モンスターハンター・トータス   作:綴れば名無し

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 明日はハロウィンですね、作者は人生一度もハロウィンらしい事はしてないです。
もうすっかり寒くなりましたし……暖房つけた部屋で引き篭もるに限りますね。
今回はサブタイトル通り、こいつとの戦いになります。
前後編で分けて、それが終わったらいよいよという感じで……



お騒がせ掻鳥を追え! 前編

 

 ブルックの町を出て、二日近くが経過した。

蛮顎竜との遭遇から一転して、道中は驚くほどモンスターが現れなかった。

リンネ曰く「老山龍の影響」が可能性に挙げられるが、それでも蛮顎竜のような凶暴なモンスターは戻ってきているのだ。他のモンスターと出くわす可能性だって十分にあり得る。

空気を読まない商人の男は思わず――――――

 

「エヒト様のお陰でしょうなぁ!」

 

 等と言ってしまったが、殆ど誰にも相手にされなかったという。

皇女は言わずもがな聖教教会の教義を嫌っており、ハジメはそもそもこの世界に連れて来たのが神エヒトであるために理不尽に対する苛立ちをぶつけたい相手No.1でもある。

優花もハジメと似たり寄ったりなのだが、王国の保護下に置かれてる身としては下手に信者を侮辱するような真似をしたら天罰でも下るんじゃないかと恐れて聞かないフリをした。

冒険者達は少ない稼ぎ―――これに関しては帝国の影響も少なからずあるが―――を教会の税でいくらか持っていかれる現状に不満を抱いている為内心キレ気味。

リンネも思う所があるのか優花に倣って聞かないフリをする。

 

「おやおや、聖教教会が唾棄すべき亜人が紛れているのに……ですか?」

 

 唯一、商人の男の言葉に笑いを含んで言葉を返したのはエタノだった。

彼女の部下達はあからさまに不機嫌な表情を浮かべ、荷車を無言で牽いている。

亜人族にとって神エヒトは自分達を樹海の奥地に追いやった元凶なのだ。

ハッとなった商人の男は顔色を悪くして、そそくさとエタノの傍を離れてしまった。

そんな時だ――――――

 

「遠くに商業都市フューレンが見えます!」

 

 隊列の先頭を走る兵士の声で多くの者が身を乗り出して前を見た。

数キロ先で荒野の土が緑に変わり、草原と小さな森林が広がる道がある。

そこを通る街道の先に大きな石の門を越えると大きな川が横たわっている。

元々は巨大な川の中州だったのが年月をかけて人の住める土地となり、都市の中に入る方法は四方に架かる橋を越えなければならない。

不便に思われるが、その橋のお陰でモンスターから襲われる被害を排除出来たのだ。

 

「ふぃ~やっと着いたかぁ」

 

「モンスターとの遭遇が一回だけで幸いでしたね」

 

 リンネが御者の席で息をつくと、荷台から身を乗り出した優花がそう言った。

ハジメも「そうだな」と内心同意していたが、ちょっとだけ不満だった。

不謹慎とは思うが、新しく手に入れた老山龍砲の試験運用をもっとしかったのだ。

……一緒に居る人たちに何も無かったことは喜ばしいのだが……フラストレーションが溜まる。

 

(都市には三日くらい泊まるって話だしな……集会所で何かクエストでも受けるとするか)

 

「日が落ちる前に都市に着くぞ!」

 

「はっ!」

 

 トレイシーの言葉に頷いた兵士が馬を走らせて先を見に行く。

アレックスとレガニドも荷台の中で一息つくことにした。

そんな彼らの下へ子どもがちょこっと歩み寄って話しかける。

 

「おじさん達は()()()()()で何するの?」

 

()()()()()な、フューレン。何するってそりゃあ俺達も冒険者だからな、路銀を稼がにゃまともに寝泊まりする宿に入れん。雑用でも何でもいいから依頼を受けるとするさ」

 

 ちょっと小文字の発音が怪しい子どもにレガニドが苦笑しつつ答える。

アレックスはそのままの足で王都の治療院へ向かうつもりだったが、値上がりした治療費を支払うには今の彼の手持ちでは心許ない。レガニドが受ける依頼を手伝いながら、日雇いの仕事でも何でもやって、兎に角金を稼ぐ必要があった。

 

「坊やはこのまま商業都市に?」

 

「うんっ、お母さんがお仕事探すならフューレンが一番だって!」

 

 その言葉に二人は子どもを見守っていた母親に目を向けると彼女は頷いた。

王国一の商業が盛んな都市なら、えり好みしなければ仕事は幾らでも転がっている。

幸いにも彼女は貴族の妻になった時に受けた教育があった、どんな仕事でも通用するだろう。

 

「そっか……良かったな」

 

「えへへ~」

 

 子どもの頭をポンポンと撫でるアレックス。

はにかんだ子どもを見て母親は笑みを深めてそれを見守る。

レガニドは相棒のこんな明るい表情が何時までも続いてくれと願うばかりだった。

 

 

 ライセンの荒野を抜けて森や草原が広がる街道へと一行は入った。

ここは既に王国領、荒野に比べてモンスターの遭遇率は低いとされているが―――

御者の席へ移動していたハジメはふと視界の端に何か動くものを見つけた。

 

「なんだ…………?」

 

 数キロは離れている森の中を動き回る物体を彼の目は見逃さなかった。

偵察の兵士が気づいて報告を上げないということは、隊列に向かってくる可能性は低い。

緑溢れる森の中を動き回るそれはクリームイエローのモンスターだった。

頭部には黒い嘴と鮮やかな赤色の羽が見える……大きさからして鳥竜種だろうか。

 

「どったのハジメ君?」

 

「いえ………向こうの森の奥にモンスターが見えたので……」

 

「ん~どれどれ……」

 

 モンスターという単語を聞いて慌てて優花も荷台から身を乗り出してリンネに倣った。

しかし彼女の目では森の中を何かが動いてるくらいにしか分からない。

それほどにハンター達の視力は常人よりも優れているのだ。

リンネが「あぁ~アイツかぁ」と納得したようにモンスターの正体を言い当てる。

 

掻鳥(そうちょう)”クルルヤック”……数年前に発見された中型の鳥竜種だね」

 

「掻鳥?」

 

「クルルヤックってのは鳥竜種の中でも特に前脚が発達しててね。土を掘る習性があるから、その姿に因んで掻鳥。発見された当初は人を見かけても襲ってこない個体が多かったんだけど、一部地域では出会い頭に飛び掛かられたとか前脚で持ってた岩を投げつけられたとかで、温厚か凶暴かで危険度が分かれてるみたい」

 

「こっちに襲ってきたりはしないんですか?」

 

「うーん……どうだろ。此処は街道に近いし、襲ってくる個体がいたら真っ先に討伐依頼が出される筈なんだけどなぁ……まぁ、離れててこっちに気づいてる様子もないし無視していいでしょ」

 

「そうですね」

 

 とは言いつつ内心ではちょっと戦ってみたいとか思ったハジメだった。

相手を侮るつもりはないが、中型の鳥竜種ならちょっと余裕かなと思ってしまったのだ。

ドスゲネポスを狩ったこともあり、少しだけ侮っているのかもしれない。

樹海では鳥竜種のイャンガルルガに手酷くやられたが、アレはそもそも歴戦個体な上に支配種という完全な戦闘マシーンと化していたのでカウントに入れてはいけない。

 

「土を掘って何をするんですか?餌を捕るとか?」

 

「う~ん実はよく分かってないんだよねえ。クルルヤックが主食にしてるのって草食竜の卵とかで前脚も基本的には卵を安全なところに運んで食べる為に使うことが多くてさ。土の中から大昔に人間が使ってたような壺とか自分の頭以上にデッカい岩を掘り返して持ってる時ってのは、敵と戦ってるのが大半だからねえ」

 

「卵を盗むんですか……」

 

「そうなのよ~……人の暮らしで被害を受けるとしたら、草食竜を繁殖させようとした農家が卵を盗まれたとか、壺に入れてた野菜とかを壺ごと盗まれたとかなのよ。……アタシが引退してから情報が出回ったモンスターだから、あんま詳しくなくてごめんね」

 

「いや、滅茶苦茶詳しいじゃないですか……」

 

 ハンターは必然的にモンスターのことを多く学ぶのだが、全てを覚えきる者は多くない。

受注したクエストに応じてモンスター図鑑を開いて頭に叩き込む現役ハンターは多かった。

ハジメも最初は全部暗記してやろうと意気込んでいたが、あまりの多さに挫折した。

訓練所にいる間にも、2~3日一度のペースで情報が更新されることもあったからだ。

 

 そんな事を話していると、前方から戻ってこなかった兵士二人が馬から降りていた。

同時に街道のど真ん中で荷車が立ち往生している。一行とは別の道から来た者達のようだ。

ハジメは話を聞きにいこうと馬車を降りて走り出す。

 

「ちょっと話を聞きにいってきます!」

 

「はいはーい。何かあったら大声で呼ぶからね~」

 

 とは言っても王国領内の街道は比較的安全だ、早々モンスターに襲われる事はないのだが……

ハジメは斜面になっている道を駆け下りていくと、兵士二人が荷車の人と話している。

 

「お(ねげ)ぇしますだ!このままだとオイラはクビんなっちまうよぉ!」

 

「……そう言われてもね……我々も早くにフューレンへ行かねばならんのだ……」

 

「盗まれたというなら、都市のハンターなり冒険者なりに依頼を出せばいいんじゃないか?」

 

「んなことぉ言われたってオイラんちは貧乏で金がねぇんです!なんとかしてくだせぇ!!」

 

 独特な訛り言葉を使う、見るからに貧乏な生活を送っているであろう年配の男。

そこへ到着したハジメが息を整えながら片方の兵士へと話しかける。

 

「何かあったんですか?」

 

「おぉハンター殿……実はだな――――――」

 

 ハンターと聞いて年配の男は目をキラキラさせてハジメに飛びつこうとする。

兵士がそれを止めつつも順を追って説明を始めた。

 

 年配の男はフューレンで行われる催し物の衣装を届けていたらしい。

盗賊対策で豪華な造りの箱から荷台の壺に衣装を隠していたのだが、いきなり街道に飛び出してきた掻鳥クルルヤックに壺を奪われてしまい、このままでは催しに間に合わなくなってしまう。

そうなれば男は仕事をクビにされて、今の生活すら送れなくなってしまうという。

 

 そこへ先行した兵士が立ち往生していた彼の下に話しかけたのだ。

彼はこの際、相手が冒険者だろうと兵士だろうとお構いなしに助けを求め……今に至る。

 

「お(ねげ)ぇしますだ、この通りぃ~っ!」

 

「いや、だからね――――――」

 

(このまま粘られても隊列の邪魔になるし、無理やり退かしても後味が悪いか……)

 

 ハジメは先ほど見たクルルヤックが盗んだのだと確信した。

ハッキリとした形までは見えなかったが、手には何かを持っていたのは分かっていた。

悪戯で壺を叩き割られでもしたら、折角の衣装は台無しになってしまうだろう。

何より……困っている人を見過ごすのは、あまり気分の良いことではない。

 

「……お2人の負担を増やすようで申し訳ないんですが……その掻鳥をさっき向こうの森で見かけました。俺が奴を追って壺を取り返しますので、お2人はこの人を連れてフューレンまで先に向かって貰えませんか?」

 

「ハンター殿……いいのかね?」

 

「一応リンネさんには相談してみます。……どうですか?」

 

「我々の負担は気にしなくていいが……うむ……」

 

「ハンターの旦那!ありがとうございやす!何卒、宜しくお願ぇしますだ!!」

 

 それから兵士二人に付き添われて、年配の男はようやく馬車を動かす事になった。

ハジメはさっと踵を返してリンネの馬車の近くまでいって事情を話す。

彼女は軽く「おっけ~」と承諾して、ハジメは急いで装備を整える。 

しかし老山龍砲に手を伸ばそうとして――――――

 

「壺を取り返すんなら、ボウガンは危ないんじゃない?」

 

「………ですよね……はぁ……」

 

「落ち込まない落ち込まない。ほれ、ちゃっちゃと選ぶ!」

 

 ボウガンの弾が万一にでも壺に当たったら全てが終わりだ。

そう指摘されてハジメはガクッと肩を落として新しい武器を選ぼうとする。

打撃系の武器(ハンマーや狩猟笛)も危険で、爆発系の武器(ガンランス、剣斧)も陶器に対してはNG、鉱石武器などもってのほかだ。

結局ハジメが選んだのは取り回しのいい片手剣の”ボーンククリⅡ”だった。

 

「それじゃ、いってきます」

 

「南雲!気を付けてね」

 

「あぁ」

 

南雲ハジメが採取クエスト[お騒がせ掻鳥を追え!]を受注しました。

制限時間は15分です。

クエストを開始しています――――――

 




 壺回収が目的なので採取となってますが、狩猟と大差ないかも?
まさかの登場して一話でお役御免となった老山龍砲……大丈夫だよ!今回が条件からイレギュラーなだけだから!まだまだ活躍の場あるから!!

感想、質問、ご指摘等お待ちしております!

初期で構成していたプロットより大幅に話数が増えてしまったので、本作を第一部として続編(2nd的な)を作り本作を完結させようか迷ってます。(それで投稿ペースが遅れる等はありません)

  • 続編にして
  • このまま話数増やしてもいいんじゃね?
  • 打ち切りはヤメロォ!
  • もっと周りの話補完して♡
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