コイキングお嬢様 作:キノココ
「これからよろしくな、ピカチュウ!」
そう言うと肩に乗せたピカチュウが頷いて返事をする。
色々な苦労の果てに、俺はついにピカチュウを捕まえていた。
自分の姿を見てみると随分とボロボロで臭い。
まぁ、ピカチュウと仲良くなれたし良いとしよう。
それに珍しいポケモンをもう一匹捕まえられたのだから。
疲れたし早く森から出たいところではある。
しかしここはどこだろうか。
ピカチュウ追いかけるのに必死になっていて、もはやどこかわからなくなっていた。
「どうやって帰ればいいんだ……?」
さっき捕まえたポケモンはボールの中で休まし、ヒトカゲとピカチュウを出して周囲を見渡す。
二匹も似たような感じ……ではなく。
一緒に遊んでいた。
まぁ仲良くなるのはいいことだから、何も言わないことにする。
「どうしたもんかなぁ……ま、歩いてれば出れるか! ピカチュウ、ヒトカゲ。行くぞ!」
二匹は嬉しそうに鳴いて、ピカチュウは肩に、ヒトカゲは隣に並んで歩く。
道中、邪魔をしてきた虫ポケモンたちを特訓ついでに倒しながら進んで行く。
だがこの周辺の虫ポケモンは幼虫系。
つまりまだ弱いポケモンばかりだ。
「大した特訓にもならないか……そう言えばセナって勉強したのかな?」
なんとなくセナのことを思い出す。
コイキング一匹、ただそれだけで戦おうとしていた女の子のことを。
それでいてポケモンのことを何も知らない彼女のことを。
それよりも出口を探すべきだと思い周囲見渡した。
その時、見たこともない人影を見た。
もしかしたら出口を知っているかもしれない、と思い手を振りながら声をかけた。
「おーい! そこの人ー!」
その人は振り返って俺を見ると、近づいてきた。
「何かしら?」
大体俺と同じくらいの年齢だろうか。
腰にモンスターボールをぶら下げた、赤髪の少女。
なんともつまんなそうに俺を見ている。
「あれ? ポケモントレーナー?」
「ええ、そうよ」
「じゃあ俺と戦ってくれよ!」
どうしようもなく、戦いたいと言う思いが先に来てしまう。
道を聞いたりするよりも、相手がポケモントレーナーならば……と言う思いが。
しかし彼女はこう答える。
「嫌よ。アンタ、弱そうだし」
「……は?」
「私はエリートよ。優秀なの? わかる?」
こいつは何を言っているんだ……と思ったが、これが自信過剰という奴なのだろう。
しかし、尚更戦いたくなってきた。
強ければ強いほど嬉しいから、強い奴と戦いたいから。
俺は戦いためにこう言った。
「ふーん……負けるのが怖いんだな?」
「……今、なんて言った?」
「負けるのが怖いんだろ? 俺に負けるのが」
「…………いいわ。ブチのめしてあげる」
こう言うプライドが高そうなやつほど有効な手段。
『挑発』だ。
ポケモンの技としても重宝されるものだ。
「……よし。ピカチュウ! 任せたぞッ!」
「行きなさい、キノココ。勝ちなさいよ」
迷った森の中で戦いが始まった。