ああ、愛しの勇者さま -TS転生して勇者に惚れたのでどんな手を使ってでも落そうと思う-   作:ちいたまがわ

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ガンガン攻めるタイプのTSっ娘を書けば世界が平和になるはずなので書きました。


文字通りぷにロリなんでね、わたくし。

 

 

「んー、ま、こんなもんかな……。」

 

 夜も更け、よい子は眠る丑三つ時。月明かりだけが照らす薄暗い部屋の中、姿見を見ながらひとりつぶやく。

 

 映っているのは大事なところを全く隠せていない薄手のベビードールを着た銀髪の少女。お胸もお尻もそれはもう見事な絶壁つるぺったんな体にこの服装は、さすがにちょっとアンバランス、というか犯罪臭がすごい。

 

 だがオレは、それこそが男共の情欲を煽るのだということを知っている。いつの時代もどこの国でもインモラルはエロい。きっと愛しのユウマもオレに劣情を抱くだろう。そしてもちろんその先は……。ぐへ、ぐへへへ……。

 

 おっといけない。よだれなんて垂らしてちゃあ、美少女はやってけないぜ。確かに世の中にはそういう頭のネジが足りない女の子が好き、とか言うやつもいるが、あいにくオレはそんなコメディなヒロインじゃないからな。正統派ですよ正統派。

 

 垂れるよだれをじゅるりと吸い込み、にやけて緩む口元をきゅっと引き締める。はい可愛い、はい美少女。

 

 すました顔を見れば、確かに『銀の妖精』なんて頭がゆだってるとしか思えないイカれた二つ名を付けられたのもうなずける。普通の格好をしていれば、中身を知らないやつらがオレの事を清楚で可憐な少女と勘違いしても無理はない。……ないか?ほんとに?

 

 しかしまあ、自分で言うのもアレですけどね、……やっぱオレ可愛いわ。

 

 さらさらの透き通るような銀髪に、ぱっちりくりくりな青いおめめ。傷一つない絹のようになめらかで白い肌。お腹がちょーっとぷにぷにしてるのはご愛敬。文字通りぷにロリなんでね、わたくし。

 

 しかし思えばこの体になってからずいぶん経った。なんだかんだ言って、慣れるもんだ。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 一年半前、オレ、如月 怜(きさらぎ れい)はごくふつーの()()高校生をしていた。勉強も平凡、運動も平凡、家族も友達も平凡。平々凡々な男だった。けどまあ全部平凡ってことは、むしろそれなりに恵まれていたんだとは思う。

 

 そんな平凡なオレの日常は唐突に終わりを告げた。最後に覚えているのは、トラックにはねられた事。骨のきしむ音と内蔵が小気味良くぱんと割れる音を聞き、あ、これ死んだわー。そのまま意識はブラックアウト。

 

 気が付くとオレは、見知らぬ原っぱに一人寝ころんでいたのだ。

 

 あるえー、ここどこ、どうなってんだこりゃ。そう思いながら起き上がると、どうにも体の様子がおかしい。目線は低いし体は軽い、なによりジョニーの感覚がない。服装だっていつもの学ランじゃなくて真っ白なワンピース。変態にでも襲われたのか?そんな不安が頭をよぎる。

 

 警戒しつつ辺りを見渡すと、きれいな川があった。自分の姿を見てみろ、と言わんばかりに澄みきった川。おっかなびっくり水面に近づきそっと覗き込んでみると、そこにいたのはオレとは似ても似つかん美少女だったってわけだ。

 

 いやー、面食らったね。具体的に言うと泡吹いて倒れた。あと漏らした。はわわわわ、とか初めて言った。人がほんとに泡を吹くってこともその時初めて知った。

 

 今思えば、川に向かって倒れなくてよかった。意識失ってぼちゃんしてたらそこで終わってましたよ、新たな二度目の我が人生。

 

 目覚めてもっかい確認しても、やっぱり体は女の子。ジョニーはどこにもいなかった。享年16歳。幸い河原で石はたくさんあったから簡素な墓を建ててさめざめと泣いた。合掌。南無。

 

 ひとしきり彼の喪に服したあと、俺はようやく事態を理解した。これはあれだ、異世界転生(TS)だと。酔ってんのか、そう思うかもしれない。しかし実際オレは転生していたのだ。だから酔ってない。

 

 この世界はなんか剣と魔法のいい感じの世界で、言葉なんかもいい感じに通じた。食べ物もおいしいし、水回りも衛生的。地球に戦争仕掛けてきた火星人みたいに、空気が体に合わず毒になるとかもねえ。

 ビバ、イージーモード。ふぉうー。

 

 TS転生、しかもとびっきりの美少女と来ればそりゃもうハチャメチャな未来を予想しましたよ。

 魔王と戦ったりすんのかなーとか、チート能力でスローライフすんのかなーとか、男共に言い寄られんのはやだなー、できればかわいい女の子とゆりんゆりんしたいなーとか。それはもういろいろと。

 

 まあ、そんな予想のいくつかは当たっていた。

 今オレは勇者パーティの一人として魔王軍と日夜戦っているし、チートとまではいかないがそれなりに力も持っていた。男にも女にもきゃーきゃー言われた。照れるぜ。

 

 まあね、ただね、一つだけね。完全に予想外だった事があったわけですよ。

 

 そういう作品があるのも知ってましたし読んだ事もありましたけどね、だって、まさか自分がそんな風になるなんて思わないじゃあないですか。

 

 オレは普通の男子高校生だったんですよ?でっけえおっぱいが視界に入ればそっから視線が外せない普通の男子高校生。パソコンの新しいフォルダー(6)には二桁GBのエロ画像が詰まった普通の男子高校生。

 

 いやーまさかね、そんなオレがね……。

 

 勇者様に惚れてしまうとはね……。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 話は冒頭に戻る。オレが娼婦もびっくり痴女間違い無しなスッケスケのドスケベベビードールを着ているのはそういうことである。

 そう、これから愛しの勇者様、ユウマに夜這いを敢行するってことですよ。

 

 今オレの住んでいるこのお屋敷は、さるお貴族様からの依頼をこなしたときにいただいたもの。勇者パーティみんなで住んでるおうちだ。つまりは狙いの勇者様、ユウマもオレと同じ屋根の下にいるってわけ。

 

 そーっと自室を抜け出して、抜き足差し足で廊下を進む。お目当てのユウマの部屋はオレの部屋の隣だ。すぐにドアの前に辿りついた。ちょっと背伸びをしてドアノブをひねる。が、少し回したところでガチ、と小さな音。それ以上は回らない。

 

 ……あれ、鍵掛かってる?

 昨日まではそんな事無かったんだけどなあ。

 おかしいなあ。なんでやろなあ。

 

 とはいえここで諦めるオレではない。たったこの程度の障害が、恋する乙女の猛進を阻めるだろうか。阻めはせんぞ。ノープロブレム、もーまんたい。

 

 こんなこともあろうかとユウマの部屋の合鍵を作っておいたのだ。内緒で。

 足のつけねに手を伸ばす。小さな鍵を取り出し、そのままドアに差し込む。カチャリ。やったぜ。

 

 今度こそともう一度ドアノブに手をかけひねると、ドアは音もなくすーっと開いた。うひょー。

 隙間から顔をのぞかせ中の様子をうかがう。部屋の中は真っ暗。カーテンも閉め切ってるみたいだ。

 

 ユウマのやつ、もう寝てるのか?せっかくならハグとかチューとかして欲しかったのだけれど、まあこれはこれでね。ちょーっとね、アダルティな添い寝をさせてもらうとしましょうかね。

 

 よくよく目を凝らせばベッドに膨らみが見える。うむ、やっぱりユウマはもうおねむの様だ。うへへへ……。

 いやあもう辛抱たまらんな。ベッドに忍び込んでこのちっちゃなお口とおててでユウマのナニをナニしてナニする想像をしただけでよだれが垂れるぜ。二か所から。ちくしょう、ユウマのせいでオレの美少女ポインツが下がっちまう。

 

 部屋の中に体を滑り込ませ、ドアを閉じる。パタンと音が鳴ったが、ベッドの膨らみに動く様子はない。どうやら気づかれてはいないようだ。ゆっくりゆっくりベッドに近づいていく。

 一歩、二歩、三歩。

 ぐへへ……じゅるり。もう手を伸ばせば、ユウマのユウマがそこに……。

 

 違和感。

 いや、ちょっと変じゃないか?

 

 はたして人が寝ているベッドの膨らみとは、こんなに微動だにしないものだろうか。呼吸をすれば腹は膨らむし、たまには寝返りだって打つこともあるだろう。

 しかし目の前のこれは、さっきから全く動いていない。全くだ。

 これじゃあまるであれだ。小学生がひと夏の大冒険をする映画とかでよくあるやつ。小さな子供が夜中に家を抜け出す時、親の目を欺くために、例えばぬいぐるみとか枕とか、そんな風に布団の下に何かを仕込んでいるような……。

 

 ガシリ。

 

 闇の中、横から伸びてきた手にわしづかみにされた。顔を。

 これは……アイアンクロー!!

 

「レイ……、夜中に勝手に人の部屋に入って来て、なにするつもりだ?」

 

 部屋に声が響く。聞き間違えっこない、オレの愛するユウマの声。ただいつもより少しだけ低いような。ようするにだ、……怒ってる?

 

 顔を握りしめられたまま持ち上げられる。足が床から離れた。ぐりんと横を向かされ、少し遅れて体も回る。暗闇の中ユウマと目が合う。オレと同じサファイアブルーの瞳に、オレとは正反対の真っ黒な髪。そしてイケメン。イケメン。ちょっとバタバタしてみたけれどユウマの手が外れる様子はない。顔が痛い。

 

「レイ、だいたいなんでお前が俺の部屋の鍵を持ってるんだ。」

 

 低い声。考える。どうしてユウマは怒っているのだろうか。……さっぱり分からん、皆目見当もつかねえ。だってさあ、こんなに可愛いレイちゃんの夜這いですよ?歓迎こそすれ怒る理由あるか?

 いや昨日も一昨日も、そのまた昨日も同じことして拒否られたけどさあ。昨日は『明日また来たらお前マジで怒るぞ』とか言われたけどさあ。でもそれはあれじゃん。言葉のあやじゃん。ユウマはほんとはこう言いたかったんだろ?『また明日来いよ、ひいひい鳴かせてやるぜ』って。だからお誘いにのってほいほい来たんだけどなあ。

 

 というか正直あれだわ。あんまり頭が冷静に動かない。やーその、ユウマに顔を捕まれてるから、こう、ちょっとゴツゴツしたたくましいおてての匂いがですね、ダイレクトにですね。オレの鼻腔をくすぐるんですよね。えへへ。

 

 ……すんすん。

 

 ああ、いい匂いだぁ……。この大きな手が握る刃に命を救われたことは、一度や二度じゃない。そりゃあ惚れるわ乙女になるわってもんですよ。

 

 アイアンクローをかけられたまま頬が緩む。暗くてよくは見えないけれど、ユウマがちょっと引いてる気がした。ぐすん。

 

 しかしこいつ、こんな程度でうろたえやがって。こんなもんで済むと思ってるのか?大好きな人に顔面をわしづかみにされた女の子が、匂いを嗅ぐだけで満足するわけないだろうが!らぶらぶちゅっちゅしたいんやぞこっちは!不用意に手を出したことを後悔するがいい!くらえ!

 

 ペロペロ、ペロリ

 

「は……?う、うわあぁ!レイお前、お前、マジか!」

 

 ユウマが慌てて手を引っ込め、オレはぽーいと宙に投げ出された。しかしレイちゃんはとっても身軽なので大丈夫。体をひねり、空中でスピン。両の手と足を使い四つん這いで華麗に着地。すたり。10.10.10.10.10.うーん、満点!

 

「はっはっは。マジに決まってるだろうが。大体オレが何しに来たと思ってるんだ?ナニしに来たんだぜ?おててをペロペロするくらいなんでもないんだぜ。」

「ナニしにってなんだよ!……いや、言わなくていい、むしろ絶対言うな。知りたくもない。だいたい俺はお前とはそういうことはしたくないって前から言ってるだろ!」

「そういうこと……?うーん、オレはただ明日の予定をちょーっと確認しに来ただけなんだけどなぁ……。そういうことってどういうことだろうなー、わっかんないなー、教えてほしいなー。ねえねえ教えてー、教えてよー、体にさー、教えろー。」

 

 ねえねえ言いながらユウマの腰に抱き着いて頬ずりしているとげんこつを食らった。いてえ。

 仮にも女の子に対して頭への攻撃が多くない?

 

「……黙れ。そんなアホみたいな服して、予定の相談だとか見え透いた嘘をつくんじゃあない。」

「チッ……。普通のパジャマでも十分可愛いし、狙いすぎずそっちで攻めるべきだったか……?」

「どっちで来ても一緒だ!……とにかく鍵は渡せ、そしたら部屋に戻ってさっさと寝ろ。」

「えっ、鍵渡せって、そんな大胆な……。でも、ユウマが言うなら……。はい、これ、オレの部屋の鍵だから、その、いつでもいいよ……?」

「俺の!部屋の!鍵だよ!」

「あー……。はぁ、期待させやがって。しょーがねえな、ほい。」

「……1個じゃないだろどうせ。全部渡せ。」

 

 察しがいいじゃねえか、ちくしょう。だてに勇者サマはやってねーってか。

 

 ()()()()()()()から鍵を取り出し、ユウマに渡していく。計3個。

 ドン引きされた上ハンカチ越しに受け取られたのでどうしてと聞くと、いや触りたくねえだろと返って来た。百理ある。

 

「よし、これで全部だな?じゃあもうさっさと寝ろ。明日だって早いんだから。」

「そうだな、じゃあ寝ようか。ほら、ユウマ。」

「……どうしてお前はしれっと俺のベッドに入ろうとするんだ。お前が寝るのは俺の部屋じゃなくて、自分の部屋のベッドだからな?」

「……なんでだよー!添い寝くらいしてくれてもいいだろーがよー!」

「嫌に決まってんだろ!何されるかわかったもんじゃないわ!」

「オレ可愛いじゃんかよー!なんでそんなにオレとしたくねえんだよー!オレはしてえんだよー!」

「だあああ抱き着くな擦りつくな腰を振るな!そんなもん!お前が!元々男だったからに決まってんだろうが!!」

 

 昔は男でも今は可愛い女の子じゃろがい!

 

 はーまったく、わがまま言いやがって。ままならねーぜ、人生ってやつはよお。

 

 

 

 




暴走系TSっ娘が書きたかった。
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