鞘無 剣心。
齢14歳。
己の個性に限界を感じ、悩みに悩み抜いた時彼が辿り着いたのは…。
感謝であった。
自分を強くしてくれた武術と個性への限りない感謝。
その恩を返すために祈りを捧げた…。
祈り…構えて…居合。
始めた当初、齢5歳の時は10回したら飽きていたが今となっては身体に覚え込まされており無意識下でも行える。
淀みなく洗礼された動きは流麗の如く。
修める武である流水岩砕拳を己が個性と昇華し流水岩砕剣とし、一見我流とも思われるそれは限りなく獣に近い武術であるともいえる。
そんな修行を始め、早速大きな壁へとぶつかった。
それは個性である。
ビームとは?
そもそも切れるのか?
そんな不可能とも言える挑戦に剣心は挑み続け。
2年が過ぎた頃、異変に気付く。
………ビーム=光。
ビームって実体なくね?
圧倒的な熱量を持っていたとしても、本質は光と同質。
刃物で光を反射することはできたとしても、斬ることは不可能である…。
翌日、幼馴染のビームの威力が唐突に上がり始めて、そろそろ何とかしないと死ぬレベルまで到達してきた。
……更に2年が過ぎた頃、異変に気付く。
体で剣を振るよりも、形成による伸縮スピードを乗せる方が速いことに気付き、その居合は空間を歪めた。
…2年が過ぎた。
未だにビームは切れない。
幼馴染も成長期に入り、個性が大幅に強化されていた。全身を強く打ち付けられて半殺しにされる。急いで斬らねば殺される…。
前回も言ったが、今回はガチよりのガチである。
……2年が過ぎた。
この時剣心は幼馴染ではなく、サイコパスに殺されかけ日常的に死を体感する恐怖と、幼馴染による死の淵に蹴り落とされる瞬間の恐怖の板挟みにされ日常が本当の意味で非日常と化し、体感速度が何度も訪れた走馬灯を想起させられる様になる。
………1年が過ぎた時。
祈る時間を増やした…。神への祈り、それは正しく救済を求める信者だった。嗚呼、神よこの地獄から蜘蛛の糸を…。
日々ぶつけられるビームと刃物。
片方は斬ること出来ずに吹き飛ばされ、片方は最終的には噛みつかれる。
当初の感謝など欠片程も残ってはいなかった。
幼馴染は「ねぇねぇ知ってる? 発動系って放出し続ければ許容範囲と威力が格段に強くなるんだよぉ? ねぇ! だから私の成果見せてあげる。だって剣心くん私が大変な時に同級生の女の子と追いかけっこしてたんでしょ? ねぇ剣心くん、ねぇねぇ! 私がいない間に変な匂いが着いちゃったんだね、でも大丈夫だよ剣心くんの匂いは全部覚えてるから。だからね、他の人の匂いはいらないんだぁ〜。ねぇねぇ分かるよね? ねぇねぇ!! 剣心くん!! だからね、これからするのは消毒だよ、大丈夫。
大怪我しても私が休学して面倒見るから、だから剣心くん…壊れて」
幼馴染は壊れた。
元々変な奴だったが、ネジが外れて壊れてしまった。
思わず逃げだしたが、幼馴染はいつもの2倍近くの威力で攻撃してきた。
そしてサイコパスは「アアぁ! ケンくん!! かぁいいなぁ! 血もドロドロでかっこいいなぁッ! だからねケンくん。私はケンくんになりたい! ナイフでズブズブさして血をダラダラ流してるケンくんを食べて、私がケンくんになる……だからねケンくん! ……死んでッ! 」
サイコパスはサイコパスだった。
…あ、当然だったわ。
………そして私の至った極地は。
悟りである。
何事にも動揺しない心と体。
鍛え抜かれた鋼とそれを扱う精神力。
ヤンデレとメンヘラを同時に相手しても動じないその立ち振る舞い…。
会話する一言一言に走馬灯を感じ、彼女らとの接触が凝縮された刹那的瞬間を迎えた時、
ーーーーー
腹が減ったので家出は辞めました。
パイセンも合宿の疲れでどうにかしてたと謝ってくれたので両家の関係は何とか良好です。
え? サイコパス? 転校していきました(
失礼、脳内に第九が流れてしまいました。
メンヘラサイコパスが夜の街でおじさん達を串刺しにしてた(加害者)時に警察がどうたらかんたらでメンヘラサイコパスはお縄についたとか何とか。真偽は定かではないが学校からは籍を抜いたため、もう怖がることなど何も無い。
しかし未成年犯罪故にすぐに出てきそうだ。
それまでにヒーロー免許を取らねば殺される…。
ヒーローにならなければいけない理由が更にできた。
部屋に入って寝巻きに着替えているとパイセンが入ってきた。
「剣心くん…私ヒーローネーム考えたんだ」
「…そっすか」
「剣心くん昔みたいにねじれちゃんって呼んでくれなくなったでしょ。だからね、私のヒーローネームは『ねじれちゃん』なの」
「……………………………………………………そっすか」
「ねぇねぇ呼んでみてよ、剣心くん躊躇っちゃうならヒーロースーツも借りてきたから着てあげるよ? そしたら呼んでくれる? ねぇねぇ剣心くん、早くしてくれない?」
「……っす」
「大丈夫だよ剣心くん、お母さんもオバサンも今日は飲み会に行ってるから帰ってくるのは遅いよ。思春期でも異性の事をチャン付けするのは恥ずかしいよね、知ってるよ。でもね剣心くんはヒーローになりたいんでしょ? だったら先輩ヒーローの私のことをヒーロー名で言うのは普通のことなんだよ、恥ずかしいことじゃないんだよ、だから剣心くん! 早く呼んで」
「……」
「あ、やっぱりスーツ着ないと雰囲気でないよね。私それ知ってる現場の空気感ってやつでしょ! 私も職場体験で学んだんだァ、来年には仮免も取れるからインターンにも行って現場の空気を馴染ませるの! だから分かるよ! 剣心くんも現場に慣れたいんだよね。仕方ないよね、持ち出しは本来ダメなんだからね、今回だけだよ」
「……」
「見て見て剣心くん! このスーツも剣心くんがベットの下に隠してたエッチな本から連想して作ってもらったんだよ、みてよこのパツパツスーツ、これ着てると凄く変な目で見られるんだよ! でもね剣心くんが好きだからこれにしたんだ。ねぇねぇどう? 似合ってるでしょ! それとこれ中にお守り入れるところあるんだ、ここにね剣心くんの写真入れてるんだよ! ほらこうすれば密着できるでしょ? 凄い? ねぇねぇ私凄い!?」
………………エグい。
エグいエグいエグいエグいエグいって! まじでなんでなん!? (唐突な関西)エグすぎやろこれ。
ただひたすらに怖いんだけど、え? なに幼児だったやつがガチのヤンデレみたいになってんだけど。狂気とか半端なくて怖い。
しかもアレから変わってコレだぞ?
こいつ成り代わりでもされてんの?
怖すぎるんだけど、幽波紋使いで引かれあっちゃったの?
雄英はいってからか?
メンヘラサイコパスと絡み始めてからか?
それとも遺伝?
え、ちょっと待って怖すぎて笑えない。
草生えない。
いつからヒステリックラブコメディーホラーになっちゃってたの?
シンプルなバトルじゃなかったの?
こんなバトル環境整えられて恋愛系ってどこの異世界恋愛漫画だよ。
「あ、逃げないでよ剣心くん!!!」
隙を見て逃げようと思ってけど、無理だったので正面突破したらパイセンが最大速度のビームを放ってきた。
独特な軌道に防御不可のビーム。
目前に迫る死を前に覚醒シーンがあると思ってけど、走馬灯の覚醒はもうしてたわ。
本当なら相当な速さで迫っているはずのビームだが、何度も死ぬ思いをして一秒の重さを理解した俺は走馬灯の様に体感時間を遅らせる術を手に入れた…。
手に入れた経緯を考えると全然欲しくなかった。
平穏の方が欲しかった。
その血のにじむような弛まぬ鍛錬のおかげでビームを目視できる。
いつもの反復動作で祈り……は邪魔なのでカット。普通に考えて拝む時間は勿体ない。
右手で刀を持つように左腰の近くに手を持っていき、左手も刀があると思わせるように左の腰の近くで右手を受け止める。
5歳の頃より開始された感謝の拳兼居合。
物理エンジンによれば音を置き去りにするパンチは推定360tあるといわれており、拳ではその領域に達していないが居合に限ればギリギリ超えてると思う。集中してて音が聞こえないから定かではないが、普通の拳よりは居合の方が早い。
筋肉を使って結合を解除するように刃に働きかけ、ストッパーを最大限まで消耗させて解除。
それと同時に身体の筋肉を刃に変えて変換されたエネルギーを全て速さに特化。
腕を振るよりも早く解除と変換をほぼ同時に行い居合を行う。
いつもはビームを切れなかったが、今回は切らないと殺される。
パイセンのヤンデレ化、ビームのいつも以上の殺気。
俺の頭は普通に許容範囲を超えて、一瞬真っ白になり。
目の前の個性による攻撃にだけ、全神経を費やして対処すると脳が身体に司令を出す。
全細胞をもってビームを切り裂く。
ただその事にだけ着目し、それだけのために体を使う。
「──ッ!」
集中状態の最高位に位置するゾーンへと入り込み、考えていた技名すら叫ぶ余裕もなくビームを切り捨てる。
そして数秒たってから自分が念願のビームを切ったことに気付き「はっ!」とする。
「や…やったよ剣心くん!!!」
ヤンデレと化していた筈のパイセンが抱きついてきた。
狂気と言うよりは、達成という気持ちが1番強く、その些事に一切の悪意は感じられなかった。
あれ? ビーム切れた次いでにぶっ壊れパイセンも切れちゃったの?
邪念消えた? 何が起きたの?
「先生がね! 追い込めば追い込むほど若い子は成長するって言ってたからやってみたんだ! それにしても凄いね剣心くん! 一日追い込んだだけでもうビーム切っちゃうなんて…………ほんとガッカリだよ」
なんか最後の方やばいの聞こえたけど気にしない。
「えっなんだって?」って常備する俺は難聴系主人公なんだよ! 全部演技だよね! そうだよね!! そうに決まってる! つまりパイセンは天使、それとも羅刹女? ま、どっちでもいいわ。
演技でよかった! これで俺の平穏な暮らしが……。
「ねぇ凄いねぇ〜、教える側に回ることで分かることもあるんだね〜。そら、新しいビームだよ!」
そんなアンパンマンの新しい顔みたいにされても……。
よし! でも俺には関係ない!
悪! 即! 斬!
つまりは目の前のやべぇのを切れってことだろ?
やってやらァ! 俺は刹那的時間の体現者じゃけぇのぉ!
行くぜ!
天翔る龍の───ヘブシッ!!!!
ーーーーー
俺氏、再び入院する。
刹那的時間の中でビームを切れたかと思ったら、2度目はダメでした。
集中力が究極にまで迫ってたからできたのか?
それとも一日一発の奥の手とかだったりとか?
いや、自分でも知らない奥の手ってなんだよ。音を置き去りにした居合(多分)ができるようになってから何か体が変なんだよな。
これは羽化しちゃったかな?
覚醒的な羽化的な。
背後に千手観音が現れて剣持ってるみたいな……。
GANTZかよ、ただただトラウマだぜ。
結構真面目に考察するとアレって限界突破的な感じじゃないかな?
いやほんと違くて。それか新しい特性とか。
正直体を剣に変えるだけって…いや、まぁ凄いことなんだけどさ。それだけ? ってならなかった?
俺は思ったよ、悪魔の力とか体に汚染しないかな〜とか、アンチ個性とか。
物は余裕で切れるんだよ。
そりゃ刃物なんだからそうでしょって?
いや、分かるよでも考えてくれよ。それにしても切れ味良すぎないか?
切りにくいトマトとか綺麗に切れるんだったら「すごい切れ味だ! 業物だね!」ってなるよな? ……なるよな? (脅迫)
でも試しに壺とか切ったとするだろ? そしたらさすごい綺麗な断面で切れてるんだよ……。
分かった?
おーけー説明しよう。
壺ってのは基本的に脆性材料でできてる。固くて丈夫だが、衝撃に対してめっぽう弱い。つまり刀なんかで壺を斬れば切れるよりも前に潰れるんだ。ハンマーで砕いたみたいに。
そりゃ世界を探せばできる人もいるかもしれないよ? 俺だって感謝の居合……じゃなかった悟りの居合で刀という特殊な武器のそれまた抜刀術というマイナーな武術。
もしかすれば今日本でやってるのは俺くらいかもしれないから実質世界一かもしれない。
その世界一が言ってやる。
──無理です。
覇気とかチャクラとか念とか纏わない限り絶対に無理です。
他にも鉄を切ったりとか普通に考えてコミックみたいなこと出来ないから。
でもできた。
これは絶対に技ではなく、個性によるもの。
ならば俺の個性とは『何でも斬れる剣を体から出すことが出来る』か『指定したものを斬ることのできる剣を出すことが出来る』の2択に迫られるということ。
え、俺の個性って最強の矛なの?
と思ったがビーム切れない時点で最強ではない。
なら指定したものを? と思うも2回目のビームを切れなかったし、実質切れたのは1度だけ。
…………謎深まってね?
俺は考えることを辞め……たらダメだよね。
ここはしっかりしておかないと。
極度の集中状態と悟りの居合でのみ個性を切れる?
恐らくだがこれは違う、仮説を証明するために俺は家にある物を色々と持ってくることにした。
1つはステーキ
1つは魚。
1つは砥石。
1つは包丁。
簡単に前2つは切れるもの。
後ろ2つが切れないもの。
まず最初に何も考えずに包丁を指先の極小ナイフで切ってみる。
切れたと言うよりも割れたに近い形となった、断面もどちらかと言えば破折を思わせる。
次にステーキ、こちらも極小ナイフで切ってみる。
ふむ、焼き加減はレアだった模様。普通に切れて食べた……美味い。
このことから凄く切れ味のいい刃という以外に感想は出てこないだろう。
それでは行きます!
悟り(白い目)
………はい、石が切れました。
それはもうざっくりと切れました。鋼鉄の呼吸を知った時くらい切れましたね。つまり俺は三刀流だった(名推理)
それではそのまま魚ですね、これは言うまでもなく綺麗に切れました。
このままでは集中することによって、切れ味がメルク包丁並になるということになります。
ですがあの時、ビームを切った時に無意識下で俺はパイセンも切った気がするのです。いや、パイセンは生きてるよ。
でもあの時勢い余って斬った感覚があったんだけど、パイセンは切れてなかった…。
つまり………………どういうことだってばよ。
次に石の上に魚を置いた。
悟り(白い目)
……………はい! 予想してた通りです。
石を斬ることだけに集中してて魚と石を切ろうとした時、俺の剣は魚をすり抜けて切れることなく石を切りました。
…………マジかよ。
つまりこの剣は指定したものを切れるということになります。
自分は剣で戦っている。という感覚がこの個性の真の特性を気付かさせなかったということか……おのれディオ!
新手の印象操作だなッ!!
悟りモードの時は基本斬ることに集中してて何も考えられないのが難点である。というか実戦では無理じゃね?
100%斬る対象の事しか考えないといけないんだろ??
無理じゃん。
余程の隙がないと成功しないし…。
……うぇーこれが奥の手?
これなら一撃必殺の毒とか、自分で殺した相手をゾンビ兵にできたりとかの方が何倍も良かったぞ。
これ基本的に使えないじゃん!
悟りモードって習得してまもないから難しいんだぞ! ルーティンでも無いと難しいぞ!
………よし、作るか。(唐突な真顔)
どう考えてもこの個性ってヴィラン向きじゃない?
はっきり言って殺傷能力高杉くんだし、ヒーローになるなら逆刃刀は必須でしょ?
その時点で悟りのモードの斬るもの指定居合って、逆刃刀辞めないと行けないし……。
ま、まぁ! いつか使う日が来ると思うし(来ません)
てかルーティンあった方がカッコイイ!
悟りのモードは逆刃刀の時でも使えると思うし!!
何よりルーティンがあった方がオサレだ!
祈る動作って、強キャラになるんだけど最終的には負けるキャラってイメージ強いんだよね。
ネテロしかり岩柱しかり。
ハガレンも最後の方は弱かったし。
まぁあれは賢者の石が強すぎるってものあるんだと思うんだけどさ。
やっぱり斬るってなると日本だと剣豪とかになるよな。
でもルーティンって外国語だし、外国のオサレなの身につけたい(切実)
敵前に英語喋り出すとか最高にかっこよくない?
ブラック・ラグーンとか今でも俺の中にときめいてるよ!
サンタマリアの名に誓い! とかオサレ値高過ぎる。
でもパクリはダメだよね!
もし俺みたいな転生擬きしてる人に見つかれば、指さされて笑われそう。
………難いな。
やっぱり外国系で刃物のイメージが強いのって、ジャックザリッパーとかだよね。いや、今風に言うとヴィランだけどさ。
そういえばホワイトチャペルは知ってるけど、どこの国なの?
イタリア? イギリス?
まぁ多分イギリスだよね! ロンドン橋って言ってたし…。
これからは悟りモードの時は笑いながら『ロンドン橋』を歌おうかな。
そしたらシリアルキラー感も増して、かっこよくなれる。
え? それもパクリじゃないかって?
うるせぇよカス(真顔)
……ってヒーローじゃないから無理じゃん。
まぁ自分でも真っ当なヒーローになれるとは微塵も思ってないんだけどさ、ダークヒーローで押していこかな。
オールマイトみたいに笑うこと出来ないしさ!
あの人なんでいっつも笑ってんだろ?
川で水をお酢に変える個性の人の救助の時、助けるより前に笑ってポージング取ってたの知ってるからな。
あいつもあいつでサイコパスだろ。
こんな感じで俺の厨二……じゃなかった。中2生活は終わり、雄英受験を控える3年生。
つまり受験生となるわけだ。
非常に厨二は……中2は濃い1年だった。
メンヘラサイコパスが転校してきたり、転校していったり。
パイセンがヤンデレの演技してたり……演技だよね、そうだよね!! 合宿から帰ってきた時「はは、個性って無理したら伸びるんだねー、不思議ー」と死んだ魚の目で言ったりしたり。
正直気が気じゃなかったです。
俺もなんか変になったりしてないよね?
…………よし、それじゃあ!!
受験勉強すっか(クソデカ溜息)
やったとは自覚してる!
でも面白そうだからやった!(ワイ愉悦
真面目な話、ねじれちゃんってヤンデレの素質あると思うんだよね。
興味津々だけど、こう知りたい欲が爆発とかしたらもう……(震え声