コイキングお嬢様 作:キノココ
私たちは出会った森へと戻ってきていた。
あまり人が来ないおかげで、ポケモンは結構増えているらしい。
改めて見てみると、確かに隠れてはいるがチラチラとポケモンたちが見えていた。
特に虫の姿をしたポケモンが。
私はカバンの中にある新品のボールを一瞥して、森を見渡していた。
「今日は一段と虫ポケモンが多いな……」
「そうなんですか?」
「ああ、けど虫ポケモン以外にもここら辺は珍しいポケモンもいて、特に珍しいのはピカチュウだ。俺はそのピカチュウを探しているんだ」
「ピカチュウ……! わ、私でも知ってますよ!」
世界的に有名でいて、そう姿を見ることのできない珍しいポケモン。
有名な理由は知らないが、ポケモンに一切関わることのなかった私でも知っているぐらいだ。
何かとんでもないことをしているのだろう。
と、考えていたところ、レイクが言う。
「やっぱ伝説のトレーナーが使ってたポケモンだからな」
「伝説のトレーナー?」
「そっちは知らなかったかぁ……伝説のトレーナーってのは、十年前くらいかな? カントー地方のセキエイリーグって言う世界最高峰のリーグで頂点に立った人のことだ。ただ頂点になっただけじゃない。これがまたすごくてな! 相棒のピカチュウと共に、ロケット団って言うマフィアを一人で壊滅させたんだ。他にも色々してるんだが……話すと長くなるからな」
「今度、自分で調べてみます!」
「色々面白い話があるからな。調べると結構時間かかるぜ……んじゃそろそろ探すとしますか! じゃあまた後でな!」
ヒトカゲを出して、森の奥へと走って行ってしまった。
私も近くにあった池にコーちゃんを出して、池の前に座る。
コーちゃんは何処か、真剣な顔つきで私を見つめていた。
「……絶対に強くなって、ポケモンリーグに行きましょう! コーちゃん!」
それを聞いたコーちゃんは跳ね飛んで鳴いた。
私はその場から移動するために、コーちゃんをボールに戻してカバンの中にしまう。
そして貰ったポケモン図鑑を引っ張り出す。
ポケモン図鑑をよく見るとカメラが付いていた。
試しにそのカメラを近くにいたポケモンに向けてみた。
「おー、カメラに写したポケモンの説明が出てくるんですね。えっと……キャタピー、芋虫ポケモン、ですか」
可愛らしい見た目をした芋虫が、私を見て首を傾げていた。
次のポケモンを写してまた説明を読む。
なんだか楽しくなってきていた。
少し周囲を探索していると、一匹のポケモンが目に入った。
黄色くて、もふもふしていて、蜘蛛みたいな。
大きさ的には十センチくらいだろうか。
「可愛いですね。なんのポケモンなんでしょうか……?」
色が黄色ではなかったら見逃していたかもしれない。
私は図鑑を向けて、そのポケモンを見る。
「くっつきポケモン……名前は、バチュル。虫・電気……くっついて静電気を貯めるんですか。なんか大変そうですね」
少し興味深くて、私はそのポケモンへの近寄る。
周りを見るが同じようなポケモンはいない。
この子だけのようだ。
私が軽く人差し指を出してみると、前足二本でガシッと掴んできた。
十センチくらいだからか、掴んでいる手は痛くはない。
どちらかと言うとほんの少しビリビリする程度だ。
電気を体の中に溜め込んでおくらしく、自分では生み出せないらしい。
指を掴んでいるところを見て、少しすると今度は顔をスリスリと指をこすりつけてきた。
なんとも愛らしい姿である。
私はカバンの中のボールをチラッと見る。
そしてバチュルの方に視線を戻すと、手にガシッと全身で捕まっていた。
流石に指に捕まることは不可能だったようだ。
私はそっとボールを取り出して、後ろからコツンとぶつける。
するとバチュルがボールの中へと入って行った。
ボールの白い部分が緑色に光って、少し動いた後カチャッという鍵のしまったような音がした。
「……これで、いいんでしょうか?」
この日私は初めて、自らの力でポケモンを捕まえたのだった。