コイキングお嬢様   作:キノココ

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お嬢様と少年

「ち、地図ってどう読むんでしょうか……」

 

 家から勝手に持ち出した機械式の地図を見て、首を傾げる。

 私はあまり家から出たことがないせいか、地図を読むことができないのだ。

 現在いる地点を示すのが赤い点だということはわかっている。

 だがしかし、その赤い点がどっちを向いているのかわからない以上迷っているのだ。

 

 軽く歩いてみればわかるのだろうが、ここは森。

 同じ景色ばかりで迷うだろう。

 その証拠として既に迷っている。

 

「……旅ってこんなに大変なんですね」

 

 一人呟いてため息をつく。

 コーちゃんは近くの池で、バシャバシャと楽しそうに泳いでいた。

 

 コイキング。

 数が多く、一時期食用として利用されていたこともあるポケモン。

 しかしその数の多さに反して未だ謎の部分が多いと言われている。

 育てる人もいないため進化するかも不明である。

 

 私はポケモンのことは全くと言っていいほどわからない。

 だけども、きっと強くなってみせる。

 もう一度心の中で誓って、空を見上げた。

 その時だった。

 

「え、こんなところに人が……?」

「え?」

 

 後ろから声が聞こえて、振り返ってみるとそこに一人の男の子が立っていた。

 大体私の同じくらいの年齢だろうか。

 赤色のキャップを被り、リュックを背負っている。

 彼は私のことを見て、少し驚いていた。

 

「こんにちは」

 

 取り敢えず挨拶をしてみる。

 

「あ、うん。こんにちは」

 

 向こうも挨拶を返してくれた。

 外に出ることが滅多にない故か、こうして人に会うだけでもかなりドキドキしている。

 

 彼は歩いて私のところにやってくる。

 

「こんなところで、どうしたんだ?」

「その、道に迷ってしまいまして……」

「あー、確かにここら辺は迷い易いからなぁ。人があまり来るところでもないし」

「そうだったんですね」

 

 迷うの私だけではないらしい。

 なんか安心したような気分になる。

 しかし、だとしたら彼は何故ここにいるのだろうか。

 

「あ、俺はレイクって言うんだ。よろしく!」

「私はセナと言います。まだ新人のポケモントレーナーです! よろしくお願いします!」

「奇遇だな! 俺も新人のポケモントレーナーなんだ」

「そうなんですか!? なんだか嬉しいです!」

 

 それを聞いて彼は、リュックからボールを一つ取り出す。

 そしてすぐ近くに落とすように投げる。

 落ちるその瞬間、ボールが開いて中から一匹のポケモンが姿を現した。

 尻尾に火、全身赤色のトカゲのようなポケモン。

 

「こいつはヒトカゲ、俺の相棒だ。いずれ最強になるんだ! よな?」

 

 ヒトカゲと呼ばれたポケモンは、それに反応するように頷いて鳴いた。

 軽く彼の周りを走り回り、少し疲れたのか寝転がる。

 それを見てレイクは苦笑していた。

 ヒトカゲをボールに戻すと、私に聞く。

 

「それでセナは? 何を連れているんだ?」

「そうですね……ここはトレーナーらしく、戦いませんか? それで私のポケモンを見せます!」

「んー……そうだな! トレーナー同士。目があったらそれは勝負の合図! 初戦闘だ……行くぞ! ヒトカゲ!」

「行きますよ! コーちゃん!!」

 

 池の中からコーちゃんが跳ね上がる。

 そして地上に出てきてビチャビチャと跳ねている。

 それを見たレイクはとても驚く。

 

「こ、コイキング!? た、戦えるのか……?」

「舐めないでくださいよ、絶対に勝ってみせますから!」

「……わかった。トレーナーだからな! 真剣に戦わなくちゃならないよな! ヒトカゲ!! 『引っ掻く』だッ!」

「コーちゃん! 『体当たり』です!」

 

 コイキングは跳ねながら、ヒトカゲは走りながら。

 お互いに攻撃を繰り出した。

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