ああ、愛しの勇者さま -TS転生して勇者に惚れたのでどんな手を使ってでも落そうと思う-   作:ちいたまがわ

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最後の方にこの作品で初めての戦闘シーンがあります。
まあ異世界転生して魔王と戦う勇者たちのお話ですからね、そりゃたまには戦闘シーンもありますよ。むしろ遅すぎたくらいですよ。


え、そりゃあそう思っていたが。

 

 

 

 さて。

 不退転の覚悟でキース作、『おっぱいいっぱいでっかくなーる』を飲み干したものの、果たしてこれはどのくらいで効果が発揮されるのだろうか。流石に飲んだ瞬間ばいんばいんになるわけではないらし……痛い!痛い痛い痛い!ちょっと待って!胸がめっちゃ痛い!待って待ってそういう感じ!?いてててて、いや、熱いぞこれ!熱い熱い!痛い!熱くて痛い!いた……ちょっと気持ちいい……?いやそんなことねえ!普通に痛いし熱いだけだわ!ぐお、ぐおあああああああああああ!!誰かたしゅけてえええ!!

 

 

 

 

 

 

 そしてそれから一時間がたったのだった。たったのだった。だったのたった。たったったった。

 

 ようやく胸の痛みは鳴りを潜め、オレに残されたのはもうびっくりするほどばいんばいんになった巨大なおっぱい、つまりは巨乳である。あまりの痛みに涙をちょちょぎれさせながらのたうち回ってる間にばいんばいんになってた。可愛いおべべのボタンはいつのまにかはじけ飛んでました。気づいてたらケンシロウごっこしたのに。もったいない。ほわたぁ。

 なにはともあれロリ巨乳レイちゃん、ここに爆誕。いえー。テンション上がっちゃうぜー。せくしーぽーーーず。Fooooooo。ばいんばいーん。揺れる、揺れるぜー。ふははははは。すごいぞー、かっこいいぞー。下からすくい上げるように持ち上げてー、そりゃー、たっぷたっぷしちゃうぜー。うふーん、あはーん。……やべ、まじで興奮してきた。おいちょっとカメラ止めろ。

 

 

 

 

 

 

 ……ふひぃー。

 いやー、久々に自分()したなあ。女の子になって最初の頃はもうえげつないくらい鏡の前でいたしてたけど、最近はすっかりご無沙汰、ユウマでしかしなくなってたからね。ちょっと懐かしい気持ちになれましたよ。なんかこう、後味がちょっと違うよね。どんなものをオカズにするかで。

 

 さてさて巨乳のすばらしさを再確認できたし、そろそろユウマにこの溢れる母性を見せつけに行きましょうか。ちゃんと色々用意したしね。おしゃぶり、絵本、哺乳瓶、オムツにガラガラ。こんだけあればユウマがどんなふうにぐずってもママがあやして上げちゃいますよ。……あ、おしゃぶりと哺乳瓶しゃぶっとこ。ぺろぺろ。体に悪いもんとか塗ってあったら困るしね。ぺろぺろ。オレは子供の健康に気をつかえる出来るお母さんだね。かわいいね、えらいね。ぺろぺろぺろぺろぺろぺろ。

 

 ……なんかむなしくなってきた。一人でおしゃぶりと哺乳瓶をしゃぶることがこんなにもむなしい事だとは思わなかった。心にぽっかり穴が開いたみたいだ。……あっちの世界のオレのママは元気にしてるだろうか。ママに会いたいよぉ、ママぁ……。

 やばいやばい、まさかこんなこと(ソロ哺乳瓶)から湿っぽくなるなんて嫌だぞオレは。何より人としてどうかと思う。考え方を変えよう、そう、この悲しみはユウマも感じているはずなんだ。それをオレが癒すんだ。癒しの力をみせてやるぞみせてやるぞ。うおおおおおおお。……よし元気出た。さよならママン。今日の夜思い出すからそれまで待ってて。……ユウマとえっちなことしてなければな!てことはたぶん思い出さねえな!すまんね!

 

 部屋を出てユウマの部屋の鍵穴から中をのぞき込む。が見当たらない。たしか今日はユウマは暇な日のはず。部屋にいねえってことは、まあたぶん下のリビングにでもいるんだろう。いなかったらどうしよ、迷子のお知らせでも出すか。ママグッズを抱えて、とんとんと階段を下りる。

 ゆさゆさ揺れるでっかいおっぱいで足元が見えねえ。こわいなー。おっぱいでっかいと歩くだけでも怖いなー。いやー、困っちゃうなー。へへ、おっぱい大きくて困っちゃ……あぶねっ、普通に転ぶとこだったわ。こえー。普通にこえー。

 

 リビングをひょいと覗き込んでみると、ソファに腰かけて小難しそうな本を読んでいるユウマが。やめろやめろ、そんなもの読むんじゃありません。ママが楽しい絵本を読み聞かせしてあげますからね。このばいんばいんでゆっさゆっさのナイスばでーなレイちゃんがよお!

 

「おいユウマ、そんなわけわからん本読んでんじゃねえ。ママが絵本読んでやるからこっち来なさい。」

 

「……あ?俺のママはお前じゃねえだろ。今ちょっと大事な本読んでんだから邪魔すんな。しっしっ。」

 

 ユウマは本から目を離すことなく、オレを追い払おうとする。

 なんだ、反抗期か?許さんぞ。そんなもんはいらん!ママはそんな風に育てた覚えはないぞ!いやこれパパのセリフだ。ママはそんな風に育てた覚えはないわユウマちゃん!オレはお前をあまあまの甘えん坊に育てたはずだ!少なくとも今はオレの中ではそういうことになってる!

 

「はっはっは。このばいんばいんなパーフェクトボディのオレを見てもママじゃないなんて生意気なことが言えるか?溢れんばかりの母性にもうお前の方からママー!おっぱい吸わせてー!って言い出すぞ!だからほらこっち見ろ!見てー!見ろー!おらおらー!」

 

「うるせえなぁ……、わかったよ。ちょっとだけなら相手してやる。ったく、ちんちくりんのつるぺたがなーに言って……。」

 

 小バカにするような笑みを浮かべたユウマがゆっくりと顔をあげ、ユウマの視界にオレが写り出す。足元、膝、腰、腹、そして胸が見えるくらいのところで、ユウマの動きが止まった。カッと見開かれた両目から、ユウマの驚きが伝わってくる。ふはははは。もうこの爆乳から目をそらすことなどできはしまい!お前の負けだバカめ!

 

「どうだ!ロリ巨乳レイちゃんだぞ!」

 

「……うわっ、キモっ!!」

 

 

 

 

 

 

「うぶっふぐ、う、う゛ぇあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!う゛ぁぇぇう゛あ゛あ゛あ゛あ゛お゛お゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」

 

「あーあー、俺が悪かったって。……お前泣き声きったねえな……。」

 

 ロリ巨乳アンチだったユウマに一刀両断にされ、オレは泣いていた。恥も外聞も知ったこっちゃねえ。悲しいときは泣く、それがオレの美学だ。涙と鼻水を撒き散らし、散らばったおしゃぶりや絵本に囲まれながら、喉から声を絞り出して泣いていた。何歳児だよって絵面だが、今のオレなら許されるのだ。なぜって?かわいいから。なんて完璧なアンサー。慟哭するレイちゃんもかわいいから。

 しかし恋人からキモいと言われるのはなかなか堪えるな。オレの繊細なheart of glassが見事に粉々に砕け散ったぜ。……マジで辛い。苦しい。喉の奥がきゅってなるんだぜ。……ぐすん。

 

 ちくしょうふざけんなよてめー、ロリ巨乳のどこがキモいんだよ。そりゃまあちょっと大きすぎるとは思うけどさあ、ゴムボールみたいだけどさあ、シリコン入れたみたいで違和感すごいけどさあ、いいじゃんさ、オレのおっぱいはお前の好きに出来るおっぱいなんだぞ。でかい方がいいだろうが!触って楽しいだろうが!

 

「ほら泣きやめ泣きやめ。つーかなんだこれ、ガラガラにおしゃぶりに……、お前これ俺に使うつもりだったの?」

 

「う゛ぁー。」

 

「お前の胸がでかくなったくらいでなんで俺がこんなもんつけるんだよ……。お前のなかでどういう理屈が回ってるんだ、一回頭の中を覗いてみてえわ。おら、とにかくそれどうせキースさんの仕業だろ。探しに行くぞ。」

 

 怪訝そうにおしゃぶりを手に取ったユウマがそれをそのままオレの口に押し込む。ちゅぱちゅぱ。ばぶー。そしてオレの手を取って歩きだした。親子みたいだね。えへへ。……いや違うじゃん!今日はオレが親をやりたいの!こんなもんしゃぶってる場合じゃねえ!ママに似合うのは結婚指輪だ!おしゃぶりをペッと吐き出す。……床に叩きつけたりはしません。ちゃんと受け止めます。物を粗末にしてはいけない。

 

「……違うの!今日はオレがお前のママで、おまえがオレの赤ちゃんなの!」

 

「……わけわからん。うるせえから地団駄を踏むな。」

 

「だから、今日はお前がオレにいっぱい甘える日って事だよ!」

 

「いや言い直されてもさっぱりわからんわ。俺はお前に甘えたくなんざねえ。」

 

「……じゃあ誰がいいんだよ?」

 

「誰って……そうだな、フェリアさんとか?……お前絶対あの人に言うなよ。」

 

「言わない言わない。……それで、なんでフェリアがいいのか考えてみろよ。」

 

「なんでいいか?そりゃあ、あの人も大概な人だけど、お前と違って女性的な魅力というか、包容力というか……そうか、なるほど。そういうことか、お前のそれは。ママだのなんだのと喚いているのと胸がでかくなってることの関係は。」

 

「お、やっと気づいたか。ふっふっふ……。そう、そういうことだ。だからほら、かもーん!」

 

 ようやくにぶちんのユウマにもオレの意図が伝わったようだ。さあ飛び込んでこいオレの胸に。オレのこのはち切れんばかりの母性に好きなだけ甘えていいんだぞ。これでお前の顔を包み込んで子守唄を歌ってやろう。さあこいユウマ!

 

「いやまあそれはそれとして、お前の巨乳はキモイからさっさと治してもらいに行こうなー。」

 

「ねええええええ!!違うでしょおおおお!!なんでえええええええ!!!」

 

 

 

 

 

 

 ユウマに引きずられながらたどり着いたのは酒場。お目当ての人物、キースはフェリアと二人で飲んでいた。……この勇者パーティ、どいつもこいつも酒場にいるな。世界の命運はアル中たちに預けられた、憐れこの世界の現地人よ。恨むならうまい酒を造ったお前たちの先祖を恨め。

 

「ちょっとレイちゃん、どうしたんですかそれ!……キース?どうせまた、あなたの仕業でしょう。」

 

 オレを見るなりフェリアが声をあげてキースに詰め寄る。やつのせいだということは一目でわかったようだ。ユウマもすぐに気づいてたし、人望ねえなあキース。かわいそうに。ぽんぽんオレの口車に乗るからだぞ?やれやれ。

 

「む、や、まあ、確かに僕が作ったものでレイ君はああなった。が、それは彼女の望みじゃあないか。僕が責められるいわれは……。」

 

「いつも言ってるじゃないですか!レイちゃんにねだられたからって、変なものをほいほい与えないでくださいって!」

 

 ユウマがまあまあ落ち着いて下さいだのなんだの言いながら、二人と同じテーブルに座る。オレはユウマの膝の上に座ろうとしたがフェリアの腕に絡め取られ、そのまま彼女の膝の上へ。……まあこれはこれで。フェリアがおつまみを手に取りオレの口元に運んでくる。もぐもぐ。うまい。うむ、苦しゅうないぞ。

 

「いや、その、僕はだな……、そうだ!彼女の自主性を尊重してだな!」

 

「そんな取って付けたような言い訳が通用すると思ってるんですか!いつもいつも訳のわからない物をつくって、最後に困るのはレイちゃんかユウマくんなんですからね!?どうせ今回も、何かあって困るのはレイちゃんであって僕じゃないしな、とかそんなことを考えてたんでしょう。」

 

「うぐ、うぐぐぐぐぐ……。」

 

 つえー、フェリアつえー。まさにそんな感じの事言ってましたよこいつ。幼馴染はだてじゃねえな。

 差し出されたおつまみを飲み込むたびに、新しいおつまみがフェリアの手で運ばれてくる。ぱくぱくもぐもぐ。口を開けて待っていればいくらでもご飯が口の中に飛び込んでくる。餌付けされるのもいいもんですね。

 

「まったくキースったら……。今度からレイちゃんに何か言われても、まずちゃんとみんなに相談してください。いいですね?」

 

「わかった。わかったさ。今度からレイ君になにか作るよう頼まれたら、ちゃんとみんなに相談する。これでいいか?……とりあえず今回のそれは、明日になれば元に戻るはずだ。ユウマ君も、それでいいんだろう?」

 

「あ、ええ。そうですね。こいつのこれを元に戻してもらおうと、会いに来たわけですし。」

 

 ほえー、これ明日にはしぼんじゃうのかー。なーんだ、ちょっぴり残念。

 ……いやちょっと待て、キースの今の口ぶりは。

 

「おいキース、ユウマが元に戻しに来るって分かってたって事は、お前はじめっからオレが失敗すると、ユウマに拒否られると思ってたってのか!?」

 

「え、そりゃあそう思っていたが。」

 

「僕は正しい判断だと思いますよキースさん。」

 

「ユウマてめえ、どっちの味方だ!」

 

「どっちもなにも、お前の味方のわけなくないか……?こうしてキースさんに治してもらいに来てるわけだし。」

 

 ……確かに。かにかに。バルタン星人。ふぉっふぉっふぉっ。

 ……違うフェリア。じゃんけんしてる訳じゃない。そんな満面の笑みでグーを出されても困る。眩しい笑顔を浮かべられても困る。……ちょっとまってなんでおっぱい揉むの!勝ったからか?じゃんけんで勝ったからか?でもそれずるじゃん!後出しじゃん!というか関係ないじゃん!……あ、こいつ酔っぱらってんのか!

 

 全身をわちゃわちゃ暴れさせ、酒に色に溺れる駄僧侶の腕からなんとか抜け出ししゅたりと床に着地、胸をぶるんと弾ませながらみんなの様子を見る。キースはもうオレに興味を失い酒をあおっている。ユウマはオレを心底あきれた目で。フェリアはちょっと目が据わってるからあんまり視線を合わせたくないです、はい。

 ……逃げちまうか!今この場にいてもあんまいいこと無さそうだしな!

 

 手をわきわきと動かすフェリアから若干目をそらしつつ、じりじりと後退。タイミングが命だ。隙を見せれば彼女にとびかかられて捕縛、今日一日はおもちゃにされるだろう。……ぶっちゃけそんなに嫌なわけじゃないが、むしろばっちこいって感じではあるが、なんか負けた気がするじゃん。ほら、一回抜け出したのにさ、戻るとかださいじゃん。強くありたいのだよオレは。

 

 タイミングだ。機会を逃すな。座ったままのフェリアの体を視界の端で睨みつける。チャンスは一瞬、神経を研ぎ澄ませろ。そこら中から響く酔っぱらい共の笑い声と怒声がやけにうるさく感じられる。誰かがジョッキを勢いよく机に叩きつけた、酔っぱらった客が出入り口で嘔吐した、ユウマがフェリアの飲んでいた酒を舐めてむせた、尻を触られ営業スマイルを般若に変えたウェイトレスが客に思いきり裏拳を叩き込んだ。

 頬を伝った冷や汗がぽたりと床に落ちる。向かい合ってどれだけ時間が経っただろうか、5分?10分?もしかすると10秒も経っていないのかもしれない。冷めやらぬ酒場の喧騒の中、キースの手元のグラスの氷がカランと音を立てる。……今だ。体を反転。慣性になびく銀髪が頬を打つ、視界をふさぐ。意にも介さず床を思いきり踏みしめる。ふとももの筋肉がミチリと膨れ上がった。脱兎。床を蹴り飛ばし、弾丸のように体を撃ちだす。翻るスカートは意識の外に、出口に向かい一目散に駆ける。慣れない乳の重さに体を取られ顔面から床にダイブする。悶えている間にゆったりてくてく歩いて来たフェリアに体を持ち上げられそのままテーブルに連れ戻される。助けてというオレの声に答えるものはいない。キースは眼鏡を酒に浸して気味の悪い笑みを浮かべている。ユウマは机の上に足を乗せてドラミングをして周囲に威嚇をしている。ここは酒場。人の良心はとうの昔にアルコールの海の底で錆びついた。オレはフェリアが泥酔して眠りこけるまで、散々に体を弄ばれた。気持ちよかったのでヨシとする。

 

 

 

 

 終。

 

 

 

 








とりあえずメインキャラは全員出したので次はユウマ視点です。たぶん。
予定は未定。




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