体は剣で出来ている(ガチ   作:枝豆%

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やめてくれ。
ランキングで黄色バーは目立つんだ。
やるならせめてオレンジとか赤にしてから持ち上げてくれ……。
新手の苛めかな?羞恥で悶え苦しんだわ!


ナンパって……それマ?

 強くてニューゲーム。

 そんな言葉が普及されてから数年、ウェブ小説ではそういったものが流行るようになった。

 

 だが考えて欲しい、だいたい高校生か大学生が神の手違いで死ぬ。知識チートで優等生(まだ分かる)、神様チートで魔法使える(神様だしね…まぁ何とかわかる)、それで喧嘩最強で武術とか使えるようになってる。

 

 

 

 おいちょっと待てよ! (ブーメラン)

 

 確かに知識はまだ分かる、小学生の問題なら余裕でわかる自信もあり今から「うんこどりる」をやってもできる気はする。

 魔法とかスキルとか使えるのも……まぁ神様だしってことで分かる。

 でも喧嘩が強くなるのは意味わからん! (ブーメラン)確かに家が武術家系とかなら分かるよ! でもそれって武術を修めてるだけで強いってわけじゃないでしょ! そもそも武術家系なら喧嘩とか絶対止められるし。

 それで1番納得いかないのが武術家系でもないのに喧嘩チートする奴だ(ブーメラン)巫山戯るのも大概にしろよ。現実そんなに甘くねぇんだよ! 日常的に殺されかけても覚醒するまで何年もかかるんだよ。それを鍛えたこともなさそうな奴らが不良とかヤーさんに勝てるってマジで思ってんの? 

 

 舐めてんの? (ブーメラン)

 

 ……はぁ、まぁいいや。

 そういう才能も神様から貰ったんでしょ! はいはいアーメンアーメン。神頼みってマジで卑怯すぎるわ、主人公補正でもそこまで卑怯なことしないぞ。

 いや、実質神様補正と主人公補正があるのか……。

 なにそれどうやって勝つの? 

 

 

 まぁそれもいいや、つまり俺が言いたいことはただ一つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 神様! わたくしめに知識チートを下さい(手のひら返し)

 

 

 

 

 

 

 ーーーーー

 

 

 小学生、それは足し算に引き算に掛け算に割り算。

 そこら辺の式を当てはめて「ヤッター100点だ〜」と笑っている平和な世界。知識が高校まで入ってた俺からすればイージーモードだったね。それは間違いない。

 普通に生きてく上で漢字とか読んでたから覚える以前に使えたし、国語力も文章から分かりやすく出されてて答えやすい。算数も生活する上では普通に使うし、暗算も人並みにはできる。

 社会や理科もろもろ小学生の知識くらいなら凌駕できる。

 

 周りには「天才じゃん!」とか「神童」とか「剣心くん勉強教えてー」と年上に教える側に回っていた。

 

 

 

 …………しかし、俺は中学で現実を思い知らされる。

 

 連立方程式………あー、あったなそんな名前…で? なんだっけそれ? 

 小学生から中学生の勉強はいきなりハードルが上がる。

「次のテストは100点とる!」と意気込んでいた小学生も中学生になれば「まぁ平均点取れたらいいじゃん」とか「やべ! テスト1桁だったわ!」とかチラホラ聞こえ出す。

 

 そう、とてつもない現実を叩きのめされるのだ。

 難易度でいえばFGOのキャメロットくらい難易度が上がる。

 

 しっかりと勉強していた組はその壁を危なげなく乗り越えるだろう。

 だがしなかったものはどうだ? 普通に考えて落ちていく。

 何せ積み上げてきたものが少ない人だ、奈落に落ちるのは猛スピードであることは違いない。

 

 そしてどうだろう? 

 勉強をしなくても小学生時代は100点を当たり前のように取り、大してテスト勉強もテスト対策もしてこなかった人生2周目のイージーモードに浸っていたナマケモノが今更スイッチが入れられるか? 

 

 

 

 ──答えは否である。

 

 

「………あ、俺無理かも」

 

 2年終了時の成績表を見て俺は泡を吹きそうになる。

 体育と技術と保健と音楽。見事に基本五教科から外れる科目は5か4という成績を残しているが、受験に1番大事と言われる基本五教科が1しか表示されていない。

 

 雄英高校はバカは入れない。

 いかに実技も実施されているとはいえ、学生である以上は座学をみられる。更にヒーロー免許は国家資格であり、それは国家試験をクリアしなければならない。

 

 つまりは座学も必要である。

 

 

 ……目の前に置かれるテストの答案。

 総じて20点より下。小学生の時天才やら神童と崇めたてられた原型は既に留めていない。

 

 両親からも最初は「なんで成績おとしたの!」とヒステリック気味に怒られたが、今では「へぇー18点! あ、今日パスタだけど明太子かケチャップどっちがいい?」ともう聞いてすらいない。優先度で言うと俺の成績は夕食に負ける。

 今までの生活を考えて欲しい、起きてる時間は武術おじさんの動画を見て技を盗み、自作の流水岩砕剣の練度を高めて、感謝の居合に正拳突き。普通に過労死である。これが学生生活を送りながらなのだが、まだこれで終わりではない。

 パイセンにビームを放たれて、つい最近までクラスメイトから殺人未遂を毎日受けていた。

 

 そんなブラック社畜も顔面蒼白なスケジュールをこなしているのが俺である。逆に聞きたい、これでどうやって成績を上げろと? 

 テスト勉強? 無理だ時間が無いし、なによりやり方がわからん。

 

 これはもう最終手段を頼るしかない。

 パイセンに頼る……は、手段ではなく自殺だ絶対に取れない。なんか最近あの人狂気が半端ないんだよ。死ぬほど怖いし、なんか目が……もう(震え声)

 おかしいな、ヒーロー候補生からなんで俺あんな目で見られてんだろ。

 

 というわけで俺は最終手段を最初から切らせてもらう。

 秘技他人頼り。

 

 

 

「頼む! 勉強を教えてくれ玉田くん!」

「オイラは峰田だぁ!!」

 

 

 

 ーーーーー

 

 

 

 

 それでは紹介しよう! マイベストフレンド峰田くんだ。

 声をかければ峰田はすぐに返事をしてくれる。

「オイラに話しかけてくるんじゃねぇ!」

 

 ほーら峰田は俺に普通の対応をしてくれる。

 最近はヤンデレとメンヘラしか周りにいなかったから新鮮だよ! これが普通のコミュニケーションと言うやつだね! つまり峰田は良い奴ってことか! (錯乱)まぁサイコパスよりは断然ありだよね! 

 

「悪かったよ種田くん。あ、昨日借りてたエロ本は返すよ」

「み! ね! た! お前わざとやってんだろ! あとオイラはオープンエロだが教室のど真ん中でそれを渡すお前の度胸はヤベぇ」

 

「でもこの本のせいで知り合いの子に悪影響与えちゃったんだよね! ねぇ峰田くん、これは借りだよね? 借りだよね? ……返せよオイ」

「お前情緒不安定過ぎんだろうがよぉぉ! 怖ぇよ! それと名前間違えろよ、こういう時だけ卑怯だぞ」

 

「はは! 何を言うんだい峰田くん、僕と君の仲じゃないか」

「まだ会ってから一日しか経ってねぇだろ! まだ2日目だぞ3年になって」

 

「そんなの関係ないって! ほら時間よりも大事なものあるだろ! それに俺が貸したエロ本も中々だろ?」

「いや、お前のエロ本ってなんで幼馴染お姉さん系しかないんだよ、それはそれでは満足したが、同じジャンルは飽きるだろ?」

 

「はっはー峰田くんは面白いなー、気がつくと枕元にそれが置かれてるんだよ! クリスマスでもないのにねー不思議ーー」

「なんでそんな遠い目してんだよ! おい! 帰ってこい鞘無!」

 

 クラス替えの翌日からここまで仲良くなる理由なんて1つしかない。

 そう! エロである。

 ヒーローが英語表記でHEROつまりHとEROを糧にしている。つまりエロは世界を救う(第3部[完])

 

 そんな訳で何故かカバンの中に入っていたエロ本と隣の席に座っていた峰田のエロ本と交換して仲良くなった。

 恐らく俺のは入れられていた線が濃厚だが、峰田くんは本当になんで持ち歩いてたんだろ? 

 まぁええわ(投げやり)

 

 それをパイセンに見られて一悶着あったが、俺は関係ない。峰田が悪い。

 それで賢者モード中に進路とか色々考えた時に「勉強ヤベェな」となり峰田君に成績を聞いてみた所、まさかの成績上位者。

 これはもう教わるしかない。

 

「という訳で教えてクレメンソ」

「なんだよクレメンソって、オイラに勉強教わりたきゃ可愛い女の子の連絡先でも教えやがれ」

 

「そんなの俺が持ってたら、お前に聞く前にそっちいってるだろ普通。考えれば分かるだろ頭大仏野郎」

「ねぇー! オイラそんなに悪いことしたかぁ!」

 

「あぁ、ごめん。連絡先だっけ…一日中ビーム撃ってきて俺をボロ雑巾みたいにする奴か、一日中刃物持って襲いかかってくる頭のネジがぶっ飛んじまった人物を2人ほど知ってるが……いるか!」

「要らんわッ! オイラは普通に可愛い女の子とお近付きになりたいんだよォ!! しかも、刃物ってアイツだろ? 去年ケーサツの厄介になって転校した…あれウチの学年ではタブーだぜ、なんかそいつと仲良くしてたやつがヤク中みたいな噂があってだな、鞘無も気を付けろよ」

 

「ごめんそれ俺だわ、ヤク中じゃないけどね」

「ってお前かよ!! なんか身体中に注射の跡と包帯があるって」

 

「ああ、注射とか切り傷はサイコパスに傷つけられた、包帯は……まぁあれだ若気の至りでは無いとだけ言っとく」

「お前闇深過ぎだろ……まぁいい、顔はパッとしねぇが体鍛えてそうだしな、次の休日にナンパ手伝ってくれるってんなら勉強見てやるぜ」

 

「峰田くん、意外に冷たいなぁ。面と向かって顔にダメ出しされたの初めてかも」

 

 心は硝子だぞ。

 まぁこの程度で壊れるメンタルなら生きていけないけど……。どうしてだろ、俺の威張れるポイントが頭のネジぶっ飛んだヤツらに鍛えられてるのが本当に釈然としない。でも、可愛い女の子を引っ掛けられる…。

 素晴らしい提案じゃないか。

 

「君は神か! 峰タマタマ!」

「やめろぉぉ!!」

 

 

 ーーーーー

 

 休み時間や放課後にマックを奢るのとナンパを契約に峰田くんをおとした。かなりの痛手であるが、もし雄英に入学できなかった時のことを考えるとコレは必要経費である。

 考えてみろ、パイセンは半狂乱になってビームを撃ってくるし。お勤めを果たしたサイコパスは何時襲ってくるか分からない。

 

 控えめに言って地獄である。

 あの日常が戻ってくるなど、死ねと言われているのと同義である。

 ならばこの投資はこれから大事なもの。

 欲を言えば雄英でなく1年から仮免の取れる士傑高校もありだと思ったが……パイセンのことを考えるとそんなことをすると俺に明日が来なさそう。

 

「それじゃあタマタマくん、よろしく!」

「峰田だよ! …まぁいい、シェイク奢ってもらったし。…で? 何処がわかんないの?」

 

「逆に何が出来ないか分からないであります!」

「………じゃ教科書出せよ、基礎からやってこうぜ」

 

 なんて良い奴なんだ。

 この睾丸を頭に張りつけたようなやつだと思ってたら、その頭のやつはモヤッとボールだったのか……いや、それだとダメじゃん。

 ともあれ放課後かなりの時間峰田くんに教えてもらったのだが……。

 

「……嘘だろ鞘無、お前……」

「やめてくれ、心は硝子だ」

 

 見れば見るほど分かる馬鹿さ加減に峰田は頭を抱えた。

 いや、分かるよ。テストの答案が選択問題以外全部外れてるやつのテストなんて成績上位者からすれば物珍しいものだろ。

 

 分かるとも。

 だからそんな目で見ないでくれ。

 

「…お前働くのか?」

「いや進学……です」

 

「へぇーどこの狙ってんの?」

「……雄英で……あります」

 

 すると峰田くんは俺の肩をそっと掴んで菩薩の如き笑顔で俺に言い放った。

 

 

「受験料の無駄だ、辞めとけ」

 

 俺もそう思う。

 だが俺も命がかかってるんだわ、引けられない。

 

 俺は峰田の肩を割と強めに掴んだ。

 

「俺も命かかってるんですたい」

「痛い痛いッ! やめ! やめろ〜ッ! オイラには荷が重い!!」

 

 マックシェイクとナンパだけでは割に合わないと悟った峰田が逃亡しようとしているのを手でガッチリ掴む。

 逃がしませんよ、マジで君が最後の砦だよ。

 

「…はぁ、てかなんで雄英なんだよ? ヒーロー科なら他にもあるだろ?」

「いや、近所に雄英に通ってるパイセンがいてね。その人から来るよね〜(意訳)って脅されてるんだよ」

 

「お前の周り変人率高くねぇか? ビーム撃ってくるやつに、殺人鬼って」

「…ん? ああ、そのビーム撃ってくる人だよ」

「大丈夫か雄英ヒーロー科ッ!!」

 

 ホントそれな。

 懐かしのゲッツを峰田くんにしてしまった。

 わかる、分かるよその気持ちは物凄くわかる。普通に考えてヴィランだし…つまりパイセンはしょっぴけば捕まえられる。

 つまり俺の勝ち? (錯乱)

 

「峰田くん、結構真面目な話をしよう。俺は雄英に入らなかったらヒーロー候補生にビームを撃たれて普通に死ぬ。なんなら免許取ってたらヒーローだ、ヒーローが一般市民を殺して逮捕。そんな見出しの新聞を見たくはないだろ」

「やめろ! オイラを巻き込むな!」

 

「いいや言うね、峰田くん。君はもう関わってしまった、俺が死んだら君の枕元に毎日現れて皿を数える」

「オイラは関係ねぇだろっ!!」

 

「いーやあるね、俺と隣の席になったんだ。数百分の一の確率を怨みなさい」

「巫山戯んなぁぁぁ!!!!」

 

 

 

 ーーーーー

 

 

 それから約束の休日まで峰田くんは俺に勉強を見てくれた。

 何かと面倒の良い奴である。二、三日したら拒絶されると思ったが、存外彼も流される性格らしい。

 どうにかしてサイコパスだけでも峰田くんに擦り付けられないだろうか? パイセンは雄英のヒーロー科の人にお持ち帰りしてもらいたい。

 性格に難さえなければ即日結婚してるのに……あれだな音楽の方向性みたいな高校生バンドの解散理由みたいな理由だ。

 

「よっしゃ! じゃあ行くぜ鞘無!」

「わー、睾丸くん俺と勉強している時には見たことない活き活きした顔だ」

「ったり前だぜ!! ……今なんて言った?」

 

 知らぬ存ぜぬで口笛を吹く。

 しかし上手く吹けない…何故だ? 俺はテンプレに縛られない男なのに。

 

「よしじゃあ行ってこい! 骨は拾ってやる!」

「なんでオイラなんだよ! 先にお前が行けよ! 何のために連れてきたと思ってるんだ!」

 

 ……えー、面倒くさ。

 はっきり言ってナンパって気乗りしないんだよね。やばい人の女に手を出したらやばい店に連れてかれて小銭持ってるかジャンプさせられるだろ? 

 そんなもん無理じゃん。

 

「よし、じゃあ行ってくるわ。凄いの連れて帰ってくるから待ってろよ」

「オイラ…初めてお前と友達でよかったと思ったぜ鞘無」

「はっはー! これはもう大船に乗った気でいたまえ! すんごい人捕まえてくるから」

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

「あら〜ちょっといいかしら?」

 

 とても誘い受けしそうな言葉で肩を掴まれた。

 硬い。

 

「あ、はいどうしました?」

「いーえ、用って訳じゃないんだけど。ちょっとお茶でもどお? って誘いたくて」

 

 幸先よし。これなら峰田くんもビックリするに違いない。

 てか太いな。

 

「連れがいるんでそいつ込みでいいですか?」

「もちろんよ〜、お姉さんが奢ってあ げ る!」

 

「わーい、お姉さんいい人〜」

「あらノリ良いわね、そこのスタバでいいかしら?」

「もちのロンです、じゃあスグそこなんで一緒に行きましょうか」

「分かったわ〜」

 

 グラサン似合うなこの人。

 

 

 

「って鞘無! 早すぎだろ! まだ三分も経ってねぇぞ」

「はっはー、俺の手にかかればこんなもんだよ。はい自己紹介っていうのもあれだけど俺は鞘無っていいます」

 

 俺が後ろを振り返りながら自己紹介をして峰田目線でその女? の姿は峰田の目に焼き付けられた。

 そこそこデカい俺の体をおおってしまう程の大きさ、しかして内股で歩くその立ち振る舞い。

 

 そしてこの人。

 

「名前は恥ずかしいからぁ〜、マグ姉って呼んで」

 

 男? である。

 まぁおかまは良い奴って海賊漫画に書いてたし大丈夫だろう。

 

「よろしくマグ姉」

「………鞘無、集合」

 

 峰田の目が死んだ。

 恐らく俺の横にいた美人さんと思って歓喜していたのだろう。しかしそれは俺が峰田をからかうためのフェイク。

 わざと歩幅を合わせてそう見せ、キャラデザ的に峰田の目線から死角になるマグ姉の登場。

 非常に嬉しそうにしてた顔から一変、彼に血流は通っていない。

 

 石のように固まり、菩薩のような顔で俺に集合をかけた。

 

「やっぱりいい体してるわねぇ、鞘無ちゃんだっけ?」

「鍛えてますからね」

「へぇヒーローとか目指してるの?」

「あー実は「こっちこいや鞘無! ぶっ殺すぞ!!」ちょっと情緒不安定な友人から招集かかったんで行ってきます」

 

 デパートの階段に連れ込まれて壁ドン…にはキャラデザ的に無理だったので峰田は股ドンをしてきた。

 やべ、いま股間がヒュッとなった。

 

「オイラはナンパって言ったよな?」

「ああ、逆ナンされた」

「断れよ! あれ完全にカマだろ!? お前掘られたいのかよ!」

 

「いやいや、カマは基本修羅場潜ってる人達だから話し相手には頼りになるんだよ。しかもいい人そうだったし、なんならスタバ奢ってくれるって。実は俺スタバって初めてなんだよね」

「いいのかお前! お前の人生初スタバが知らないカマとで! 可愛い彼女ととかで取っておいたんだろ!」

 

 確かにそんな感じでもあるのだが、一番の理由は長い注文名が嫌いだからだ。あの「〜〜〜〜〜フラペチーノ」ってなにあれ? DAI語にしてからやり直してくんない? 

 

「まぁいいじゃん、いい人そうだったし」

「……今回だけだぞ」

 

 さすが峰田くん。

 流されるの純度が高すぎて俺もドン引くレベルだ。

 普通は断ったり帰ったりするところなのに、なんて素晴らしい考えを持つ人なんだ。

 

 なんやかんやあってマグ姉に本当にスタバを奢ってもらった。

 何度かマグ姉はスプーンを落として拾う動作の時にケツがヒュッとなったのは峰田の股ドンが効いているからだと信じたい。

 

 20分くらいしたらマグ姉は満足して帰っていった。

 

 

「ほらいい人だっただろ?」

「………まぁ、面白い話だったが。これを美少女…いや、女でなかったのが本当にいただけない」

 

「えぇ〜、後半峰田くんも楽しそうに話してたじゃん」

「……」

 

 すると峰田はうずうずとし始めた。なんだ? トイレか? 

 

「これからオイラがすげぇ美人引っ掛けてくるからお前も女の良さを知れ!!」

 そんなに大声出さなくても……と思ったが。

 いや、俺女の良さ知ってるよ。いい匂いするし柔らかいし。

 本性知らなければ女なんてだいたいOKだ。こんな言い方をしたらクズ男認定されるかもしれないが、反論するなら俺の人生を一度味わってから言ってもらいたい。それでも言えるなら……戦争だ。

 

 それから数分。

 長ぇーなー。だなんて思いながら待っていると峰田くんが帰ってきた。

 どうやら日本でも有名な制服の人を連れて……。

 

 峰田くん笑顔。

 連れてきたお姉さん驚愕。

 俺…ガクブル。

 

 あの睾丸野郎、なんてもん連れてきやがったんだ。

 

「あ〜剣心くんだぁ!」

 

 ヴィランなんて目じゃない悪役を連れてきやがった。

 逃げねば! 

 

 足が何かに引っ付いて離れない。これはモヤッとボール? 

 や、やめろーーー!! 

 

「おい鞘無、これが美女って事だよ。やべぇだろ? オイラのイケメン具合に困るぜ」

「あれ〜剣心くんなんでここにいるの? 私が誘っても1度も来てくれたことないのに…オカシイナァ」

 

 峰田、君とは絶交だ。

 

「あれ? お姉さんコイツと知り合いですか?」

「そうだよー、家がねぇ近所なんだぁー。君の頭のボールも気になるんだけど……ねぇ剣心くん、なんでここにいるのかなぁ?」

 

 やっぱり峰田、助けて。

 

「ちょっーーーっと…キニナルなァ」

 

 俺氏、二度とナンパなんて俗物なことしません。

 だからビームは! 

 ビームはやめてくれぇぇえ!!!!! 

 

 

 ーーーーー

 

 日曜日の悪夢を乗り切った俺は、月曜日に学校で峰田と出会った瞬間に感謝の正拳突きをした。

 

「──ッナンデ!?」

 後悔も反省もない。

 ただただ虚しい。




急に伸び始めて怖いです。
評価もブックマークも嬉しいです!
ですが何より感想が一番嬉しいです!なのでクレメンソ

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