ああ、愛しの勇者さま -TS転生して勇者に惚れたのでどんな手を使ってでも落そうと思う-   作:ちいたまがわ

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サブタイで品性を使い果たしたので内容はいつも通りです。


満月に焦がれて

 

 

 

 先日の……なんだっけ。オレは何をしようとしてたんだ結局。まずは弱みを握ってイチャコラしようとして?清楚になればいいんじゃないってなって?バブみを感じて?オレが病んで?ユウマにあやされて?うん、まあだいたいこんな感じか。

 

 ……いやわけわかんねえなこれ。どういうことだよ。まあもうなんでもいいか。全て過ぎ去ったことだ、めんどくせえ。よかったことだけ考えよう。よかった探しは大事。人生はポジティブに行こう。

 

 そうだな、バブみだな、よかった事と言えばね。ばぶー。ばぶばぶばっぶー。あーなんかばぶばぶ言ってるとすごい落ち着くなー。ばぶばぶ言ってればすべてが許される気がするー。ばぶばぶー。ばーぶー。ばっばばばっば、ばーぶー。

 

 ……真面目に考えよ。

 バブみ、バブみかぁ。あれだな、人にお世話されるのがあんなに気分いいとはなあ。や、パパがユウマだからよかったんだろうな、うん。やっぱり愛なんすよね。どんなことも。愛する人にバブるあの幸福よ。ユウマにもあの幸せを知ってもらいたい。そう、オレもユウマにバブみを与えたい。これだ。オギャられたい。母性本能の目覚めを感じる。聖母レイちゃんの覚醒。

 

 ユウマにたくさんオギャってもらいたい。ガラガラ振ってあやして上げたい。背中ぽんぽんしてげっぷさせてあげたい。おしめだって替えてやるぞ、ユウマよ!

 ……おしめ替えたらやっぱり見えるよね、そのね、ユウマのユウマがね、でもしょうがないよね、赤ちゃんは自分でお着換えできないもんね。……赤ちゃんユウマのユウマもやっぱり赤ちゃんみたいに可愛いんだろうなあ。すっぽり頭まで隠れてるんだろうなあ。いないいないばぁとかしちゃう?しちゃうか?いないいなーい、ばー!たーべちゃうぞー!ってか?ぐへへへ……。

 

 ともかく。

 オレがユウマにばぶばぶされるためにはやっぱりアレが必要だと思うんですよ。アレが。オレには無くて、全てのママにあるもの。ママじゃないけどフェリアにもあるもの。母性の象徴。すべての赤ちゃんが求めるもの。いや、赤ちゃんだけじゃねえな、みんなだ。男も女もみんな求めてる。オレたちはみんな、あの満月に焦がれているんだ。

 

 

 

 

 

 

 というわけで、オレは勇者パーティの誇る生ける叡知、魔法使いキースのお部屋にお邪魔しているのであった。最近なんか連盟?に呼ばれてたとかで会うのは久々っすね。ちーっす。おひさー。

 

「なに?ユウマをあやしたいからオレのおっぱいを大きくしてくれだと……?いやすまない、僕の聞き間違いだろうか。もう一度言ってくれないか、レイ君。」

 

 苦々しい顔をしながら頭を押さえるキース。どしたの、頭痛いの?大丈夫?

 

「いや、それで合ってるけど。ユウマにばぶばぶされたいんだけどさ、やっぱり母性って言ったらおっぱいだと思うんだよね。でもオレのちっちゃいじゃん?いやお前には見せないけど。だからおっぱい大きくする薬かなんか作ってくれよー。」

 

 キースが頭を押さえたままぐうぅとうめき声を出す。頭痛持ちかな?大変だなぁ。かわいそうに、おーよしよし。

 

 キース、こいつは魔法使いの癖になかなかいいガタイをしたインテリイケメンである。トレードマークはメガネと、裏地にシャレオツな文字がびっしり刻まれたイカしたマント。……あれ、なんかこんなん最近どっかで見たような……。まあどうでもいいか。

 初めてキースに出会ったとき、RPGとかでよく見たような魔法使いの姿に、オレとユウマは感動したもんだ。すげぇ、まじでこんなかっこするんだ、と。

 しかもだ、こいつは期待を裏切らなかった。なんと魔法を使うときにキースはかっけえ詠唱をするのである。マントをばっさばっさはためかせて。本を片手にメガネをクイクイしながら。その上その時、こいつの足元にはめっちゃ光る魔方陣がぎゅんぎゅん回転して、マントの裏の文字はぺかぺか点滅する。

 

 まじでかっけえんすよこれが。そんなんしなくても魔法なんてグッと力込めれば出るのに。その演出無駄なのに。でもそれがむしろかっけぇ……。

 

 そんな感じにキースはなかなか愉快な男である。他にも例えば魔法で空飛べたりしないのって聞いたら、両足から炎噴射して爆笑しながら空を飛び回り始めたりする。あれには正直びびった。ものすげえうるさいし、何より人間の動きじゃなかった。しかもそれから時々戦闘中に飛び回るようになった。面白いけどマジでびびるから飛ぶ前にはなんか言ってほしい。

 

 そして愉快な男ではあるが、キースはすごいスゴい男でもある。いや語彙力ぅ。具体的に言うと大体なんでも作れる。まじで大体なんでも作れる。まじまじ。

 このお屋敷で使っている冷蔵庫っぽいものだってキース作だ。すごい。オレとユウマはキースの事を裏ではドラえもんと呼ぶ。キースえもん。そんくらいすごい。

 だからおっぱいでっかくする薬、なんてものは普通は眉唾物もいいとこだが、キースにかかれば大したことはないのだ。たぶん。たぶん作れると思うよ。頑張れキース。ふぁいとー。

 

「……レイ君、君の言うおっぱいというのは、ひょっとして実は大胸筋の事を指して」

 

「おっぱいはおっぱいだよ、ちーぶーさ。赤ちゃんにミルクあげるとこな?」

 

「……君はまだ幼い、焦らずともいずれ大きく」

 

「うるせー!オレは今がいいのー!今ユウマをばぶばぶさせてあげたいのー!オレがたゆんたゆんなおっぱいで疲れたユウマを癒してあげたいのー!」

 

「……その心構えは悪くない。が、彼を思うなら一旦なにもしないではどうだろうか。非常に言いづらいのだが、僕はそもそもユウマ君の心労のほとんどは君が原因だと思うのだが。」

 

「いやいや(笑)。そんなわけないじゃろがい。あいつがツンデレなだけじゃい。」

 

「……そうか。」

 

「はー全く、キースはユウマの事わかってねえなぁ。……あ、キースお前、さてはおっぱいでっかくする薬作れないからそんなこと言ってんのか?」

 

「む、何を言う失礼な。君は僕を誰だと思っているんだ。作れるさ、ああ、その程度のもの三日もあれば作れるとも。いいだろう、君のその安い挑発に乗ってやろう。……どうせ面倒を被るのは僕ではないのだしな。」

 

「……お前も大概いい性格してるよな。」

 

「せめて君にだけは言われたくないのだが。」

 

 

 

 

 

 

 そしてそれから七日がたったのだった。たったのだった。だったのたった。たったったった。

 

 いや、キースは三日で作れるって言ってましたけどね、ちゃんと三日で作ってくれたんですけどね、色々あって寝込んでたんですよあたしゃ。つい昨日までね、そのお薬の出来る直前の日からね。ほんとに大変だったんですわ、忙しくてね、こっちに来てから最高レベルの大変に濃い数日間でしてね。

 

 やーもう、世界を丸々吹っ飛ばすやべー爆弾が発見されて血で血を洗う争奪戦が起きたり、魔王軍四天王とかいう見るからに強そうなやつらが現れたり、ユウマに光の翼が生えて来て手からはビームサーベルみたいのが出てきたり、とっても盛り沢山だった。イベント詰め込みすぎだよお。

 

 まあそんなことはどうでもいいので置いといてだな。……いや、よくない。いや魔王軍がどうたらとかはどうでもいいけど。羽根つきユウマが大変神々しくてかっこよかったことはどうでもよくない。

 翼がばっさーって生えて後ろからライトで照らしてんの?ってくらい光輝くユウマの姿に、オレは感動のあまり涙を流した。目が潰れた。そしてそのまま気絶して昨日まで寝てた。三日寝込んだ。あれはやばすぎる。もうユウマが神か?ってくらいやばかった。圧倒的な神感。ゴッドの中のゴッド。

 

 輝くユウマにエルマールはガチでひいてた。はい不敬。

 

 ともあれそんな激動の日々は一旦過ぎ去った。つかの間の休息に自室であぐらをかくオレが睨み付けているのは、キースの作ったおっぱいをでっかくする薬、おっぱいいっぱいでっかくなーるである。命名はキース。ネーミングセンスひでえ。何より微妙に韻を踏んでるところが、あいつのドヤ顔が浮かんですげえ腹立つ。オレならデカ乳ドリンクと名付けるね。

 ちなみに同じくキースが名付け親の冷蔵庫の名前はひんやりくんジュニアである。何がジュニアだ何が。ファザーとマザーがどっかにいるってのか。

 

 しかしこのデカ乳ドリンク、大変まがまがしい見た目をしておる。どう見たっておよそ人体に取り入れていいものではない。冷たいくせにゴポゴポ泡立ってるのはいいとして、なんで色が目まぐるしく変わるんですかね。ゲーミングか?ゲーミングドリンクなのか?見てるだけで目がチカチカして痛いんだけど。あいつちゃんと毒見したんだろうな。……するわけねえな!乳がでかくなる薬なんて飲むわけねえわ!被験者1号はレイちゃんです!……こわいよぉ。

 

 とはいえこれを飲まなければオレはセイントマザーにはなれない。まあキースの作ったものだ。たぶん大変な目に遭うことはないだろう。

 

 キースのおかげでジョニーと再会した日の事を思い出す。あいつにもう一度会わせてくれと懇願するオレに対して、ドン引きしながらも()()()薬を作ってくれたキース。オレはその薬を飲み込み、懐かしいあいつの顔を再び見ることが出来た。泣いたね。感激のあまり。

 そしてまあ、その、ジョニーと二人、男の対話をしようとして、……そうだ思い出したぞ!しようとしたのにアメリカンクラッカーがついてなかったせいで出来なかったんだ!いや、やれはしたけど最後まで出来なかった。もうあの時はめちゃくちゃつらかった。薬の効果が切れて彼との別れの時が来るまでの数日、オレはベッドでサルみたいになっていた、ぼろぼろ泣きながら。一睡もできなかった。ユウマとエルマールは目も合わせてくれなかった。フェリアは家出した。キースは逃げた。パーティ解散の最大の危機はあの時だったね。クソどもが。

 

 ……いやダメじゃん。キースの作ったもので大変な目に遭ってるじゃん。これ飲んでいいのか?またあの時みたいに酷いことにならない?でもなあ、オギャってもらいたいんだよなあ……。ママになりたいよお……。

 

 考えてても仕方ねえな。飲むか飲まないかなんだ。せっかく作ってもらったんだし飲むしかあるまい!どんな事になろうとも、おっぱいがでっかくなるのは確実だろ!覚悟を決めろオレ!ええい、ままよ!……ママだけにな、はっはっは。

 

 

 

 

 

 

 

……母だけにな!

 

 ぐびー、ごっくん。……くそまじゅい。

 

 

 

 







きれいなサブタイと最後の抱腹絶倒ギャグがやりたかった。
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