コイキングお嬢様   作:キノココ

3 / 9
コイキングvsヒトカゲ

 トットットッと走り出したヒトカゲに向かって、コーちゃんは跳ね回る。

 そして地面に落ちたと同時に、一直線に跳ね飛んだ。

 速度は結構出ているようで、ヒトカゲは驚きつつも爪を振り下ろし『引っ掻く』を放つ。

 私はすかさず指示を出した。

 

「コーちゃん! 『跳ねる』で回避です!」

 

 それを聞き届けたコーちゃんは、事前に調整していた速度でヒトカゲの目の前に落ちると、跳ね上がり飛び越え避け切った。

 レイクは驚き戸惑いつつもヒトカゲに指示を出す。

 

「ひ、ヒトカゲ! 『鳴き声』だ! コイキングの動きを止めろ!!」

 

 サッと後ろを向いたヒトカゲが、コーちゃんに向かって『鳴き声』を放つ。

 単純にポケモンから発せられる『鳴き声』だが、コーちゃんはそれを嫌がっているようで、もう一度跳ねた時の速度が少し落ちていた。

 コーちゃんが地面に落ちてビタンビタンと跳ねているのを見て、レイクは驚いていた。

 

「ど、どうしてあんな動きが……!」

「私とコーちゃんは小さい頃からずっと一緒にいるんです! ずっと、ずっと『跳ねて』いたんです!」

「練習の成果、ってことか……ならば! 行くぞヒトカゲ! 『火の粉』だッ!」

「コーちゃん! 『もう一度『跳ねる』からの『体当たり』です!」

 

 レイクがそう指示を出すと、ヒトカゲは口を大きく開けて『火の粉』を吐いた。

 対してコーちゃんは『跳ねて』攻撃を避けながらヒトカゲに近づく。

 しかし案外広く飛んだ『火の粉』はコーちゃんに少しばかり降りかかっていた。

 だが大したダメージはないように見える。

 と言うよりかは、効いてない。と言う感じであった。

 

「やっぱタイプ相性が悪いか……!」

「…………タイプ、あいしょう?」

「ん? どうした?」

「あの。タイプ相性って、何ですか?」

「え?」

「え?」

 

 私たちのポケモンは指示が止まったことに困惑し、私たちのことを見る。

 ヒトカゲは走ってレイクの元へと向かい、コーちゃんはピョンピョン飛んで池の中に入る。

 長時間陸地での行動はやはり苦しいようだった。

 

 そして私は聞き覚えのない言葉に少しだけ驚く。

 私の家は何故かポケモンを禁止していたため、ポケモンに関する本は一切なかったのだ。

 コーちゃんは例外として飼っていたのだが、そのせいでポケモンに関する基本すら学べていないのだ。

 きっとレイクの反応を見るにポケモンでの基本なのだろう。

 

「……知らない?」

「その……知らない、です」

「えっとじゃあ、ポケモンのタイプについては?」

「わからないです……」

 

 レイクからは少し困惑した様子が伺える。

 どうもかなり基本的なことのようであった。

 少し、悩んだ様子を見せる。

 そして私に言った。

 

「聞いていいか? 何で何も知らないのに、ポケモントレーナーに?」

「その……それは……」

 

 あまり人に、私の家のことは話したくない。

 そのせいで少しばかり言い淀んでしまう。

 レイクはそれを見て、こう言う。

 

「……なんか言えない事情があるんだな。それなら何も聞かないことにする」

「ありがとう、ございます……」

「んで……そうだな、少し勉強しようぜ」

「勉強、ですか?」

「ほら、トレーナーなのに何も知らないのはまずいだろ?これからポケモントレーナーとしての基本、全部教えるから。そんで俺たちはライバルだ。同じとこから、一から始めるんだからな!」

 

 そう満面の笑顔で言い放った。

 ライバル。

 とても良い響きの言葉である。

 私はなんだかワクワクして、頷いた。

 

「はい!」

 

 まず最初に教えてくれたのはポケモンのタイプについて。

 私たちは近くの石に腰掛けて話をする、レイクは木の棒で土に絵を描きながら。

 

「まずポケモンには全部で十八種類のタイプがある」

「十八もですか!?」

「そそ。シンプルなので言えば『炎』、『水』、『草』とかだな。例えばコイキングとかは水タイプだぞ」

 

 そう言って絵を描く。

 しかしその描いた絵はヒトカゲが踏みつけて消してしまった。

 

 コーちゃんは魚だから水なのだろうか。

 じゃあきっと彼のヒトカゲは……。

 

「じゃあその子は炎ですか?」

「ああ、こいつは炎タイプなんだ。炎タイプだからこそ水に弱いんだ」

「それがタイプ相性ですね!」

「そう言うことだ!」

 

 だんだんとわかりかけてきた。

 十八種類。

 全タイプを覚えてタイプ相性も覚えなきゃいけないだろう。

 でもそれはきっと、楽しいことだと思う。

 

「ここで教えられることはこのくらいが限界か……そうだ! この先のタウンにポケモン博士が住んでるんだけど……一緒に来るか?」

「行きたいです!」

「よし……じゃあ行くか!」

「はい!」

 

 私たちはポケモンをボールに戻して、一緒に歩き始めた。

 森の出口を目指して。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。