胴に大穴を開け、切り札をかわされ、血が不足しているクロノは全く焦っていなかった
(いや、解離性同一性障害はただの希望か。何らかの出来事で狂った可能性もあるな)
今は狂っている事実を気にせず考える
賢いように見えてただの状況判断の出来ないアホだ
フェルが笑いながら斬撃を打つが、無効化している
(しゃーない、背に腹は代えられないし)
クロノは空間拡張付きの箱からまた新たな鎖を取り出す
ただ、先ほどから使い捨てしていた物とは格が違う
「
クロノが魔力を消費する身体強化技を放つ
あっれれーおっかしいぞー、クロノ君は魔力を捨てたはずなのにな~
という訳でタイトル回収。無限連鎖
装備者の魔力を増強する3対6本の鎖羽。肉体装備型であるため、両手がふさがれない
消費なしで飛行でき、無限連鎖と装備者には高い再生能力が付く
そして、これがクロノのメインウエポン
一度着けると外しにくいのと、再生が前提の耐久性である事を除いて弱点といった弱点がない
要は強い。それだけだ
フェルはオーバーバーサークによって強化されたクロノによって打ち上げられる
まるで一昔前の少年漫画のように、フェルは空中で攻撃され続ける
すでにクロノの胴の大穴はふさがっており、問題なく脚撃を繰り出せる
「フフフ♪」
フェルが皮膚が硬い《人狼化》し、同時にカウンターを狙う
クロノが先ほどのフェルと同じように攻撃タイミングをずらす
ただ、それが既に読まれていた事には気付かなかった
「危なっ!!」
フェルが再び《いつもの姿》に戻り、クロノの脚撃をかわす。その上、フェルの後ろに突如出現した鉈が首を掠める
刃の長さは約1メートル。黒色で、光沢が見えているところから金属だろう。巨大な鉈だ
(どこから…いや、)
クロノは理解した。鉈はフェルの《人狼化》状態の背中に隠してあり、《いつもの姿》に戻ってもしまわなかったのだろうと
普段《いつもの姿》で着ている服は《人狼化》したタイミングでしまっている
それと同じ原理だ
(なるほど、僕が攻撃したタイミングで防御+牽制+前準備で《人狼化》、さっきの逆の状態を作るために僕が攻撃を遅らせたら《いつもの姿》に戻って鉈を放出。腕を後ろに向け、腰をひねり、鉈を拾って振るう。ヤバいな)
◇ ◇ ◇
とある日、フェルが紅魔館で働いている時のことだった
「パチュリー様、紅茶をお持ちしました」
ヴアル魔法図書館にて、パチュリーが満足そうな顔をしていた
この頃のフェルは正常だ
「フェル、これ持ってみて」「……これ何ですか?」
縦長で1メートル以上のサイズの何か。持ってみると少し思い
布を被っており、中身がわからない
パチュリーがめくる
「……きれいな刃物ですね」
黒く美しく輝いている光沢。金属光沢という言葉を知らないフェルにとって一番の感想がそれだった
「やっと錬成が終わったのよ、念のため持っておきなさい」「ありがとうございます!」
純粋に喜ぶフェルだったが、横槍が入る
「それ、さっきパチュリー様が錬金術に失敗した時にできたヤツですね!さっき『ちょっと悔しい。何か作ろう』とパチュリー様が言って作ってまし……「やりなさい、シルバードラゴン」ぎゃぁ!」
シルバードラゴンから全力で逃げる小悪魔
そんな事お構い無しに説明を始める
「あなたは魔力や霊力、妖力の操作が苦手でしょう?」
「はっ、はい。恥ずかしながらですが」
『ですが』は必要ないが、気にせず続ける
「多少扱えるようにするためにある程度付与しておいたわ。もったいないし」
失敗して生まれた金属がもったいないのか、誰でも使える魔力、人間のみが使える霊力、妖怪のみが使える妖力を全て持っているのに有効活用出来ないのがもったいないのか
「どのような効果ですか?」
フェルが気になったため、質問する
「簡単で使いやすい効果よ。魔力を流すと足元に足場になる結界を作り、霊力を流すと振った時に斬撃がでる。妖力は切る物を限定し、範囲が狭ければ狭いほど効果が上がるわ」
「……なるほど、有効活用します!」
◇ ◇ ◇
フェルは矛を振るう。対象をクロノに限定して