イナズマイレブン 転生したらホモだった   作:トツキトウカ

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本文書き終わって後書きを書いている時が一番筆が進む。
もっと本文も進めばいいのに。

始めます。



厄介な客

 あれから、鬼道兄妹とはよく遊ぶようになった。俺はそもそも彼らと仲良くなりたかったし、彼らは以前までのことを引きずっているのか、他の子とはまだ距離があるようだった。

 

 

 しかし、しばらくすれば自然と他の子たちとも交流が始まり、特に春奈ちゃんは積極的に馴染もうとしていた。鬼道はまだ距離を置こうとしていたが、孤児院のみんなは以前より近寄りやすくなった彼を放ってはおかなかった。今まで我慢していた分を取り返すかのように、積極的に話しかけていき、鬼道も徐々に彼らの一員となっていった。

 

 

 

 

 

 

「それでね、午後はみんなでサッカーやろうってことになったの! もちろんお兄ちゃんたちも一緒にやるでしょ?」

 

 

 

「ああ、たまにはこいつ以外のやつとやるのも悪くない」

 

 

 

 口ではそんな風に言っているが、その表情からはわくわくしているのが伝わってくる。そんな彼が周囲と馴染んでいるのを嬉しく思いつつ、自分も参加することを伝える。

 

 

 

「やったー! それじゃあ私はみんなに参加するって言ってくるね!」

 

 

 

 そう言うと春奈ちゃんは、他の子が集まっている方へ走っていった。彼女は自分だけでなく兄のことも気にかけて、お世辞にも人付き合いの上手くない彼をよくフォローしていた。彼が孤立することなく馴染めているのは彼女の力によるところが大きいだろう。

 

 

 

「……洞木、あの時、俺たちに友達になって欲しいと言ってくれたこと、感謝している。……今、春奈が楽しく過ごせているのは、お前のおかげだ」

 

 

 

 唐突に、鬼道が感謝を伝えてくる。しかし、それは自分の力ではないだろう。彼女や鬼道の努力があってこそ馴染めているので、俺は単なるきっかけに過ぎない。そのきっかけもさえも、あの時俺がなにもしなければ彼らは自分たちでつかんでいたはずだ。

 

 

 

「いや、仮にそうだったとしても、今の俺たちがあるのはお前のおかげだ。ありがとう」

 

 

 

 そう言いながら、鬼道はこちらをまっすぐ見て、一度頭を下げた。そして頭を上げると、少し恥ずかしそうに顔を背けて、やがて逃げるように妹のあとを追っていった。

 

 

 

 あの時俺がなにもしなくとも、彼らはきっと自力で乗り越えることができただろう。彼らが笑い合うことができる未来を、俺は知っている。だがそれでも、彼らの力になれたこと、感謝されたことが、俺はただ純粋に嬉しかった。

 

 

 

 *

 

 

 

 洞木望太としてこの孤児院に来てから、いくらかの年月が流れた。今日も俺は、鬼道と共にサッカーに励んでいた。

 

 

 鬼道のサッカーの実力は凄まじかった。もちろん知識として知ってはいたが、それを実際に目にすることで、改めて凄さを実感している。

 

 

 ここに来てからは毎日のように鬼道と練習をしているが、追い付けるビジョンが全く見えない。最初の頃はボールに触るくらいは、と思っていたが、鬼道がボールを持つと、未だに翻弄されてしまうのだ。結局、彼の持つボールに触ることは今日まで出来ていない。

 

 

 そんな俺だが、全く成長しなかった訳ではない。孤児院では一応、鬼道の次に上手くなっている。才能がないということではなさそうで、ひとまず安心している。

 

 

 とは言ってもやはり鬼道との実力の差は歴然であるし、気にしていたような、目立って鬼道と共に影山に目を付けられると言うのは杞憂だったかもしれない。だが一応対策として、今すぐの成長よりも将来の上達のために基礎の体づくりを中心にやってみたり、ポジションをキーパー含めてまんべんなくやって偏りをなくしてみたり、鬼道のプレーを見て彼と離れた後に使えるよう一つ一つノートにまとめてみたりと、出来るだけ目立ないように気を付けていた。

 

 

 

 

 

 

 そんな無駄な警戒をしながら日常を過ごしていたある日、孤児院に厄介な客が現れた。最初は院長に会いにきた普通の客だと思っていたが、どうやら鬼道について話をしていたようだ。どこから聞きつけたのか彼の実力を知っており、自分ならばその力をもっと上手く利用できるから自分に引き取らせろ、そうすればこの施設に資金援助をしてやる、ということのようだ。

 

 

 もちろん院長は断ったが相手は激昂し、何を思ったか自分の部下とサッカーをして、自分たちが勝ったら引き取らせろ、さもなければ孤児院がどうなっても知らないぞ、などと言い出した。

 

 

 

 いやそうはならんやろ。

 

 

 

 しかし話を聞いていた鬼道が出てきて、孤児院に被害を出すまいと思ったのだろう、相手の提案、というか脅しを受けてしまった。

 

 

 

 なっとるやろがい! 争いがあればサッカーで決着をつける。さすがイナイレ世界。

 

 

 

 

 

 

 ということで、厄介な客の部下 VS 鬼道率いる孤児院の子どもたちで、五対五で時間内により多く点を取った方が勝ちのミニゲームをやることになった。初めは、鬼道一人で戦うつもりだったようだが、さすがにおかしいとなって俺も含めて参加することになった。そもそも大人対子どもの時点で大分おかしいのだが。

 

 

 だがこの時点で俺は、俺たちの勝利を確信していた。ルールを決めている間、アップをしている部下の人たちの動きを見ていたのだが、どうみても鬼道の相手になるとは思えない。確かにフィジカルは凄そうだが、テクニックは素人に毛が生えた程度でお世辞にも上手いとは言えない。あれでは、既に天才ゲームメーカーの片鱗を見せている鬼道のプレーについて行けるとは思えなかった。

 

 

 それを踏まえて鬼道と相談し、俺は自分がキーパーをすることを提案した。どのポジションも一通りやっていたおかげでキーパーだけなら鬼道よりも少しだけ上手く、孤児院で一番だったからだ。それでも本当に少しなのだが。あいつキーパーの練習とかしてないのに。なんでだ。

 

 

 鬼道も相手の様子を見て賛成してくれた。フィールドは自分一人で十分だと思ったのだろう。正直、今の俺の実力では部下の人たちにどの程度通用するかわからないし、例え通用したとしてもあのフィジカルに複数で来られたらひびってしまいそうだ。それならば、キーパーの方が活躍できる。どのみち鬼道が点を取れば勝ちだし、俺が点を取られなければ負けないのだ。かくして俺の案は採用された。

 

 

 

 試合は終始一方的な展開だった。鬼道は相手を翻弄し、隙をつくってシュートを放ち、その度にネットを揺らした。厄介な客は怒り狂っていたが、部下たちにはどうにも出来なかった。彼らと鬼道とでは、そもそもレベルが違うのだ。途中、厄介な客がラフプレーを指示した時はヒヤリとしたが、鬼道は何事もないようにプレーを続けて相手を圧倒し続けた。最後には彼らにスタミナ切れを起こさせて戦意を喪失させてしまい、結局キーパーの俺に出番は回ってこなかった。結果的に最初のまま鬼道一人でも問題なかったな。さす鬼道。

 

 

 しかし、厄介な客はそれでも納得しなかったようだ。部下たちを強引に立ち上がらせ、鬼道を捕まえて無理やりにでも連れて帰ろうとする。

 

 

 

 だが、その行動に待ったをかける人物が現れた。

 

 

 

「そこまでだ」

 

 

 




なんという都合のいいタイミング。まるでどこかから事態の推移を見ていたかのようだなぁ。一体誰なんやろなぁ。

主人公の実力はサッカー未経験からなのを考えるとでむしろ凄い方。でも周囲がそれに気付くのはまだ先です。鬼道さんは気付いていますが、主人公が目立ちたくないのを察しているのか、黙っています。やだ、なにこのイケメン。

やっと孤児院での生活が楽しくなってきた鬼道さんに新たなる試練が襲いかかる。彼が安らかな生活を送れるようになるのは、いつになるのだろうか。
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