イナズマイレブン 転生したらホモだった 作:トツキトウカ
始めます。
「おい、何を見ている」
先ほどから、チラチラとこちらを見ていた少年に対して、威圧するように話しかける。よく見ると、さっき自己紹介していた少年であるようだった。
新入りか、どんなやつかわからないし、警戒しておいた方がいいだろう。先ほどからなにやら挙動不審であったし、もしかすると孤立している自分たちを見て、なにかよからぬことを企んでいるのかもしれない。
「え、えっと、その」
「なんだ」
話しかけると、なにやら焦っているのか、さらに挙動不審になる。ますます怪しい。やはり、自分たちになにかおかしなことをするつもりなのではないだろうか。彼の中で疑念はますます膨らみ、警戒を強める。なにかあった時、妹を守ることができるのは自分だけなのだ。自分がしっかりしなければ。
幸い、幼いころからサッカーをやってきたので、体力には自信がある。サッカーは、時には体と体がぶつかり合う、ハードなスポーツだ。いざという時も、同い年ほどの子どもたちに負けるつもりはない。
孤児院の他の子たちもそれがわかっているのか、最近はわざわざ自分たちにちょっかいをかけてくる者はいない。最初の頃はしつこく仕掛けてくる者もいたが、今では近づかれることもない。この新入りさえ対処できれば、また平穏無事でいられるだろう。
「こちらを見ていたのはわかっている。言いたいことがあるならばはっきりと言え」
追い打ちをかけるようにさらに一歩、詰め寄る。こんなやつに自分たちの平穏を壊させたりしない。
「と、友達に、なりたいな、って」
「は?」
「いっいや、だから、友達に、なりたい、です……」
友達だと? 俺たちの油断を誘って騙しうちをするつもりか? しかし、すでにこいつが怪しいやつであることはわかっている。なにか裏があるはずだ。こんな言葉に乗る必要はない。
「残念だが、俺は友達になるつもりはない。友達が欲しいなら、他のやつにしろ」
相手にするつもりはないと、冷たく突き放す。まだ幼いとはいえ、未来の帝国のキャプテンにここまで威圧をされ、突き放されては、大抵の子どもたちは退却をするしかなかった。
しかし、幸か不幸か、目の前の少年は普通の少年ではなかった。見た目は少年だが、中身は全く別人の魂が入り込んでいるという、特殊な経歴の持ち主であった。そしてそんな彼にとって、目の前の兄妹は特別な存在だった。
そのことが、今まで撃退されてきた子どもたちとは違う結果をもたらした。
「……違う」
「違う? 何が違うんだ?」
「友達が欲しいっていうのは、そう。
でも、誰でもいいって訳じゃない。
僕は……君たち二人と、友達になりたいんだ」
*
ふぅ、なんとか落ち着けた。いきなり話しかけられて、テンパって変な感じになっちゃったな。ていうか就学前の子どもが出していい威圧感じゃないだろあれ。最初は普通に緊張してたけど途中から別の意味で緊張感あったわ。
確か、あの兄妹も飛行機事故で両親を亡くしたはずだから、妹を守ろうと必要以上に周囲を警戒しているって感じだな。それまでとは環境もガラリと変わっただろうし、いきなり頼れる大人がいなくなったら、自分がしっかりしなければってなるのは仕方ないのかもな。
なればこそ、仲良くなりたいと思う。個人的な欲求ももちろんあるけど、彼らがもう少し、リラックスできるようにしてあげたい。普段からあのままじゃ、精神も身体も疲れるだろうし、なんとか彼らが安心して暮らせるようにできないだろうか。そのために、少しでもいいから力になれないだろうか。
「どうかな? ……僕がまだここにきたばかりだから気付かないだけで、知らないうちに気分を悪くするようなことことをしてしまって、怒ってらせてしまったなら、ごめんなさい」
とりあえず、こちらに悪意はないことをアピールしよう。警戒されていたみたいだし、少しずつ誤解を解こう。
「君たちに何かしたりはしないよ。ただ仲良くなりたいだけなんだ」
「……何が目的だ」
「目的? ……うーん、わかんないけど、でも仲良くなりたいって思ったんだ! 一緒に遊びたいって」
難しく考えることはない。自分は子どもなのだから、子どもらしく純粋に、思ったことを言えばいい。彼らだってまだ子どもだ。心のどこかでは、遊びたいと言う気持ちもあるだろう。
「……ならさっきも言っただろう。他のやつと「違うの! 二人と一緒に遊びたいの!」……」
……ちょっとあざとくし過ぎたか?
おや、
「あのね、お兄ちゃん。私も一緒に遊びたい」
キター! 春奈ちゃんの援護射撃! 妹のお願いに鬼道は耐えられるのか!?
「いや、しかしな」
頼む、春奈ちゃん! もう一押し! いけ、いけー!
「お兄ちゃん、私あの子、悪い子じゃないと思うよ。本当に仲良くしたいだけだと思う。……ねぇお兄ちゃん、お兄ちゃんも一緒に、遊ぼうよ!」
「……」
黙ったー! 勝ったな(確信)
「ほら来て、お兄ちゃん。よろしく、
「……高島有人だ」
「有人くん、春奈ちゃん、よろしく!」
「ねえねえ、望太くんはスポーツとかやってる? お兄ちゃんはね、サッカーがすごい得意なの!」
よっしゃー! なんとかうまくまとまったー! ほとんど春奈ちゃんのおかげだけど結果オーライ! 二人もだいぶ力が抜けてリラックスしているし、案外きっかけさえあればなにもしなくてもなんとかなってたかもな。
あとはせっかくのイナイレ世界だしサッカーしたい! 鬼道と練習できればそれだけで大きくレベルアップできそうだな。あ、でも鬼道兄妹がまだ一緒ってことはそのうち影山が来るのかな? 帝国かー、それよりは王道の雷門でフットボールフロンティア優勝したいな! 鬼道も途中から雷門来るだろうし。じゃあ、鬼道が影山につれていかれるまでは大人しくしているか? 万が一影山の目に止まったりしたら強制帝国ルートか、断れても目をつけられて、最悪潰しにくるかもしれないし。いやでも鬼道と練習できるアドバンテージは捨てがたい。そもそも超次元サッカーって一般人に可能なのか? 才能が必要とかだったらどうしよう。だとしたらうんぬんかんぬん……………………
書いてくうちに鬼道がどんどんシスコンっぽくになっていった。ごめんな、鬼道。
主人公は入れ替わるまでの洞木望太としての記憶を知識としてはもっていますが、記憶ではないので両親を失ったことに関して鬼道兄妹と真に共感することはできません。後で両親のことを聞いた鬼道兄妹側からは一方的に共感を持たれます。ちなみに主人公の入れ替わるまでの記憶も、今はもう知識として保存されています。なので、これから経験していくことが主人公ホモ君としての記憶となります。
用語紹介のコーナー
フットボールフロンティア 中学サッカーの頂点を決める大会。どうやら何十年も優勝し続けている有名な学校があるらしい。原作第一部ではこれで優勝するのが目標。