そうだ、先生になろう。   作:鳩胸な鴨

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サブタイトル通りです。
彼がずっと「自分がヒーローだ」と言っていたのは、ある種のオマージュと戒めです。

先生は本当に出番が少ないです。

先生「キレそう」


緑谷出久こそがヒーローなのである。

人工的に個性を作る。

僕が思いつかなかった道であり、僕が選ばなかった道。

その道の成れの果てが、僕の目の前に立つ女の子。

 

 

「西暦3015年。人工的に、尚且つ科学的に作り出された個性因子…『セルフギフト』。

それを医療用の自己修復細胞に結合させ、生まれたのが私です」

「セルフ、ギフト…?」

 

 

彼女がそう語ると共に、僕の腹に蹴りを繰り出す。

ナノマシンを密集させ、使い捨ての防壁を作り出し、それを受け止める。

彼女は僕の追撃を嫌ってか、すぐに距離を取った。

 

 

「つまり、私の存在自体が『個性』であり、『生物』なのです。

個性因子の働きを打ち消しても無駄ですよ。

私の細胞ひとつひとつが、個性因子が結合し、性質が変化した特殊細胞ですから」

 

 

瞬間。彼女の指から、熱線が放たれた。

まずい。避ければ麓の街が消し飛ぶ。

ナノマシンで防壁を作り、その熱線の軌道を空へと逸らす。

防壁が消えた先には、融解したアスファルトがあった。

 

 

「…っ!?いったい、どういう…!?」

「セルフギフトは、自然発生した個性の規定には当てはまりません。

セルフギフトは『個性因子そのものに置き換わる存在』。

 

 

要するに、『想像した個性を自由に扱える』んですよ」

 

 

「っ、ンなデタラメな…っ!?」

 

 

個性の強大さは、無個性の僕が一番よく知っている。

世間一般で言う、弱個性の一つでも厄介だというのに。

未来の人間は、どういう意図でこんな物騒な物を作ったんだ!?

 

 

「こんなのは、どうですか?

『国ひとつ焼き尽くせる炎の個性』と、『火がそばにあるだけで、核爆発並みの大爆発を起こす個性』」

 

 

 

いくらなんでも、デタラメが過ぎるだろ!!

 

 

 

まずい。

シリウスの耐久度なら痛くも痒くもないけど、このままじゃここら一帯が消し飛ぶ。

彼女の放つ炎と光が合わさる前に、僕は声を張り上げた。

 

 

「MESSIAH!!隔離フィールド展開!!」

『了解。範囲設定は?』

「半径十メートル!!他の生物を押し出す形で展開して!!」

 

 

大規模な被害を阻止するためのフィールド。

遮断性のバリアによって構築されたそれが、僕と彼女を覆う。

瞬間。メインカメラが爆炎に覆われた。

 

 

「…おぉ。すごい。これで融解してないとは、流石は隕石もへっちゃらな特殊合金。

じゃ、この『想像した破壊兵器を生み出す個性』でお相手しましょう」

「っ、フィールド拡大プラス硬度最大まで強化!!半径五百メートル!!」

 

 

フィールドを最大まで拡大し、迎え撃つ準備をする。

何か「どわぁ!?」って悲鳴と激突音が聞こえた気もするが、気にしてる余裕がない。

彼女が武装を生み出すと共に、僕もヘーパイストスの武器庫から武器を召喚する。

さらにイズク2号…ペルセウスを分解し、シリウスに装着させた。

…正直、これを出す事態にはなって欲しくなかった。

 

 

「武装、『オーディン』…。

…BURST STYLEと、ペルセウスが合わさった状態でのこの武装…。

使う機会なんて無いと思ってたけど…」

「へぇ…。これなら、イケそうですね」

 

 

彼女が言うと、禍々しい装飾の鎌が、手のひらから形成される。

MESSIAHの計算によれば、一振りで大地に亀裂が走るほどのエネルギーを秘めている。

あの馬鹿力で振り下ろされたソレをモロにくらえば、最悪シリウスが破壊される。

イズクジェネレーターのエネルギー供給速度をさらに引き上げ、槍を構える。

 

 

「行きますよ、ヒーロー!!」

 

「……来い。僕が、ヒーローだ!!」

 

 

鎌と槍が激突する。

エネルギーとエネルギーのぶつかり合いで放たれた雷が、地面を抉りとる。

力のぶつかり合いを制したのは、僕だった。

 

 

「ジャスティス…グン…グニル!!」

「そのダサい技名、なんとかなりません?」

 

 

が。僕の刺突は、空ぶった。

 

 

「この時代の週刊誌なら、『噂のヴィジランテ、謎の生命体に敗れる』…とでも書かれそうですね」

「かっ……!?」

 

 

彼女の蹴りが、防壁なしの僕の腹に突き刺さる。

僕が吹き飛ぶのを待たず、地面が融解するほどのエネルギーを放出しながら、彼女が僕に迫る。

 

 

 

「これで、救われる」

 

 

 

彼女がそう言って、鎌を振り下ろそうとしたその時。

 

 

「勉強、不足だったね…。

グングニル、はァ…、相手をォ…っ、必ずゥ…、射抜ぅうううくっ!!!」

「なっ!?」

 

 

僕の手が、勝手に動いた。

槍が彼女の掌を貫く。

これが武装『オーディン』の機能の一つ、『グングニルシステム』。

相手に確実に当たる時に、骨が折れていようが、無理やり僕の体を動かすシステム。

怪我はナノマシンで即座に治せる。

 

 

「…ちっ。素直に死んでくださいよ…。

でないと、私は…」

「…さっきから、何を言ってる…?」

 

 

ポタポタと滴が滴り落ちる。

彼女の掌が、不快な音を立てて元に戻った。

 

 

「ああ、言ってませんでした?

私、この時代で救われに来たんです」

 

 

救われに…?

僕が疑問に思ったのを悟ったのか、彼女はにっこりと笑って答える。

 

 

 

ーーーーーー私、死にに来たんです。

 

 

 

………は?

 

彼女の言葉に、目を丸くする。

言葉すら出ず、僕の舌がちろちろと前歯を舐めているのがわかった。

彼女は鎌をその場で振り下ろし、斬撃をエネルギーとして飛ばす。

僕は咄嗟に、槍でそのエネルギーを打ち消した。

 

 

「最初は、死ぬつもりなんてありませんでした」

 

 

僕のその隙を突き、鎌を振りかぶる。

僕は咄嗟にヘカトンケイルを起動させ、その柄を掴み、投げ飛ばした。

 

 

「『強個性』も、『弱個性』も、『無個性』もありふれていて、平穏に生きている。

そんな歪な時代で、『普通』に生きてみたかった」

 

 

先ほどよりも高威力の熱線が、僕へと迫る。

バリアを生み出すことでなんとか逸らすも、ガラ空きになった脇腹に蹴りが放たれた。

 

 

「個性そのものである私を、『普通』として扱ってくれる世界。

この時代はそういう時代だと思って、脱走してきたんです。

 

最初にあなたを襲ったのも、あの京町セイカとかいう時空監視員を追い帰すためでした。

まぁ、あなたに肉壁をぶっ壊されて逃げたわけですが」

 

 

彼女の言葉に区切りが付くとともに、僕の体に衝撃が走る。

 

 

「『個性撤廃社会』の負の遺産…。

個性型軍事生体兵器『紲星あかり』が、普通に生きられる世界…だと思ったのに。

あのクライシスオーガ…でしたっけ?

アイツ、私とばったり遭遇した時、なんて言ったと思います?」

 

 

 

ーーーーーーバケモノって言ったんですよ。

 

 

 

 

ぞっ。

 

あの目。先生が道徳の授業で怒った時と似ている。

個性…セルフギフトとやらを使ってるわけじゃない。

ただの殺意だけで、こんなにも大きく感じてしまうのか。

 

 

「怒りで前がぐちゃぐちゃになって。もう、どうでも良くなって。

自殺しようかなって思ってた、その時でした」

 

 

 

ーーーーーーヴィジランテ『SAVER』のニュースを見たのは。

 

 

 

濃密な殺意が、僕に襲い掛かった。

 

 

「いやぁ、最初に会ったときは、京町セイカに夢中で気付きませんでしたよ。

まさか、この時代に『個性撤廃社会の礎を築いた人間』が居たなんて…。

あなたにまた会いたくて、私はこの分かりやすくて、尚且つ人を払いやすい場所で、あなたを待つことにしたんです」

 

「なんの話だ?」

「惚けないでください。

治療用ナノマシン…これを知らないなんて言わせませんよ」

 

 

イズクメタルと同じパターンか。

なんにせよ、僕が築いたもの全てが、彼女の時代においては普及しているのだろう。

でも、なぜここで治療用のナノマシンが出てくるのだろうか。

 

 

「あのナノマシン…細胞の一つ一つの除去が可能なそうですね?

その気になれば、『個性因子の切除』も可能だとか。

実はそのマシン、未来じゃ超重要になってるんですよ」

「………まさか」

 

 

いや、待て。

考えるな。僕がやってたことが、こんな…。

 

 

「未来では、個性因子の切除が義務付けられています。

でも、個性の強大さを知った人類が素直に従うでしょうか?」

 

 

こんな…。こんな…!

 

 

 

ーーーーーーあなたのせいなんですよ。私が生まれたの。

 

 

 

 

こんな、残酷な未来に繋がってるなんて…!

 

 

 

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

 

 

 

「…バイタルから見て、緑谷先輩の心が折れました。

折れることはないって思ってましたけど…」

 

 

東北さんが、絞り出すように言う。

彼の心は強靭だ。それこそ、ちょっとやそっとじゃビクともしない。

だが、自分が「悪を生み出した」という事実を目の前にすれば、話は別。

ヒーローである彼にとっては、辛い事実だったろう。

 

 

「…彼はまだ中学一年生。折れることだってあります」

「だ、大丈夫なんですか…?助けに行った方がいいんじゃ…」

 

 

京町セイカがおろおろとした調子で、僕に問いかける。

東北さんも同じ思いなのか、僕をただ、じっと見つめていた。

 

 

「先ほど送ったメッセージを、強制的に開かせるだけで十分です」

「…それだけ?」

「大丈夫ですよ」

 

 

 

ーーーーーー彼は君たちが心配するような、立ち上がれない人間じゃない。

 

 

 

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

 

 

 

絶望のあまり、全身から力が抜ける。

僕がヒーローを目指すことが、彼女を生み出した。

しかも、生体兵器?

冗談じゃない。僕の科学は、僕の努力は、そんなことのために積み重ねたわけじゃない。

 

 

「だから、あなたを殺して歴史を変えます。

個性という兵器に生まれ、なにもかもに縛られた私が生まれない…そんな素晴らしい未来に」

 

 

そうか。

彼女もまた、自分らしく在ることが許されなかった人間なのか。

彼女が鎌を振りかぶる。

 

 

 

ーーーーーーぼ、僕だってヒーローを目指してもっ…!

 

 

 

ーーーーーーあぁん!?クソデク!!いい加減夢見るのやめろよ、むこせーが!!そういう態度が一番ムカつくんだよ!!

 

 

 

僕が、僕のような人間を生み出していたなんて、笑えてくる。

 

 

 

ーーーーーーこの力で、僕も最高のヒーローを目指せます!

 

 

 

なにが、なにが「最高のヒーロー」だ。

彼女が鎌を振り下ろそうとする。

そうだ。抵抗するな。僕がやってたことの責任は、ちゃんと…。

 

 

 

 

『君は誰ですか?』

 

 

 

 

ふと。シリウスのディスプレイにメッセージが浮かぶ。

届いた時間からして、僕が戦いにMESSIAHの機能を回していたから、見る暇もなかった。

僕が誰かって…?

 

 

「…しっかりしろよ、僕…!!」

 

 

ああ、そうだ。忘れちゃいけない。

言ってたじゃないか。

 

 

「さようなら、偉大なる男」

 

 

彼女の鎌を、右手で受け止める。

ざくり。

シリウスの防壁を抜けて、僕の右手が切り裂かれる。

まだ千切れてないだけマシだ。

痛みで泣くな。未来の絶望に屈するな。

自分に言い聞かせるように、僕は口を開く。

 

 

「前をっ、見ろォ!緑谷出久ゥウっ!!」

 

「…諦めると思ってたんですがね」

 

しっかり、彼女の顔を見ろ。

あの悲しそうな顔。あの苦しそうな顔。あの悔しそうな顔。あの辛そうな顔。あの絶望し切った顔。

良く見ろ。彼女を、しっかりと。

 

 

 

「目を、逸らすっ、なァ…!!

僕が助けるっ、人間をォ…しっかりとォ…、見ぃ、ろォォオ…!!」

 

 

「……は?」

 

 

彼女がぽかん、と口を開ける。

その隙を突き、僕はその鎌を握りつぶした。

 

 

「…っ、一体、どういう…?」

「もう、我慢しなくていい」

 

 

カセットを『BURST』から、『TANK』に。

『オーディン』の槍を分解して、僕の全身に纏わせる。

攻撃は捨てろ。今は、彼女を受け止めろ…!

 

 

「存分に泣いていい。存分に怒っていい。

大丈夫。僕が、全て受け止める…!」

 

 

 

 

 

ーーーーーー僕がヒーローだ。

 

 

 

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

 

 

なんだ、コイツは。

目の前に立つ、私を生み出した原因とも言える男の姿が変化していく。

 

なにがヒーローだ。

怒りが膨れ上がるのがわかる。

お前のその遊びが、私を生み出したんだぞ。

その反省もせず、なにがヒーローだ!!

 

私の考えうる限り、最大最強の個性を作り出す。

 

 

「…『宇宙創生並みの爆炎を起こす個性』」

 

 

もういい。この星ごと焼き尽くして、歴史を終わらせる。

私の掌で、炎が燃え盛る。

これを放てば、この世界が終わる。

私は怒りのままに、その炎をヒーローを名乗るクソ野郎に向けて放った。

 

 

「最終防衛プログラム、起動!!」

 

 

無駄だ。私のこの炎は、この星を塵一つ残さず焼き尽くす。

すぐに消炭になるだろう。そう思っていた、その時だった。

 

 

「………は?」

 

 

私の炎が消えたのは。

あまりの驚きに、私は目を擦り、もう一度ヤツを見る。

ゴツゴツとした無骨な鎧に、背から形成された、幾千もの腕。

その掌の一つ一つには、彼の胸にある物と同じ光が宿っている。

 

 

「イズクジェネレーター最大出力を一万個。

どれほど大きな怒りだろうと、受け止めてみせる」

 

「…っ、どこまでも私をイラつかせますね、貴方はァ!!」

 

 

叫ぶと共に、拳を握る。

 

 

「『拳だけで全てを破壊する個性』!!」

 

 

殺す。この人間だけは、この男だけは、私が殺さないといけない。

 

 

 

ーーーーーーやった!勝ったぞ!流石は個性兵器!!彼女は我らのヒーローだ!!

 

 

 

ーーーーーーうるさいなぁ。頭がお花畑な君にも分かりやすいように言ってやる。

要するに、君は用済みなんだ。安心して死ねよ、バケモノ。

 

 

 

あんな悲しい世界を作り出したコイツは、絶対に殺さなきゃ。

私が拳を振るう。彼の腕の一つがそれを受け止める。

 

 

 

「…出せよ、声。

僕が全部受け止めるって言ってるんだ」

 

 

 

がちゃり。

彼の仮面が脱げる。そこには、そばかすが目立つ地味目の男の子が居た。

 

 

 

「辛いとか、苦しいとか、全部を受け止めて、認めてやる…!

だから…っ、全力で叫べよ…!!」

 

「なにも、何も知らないくせに!!」

 

 

 

くそっ。なんで。なんで笑ってるんだ。

 

 

 

「こんな体に生まれたくなかった…!!

 

普通に可愛いお洋服やお化粧で、目一杯お洒落して!!

 

普通に美味しいご飯をお腹いっぱい食べて!!

 

普通にぐっすり寝て、普通に起きて!!

 

普通に好きな人と恋して、結婚して、子供産んで!!

 

普通にお母さんになって、普通に孫の顔を見て!!

 

普通な人生を送って死にたかった!!」

 

 

 

許さない。許さない!!

私を普通に産まなかった世界を作ったお前を、私は絶対に許さない!!

 

 

 

「なにがヒーローだ!!

 

私を拒絶する奴らが、そう言われて称賛されてるのが心底ムカつく!!

 

お前もそうだ!!私をこんな体に産んだ世界を作ったのに、なにがヒーローだ!!」

 

 

拳を何度も振り下ろす。

もう個性なんて関係ない、ただの私の拳。

それだけでもバケモノと言われた私の拳を、彼はただ受け止めた。

 

 

 

「…君。本当は生きたいんだろ」

 

 

 

…………は?

 

拳が止まる。

コイツ、今、なんと言った?

体が震える。じわじわとヤツの言葉を理解するたび、気持ち悪い感覚が、私の胸をざわめかせた。

 

 

「君は、死ににきたんじゃない。

受け止めてくれる人を探しにきたんだろ。

ヒーロー飽和社会のこの時代に」

 

 

「……うるさい」

 

黙れ。それ以上言うな。

 

 

 

「僕のスーツ…シリウスを、個性でハッキングすることもできたはずだ。

そうしないってことは、期待してたんだろ」

 

 

 

「…………うるさい」

 

もう、何も言わないで。

 

 

 

「でも、君は兵器という境遇から、こう思ってたんじゃないのかい?

『私を助けてくれるわけがない』って」

 

 

 

 

「……………うるさい」

 

うるさい。くそっ。なんで。なんで…。

 

 

 

 

「だから、歴史を変えて死ぬことを『救い』だと思った」

 

 

 

 

「………………もう、やめて」

 

なんで、コイツは…。

 

 

 

「大きな声で言ってみてよ。

『助けて』って。

僕が、君の全部を受け止める」

 

 

 

 

この人は、私の渇望したものが分かるんだ。

 

 

 

 

「…助けてよ…。

 

助けてよぉ!!

 

 

人殺ししかさせてもらえなかった世界から、私を連れ出してよ!!

 

私に、普通を教えてよぉ!!!

 

なんで、なんで誰も助けてくれないの!!!

 

こんなに苦しいのに、こんなに悲しいのに、こんなに辛いのに!!!!

 

誰も私を助けてくれなかったぁ!!!!!」

 

 

 

ぼろぼろと、熱いものが流れる。

人生でただの一度も流したことのなかったそれが、涙であることに気づかなかった。

彼はしゃがみ込むと、スーツを脱ぎ、その小さな体で私を抱きしめた。

 

 

 

「大丈夫だよ。僕が、助けに来たから」

 

 

「……っ、うあ、ぁぁあ……っ!!」

 

 

 

私は大声で泣いた。

私を抱きしめる彼は、私に今まで居なかった存在。

 

 

 

ーーーーーーあかり。辛いときは、大きな声で助けを呼べ。

きっと、ヒーローが来てくれるさ。

 

 

 

 

この人が、私のヒーロー。




この章はまだ終わりではありません。
あと少しだけ続きます。

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