コイキングお嬢様 作:キノココ
私は捕まえたボールをカバンに入れて、ハガニアタウンへと戻ってきていた。
私は待ち合わせ場所に決めた公園へと訪れる。
この町の公園にはそれなりの大きさの噴水がある。
基本的に水ポケモンなどはそこへ出すことが許されており、私はその中にコーちゃんを出す。
そしてもう一つ、ボールを投げてさっき捕まえてきたばかりのバチュルを……いや、チュチュを出した。
「今日からあなたの名前はチュチュです! よろしくお願いしますね!」
そう言って私はチュチュを抱きかかえる。
と言っても抱きかかれるほどの大きさはなく、腕に登らせる程度だ。
腕にひっついているマスコットみたいでなんか可愛かった。
腕をコーちゃんに近づけてみる。
コーちゃんもチュチュもお互い興味深そうに見つめあう。
するとチュチュが噴水の縁に行き、自らコーちゃんへと近づいた。
コーちゃんもチュチュへと近づいて行く。
「仲良くなれそうですね」
私はホッとして、二匹の近くへと座る。
コーちゃんは嬉しそうにバシャバシャと泳ぎまわり、チュチュはそれを追いかけるように縁を走る。
それを見ていた時だった。
パシャっと、カメラのシャッター音が聞こえた。
私がその音のした方を見てみると、カメラを構えた男の人が立っていた。
「あの……?」
私は気になって、声をかけてみる。
「おっと……また無断で撮っちゃった……ごめんね。俺の悪い癖で。良いポケモンと良いトレーナーを見つけると、つい撮りたくなっちゃって」
「はぁ……そう、なんですか」
「あ、俺はイリオって言ってね、新聞記者やってんだ。リノタウンの方から来たばっかで、何かネタを探しに来たんだけど……」
そう言ってコーちゃんとチュチュを撮り続ける。
別に私はそういうのが嫌なわけではないから気にしてはいない。
けど、彼はすぐに自身のしている行動に気づく。
「あ、ごめん。またやっちゃった」
「別にいいですよ。この子たちも嫌がっているわけではないですし。あ、私セナって言います」
「そっか、セナちゃんか。君はジムチャレンジャーなのかい?」
「ジムチャレンジャー、ですか?」
聞いてみるとどうも、ジムチャレンジに挑む人のことを言うらしい。
まだやってはいないが挑むから、一応ジムチャレンジャーとは言えるのだろうか。
私がそのことを伝えると、一つボールを取り出した。
「見たところそのバチュル、まだ捕まえたてみたいだね。そのコイキングは……へぇー……楽しみだな」
「楽しみ、ですか?」
「成長に期待、ってやつかな。で、君も一応バトルの時の感覚は掴んでおきたいんじゃないかな?」
確かにチュチュをいきなり戦わせるなどと言うことはできない。
私はコーちゃんで勝ち進めようとは思っているが、コーちゃんだけではいつか疲労する時が来る。
だから交代して、戦えるようにしときたい。
どんな技が使えるか、どうやって戦うのか。
知っておきたかった。
「もし俺が勝ったら君のこと、記事にしてもいいかな? 期待の新人トレーナー、ってね!」
「なんかそれ、私が勝ってもしそうですね……」
「あ、バレた?」
どうも、勝っても私のことを新聞の記事にするつもりらしい。
それはそれで困るのだが……まぁ、多分大丈夫だろう。
家族はそう滅多に新聞を読むような人たちでもないし。
「じゃあ……もし、俺が負けたら。こいつをあげよう」
そう言って腕につけてあるリングを見せてきた。
黒色のリングで何か石のようなものがはまっている。
後変な模様が刻まれていた。
「それは?」
「お守りみたいなものさ。どうだい?」
「わかりました。チュチュ、来てください。コーちゃんは少し見といてくださいね!」
チュチュはやる気なのかぴょんぴょん跳ねていた。
それを見て頷いたイリオはボールを投げる。
中から出てきたのは……。
「うし。じゃあ行くぞ! リオル!」
リオルと呼ばれた青色のポケモンだった。