の面前では恥ずかしいとすり寄せてくる顔を手で押し退けてハジメは小さく嘆息をもらす。

 

 ハジメはリンネと兵士に彼女達の事を話し、積極的に人を襲うことはないと約束させた。

……が、口約束だけでは信用には値しないということで、兵士達が付いて来ているのだ。

ハジメの前を歩くリンネが肩越しに振り返ってニヤニヤと笑いながら話しかける。

 

「モテモテだねぇハジメ君。優花ちゃんが見たら、妬いちゃうかもよ~?」

 

「何言ってんですか、俺と園部はそういう仲じゃないって分かってるでしょう」

 

「えぇ~本当に~?」

 

「………少なくとも、向こうにはその気がないと思いますよ」

 

 そう言われてリンネは「ふぅん?」と何かを悟ったように笑みを深めてから前に向き直った。

彼の言い方ではまるで()()()()()()()()()ようにも聞こえるのだが。

ハジメは自分の言った言葉の意味をそう解釈されたと気づいて大慌てで言い直す。

 

「――――――俺はあいつの事をまともなクラスメイトだと思ってるつもりです!」

 

「はいはい、そういう事にしときましょうね~」

 

 あっさりとリンネにあしらわれてハジメは悔しそうに口を噤んだ。

……とここで彼の隣にいたエタノが真顔で問いかける。

若干、いやかなりハジメの腕を掴む手に力を込めながら。

 

「―――ハジメ様?ソノベとは誰です?それに目の前の女ともやけに親し気ですが……」

 

「只の知り合い、目の前にいる人は俺の先輩のせんぱ―――ってイダダダ!?」

 

「……ハジメ様……ワタシに兎人に森人だけじゃ飽き足らず、他にも女を……」

 

「全員なんの事だか俺は身に覚えがないっつぅの!!その手ぇ離せって!」

 

 そっとハジメから手を離したエタノは不満そうにぷくぅと頬を膨らませる。

シャツを捲ると彼の腕には赤く腫れた痕が残っていた。

どんな馬鹿力だ……と声には出さずハジメは急に機嫌が悪くなったエタノに怒った。

 

「あのなぁ……俺は生まれてこの方、家族以外の女に好かれた事がないんだよ。だから周りが俺をどう思ってるか察するなんて器用な真似は出来ない。エタノが何を考えて怒って俺の腕を強く掴んだのか理由を決めつける事なんて出来ない……けど、今のは普通に痛かったぞ」

 

「……むぅ……そんな言い方されたら謝るほか選択肢がありませんね」

 

 耳をペタンとしてエタノはペコリと頭を下げる。

ハジメとしてもこんな回りくどい言い方はしたくなかったが、彼女の好意を無碍にしたくないのと彼女の身勝手な振舞いを許容し過ぎてはいけないと自身を含めて戒めるつもりで怒ったのだ。

暫く静かにしていたエタノは再び彼をチラと見て話しかける。

 

「……ハジメ様は女に好かれた事がないと仰っていましたが、今の貴方様の周りには女の姿が多く見受けられるのですが?その中の誰か一人は……なんて考えたりはしないのですか?」

 

 例えだが、よくあるハーレム状態の男なら誰か一人に好意を抱くだろう。

自惚れが過ぎると女たちの中の誰かは自分を好きになっているかもと考える事も……

彼女の問いかけにハジメは口をへの字にして目を逸らしながらも答えた。

 

「俺も一応男だ、異性との付き合いとか色恋に興味がない訳じゃない。……だけど、そういう事に興味があっても自分から進んで関わろうとはしなかったし、そういう経験がある奴と話したりってのもなかった。だから()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 その答えを聞いてエタノは驚いた表情で彼の顔をじっと見つめた。

前を向いていた筈のリンネも振り返って彼の話を聞いている。

そこで言葉を切るのが恥ずかしくなったハジメは頬を赤くして言葉を付け加えた。

 

「……要はチキン、ヘタレなんだよ!馬鹿にするなり笑うなり好きにしてくれ……」

 

 逆ギレっぽくなってしまった自分が情けなくて、ハジメは俯いたまま黙ってしまう。

エタノは暫く呆然とした表情で、ゆっくりと前を歩くリンネに目を向ける。

彼女も同じ反応をして、二人は無意識に目線だけで言葉を交わした。

 

(この見た目で女性経験ゼロのヘタレって……逆にそそりますわね!?)

 

(アタシは年下眼中にないけど、初心(ウブ)な子ってつい揶揄いたくなっちゃうよね~)

 

(……えっ、こんな可愛いのに眼中にないってマジで言ってます?)

 

(アタシは基本、他人の恋路を面白可笑しく盛大に応援&祝福するのが好きなだけですから)

 

 ほんの僅かな会話の中で女同士奇妙な友情が生まれる。

ハジメが意気消沈している間に二人は軽い自己紹介を済ませた。

周りを歩く兵士達は無言だったが、ハジメに哀れみの視線を送っている。

そんなこんなで町の中心部に一行は向かったのだった。

 

 

「――――――んでこの集まりに至ると」

 

 そう言ったリンネの前には北門から到着した帝国軍の一行が待ち構えていた。

町に駐在している兵士の中で一番階級の高い男が駆け寄ってリンネの近くにいた兵士に後ろで固まっている狐人達について事情を聞いている。

もう自分は居なくても大丈夫かと考えていたハジメに声が掛かる。

 

「久しいな錬成師のハンター!」

 

「とっ、トレイシーさん!?」

 

 並んでいた帝国兵が道を開けると、イルシオンに跨ったトレイシーが手を振っていた。

ハジメが帝都で会った時とは違い、彼女はしっかりとした鎧に身を包んでいる。

イルシオンがスッと首を下げて、その背から飛び降りたトレイシーが歩み寄ってくる。

エタノが耳元に顔を近づけて小声で聞いてきた。

 

「どちら様です?」

 

「この国の皇女様だ」

 

「あらまぁ~それは何とも……」

 

 意味深な笑みを浮かべた口元を胸元から取り出した扇で隠すエタノ。

トレイシーも狐耳と尻尾を生やした彼女を見てピタと足を止める。

 

「ほう、貴様は亜人……狐人か」

 

「お初お目に掛かります皇女様♪ワタシは狐人商会のエタノと申します。以後お見知りおきを」

 

「狐人商会?……ふむ……聞かぬ名前だな」

 

「えぇ、えぇ!樹海の外で商売を始めたのはつい最近の事ですから」

 

「――――――ほう」

 

 エタノの瞳を真っ直ぐと見つめて興味津々といった様子で笑みを浮かべるトレイシー。

対する彼女も扇で口元を隠したまま、トレイシーを値踏みするように見ている。

そんな中、ハジメの方へと新たに声をかける男が現れた。

 

「お前がトレイシーの話にあった錬成師の小僧か?」

 

 黒い馬から降りて兜を取った男の素顔が露わになると、周りが騒めき出す。

焦げ茶色の髪を刈り上げて浅く焼けた肌の男とハジメは初対面だった。

ハジメの方が少し背は高いが、男も長身の部類に入る。

周りの反応から彼は男の身分が高いのだと何となく察した。

軽く身形を整えてからハジメが頷くと男はニヤリと笑う。

 

「はい。多分俺の事で間違いないと思います」

 

「自己紹介から先に済ませておこう。俺は”バイアス・D・ヘルシャー”、この国の皇太子だが……変に畏まる必要はないぞ、よろしくな?」

 

「宜しくお願いします」

 

(……なんだろう……トレイシーさんから聞いた印象とは違う人だ)

 

 そう思って差し出された手をハジメが握った瞬間、バイアスの表情が凶悪な笑みに変わる。

握った手が潰されるような勢いで力を込められたハジメは苦痛で表情を歪ませた。

奥歯をギリッと噛んで「何すんだ!?」と声を荒げようとして――――――

 

(……っと……この人は皇族。俺は一市民……立場考えろ……平静を装って)

 

「―――ッ!!」

 

 この場で感情的に動くのは良くない。

ハジメは目を瞑って長く息を吸い込んで吐く事で落ち着きを取り戻す。

バイアスはそんな彼の様子を見て普通の笑みに戻して手を離した。

 

「ククッ!我慢強い上に頭も回るようだな。とりあえずは合格にしてやろう」

 

「は、はぁ……それは……どうも?」

 

「フッハハハハハハッ!精々帝国の役に立つんだなぁ!ハーッハッハッハッ!」

 

 何を試していたのか全く分からないといった様子のハジメ。

バイアスは笑いながら兜を被り直すことなく背を向けて去っていく。

呆れた様子で見守っていたトレイシーがポンとハジメの肩に手を載せる。

 

「すまないな錬成師、奴はあれでも粗暴だった昔に比べてマトモになった方なんだ。お前に対して敵意を持っている訳ではないという事だけ覚えておいてくれ」

 

(悪意はめっちゃ籠ってましたけどね)

 

 なんて心の声は言わずに頷くだけ返したハジメにトレイシーは苦笑する。

幸いにも握り潰されそうになった手は怪我一つしていないようだ。

そこへ兵士達への説明を終えたリンネが戻ってきて陽気に手を振る。

 

「やー戦姫ちゃん久しぶりね~!」

 

「リンネ!?貴様もこの町に来ているとはな……!」

 

「再会して積もる話もあるけど、この町に貴女達が来たって事はやっぱり―――」

 

「あぁ、大峡谷に放った私の部下が偵察に向かっている。……間違いなく奴が来た」

 

 そういえばとハジメはリンネに目線で問いかける。

あの地震の後、何が起こっているかハジメはちゃんと聞けていなかったのだ。

リンネは町の東門を越えた先にあるライセン大峡谷を見据えながら答える。

 

「……歩く天災、動く霊峰……古龍”ラオシャンロン”が姿を現したのよ」

 

「……古龍……」

 

 ハジメがそう呟くと夜の風が不気味に町の中を吹き抜ける。

東の空から厚い雲が広がって、徐々に近づいているようだった。

 

 




 大峡谷と聞いたらこりゃあもう出すしか無いと奴に決まりました
何気にラオシャンロンも古龍の一体なんですよねぇ……
まぁそりゃ特殊能力とか持ってなくても図体がデカ過ぎる災害級か
何でラオシャンロンで地震?というのは次の話で説明します

感想、質問、ご指摘等お待ちしております!

初期で構成していたプロットより大幅に話数が増えてしまったので、本作を第一部として続編(2nd的な)を作り本作を完結させようか迷ってます。(それで投稿ペースが遅れる等はありません)

  • 続編にして
  • このまま話数増やしてもいいんじゃね?
  • 打ち切りはヤメロォ!
  • もっと周りの話補完して♡
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