コイキングお嬢様 作:キノココ
なんだか強そうなポケモンである。
リオルと呼ばれたポケモンは、軽く拳を振ると敵を前にして構えた。
チュチュはやる気満々で、少しばかり電気を放出していた。
自ら電気を生み出すことができないと書いてあったが、大丈夫なのだろうか。
「リオル! 『奮い立てる』!」
「え、えっと……」
私はポケモンがどんな技を覚えるのか、とか全くわからない。
しかしさっき図鑑を見た時に書いてあった技一覧を思い出して図鑑を見てみる。
ポケモンと言うのは戦闘中、もしくは日常生活の中で突然技を思いついたりするらしい。
技マシンと呼ばれる技のデータを詰め込んだものもあるらしいが、ポケモン自身が思いついたわけではないため、合う合わないがあるということ。
図鑑のはそういう説明も書いてあった。
エクレア博士には感謝しなくてはならないのかもしれない。
「チュチュ! 『エレキネット』です!」
それを聞いたチュチュがその小さな体で走り出し、電気を纏ったネットを打ち出す。
真っ直ぐ飛んで行くが速度は結構なものだ。
それを見たイリオは咄嗟に指示を出す。
「『電光石火』で避けろッ!」
「は、速いです……! 攻撃が当たらない……!」
「リオルは身のこなしが軽い上に攻撃力もある。一筋縄ではいかないポケモン……さ!」
それを聞いて私は図鑑を見る。
何か、何か手立てはないかと探る。
技一覧を見てハッとし、チュチュに指示を出した。
「もう一度『エレキネット』です! できる限り連射してください!」
それを聞いて飛び上がり、リオルに向かって『エレキネット』を撃つ。
何回も繰り返し放ち続けた。
だがしかし、リオルは『電光石火』の高速移動で避け続ける。
いとも容易く、簡単に。
「『電光石火』で突っ込んで『メタルクロー」だッ!」
それを聞いたリオルが床を蹴り、こちらに突っ込んでくる。
私はその瞬間に指示を出した。
突っ込んでくる瞬間を狙っていたからだ。
「『糸を吐く』です!」
「リオル!」
『電光石火』で突っ込んでくるリオルに対し、チュチュが『糸を吐き』出した。
それは真っ直ぐ高速で、リオルに向かって飛んで行く。
「……なんてな! 『フェイント』だァッ!」
『電光石火』を辞めたリオルが横に飛び糸を避ける。
そして更に前へ飛んで攻撃を繰り出そうとしたその時だった。
突然、リオルの動きが止まったのだ。
まるで痺れたように膝をついた。
「……『エレキネット』、ね。ごめんなリオル」
「『電磁波』で動きを封じ、『連続斬り』で追い詰めて……ください!」
ササっと移動して、リオルにくっついたチュチュが『電磁波』を放つ。
その行動によってリオルは麻痺と呼ばれる状態異常に陥る。
この状態になると上手く動けなくなってしまうのだ。
と、図鑑の説明に書いてあった。
そこから畳み掛けるように攻撃をする。
イリオが指示を出すがリオルは麻痺によって動けず、悔やんだ表情を見せる。
「……セナちゃん。俺の負けだ。戻ってこいリオル」
イリオがボールを前に差し出して、リオルをボールに戻す。
チュチュはまだやる気のようで、ぴょんぴょん跳ねていた。
後ろではコーちゃんも嬉しそうに跳ねていた。
「あ、ありがとう、ございました!」
「いやいや。俺も楽しませてもらったよ。こいつにとってもいい訓練になっただろうしな」
そう言いながらポケットから黒色のリングを取り出す。
イリオがつけているのと同じリングだ。
私の近くにやってきて、手渡しでそれを渡した。
私はその黒色のリングをマジマジと見つめる。
何の変哲も無いただのリングにしか見えず、嵌っている石もただ綺麗な石にしか見えない。
お守りみたいなものなのだろう。
彼もそう言っていたわけだし。
「さて! それじゃあ二匹と一緒に並んで。写真撮るからさ!」
「と。撮るんですか?」
「記念にね」
きっとそれ以外にも目的はあるのだろう。
それについてはあまり気にしないことにして、私はチュチュを肩に、コーちゃんに側に。
カメラに向かって笑顔を見せた。