モンスターハンター・トータス   作:綴れば名無し

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 更新遅くなって申し訳ない……
いかんせんニート期間を満喫し過ぎたのでそろそろ再就職を考えてまして(隙自語)
今年は更新頻度を上げながら、せめて全ヒロイン登場させるところまでは頑張って書きたいところです(作者が余計な気を起こして変な小話を挿まなければ可)



震える大峡谷 後編

 

一閃(セイ)ッ!剛撃(ハァ)ッ!」

 

 掛け声と共に蛮炎剣斧ロギンシスカを構えたロスマンが斧状態で下顎を切りつける。

接触の際に火属性のダメージも付随されるが、ラオシャンロンはまるで意に介さない。

バックステップで距離を取ったロスマンが見たのは、薄皮一枚も切れていない下顎だった。

 

 ラオシャンロンの体は大量に含んだ鉱石類によって、鱗のない箇所ですら鋼のように硬い。

故にハンター達は狙った箇所を定めてひたすらに攻撃を重ねてダメージを与えるしかないのだ。

彼が動いたのを見て、テレサも一気に脇腹へと駆け寄る。

 

「ハァァァッ!」

 

 動き続ける前脚と後脚の間を、滑り込むように進んで腹の内側へと潜り込む。

絶爆狼棍【チル】で白い皮膚を思いきり殴りつける。通常の戦い方が通用する相手ではない、右ストレートからの左アッパー、回し蹴りと三連撃を食らわせて、後で動き始めた老山龍の足が生み出す震動をサイドステップで躱しながら打・突を確実に打ち込んでいく。

 

「撃てぇっ!」

「オオオォォォッ!」

 

 アイクの声に返事ではなく咆哮で返したハジメはトリガーを一気に引いた。

装填されているのは通常弾Lv3、威力は高いが反動は大きく5発を撃ちきるまでには時間がかかる。

 

 これは同じヘビィガンナーのアイクからのアドバイスであり、ヘビィボウガンを使い慣れていない駆け出しの内は弾の最大威力が発揮できる距離までの感覚を掴むために初手は通常弾で狙った部位を攻撃し、弾の命中した時の状態を見極めて最大距離で切り札の弾を出せと言われたからだ。

 

 反動抑制のお陰で通常弾Lv3は真っ直ぐ飛んでいき、狙い通りに前脚の付け根へと命中した。

しかし甲殻で覆われた箇所に命中した弾は表面を削るだけで半ば弾かれてしまう。

慌てずハジメは照準器を覗き込んだまま二射目を行った。

 

命中、弾が弾かれた。

三発目。―――命中、弾かれたがさっきより深く刺さった。

四発目。―――命中、三発目よりも深く刺さった。

 

(――――――今!!)

 

 ハジメは急いで弾倉を切り替えて、徹甲弾Lv2を装填する。

狙いをつけて引き金を引くまでの動作を最小限に留め、ハジメは祈るように結果を見た。

すると先ほどまで弾かれていた弾が、今度は甲殻を壊して中の肉にまで届いたのか、徹甲弾の爆発と共に真っ赤な血が前脚の周りへと飛び散っている。

 

「っし!!」

 

 こうなれば後は考える事もない。

脅威的な回復力で甲殻の組織が再生される前に攻撃を加える。

興奮で荒くなった吐息を押さえながら、トリガーを引いた。

 

二発目。――――――命中、炸裂と共に血が噴き出した。

三発目。――――――命中、甲殻に亀裂が入った。

 

再装填(リロード)ッ!)

 

 反対側のアイクも、ハジメとは逆の前脚を狙って射撃を行っていた。

グラビドギガムドファはハジメのアイアンアサルトⅢとは違い、外装を弄っていない。

彼がカスタマイズしたのはリロード補助と反動抑制の重ね掛け。

 

 熟練のガンナーであるアイクは適正距離など感覚で分かる。弾のブレも使うヘビィボウガン毎に把握しており、グラビドギガムドファの弾が右寄りに飛んでいくことも承知済みだ。

 

 閉口して視覚にだけ意識を集中させる。

装填してある弾は拡散弾Lv2、当然だが弾は右に逸れた。

()()()()()と彼は心の中で呟く。元より銃口を向けていたのは前脚より左だったから。

飛んでいった弾が前脚付け根に着弾と同時に中の小型爆弾が爆発する。

 

二発目。――――――命中、甲殻に罅が入った。

三発目。――――――命中、甲殻が完全に割れて肉が露わになる。

 

 次の瞬間、ラオシャンロンはようやく自分に危害を加える相手を認識した。

これまでは足元と眼前に小さな羽虫のような生き物がいるくらいにしか思っていなかったが、羽虫の攻撃が自身の命を脅かす敵であると理解したのだ。

 

 前脚の痛みに怯むことなく、ラオシャンロンの巨体が後脚だけで立ち上がった。

特撮映画の大怪獣(ゴジラ)を彷彿とさせる仁王立ちのラオシャンロンを見上げるハジメ。

首を後ろに傾けたラオシャンロンが口を開くと……

 

―――――――ゴオオオオアァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァッ!!!!!――――――

 

「ぐ、ぁ――――――ッ!?」

 

 大峡谷そのものを振動させる程の咆哮をあげた。

咆哮に気づいていたロスマンは武器を構えたまま横に転がって事なきを得た。

スキル”高級耳栓”で咆哮を無視できるテレサはそのまま腹を殴り続けている。

複合スキル”三界の護り”でアイクも位置を変えた前脚に狙いをつけていた。

唯一無防備だったハジメがまともに咆哮を食らってその場で蹲る。

 

(耳が……裂ける……ッ!頭が、痛いッ)

 

 耳鳴りと頭痛が収まる頃にはラオシャンロンは二足歩行から四足へと戻っていた。

前よりも唸り声は荒く、歩くスピードも僅かにだが上がっている。

ハジメは奥歯を強く噛み締めて、再び前脚に狙いを定めた。

 

「――――――く、そぁぁぁぁぁっ!」

 

 徹甲弾Lv2の再装填は終わっている。

睨みつけるように照準器越しに老山龍を睨みつけて、トリガーを引いた。

命中、前脚の甲殻の一部が剥がれて肉が露出する。

 

二発目。――――――命中、炸裂と同時に血が噴き出る。

 

 この時、腹の内側に潜り込んでいたテレサも成果を出していた。

既に白い表皮は属性攻撃の影響で焼け爛れており、彼女の白銀の防具には殴った際の衝撃で飛び散ったラオシャンロンの血がシャワーのように振りかかっていた。

同時に穿龍棍の特性である龍気は充填が完了している。

 

 腹の内側から足の方へと飛び出したテレサは、地面を蹴って跳躍した。

そのまま脇腹を足場に更に上空へと向かい、穿龍棍を垂直に構える。

 

「せやあぁぁぁぁっ!」

 

―――グオオオォォォォッ!!?

 

 自身の体を勢いよく回転させながらの穿龍棍による空中落下からの連続攻撃。

放出された龍気がラオシャンロンの体に纏わりつき、黄色いオーラが滲み出る。

ダメージの蓄積が限界を迎えたのだろう、ラオシャンロンが苦しそうに吠えた。

脚のバランスが崩れて前のめりに巨体が地面へと倒れ込む。

 

 彼女の動きを視界の端で捉えていたロスマンが即座に反応した。

龍気攻撃によって付与された黄色いオーラの正体。それはモンスターに対して影響を与えるものではなく、近づいたハンターの武器の切れ味を回復させて、攻撃力を上昇させる特殊な能力なのだ。

現に硬い頭部を攻撃し続けて披露していたスラッシュアックスの切っ先が鋭さを取り戻していた。

 

「―――感謝!」

 

 蛮炎剣斧ロギンシスカの強さは高い攻撃力と属性値を底上げする強属性ビンにある。

ラヴァUのスキル”攻撃”Lv5も加えて、剣状態の弾かれ無効と属性解放突きは強力だ。

下顎の先に突き立てるように突っ込んだスラッシュアックスが破裂音と共に大爆発を起こす。

 

 

 それから戦闘は順調に進み、ラオシャンロンは洞穴手前までに三度怯んだ。

古龍の中でも巨大なサイズのラオシャンロンには残念ながら、毒などの状態異常は通じなかった。

試しにと傷口に毒弾Lv1を撃ったハジメを見たアイクが「無駄弾を撃つな!」と怒鳴った。

ハジメも思わず「すいませんっ!」と叫びながら、以降は毒弾を封じる事にしたのだ。

そして―――――――――

 

「第一エリアを通過するわ!皆引き上げて頂戴!」

 

「承知!」

「了解!」

「はいっ!」

 

 脇腹を蹴り飛ばして、空中で甲殻に対して打撃を打ち込みながらテレサが後退してきた。

武器をしまったロスマンも走ってきて、ハジメの後ろにある洞穴へと入っていく。

ハジメは自分が一番洞穴に近いこともあり、弾切れ寸前だった徹甲弾Lv1の一発を撃つ。

背中の分厚い甲殻に命中したが、大したダメージは与えられなかったようだ。

 

 そこへ首下を潜り抜けてきたアイクが洞穴の前にまでやってきた。

ハジメもアイアンアサルトⅢを畳んで背負い、洞穴の前に飛び降りたが――――――

 

「ッ!?ハジメ!!」

 

「なッ……」

 

 突然、これまで進んでいただけのラオシャンロンが攻撃を仕掛けてきた。

その巨体を生かして、洞穴目掛けての渾身のタックルである。

それを察知したアイクは足を止めて、咄嗟に落下してきたハジメを掴んで洞穴の中に投げた。

アイクは前脚の甲殻で全身を吹き飛ばされて、ハジメに重なるように洞穴に飛び込んできた。

 

「アイクさんっ!!!」

 

 悲鳴のような甲高い声を上げて倒れ込んだアイクに駆け寄るハジメ。

しかし彼は呻き声一つ漏らすことなくスッと立ち上がる。

頭を軽く振って自身の防具の状態や、背中のグラビドギガムドファに異常がないか確かめた後に「怪我はないか」とハジメに聞いた。

 

「俺は大丈夫です……!でも、アイクさんが……!」

 

「心配するな。伊達に長くハンターをやっていない、これくらい掠り傷にもならん」

 

 そう答えたアイクはハジメの肩を叩いて先に行く事を促す。

本当に彼が平気そうにしているのを確認して、ハジメは下唇を噛みながら歩き出した。

自分の判断ミスで、仲間を危険に晒した事を悔いる。

アイクも彼がそう思っているのを背中から感じ取り、声を低くして言った。

 

「後悔は心の中だけにしておけ。頭と体は、奴を倒す事だけに集中しろ……いいな!?」

 

「――――――はいっ!」

 




 ガンナーあるある、止まって撃ってたら被弾して一乙の流れ。
先輩ガンナーも防御力最終強化まで済ませたトルペドだからカスダメで済みましたが、ハジメ君だと運が良くてミリ残しの瀕死or即死ベースキャンプ送りでしたね。
あれほど精霊の加護は上限解放してLv5固定にしておけと……

 しれっとこれ書いてる間に作者ハンターはゴアマガラとセルレギオス倒してシャガル戦に突入していました(MHXX)

感想、質問、ご指摘等お待ちしております。

初期で構成していたプロットより大幅に話数が増えてしまったので、本作を第一部として続編(2nd的な)を作り本作を完結させようか迷ってます。(それで投稿ペースが遅れる等はありません)

  • 続編にして
  • このまま話数増やしてもいいんじゃね?
  • 打ち切りはヤメロォ!
  • もっと周りの話補完して♡
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