ああ、愛しの勇者さま -TS転生して勇者に惚れたのでどんな手を使ってでも落そうと思う-   作:ちいたまがわ

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ヤンデレイちゃんの回


会話ばっかの話にキャラが4人も出ると誰が誰だか!


たぶんそういうプレイなんだと思うぜ俺は。

 

 

 

 というわけで。

 部屋から叩き出されたオレはエルマールと共に酒場で飲んだくれているのであった。へべれけー。フェリアを誘ったところ、用事があるとかで後で合流するとか。

 ちなみにこれはただの飲み会ではではない、反省会である。休んでいる時間など無いのだ。ユウマのお嫁さんになるというたった一つの目標に向け、レイちゃんは日々努力してるんですよ。えらい。可愛い。ほらほらこんなに優良物件ですよ!ユウマさん!

 

「だいたいお前、なんなんだその珍妙極まりない服は。なんでリボンそんな付いてんだよ。」

 

「え、可愛くない?リボンって女の子って感じするだろ。可愛いレイちゃん×可愛いリボンでもう向かうところ敵無しじゃない?」

 

「まあ可愛いっちゃ可愛いが……。で?どうだったんだよ結局、清楚なレイさんよ。ユウマからの扱いはなんか変わったか?」

 

「ふっふっふっ……。それがなー?よだれ拭いてもらっちゃったんだー。えへへー。」

 

「は?……え?清楚に化けるとかそういう話だったよな?」

 

 はー、清楚がどうとか、エルマールは遅れてんなあ。今どき大事なのはバブみなんすよ。バ・ブ・み。バブみを感じてオギャりたい。あの言葉の重みをオレは今日初めて心で理解したね。まあ、こいつは一生誰かにオギャらせてもらえることは無いんだろうなあ……。憐れ、エルマール。

 

「だからー、ベッドで寝てたらユウマに優しく揺り起こされてな?優しくお話してもらってな?よだれ拭いてもらってー、世界一可愛いお姫様だねって言われちゃったんだよー。うへへへへへ。……レアちゃんが。」

 

「は?レアちゃん?……誰?」

 

「あ、思い出しただけでイラついてきた。あいつだけは許せねえわ。なんだろうすっごい腹立って来た。どうすれば殺せるんだろうなあのメスイヌ。なあ教えてくれよエルマール。存在しないけど確かに存在してる奴を殺す方法を。呪い?やっぱ呪い?呪術師とか探したほうがいい?ねえ呪い殺す専門の人とか知らない?いや、自分で呪えばいいのか?藁人形なのか?オレの髪の毛仕込んだ藁人形に釘ぶっさせばいいのか?奴が苦しむならオレがいくら苦しんだってかまわんぞ。あああああああイラつくよおおおおお。」

 

「なになになに。いきなり何。こえーんだけど。目がやべーんだけど。どうしたんだお前。」

 

「いやでもオレの髪の毛でほんとにあいつが苦しむのか?苦しむのはオレだけじゃないのか?一番あいつに馴染みがあるもんって言えば……あ、そっかぁ。あいつを殺すなら、この服燃やせばいいのかぁ。えへへ、なーんだ、簡単じゃん?」

 

 どうしてこんな簡単な事、さっさと思いつかなかったんだろうなあ。ちょっと怒りで頭がおかしくなってたのかもしれない。あのクソアマはこのアホみたいにリボンのついた服が無かったら存在できないんだし、これさえ燃やしちまえばいいんだよな。うん、善は急げ、さっさとあいつをこの世から消し去ってしまおう。ユウマ以外のやつにオレの裸を晒すことになるけど構うもんか。

 

「は?……おいおいおいおい!いきなり何やってんだ!いくらお前でも酒場でストリップはまずいだろ!」

 

 服を脱ぎ始めたオレの腕をエルマールが掴む。止めるんじゃねえ!

 

「放せエルマール!オレはあいつを、レアとか言うメスイヌをぶっ殺さないと気が済まねえんだよ!!」

 

「だから誰だよそれは!だいたいお前が服脱ぐことと何の関係があるんだっつってんだ!」

 

「燃やすんだよ!このあいつの匂いが染み付いた服を!邪魔すんならお前まで燃やすぞエルマール!」

 

「わけわかんねー事言ってねーで、ちょっと大人しくしてろ!」

 

 机に上半身を押し付けられ、両手を背中でまとめられる。身動きが取れない。半分ほど脱いだところでエルマールにきれいに無力化されてしまった。ちくしょう、どうしてエルマールがオレを止めるんだ。正義の名のもとに奴に制裁を下そうとしているだけなのに。ユウマをたぶらかすあいつを殺さないといけないのに。……そうか。

 

「エルマール、お前もあのレアとか言うメスに騙されたのか!目を覚ませ!あいつの中身はただのクソ野郎だぞ!放せ!放せー!はーなーせー!」

 

「はいはーい、お待たせしましたフェリアちゃんですよー……って、エルマールさん何やってるんですか!レイちゃんを無理やり脱がそうなんて!お、女の敵!」

 

「ちがっ!違うフェリア!レイのアホが勝手に脱ごうとしてんだ!やめろ杖を構えるんじゃねえ!」

 

 

 

 

 

 

 フェリアがエルマールにいかずちを浴びせてしばらくのち、オレはぐるぐる巻きのす巻きにされて床に転がっていた。目隠しされて、口には布を噛まされて。えすえむレイちゃん。えろえろだぜー。……とか言ってる場合じゃねえんだ。オレにはやらなきゃいけないことがある。やらなきゃいけない奴がいるんだ。

 

「はー、なるほど。レイちゃんがいきなり服を脱いで燃やそうとするから、エルマールさんはそれを止めていたと。……何言ってるんですか。」

 

「俺だって知らねーよ……。レアとかいう奴を殺すだかどうとか言って、いきなり脱ぎ始めたんだ。こいつの奇行は今に始まったことじゃねーが、今回ばかりはさっぱりわからん。」

 

「もごもご。」

 

「それで、結局どうします?レイちゃんミノムシにしたまんま、家まで連れて帰ります?」

 

「あー……、こういう時はユウマを呼ぼう。あいつならどうにできるはずだ。……たぶん。」

 

「もごもご!」

 

「5割……いえ、7割くらいで悪化する気がするんですけど。」

 

「そんときゃそん時だ。どっちもぶん殴って気絶させて終わりでいーだろ。」

 

「……わたしエルマールさんのそういうところ好きですよ。」

 

「おっ、ひょっとしてフェリアちゃん、俺に惚れちゃってる?」

 

「ないです。」

 

「はい。」

 

「もごもご。」

 

 

 

 

 

 

 さらにそれからしばらく。

 フェリアがユウマを酒場に連れてきたようだ。たとえ目隠しをされていようともオレには声で分かる、匂いで分かる、空気の振動でユウマが分かる。五感の全てが封じられようとも心で分かる自信だってあるね。

 

「それでフェリアさん、俺にどうしろと……」

 

「いやー、わたしもよくわかんないんですけどね?ユウマくんならこう、レイちゃんをいい感じに何とか出来るんじゃないかなーって。」

 

「雑が過ぎる……。いえ、まあ、やってみますけど。」

 

「おらレイ、愛しのユウマ様が来てくれたぞ。」

 

 ぶっきらぼうなエルマールの声がして、目隠しと噛まされた布が外される。あー、空気がおいし……アルコールと煙の味しかしないぜ。酒場の空気はまずいぜ。うえー。ぺっぺっ。

 ころんと体を半回転させて上を向くと、ぐるぐる巻きで転がったままのオレをユウマが見下ろしていた。すごいめんどくさそうな顔で。……ユウマがオレにそんな顔するわけないのに、これもきっとあのレアとかいう女の……。

 

「ユウマ、ユウマ。なあ、この縄ほどいてくれよユウマ。お前をたぶらかそうとした女狐をぶっ殺さないといけないんだ。ユウマがオレ以外の女にあんな態度とるわけないもんな、きっとあいつが魔術とか呪術とか、なんか使ってユウマを操ってるんだ。オレがユウマを助けてやるからさ、早くこの縄を…。」

 

「なんなんすかこれ、怖いんですけど。これどういう状況なんですかフェリアさん。」

 

「レイちゃんが言うにはなんかレアちゃん?とかいう子が、ユウマくんをたらし込もうとした?とかなんとかで……。」

 

「要するに、俺らにゃさっぱりわかんねーからお前に投げてんだ。頼んだぞ、愛しの王子様。」

 

「いや王子様って……。あー、でもだいたいわかった気がする……。フェリアさん、レイはレアって子をぶち殺したいって言ってるんですね?」

 

「そうですそうです。……というかこれで大体わかるんですね、すごいですね。」

 

「な。勇者様ってのはすげーわ。」

 

「勇者ってこういうのじゃない気が……。まあいっか。あー、ちょっといいか?レイ。」

 

 何やら三人で話し合った後、ユウマがオレに再び声をかける。とっても嬉しいんだけど今それどころじゃないんだよ。ユウマを助けてあげなきゃいけないんだ、どうすればいいか分かってるのはオレだけなんだよ。エルマールもフェリアも、分かってないんだ。

 

「ユウマ、今ちょっと忙しいんだ、もうちょっとでこの縄ほどけると思うんだ。そしたらすぐにレアの奴を消せるからさ、それでユウマも元に戻るはずなんだ。オレ以外にあんな顔するユウマがユウマのわけないんだ……。」

 

「そのレアちゃんの事で話があるんだ。……俺はレイがレアちゃんのふりをしてるだけって、初めっから気づいたぞ。」

 

「……え?」

 

「だからな?俺が優しくしたのも、よだれ拭いてやったのも、可愛いって言ったのも、レアちゃんじゃなくて全部お前に向けてしたことなんだよ。」

 

 

 

 

 

 

「ちょっとちょっと、レイちゃんのよだれ拭いたってなんなんですかエルマールさん。何言ってるんですかこの勇者様は。」

 

「たぶんそういうプレイなんだと思うぜ俺は。」

 

「ひええ……。最近の若い子は恐ろしいですねえ……。」

 

 

 

 

 

 

「じゃあユウマ、あれはレアじゃなくて、オレの事を可愛いって言ってくれたの……?」

 

「そう言ってんだろ?」

 

「ほんとに?ほんとのほんと?」

 

「ほんとのほんとだ。あー、そのリボンまみれの服着たレイは可愛いぞ。」

 

「今、ユウマ、オレの事可愛いって……。」

 

「あー、可愛い可愛い。おしゃれしたレイはもうすっごい可愛いぞー。」

 

「えへ、えへへへへぇ……♡」

 

「ほら、じゃあ帰るぞ。可愛いレイ。おーよしよしよし、可愛いなー。可愛い可愛い。」

 

「……♡」

 

 ユウマがオレの事をひょいと肩に担ぎ上げ、酒場を出る。可愛い可愛い連呼しながら。うぇへ、うぇへへへへぇ……♡ 顔が熱い、体が熱い、心臓がどきどきするよぉ……♡ あれだ、脳みそがふっとーしちゃうよぉ♡ えへ、えへへへへ……♡

 

 

 

 

 

 

 

「おー、すげーなあいつ。……見た目は完全に人さらいだが。縄ほどいてやりゃいいのに。」

 

「ああやってレイちゃんの顔を自分の背中側にするように持つことで、自分のめんどくさそうな顔を見られないようにしてるんですねえ……。でもユウマくんがあんなに可愛いって言ってあげるなんて珍しい。」

 

「適当にベラベラ言ってるせいで、あいつ後で後悔するんだろうなあ……。」

 

「経験談ですか?」

 

「……経験談だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一晩中可愛いって言ってってねだってたらキレられた。本当はレイだって気づいてなかったわボケって言われた。

 悲しみと憎しみの炎でレアちゃんの服は燃やした。なんか意識がすっきりして、炎の中からぎえええって声が聞こえた。あの服も呪われてたのかよ。こえーよ。レアちゃんってなんだよじゃねーよ、オレだよ。自分に嫉妬して殺そうとするとかイカれてんのか。呪いって怖いわ。もう二度とあの店には行かん。

 

 






解説

ユウマは普通に気づいて無かった。
服はおもっきし呪われてた。リボンの内いくつかはお札という古典的なやつ。呪いは嫉妬心を増幅する呪い。
呪いの装備の多い異世界だぁ…。


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