ああ、愛しの勇者さま -TS転生して勇者に惚れたのでどんな手を使ってでも落そうと思う-   作:ちいたまがわ

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銀髪幼女、TS銀髪幼女のレイちゃんをよろしくお願いします。


うーんかわいい。テンション高くてかわいい。24なのに。

 

 

 

 先日の夜這いは失敗に終わった。原因はひとつだ。ユウマがオレを女の子として見てくれない、それに尽きる。そもそもどうしてヤツはオレが元男だと知っているのか?答えは簡単だ。ユウマと出会った頃にオレが自分で話したからだ。クソが。何やってんだ。

 

 でもさあ、だってさあ、あいつも同じ転生者だったんだもんよ。この世界でアニメがどーとかお話できる相手、ユウマだけだったんだもんよ。嬉しくなっちゃったんだもんよ。だもんよだもんよ。はー、惚れるって知ってりゃ言わなかったのに、むしろ前世ではアイドルやってました☆とか言ったのに。

 

 あいつが転生者じゃ無かったら他の皆とおんなじ様に、オレの前世がどうなんて話信じなかったのによお。ちなみにあいつは前世と姿が変わってないらしい。なんでだろうね、よくわかんないね。あいつだけ勇者様だしね。時々あいつ両手がビッカビカに光るしね。ほんまなんでだろうね。目からビームだって出るしね。ちょっと怖いね。

  

 しかしオレが元男だってことを差し置いても、こんな超絶可憐なパーペキ美少女に誘われてんだから、さくっと釣られちまえばいいのに。お高く止まりやがって、童貞の癖して。

 

 ……いや、オレも童貞だったわ。そっか、もう童貞捨てられないし、一生童貞確定か。エターナル童貞レイちゃん、ここに参上ってか、はっはっは。

 

 ……視界が滲む。なんでだろうな?

 

 

 ともかく。

 ユウマとオレのらぶらぶならいぶを実現するにはオレをちゃんと女の子として見てもらわねばならん。どうやって奴にオレがメスだと理解させるか、別に一人で考えてもいいが、せっかくオレには仲間がいるのだ。力を借りることにしよう。

 

 

 ◇

 

 

 というわけで、オレは勇者パーティの頼れる紅一点、女神官フェリアのお部屋にお邪魔しているのであった。

 

 ……いや、オレも一応女の子だけどね?自分で自分のこと女の子って言うのに抵抗あるって言うか、正直、ユウマ以外にはあんまり女の子扱いされたくないんですよね。オレがちゅっちゅしたいのはユウマだけなんで。まあそのユウマだけがオレを男として扱うんだけど。ぴえん。

 そしてユウマのために可愛い格好とかしてると、他の野郎どもばっかり寄ってきやがる。てめーらに用はねえ。失せろ。

 

「ユウマくんに女の子としてみてもらう方法、ですか?ふふ、いいですよ、おねーさんがレイちゃんのために一肌脱いであげましょう!」

 

 得意げにそう言って、胸をどんと叩くフェリア。

 うわあ、すっごい揺れてる……。つるぺたなオレにはわかんないんですけど、痛かったりしないんですかね……?

 

 フェリアは白いフード付きのローブを着た、金髪ロングのばいんばいんのお姉さんである。ただなんというか、エロくないんですよね。ばいんばいんなのに。

 露出が少ないとか、体のラインが出てないとか、単純に顔が可愛い系だとか、そのへんもまあ理由の一つだけど、一番はやっぱりその性格じゃないかとオレはにらんでいる。

 フェリアがどんな人間か一言で表すならば、『天真爛漫』ですかね。ころころ笑ったりぷりぷり怒ったり、表情豊かにいろんな感情を見せる彼女を見ればエロとかそんなゲスい方向の考えは吹き飛ぶってことですよ。

 

「レイちゃん、女の子が男の子をオトす手段と言えば、古今東西決まっています。ずばり『手料理』ですよ!」

 

 くるっと一回転してびしりとポーズを決めながらフェリアが吠える。うーんかわいい。テンション高くてかわいい。24なのに。

 

「ほほう、手料理。……でもオレ、ほとんどしたことないんだよなあ。自炊するくらいならコンビニ行くわーって感じだったし。」

 

「こんび……?まあまあ、大丈夫ですよ。こういうのはですね、必ずしも上手である必要はないんですから。」

 

「ほう?」

 

「特にレイちゃんはまだちっちゃいですからね。別にとってもおいしい料理が作れなくたっていいんですよ。例えば手にいくつも包帯を巻いて、いびつな形の野菜の入ったスープなんかを伏し目がちに潤んだ目で差し出す、そういうのがグッと来るんですよ、男の人は。」

 

「なるほど……。なるほど……?」

 

「いいですか、レイちゃん。分かりやすく言うとですね、男の人は、『ああ、この娘は自分のためにこんなに頑張ってくれたんだなあ』、そんな気持ちにさせればもうイチコロなんです」

 

「おおー……!それはなんかわかるぞ……!やー、やっぱフェリアは頼りになるなあ」

 

「ふふーん、これからもバシバシ頼ってくれていいんですよ?やっぱりわたし、頼れるおねーさんですし?」

 

「……まあ言っても、誰かと付き合ったことないんだろ?」

 

「ぅぐっ……。それは仕方ないんですよ!わたしは神に身を捧げてるんですから!だいたいわたし、結構モテるんですからね!?」

 

 

 

 ◇

 

 

 

 愛する女性からの手料理、それはすべての男の夢。

 オレも昔はそうだった。まだ見ぬ運命の女性から、陳腐な発想だが肉じゃがだのみそ汁だのを振舞われる日を楽しみにしていたものだ。

 いや、今でも楽しみにはしてますよ。普通に女の子好きだし。ただまあ今はユウマが最優先というだけで。そもそも男に抱かれるとか、ユウマ以外だったらそらもうお断りよ。のーせんきゅー。ユウマだから抱いてほしいのだ。ひゅー、レイちゃんいっちずー。

 

 まあそれはともかくだ、作戦は決定した。ずばり『ユウマにオレの手料理を振舞い、『あれ……レイってこんなに女の子らしかったっけ……(トゥンク…)』そのままなんかいい感じのムードになってベッドで朝までにゃんにゃんしよう作戦』である。

 

 ところでオレたちの食事はいつも、お屋敷に一人だけいるメイドさん、マーレさん(56)に作ってもらっている。彼女は魔王軍との戦いに忙しいオレたちに代わり、家事やらなんやらを担当してくれる、まあ頭の上がらない相手だ。

 今日はオレがユウマに手料理をごちそうするため、彼女に頼んで晩ご飯の準備を任せてもらった。

 ちなみにユウマ以外のみんなには、悪いが外で食べてもらうよう言っておいた。ユウマには何も言っていない。サプライズの方が燃えるでしょう?とはフェリアの談。できる女は違うぜ。

 

 何はともあれとりあえず料理を作らにゃ話にならん。なんも考えないで台所に立ってみたが、はてさてどこから始めたもんか。

 ……まずは踏み台だな。全く背が足りん。あとエプロン。エプロンを付けた女の子はかわいい。

 

 

 ◇

 

 

 一通り準備を終え、魔法を応用して作られているらしい冷蔵庫的なものを覗く。イモ、ニンジン、タマネギ。鶏肉、卵、鮭。そんな感じにあらゆる食材がごろごろ入っていた。よくわからんシャーシャー鳴いてる紫色したゲル状の何かが見えた気もするが気のせいということにする。うん、あんなの冷蔵庫に入ってるわけないしな。気のせい気のせい。

 

 食材はよし、調味料なんかも存分にあるし、調理器具もオレが名前すら知らないようなものまでいっぱいある。というかなにこれ。ウニみたいに刃がめっちゃ付いてるのあるんだけど。なにこれ。使い方以前にまず持てねえし。異世界はやっぱすげぇや。

 

 まあウニは置いといてだ、これだけ食材が豊富にあれば調理に困ることはないだろう。オレのうろおぼえテキトーレシピならなんだって作れそうだ。

 ふむ……。シチューにしようか。クリームシチューなら牛乳入れれば何とかなるだろ。知らんけど。

 

 

 …

 ……

 ………

 

 

 だいぶそれっぽいものが出来た。ぬったりしてシチュー感あるし、白いし。我ながら見た目は良いとこ行ってるんじゃないか?調理中に鍋の中が現世に顕現した地獄みたいなことになった時には覚悟したが、なんやかんや持ち直した。あの時の赤黒さはいったいどこへ。というかなんであんな色になったんだ。こえーよ。

 えらく甘ったるいことと具材がバカでかいことにさえ目をつむればごく普通のシチューだ。てきとーに作ったせいで軽く五人前はあるけど、それはまあ、やる気に比例したと言うことで。愛の大きさですよ。レイちゃんずラブハートいずビッグ。

 

 シチューのいい匂いでぐぅっとお腹が鳴った。外を見るともう日が暮れている。夕飯にはいい時間だ。

 オレの分とユウマの分、テーブルに木製の器を並べていく。いいよね、木の食器。それだけで暖かみを感じる。美味しさ二割増しだぜー。

 

 うんしょうんしょとお鍋を運んで、器にシチューを注いでいく。

 

 ふんふんふふ~ん♪

 

 やー、こうやって二人分のご飯の準備をしてるとあれですね、夫婦って感じする。うふふ。

 しかし夫婦かあ。ユウマはご主人様って感じじゃねえし、旦那様?ダーリン?……いやーねえな。ユウマはユウマだわ。

 オレはどうだろ。奥さんも若奥様もなんか違うし、新妻かな?いや、幼妻……いや、愛妻がいいな。うん、いいね、愛妻。ラブリーワイフ・レイ。……これはちげえわ、なんかモンスターみてえだ。星4天使族。攻撃力1200。

 

 ふふんふんふ~ん♪

 愛妻レイちゃんの~、愛情たっぷりシチューを~、ユウマにごちそうするんだぜ~♪

 

 ……愛情?

 ……そうかなるほど、愛情か。

 するりとパンツを脱ぎ捨て、ユウマのシチューにまたがる。よっこいしょ。

 

 え、やー、うん、ほら、料理は愛情って言うじゃん?つまりその、愛情を、ね。ちょっとね。いやもう愛情というか、愛を、ね。直接ね。とろりと一滴ね。うん。ひみつのね、調味料として、ね。ユウマも喜ぶと思うし、うん。うん。

 

 

 

 くちゅり。

 

 

 

 ……いや、やめよう。やっぱりこういうのは良くない気がする。前世の母さんとばあちゃんはいつも言っていた。食いもんを粗末にするなと。いくらユウマのためとは言え、食べ物にこんな事をするのはオレの倫理に反する。マーレさん(56)が大事な自分の仕事をオレに任せてくれたのを裏切るわけにはいかない。お前は入れてほしかっただろうが許せ、ユウマ。後で頼めばそのまま飲ませてやるから。

 

 まあ別にわざわざ『愛情』を入れてやらなくたって大丈夫だろう。フェリアだって言ってたじゃないか。男は女の子が自分のために頑張ってくれた姿に感動するって。

 そうだ、オレもそう思う。だったらユウマだってそうだろう。実際オレなりに頑張って作ったんだ。きっとユウマはほめてくれるはずだ。ほめなかったらそいつは偽物だ。殴ろう。

 

 それにシチューはシチューとして、オレはオレとして、それぞれユウマに美味しくいただいてもらえばいいじゃないか。うむ。というか元々そういう作戦だったじゃん。うっかりさん。

 

 ……よし、このまま行こう。小細工無しのオレの手料理を食らわせるのだ、文字通り。そんで天国に送ってやるぜ、こっちは文字通りじゃない。死なないでユウマ。

 

 

 

 

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