イナズマイレブン 転生したらホモだった   作:トツキトウカ

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始めます。


愛すべきサッカーバカ

 雷門中に入学して中学校生活にも慣れた頃、今日も今日とて俺は生徒会の仕事をしていた。夏未お嬢様が言ったようにいくら仕事をこなしても次の日にはたくさん仕事が溜まっており、未だにサッカー部に顔を出すことすら出来ていなかった。

 

 

 これこそ学業に影響が出るだろうと思ったのだが周りをよく見てみると、俺の仕事量が一番多い気がした。それを指摘してみようかとも思ったが、自分の仕事をやってから帰ると言った手前、なかなか言い出せずにそのままずるずると続けていた。

 

 

 それでも俺は転生した分、彼らよりも長く生きていてこういった作業の経験も多くしているので、時間の制約が無いの彼らより、早く帰ろうと仕事に励む俺の方が終わるのは早い。と言うか普通に中学生がこなしていいレベルの仕事じゃないだろ。さすが超次元な世界である。

 

 

 そうして今日の分の仕事を終わらせると、既に他の部活動をしていた生徒たちも帰り始めていた。俺も早く帰らないと日課の自主練や勉強の時間がなくなってしまう。そう思って帰宅の準備を始めた。

 

 

 

「……さすが星宮君ね。あれだけあった仕事をこんなに早く終わらせるとは、私が見込んだだけのことはあるわね」

 

 

 

「ありがとうございます。では、僕は今日はこれで。お先に失礼します」

 

 

 

「あら、もう帰ってしまうの? そんなに急がなくても、せっかく早く終わったのだから少し休んでから行ったら?」

 

 

 

「いえ、僕は帰ったらやることがありますので、早く終わった分の時間はそちらに使おうかと思います。それでは、お疲れ様でした、夏未お嬢様」

 

 

 

「そう、お疲れ様。星宮君」

 

 

 

 ……行ってしまったわね。全く、毎日毎日よくも飽きずに早く帰宅するわね。それにしても、いつまで彼はあの呼び方をするつもりなのかしら。さすがにクラスではしてこないようだけれど、もしかしたら嫌がらせのつもりなのかしら? ……やはり生徒会へ強引に入れたのは失敗だったかしら? 

 

 

 

 私でさえ満点は取れなかった入試で満点を取った子がいると聞いて、自分とどちらが優れているのか試してみようと思ったのがきっかけだった。だけど生徒会での彼の働きは誰よりも多くて、私でさえもその仕事量には追い付くことが出来なかった。

 

 

 それでいて彼は仕事にまるで興味無い様子だった。普通あれだけの仕事量を成し遂げたら、もう少し仕事に対して何かしら感じることがあるように思うのだけれど、淡々と仕事をこなした彼からはようやく帰れるといった感情しか感じられなかった。

 

 

 だけどそれでも彼は仕事に手を抜いたことはないし、そのクオリティは誰よりも高い。作業態度もいたって真面目なものだし、やりたくないという言葉さえ一度も聞いたことがない。

 

 

 なぜ彼は私に従っているのだろう。最初は反発してくるだろうと思っていた。確かに脅しはしたが、彼ならば抗おうと思えばいくらでも手段はあったはず。仕事をこなしても彼にメリットはないのだからボイコットしてもいいし、あえて仕事のクオリティを下げることだって出来るはずだ。あるいは生徒会そのものを内側から攻撃する方法だってある。もちろんやらせるつもりは無いけど、確実に仕事は滞るはず。そうなってしまえば私も彼を生徒会から追い出すだろうし、彼は合法的に生徒会を辞められる。私もそこまでして彼が辞めてしまうなら仕方ないと思っていた。

 

 

 だけど彼は私の生徒会への勧誘を断った時以外、一度も抵抗してこない。仕事であれば何でもやるし、辞めようとする素振りすら見せない。何か嫌がらせや妨害工作などするわけでもなく、素直に仕事を続けている。せいぜいお嬢様と呼び続けることと、仕事が終わったらすぐに帰ってしまうことぐらい。

 

 

 あんまりにも無抵抗なので何をしたら文句を言うのか少し気になって、すぐに帰りたがる彼に仕事を増やして帰るのを遅らせようとしてみたけれど、増やす度に仕事の効率が上がってあまり効果は無かった。まあ効率が上がったのは良いことなので仕事は増やしたままにしているけれど。

 

 

 とにかく、彼という人間が理解出来ない。彼が嫌がるだろう事を私はしているというのに、私は彼に嫌われていない。少なくとも、そのような素振りを彼は私に一切見せていない。私から彼に勝負を仕掛けたのにも関わらず彼より仕事で劣っている私に対して、馬鹿するでもなくむしろ敬意を持って接してくれている。もし自分が嫌がらせをされたらその様なことは無い。きっと相手を嫌いになって、何らかの形でやり返すだろう。

 

 

 私より優秀であるのに、面倒な存在であるはずの私を嫌うこと無く、反発もせずに従っている。なぜ彼がそうするのか、私には理解出来ない。始めはただなんとなく目についただけだったのに、今では彼が私に対してどう考えているのか、何を感じているのか、それが気になって仕方がない。最初は私が彼を試しているはずだったのに、いつの間にか彼に私が試されている様な気さえした。

 

 

 

 *

 

 

 

 ふぅ、やっと終わった。帰ったらすぐに自主練を始めないと。ある程度は許してくれるが、あまりに遅い時間だとさすがに両親が怒るからな。

 

 

 それにしても、夏未お嬢様はどうするべきか。あれから事を荒立て無いように彼女の命令に従うようにしていたのだが、最近はますます目を付けられている気がする。仕事もきちんとこなしているし、言葉遣いにも気を使っている。お嬢様呼びは、まあ趣味だ。普段から言われ慣れてそうなのだが、俺がそう呼ぶと同級生からは呼ばれるのは慣れてないからか、彼女は少し恥じらいの表情を見せるのだ。生徒会には貴重な時間を費やしているのだ、それぐらいの役得はあっていいだろう。

 

 

 やはり仕事で頑張り過ぎていることが問題なのかもしれないが、そればかりはどうしようもない。他の部活動が終わる頃には帰らないと自主練の時間が足りないので、あの仕事量を時間までに終わらせる為には全力でやるしかない。いくら夏未お嬢様でも自主練の時間を削られる訳にはいかない。俺にとって最優先なのはイナズマイレブンの彼らとサッカーをする事で、そのサッカーの時間を減らして、もし実力が足りなくなれば本末転倒になってしまう。

 

 

 だが、彼女が嫌いな訳ではない。むしろ好きだ。そもそも原作キャラである時点で、俺からの好感度は一方的にプラス補正がかかっている。彼女に嫌われてしまうことの方が俺は心配だ。

 

 

 彼女のわがままには困ってはいるが、それで彼女を嫌いになることはない。ツンデレお嬢様のわがままだと思ってしまえば嫌な気はしなくなる。

 

 

 それに、優秀過ぎるので忘れがちだが、彼女はまだ中学生になりたてなのだ。それくらいの年頃なら同じくらいのレベルの子をライバル視したり、意地悪をするくらいはあるだろう。

 

 

 今まではその優秀さ故に同年代で彼女の相手になる人がいなかったのだろう。しかし、俺というイレギュラーが図らずも彼女の現在の実力を少しだけ上回ってしまった。そのせいで初めてのライバルに対抗心で意地悪をしてしまったのだろう。そして、意外にも反撃しなかった俺に対してどう接していいか分からず、さらにいたずらを重ねてしまったのだろう。

 

 

 現在の能力では転生というアドバンテージによってわずかに俺が勝っているようだが、将来性という面では彼女に遠く及ばない。あと一、二年して仕事にも慣れてくれば、才能ある彼女はすぐに俺を追い抜いて行くだろう。そうなれば彼女も冷静になって、俺に構うことも無くなるはずだ。

 

 

 それまで少しの間なら、彼女のわがままに付き合うのも悪くない。今俺が彼女に対抗出来てしまっているのは転生などというズルをしている結果なのだから、むしろ彼女に追い抜かれて成長の糧になるのが俺の役割であるとも考えられる。

 

 

 原作のスタートする二年生になるまでには、生徒会を辞めてサッカー部に行くつもりだ。それまでに追い抜かれるかは微妙だが、それは彼女に頑張ってもらおう。その間になんとか円満にサッカー部へ入部出来るように、彼女との関係を改善していかなければならないだろう。

 

 

 

 *

 

 

 

 それからしばらくして、ようやく生徒会の仕事も落ち着いてきた。以前は慣れない仕事で思うように進まずに毎週土日も自主的に登校する有り様で、自分だけ休む訳にもいかず休日返上が続いていた。

 

 

 しかし、さすがに全く休まない訳にもいかず、また仕事に慣れてきて効率が上がったこともあって、少しだが自由な休日が取れる様になった。それによって使える時間が出来たので、念願のサッカー部に行ってみようと思った。

 

 

 その為に生徒会の資料で休日のサッカー部の活動に関するものを探したのだが、いくら探しても見つけることは出来なかった。どうやらグラウンドなどが取れないので部としては活動せず、校外で自主練などをしているようだった。

 

 

 なのでとりあえず彼らが居そうな場所を探して見ることにした。と言っても俺が知っている場所はあまり多くない。原作でも彼らの普段の様子はあまり描写多くされていなかった。

 

 

 そこでまずは鉄塔へ行ってみる事にした。この鉄塔は稲妻町のシンボル的存在であり、イナズマイレブンの主人公である円堂守が原作で特訓をしていた場所としても有名である。ここなら彼に会える可能性は高いだろう。

 

 

 今までも生徒会の仕事が終わった後に行ってみた事はあったのだが、遅い時間だったので彼に会う事は出来なかった。しかし今日はまだ日も高く、彼がいてもおかしくないだろう。

 

 

 

 鉄塔前に着くと、果たして彼はいた。ちょうどあの特訓をしているようだ。

 

 

 彼がしているのは、大きなタイヤを木の幹にロープでくくりつけ、振り子の要領で押して戻ってきたタイヤを受け止める、というのをさらにタイヤを背負いながらやるという頭のおかしい特訓だ。これを見てキーパーの練習だとは誰も思わないだろうが、実際に彼はこの特訓で必殺技を覚えることになるので馬鹿には出来ない。

 

 

 そんな特訓をしばらく眺めていると、一息つこうとした彼と目があった。せっかく会えたのだから話しかけてみようと近寄ると向こうから声をかけられた。

 

 

 

「……ん、どうしたんだ? 俺に何か用か?」

 

 

 

「いや、なんかすごく危なそうな事しているなと思って。大丈夫? けがしたりしない?」

 

 

 

「ああ、これはじいちゃんのスゴ技特訓ノートに書いてあった、キーパーの練習方法なんだ! だから大丈夫だ! この練習でじいちゃんみたいなスゴ技を身につけて、すっげえゴールキーパーになるのが俺の夢なんだ!」

 

 

 

「ゴールキーパー……もしかして君、サッカーやってるの?」

 

 

 

「ああ、もちろん! 俺は雷門中のサッカー部でキャプテンをやってるんだ! まあ、サッカー部はまだ出来たばかりで部員も三人しかいないんだけどな」

 

 

 

「ああ、それは知ってるよ、僕も雷門中の生徒だからね。君がサッカー部のキャプテンだったのか。実は僕も小学生の頃はサッカーをやっていたんだ。だから雷門中に入ってサッカー部が無いって知った時はショックだったけど、新しく出来たって聞いて前から気になってたんだ」

 

 

 

「そうなのか! じゃあ、サッカー部に入って一緒にサッカーしないか? 今はまだ部員は少ないけど、これから部員を集めて来年こそはフットボールフロンティアに出場するんだ!」

 

 

 

「……誘ってくれてありがとう。でも僕、生徒会に入っててさ、生徒会と他の部活を兼部するのは仕事が忙しくて難しそうなんだ。だから今サッカー部に入るのは無理だと思う」

 

 

 

「う、そうなのかー。確かに委員会とかってめんどくさそうだもんなぁ」

 

 

 

「うん。だからね、二年生になったら、サッカー部に入ろうと思うんだ。一年生の間は忙しくて難しいかもしれないけど、二年生になったらきっと仕事も減るだろうし、そうなったら生徒会を辞めてサッカー部に入れるようになると思う。その時は、僕もサッカー部に入れて欲しい」

 

 

 

「!! ああ、もちろん大歓迎だ! その時は一緒に、サッカーやろうぜ!」

 

 

 

「うん! それと最近は少しだけ休みが取れる様になったから、もしよかったら時間が合う時は一緒にサッカーの練習をしない? 君のしていた特訓っていうのも気になるし、一人で練習をするよりずっといいと思うんだ」

 

 

 

「もちろん、俺も練習相手が欲しかったんだ! 一緒にやってくれるなら大歓迎だぜ! 一人でやるより二人でやる方が、サッカーは楽しいもんな! そういえばまだ名前を言ってなかったな。俺は円堂(えんどう)(まもる)、よろしくな!」

 

 

 

「僕は星宮望太、こちらこそよろしく!」

 

 

 

 よし、とりあえず円堂守と知り合うことが出来た。しかもついでにサッカー部入学の事まで話すことも出来た。さらに休みの日は練習相手になってくれるということでいいことずくめだ! 彼の特訓ノートにも興味があるし、その話もいろいろ聞いてみたい。

 

 

 

 それからその日は、日が暮れるまで一緒にサッカーをした。タイヤの特訓も試させてもらったが、なんとか耐えることが出来た。原作で彼の活躍を支えた特訓なので、これから一緒やらせてもらうのも良いかもしれない。

 

 

 普段はどのような練習をしているのか聞いてみると、ここで特訓したり河川敷で練習したりしているらしい。他の部員についても聞くと、染岡さんや半田は最近はだんだんとやる気がなくなって、あまり練習に付き合ってくれないそうだ。木野さんもいるが、マネージャーだけでは練習が出来ないのでサッカー部としての活動もあまり出来ていないんだそうだ。

 

 

 それから特訓ノートを見せてもらったが、やはり独特の字で書かれていて俺には解読出来なかった。円堂には読めるようなので内容を教えてもらい、様々な特訓方法を知ることが出来た。これが実践出来れば実力アップにつながるはずなので、出来るだけ再現出来るか試してみようと思う。

 

 

 

 そんな充実した休日を過ごしていた俺だが、あの事件の日は着々と迫ってきていた。




主人公は基本的に原作キャラには甘いです。多少いじわるされてもスパイスとして、むしろ自分を気にかけてもらえている事に喜びます。本気で嫌われたらへこみますが、嫌悪感程度ならむしろご褒美かもしれない。

主人公はまだ必殺技を覚えていません。とりあえず覚える為の準備はしていますが、今までは影山に目をつけられたくなかったのと、実際に必殺技をみたことがないのでそれが実在するのか、あるいは自分に使えるのか、などといろいろなことを考えて結局試していません。


キャラクター紹介のコーナー

円堂守 イナズマイレブンの主人公でキーパー、キャプテン。サッカーやろうぜ!の一言で多くの登場人物を魅了するカリスマ性を持つ。宇宙一のサッカーバカで熱血漢だが礼儀正しく周囲に気を使うことも出来る愛すべき人物。Mではないかと疑惑が出るほど練習や強敵が好き。

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