イナズマイレブン 転生したらホモだった 作:トツキトウカ
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始めます。
あれから鬼道は無事、影山に引き取られて行ったのだが、それまでにひと悶着あった。春奈ちゃんは自分が見捨てられるのだと思ったらしく、兄に対してつらく当たるようになったのだ。だが、鬼道と俺の必死の説得もあり、なんとか誤解を解いて彼が孤児院を離れるまでに仲直りをすることができた。
そうして、鬼道がいなくなってからしばらく経った。兄がいなくなった後の春奈ちゃんは今までにないほど静かで寂しそうであったが、俺や孤児院のみんなの協力もあり、時が経つにつれてもとの元気な姿が見られるようになった。というか、孤児院の子たちは春奈ちゃんを励ますのがとても上手かった。今までも他の子の仲の良い子が引き取られるような例があったからだろうが、鬼道に対して俺に任せろ的なことを言った割には、俺は大して活躍出来なかった。良いんだけどね、春奈ちゃんは元気になったから。
それと、鬼道がいなくなった後から春奈ちゃんが俺のこともお兄ちゃんと呼ぶようになった。この兄妹は仲が良く、一緒に過ごしている時間も長かった。俺も鬼道と一緒にいることが多かったので、必然的に春奈ちゃんと俺も一緒にいる時間が長くなっていた。
そして、両親を亡くしてからも一緒だった兄と生まれて初めて離れて、無意識に兄を求めるうちに、その兄と一緒の時間を過ごしていた俺を重ねたのだろう。
お兄ちゃんと呼ばれるのは正直恥ずかしかったが、俺も妹のように思っていたのは確かだし、それほどまでに懐かれているのだと思うと素直に嬉しかった。
しばらくすると、一時期のように頻繁に呼ぶことはなくなったが、やはり兄が恋しくなるのだろう、今でもたまに呼ばれることがある。兄妹が再開できる日が来るのはまだまだ先の話だが、それでも一日でも早くその日が来るのを祈らずにはいられなかった。
さらに月日が流れ、春奈ちゃんもすっかり元気を取り戻して楽しい日々を過ごしていた頃、ついにその春奈ちゃんにも引き取りの話がきた。
引き取り先の音無さん夫婦はどちらもいい人たちで、特にお母さんの方は、あの音無春奈の母親であるというのがしっくりくるような、そんな明るい家族だった。
春奈ちゃんは最初少し戸惑っているように見えて、もしかしたらこれ以上知り合いと離れるのを嫌がるかもしれないと心配したが、それは杞憂であった。徐々にお父さんお母さんに懐いていき、ついに引き取りが決定した。
「じゃあね、望太お兄ちゃん。元気でね」
「うん、春奈ちゃんも元気でね」
「……」
「そんな顔しないでよ。住む場所は変わるけど、お父さんとお母さんはいつでも遊びに来ていいって言ってくれたんでしょ? ここのみんなに会いたくなったらまた来ればいいよ」
「……うん」
「それに俺も有人との連絡係があるから、春奈ちゃんとはこれからも会えるからね。たくさん遊べば、有人に話せることも増えるから、いろんなことをしていっぱい遊んじゃおう」
「……うん、分かった」
「よし、じゃあ今日はおしまい。また次のときに一緒に遊ぼう。春奈ちゃん、またこんど!」
「「「またこんどー!」」」
「!! うん! みんな、またこんどー!」
たくさんの子どもたちに見送られながら、この日、音無春奈は新たな一歩を踏み出した。
*
鬼道が去り、春奈ちゃんも引き取られた、我らが孤児院。ここでは今、空前のサッカーブームが到来していた。
鬼道がいた時から何度も孤児院のみんなでサッカーをすることはあったが、それはどちらかというとサッカーをしたい鬼道の為に影に日向にサポートしていた春奈ちゃんの影響が大きかった。そして鬼道がいなくなった後も、残った俺の為にサポートを続けてくれていた。
だがその春奈ちゃんがいなくなった以上、もうみんなでサッカーをやることは自然と減るだろうと思っていた。だがここにきて、今までにないほどの盛り上がりを見せてきたのだ。
初めはなぜ鬼道がいなくなっているこのタイミングで? と疑問に思ったのだが、これにはちゃんとした理由がある様だった。
鬼道がいた頃は経験者もいなかったので初心者ばかりで、その中でテクニックも才能もある鬼道はやはり頭一つ抜けていた。そのためどうしても鬼道を中心とするサッカーになってしまい、鬼道 VS 鬼道以外のみんな、のような邪道な楽しみ方にしばしばなってしまっていた。鬼道も始めは周りに合わせようとしていたが、その方が練習になることもあって、最終的には諦めてそのまま続けていた。
だが鬼道がいなくなってからはより王道なサッカーが出来るようになり、それぞれの実力もついてきたことでより深くサッカーを楽しめるようになった。そしてちょうど春奈ちゃんが引き取られた後のタイミングで、サッカーブームとして起こったのだった。
正直、このタイミングでのブームはありがたかった。今までの練習相手だった鬼道もいなくなり、春奈ちゃんのサポートもなくなっては、いよいよ一人での練習しか出来ることがなかったからである。たまに練習に付き合ってくれる子もいたが基本は反復練習なのでどうしても飽きるし、技術を身に付けても試す場が無くて困っていたのだ。
そしてこのブームは俺に、更なる幸運と出会いをもたらした。
*
「はい、じゃあ今日は他の施設のみんなが遊びに来る日です! みんなが到着したらまずは元気良くあいさつをしようねー!」
「「「はーい!」」」
はーい! ということで最近のブームによって、孤児院の人たちが対外試合を組んでくれました。やったぜ! サッカーブームだけでもありがたかったのに、まさかこんなサプライズがあるとは。しかも相手はかなり上手いらしく、大人顔負けのプレーを見せることもあるのだとか。サッカーチームではないということらしいが、とにかく上手い相手に飢えているのだ。今のうちに経験を積んで、雷門中で活躍したい!
それに上手いということは、原作キャラも一人くらいいるかも、という淡い期待もあった。今まで鬼道と春奈ちゃんで満たされていた原作成分が不足しだして、ミーハーごころが新たな原作キャラ、新たなるミーハーを求めていたのだ。
「あ、見て、来たみたいだよ!」
その声に反応して窓から外を見ると、門の外に一台の大きなバスが停まっているのが見えた。うちの孤児院にはそもそもバスはないので、相手はうちよりも裕福な施設なのかな、などとぼんやりと考えていた。
「それじゃあみんな外に出て、きれいに並んでね! 私があいさつしたらそれに続けてみんなで元気にあいさつすること!」
先導に従って外に出ると、小さな招待客たちは既にバスから降りて庭で整列を始めていた。対抗心からか、こちらの子たちも急いで整列をしだしたので、俺も合わせるように急いで列に加わった。
「はい、みんな揃ったー? それじゃあまずはあいさつをしましょうね。お日さま園のみんな、こんにちはー!」
「「「こんにちはー!」」」
「「「こんにちはー!」」」
こんにちはー! って、お日さま園!? お日さま園ってあの!?
「今日はわざわざ来て頂いてありがとうございます。本来ならお誘いしたこちらから伺うべきでしたのに」
「いえいえ、こちらこそお招きありがとうございます。孤児院事業はなかなか資金繰りが厳しいものですから。こういった所ではお互いに助け合うべきしょう」
おい、子どもたちに生々しい話を聞かせるな! いやそうじゃなくて! お日さま園と言えばフットボールフロンティア後に襲来する、エイリア学園のメンバーがいた孤児院だったはず。……よく見ると、確かにどれも見たことある顔ばかりだ、と言うか引率の先生も瞳子監督じゃねーか! 確かに原作キャラに会いたいと言ったが、雷門を越えてエイリア、しかもお日さま園ごと来ることは無いだろ!
どうしよう、いや、どうしようもないが。存在感を消そうにも今この孤児院で一番サッカーが上手いのは俺だし、一番今回の試合を楽しみにしていたのも俺だ。動きがおかしければすぐみんなにバレるだろう。
一応、エイリア編の後は和解して一緒にサッカーをすることになるから、ここで知り合っても大丈夫か? 問題無いのか? ……うーん、分からん! だが全く関わらないというのは無理だろう。仕方ない、なるようになれだ。とりあえずいつも通りサッカーをすることにしよう。
「それではさっそく準備をして始めますか」
どうやらもう試合を開始する様だ。色々と衝撃的で混乱しているが、彼らとの試合が良い経験になるのは分かっている。将来強大な敵として立ち塞がる彼らと今やれるのだ、これを無駄にする手は無い。まずはこの試合で出来ることをしよう。
みんなでサッカーをする時に関してですが、低いレベルに合わせるのは鬼道より主人公の方が上手いです。主人公は最初そんなに上手くなかったし、上手くなる過程でも定期的に彼らのレベルに合わせる機会があったからです。もちろん鬼道ほどスキルの差が圧倒的で無かったのもありますが。
唐突にお日さま園を出してみましたが、孤児院つながりで出せそう!出したい!ってなったので出しただけです。なのでエイリア編でどう絡ませるかはまだ考えていない。まあまだ子どもの頃の話だし、最悪忘れられてることにすれば問題無し!
途中までお日さま園のことをひまわり園って書いていました。どこだよそれ。主人公が原作に全く出て来ない園の名前で驚く頭のおかしいやつになるところでした。
孤児院に関しては基本的に想像で書いているので、何かおかしな点があればご指摘下さい。