東方幻想無限連鎖   作:にけ・リューノ

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高笑い

 (やっぱおかしい!今だって小弾が当たっているのに)

 

 フェルがまだ笑っている

 クロノは若干の恐怖を感じるが、一瞬頭の中に変わった光景が入る

 森、動物、川の音、風の感覚。その他まるで誰かが体験したような光景だ

 

 (まずい!)

 

 結果的に一瞬だけ脳の処理能力を持っていかれたのだ

 《コミュニケーションを操る程度の能力》の使い方の一つ、記憶共有(・・・・)

 フェルがこれまで生きてきた記憶や感覚、感情の全てを共有する。大抵の場合は一瞬動けないどころか、脳の処理能力を圧迫し、パンクする

 クロノがその程度ですんだ理由は以前、さとりに記憶解放前の状態で人工竜を見させられ、暴走したからである

 3000回以上も生きた経験があるならば、他人の16年(フェルの年齢)など無に等しい

 ただ、一瞬動けなかった事実は残る

 だからこそ、焦ったのだ

 フェルが振りかぶり、クロノは回避ではなく相殺しようとした

 タイミングは良い、良すぎた。だからこそ空振った

 先ほどフェルが《人狼化》してリーチを伸ばしたように、《いつもの姿》に戻ってリーチを縮めた

 このため四足歩行が絶対に当たるように攻撃を振ったクロノは空振り、少しタイミングが遅れたフェルの攻撃のみ当たった

 そしてその腕は、クロノの胴を貫通した

 

「かっはっ!」

「キャハッ♪」

 

 吐血するクロノ。明らかに致命傷、フェルがとどめを……

 

「残念」

 

 速攻で平常に戻ったクロノによって刺せなかった

 無論致命傷。すぐに死ぬはずだが、クロノは自身の胴でフェルの右腕を、左手で左腕を止めていた

 フェルが油断した訳だが、クロノの過去を知らないフェルからすると警戒しないのは当然だ

 クロノは利き手ではない左手で村雨をとる

 直後、フェルが後ろにあった木にぶつかった

 

「フフッ♪」

 

 クロノは『やっぱりか……』と思ったが、関係ない

 気がつけばクロノの額から流れる血が消えている

 これこそが村雨の力『使用者の血液の0.5%を消費し、神速で直線移動する』

 無効化出来ないし、フェルが洗脳によって動いている訳ではないとクロノは知る

 そして、たった1ヶ月の間に性格が急変するする事はあまりない

 つまり、フェルの暴走の理由として考えられる理由は……

 

「フェル、病院行ってこい。お前は解離性同一性障害、通称多重人格になっている(いい所知らんけど)」

「キャハ♪」

 

 フェルは笑う。そしてクロノも笑う

 理由は簡単。お互いが勝利を確信しているからだ

 フェルの方の理由は分かる。致命傷だから

 クロノの方は……

 

「天翔閃」

 

 それは光の柱。そしてクロノ最大の切り札

 この一撃で決着がついた……

 はずだった

 クロノは胴に違和感を覚える

 

「っ!!」

 

 固定があまかった

 天翔閃は不発。クロノは瀕死。対するフェルは複数のダメージと天翔閃の余波によるやけど

 絶望的な状況だ

 

「キャハ♪キャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ♪」

 

 フェルの高笑いが響く

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