人生何があるかわかったものじゃない。
転生なんて摩訶不思議なこともあるんだ、何かしらの作用があーしたりこーしたりして俺は一躍人気者。
に、なれるはずもなかった。
あの戦闘訓練から新しいクラスメイトから一歩引かれて俺は常にぼっち飯。1人で食堂なんてキツすぎて……。母ちゃんには食堂で飯食うからお小遣いとか言ってるけど、実は夜な夜な米洗って炊いておにぎり作ってる。
………くそ、惨めだ。
最近丸型のおにぎりしかできなかったが、何故か三角超えて四角ができるようになった。三角までの道のりは長そうだ。
いや、たどり着きたく無いなここまで来たら。
…………が、弁当を忘れるなんてベタなことをしてしまい…。
ぼっちで食堂デビューを飾ってしまった。
なんとここの食堂はプロヒーローの……なんだったっけ。ランチクラッシュ? ってのが作ってるらしい。
まぁ、あれだな。お約束の言葉を言うか。
「This is Japanese lunch time rush!! 」
いや、混みすぎだから。
なんでこんな長蛇の列作ってんの? しかも席取り要員とかもいるから実質この並んでる2倍の人は利用してるんだよね。
高校のキャパ超えてない?
しかもこれ1人で回してるんでしょ?
給料足りてる? 絶対もっと取れるよ。少なくとも10人分は働いてるからそれ相応は校長に進言すべきだ。
と、色々言ったがあまり飯を食いすぎると午後の授業で爆睡かましそうだから程々にしておこう。
見たところ定番メニューは全部揃ってるな、しかし目を引かれる項目が1つ。
『カレーライス(UAオリジナル)』
そう、カレーライスである。しかもただのカレーではない、あのUAオリジナルだと言うのだ。
ここで市販のカレールーを使っていれば殴り込みに行きたくなるが、まさかそんなこすいことはしないと思い思い切って頼むことにする。
このカレーが一定層しか狙っていないカレーなのか、それとも全員から愛されるような優しい味わいなのか。
非常に気になる。
辛さの設定をできない以上、そこまで攻めては来ないと思うが。
よし、カレーにはおじさんうるさいぞ。
食券を買って長蛇の列に並ぶと、わずか1分も立たずにカレーライスが出てきた。
いや、早ッ。
俺でも見逃しちゃったよ。
それなのに雑になってないご飯にはみ出したりしてないルー。
なるほど、なかなかできるなここのおばちゃん(知らんけど
食堂は割と混んでおり座る場所が少ない。
学生というワイワイ楽しませる空間だからかカウンターなどの1人席がないのは本当に許せない。
惨めにこんなハリーポッターにでも出てきそうな長机に1人で食えってか? 目立つわボケ。
………お、俺以外にもぼっち飯発見。
1人で食うと腫れ物を扱うようにされるが、2人になれば「あれ、あそこって……連れ?」みたいなことにできる。
よし、この作戦で行こう。
ぼっち飯君とは1つ席を開けて座る。
さすがに隣はレベルが高いですって。
さて、それではカレーライスを実食させていただきますか。
辛さは少し辛い程度で米がよく進む。
しかもこれはこの食堂自らのオリジナルではないか!
どうせ安定してうまいパーモンドとかなんだろうなー、と思っていたら間違いない、これは……。
「スターアニス、クエン、ターメリック、シナモン、タイム、ジンジャー、更にミカンの皮を使っているが肝心なのは、それをオールスパイスで調和させているというところ! 素晴らしい!! 素晴らしいうまさだ!!」
(注意)彼はぼっち飯です。
あまりの感激に脱帽してしまいそうだ。
ふむ、なかなかいい味出してるじゃないか! なぁ! ぼっち飯君よ!
「お、環ー! 待たせちゃって悪かったね」
くっそ、裏切りかよゴミクズ陰キャ。俺はそのなんちゃって陰キャが1番嫌いな人種なんだよ。陽キャと絡むなら最初からそうしろカス。
「っと、1年生かな隣失礼するよ。もしかして席取ってたりするかい?」
その俺を傷つけることを目的とした事実確認はやめてくれ。上手いカレーライスが不味くなる。
「どぞ」
「悪いね」
金髪のクリクリお目目先輩は申し訳なさそうに席に座る。
やめれ、そこは元々空席なんだよ。カレーもゆっくり食えんとかどんなにこの学校はぼっちに優しくないんだよ。
さっきの時間の委員長決めも1票も入らなかったし。いや、別にやりたくはないんだけどさ、こうなんて言うか…任命された上で断りたかったんだよ。分かるかなぁ、この気持ち。
「そういえば君は1人なのかい?」
こいつひでぇな。ぼっち飯相手にその事実確認はキツすぎるんだけど。察しろよ先輩だろ? クラスの目立たな……くはないかも知れないけど。浮いてるやつなんだよ伝われ。
峰田はなんか八百万に「あいつの友人として謝罪──」みたいな感じの理由をつけて昼飯いったらしいし。
くそ、絶対峰田は締める。
「まぁ、そんな感じです…はい」
くそ、惨めだ。
なんでうちのクラス、ていうかヒーロー科は周りと溶け込むのが早いんだよ。知らない間にグループ出来てて入りずらいじゃん。
しかもなんであの自傷癖キチガイにはいい感じに仲間みたいなのできてんだ? 俺と同じで1歩引かれる側だろ。
「まだ学校始まったばかりだから大丈夫だよ! 元気だしな!」
くっそ、こいつ嫌いだ。
「そうですね…ははは(死ね)」
内心では内なる剣くんはファックポーズをとっていることだろう。表に出さないだけありがたく思え。
「昼飯は美味しく食べたいからね! 良かったら俺たちと一緒に食べようよ!」
「あはは、うす」
こいつ、いつかボコッやる。
2歳上っていっても、こっちは常に2歳上のサイコパスを相手に生き残ってきたんだぞ。お前らごときが俺様に勝てるわけねぇだろ! ぶん殴ってやる。
「そういえば紹介がまだだったね、俺は3年の通形ミリオ。一応ヒーロー科だよ! それでこっちが天喰環、同じくヒーロー科」
「……(コク」
話さずに此方に会釈だけしてカツ丼定食についてる浅利の味噌汁を飲んでる。あ、すごいいい匂い、美味そう。カレーに味噌汁……うん、却下。
「1年の鞘無です、一応ヒーロー科にいます」
「おお! やっぱりヒーロー科なんだね! 分かってたよ! 俺はね初めて見た時からビビっとね!」
「ミリオ…」
まじかコイツみたいな目でクリクリお目目を見つめる陰キャくん。じゃなかった陰キャ先輩。多分こいつの反応的に口からでまかせなんだろうなー。と感じながらも特に気にしないようにする。
見た目でヒーロー科って分かるのウチで言うと、それこそデカい障子くらいだろ。
「じゃあ好きなヒーローは?」
「ミリオ、それは自己紹介に必要な項目じゃない」
はぁー、多分これはあれだ。俺が冷えた肉まんの次くらいに嫌いな『身内ネタ』だ。
これってやる側は楽しくても何も知らない側からすれば全然面白くないんだよな。分かってんの?
「特に居ないですかね」
「へぇー珍しいね! 大抵の人はオールマイト! って答えるのに」
「あんまりテレビとか見ないですから」
これは本当だ。
幼少から武術おじさんの動画を見たりして、今では随分と使っておらず八卦封印でもしてしまったかというほど使っていない『流水岩砕剣』。それにも色んな剣術やらを統合した俺の我流剣術。そんなロマンを叶えるためにテレビを見る暇なく個性の操作に明け暮れていた。
感謝の正拳突き? あれはもう、俺の中では素振りと同義です。
実際あの訓練で分かったけど、俺って地味に俺TUEEEEだからな。
いや客観的に見ても俺くらい個性に真摯に向き合ってる同年代居ないだろ。はっきり言って個性でできることやり尽くしたぞ。
と、まぁ高校に入ってから二、三年と努力しましたー。とか言ってる連中には負けられない。
だってそうだろ? 物心ついた頃から面白おかしくとはいえ、結構厳しい修行してきたのに主人公補正に負けるのは普通に嫌だ。
そういう特別な血筋とか特別な個性とか異能力とか。
俺そういうの嫌いなんですわ。
「へぇ! ならなんでヒーローに! …あ! 俺はね、昔ヒーローに助けて貰って──「ミリオ、今は後輩くんのターンだ」おっと失礼」
「…まぁ、そんな劇的な理由はないですよ。ヒーローに助けてもらったとか、親がヴィランに殺されたとか、崇高な動機とかないです。ただ、俺には腕っ節の強さがあったので、これを仕事にしようかと」
う そ で あ る
この男。金持ちでモテたいと言うだけの理由なのを初対面の相手にそのまま伝えていいものかと悩んだ挙句にそれ相応の理由を作ったのである。つるむ友達が居れば間違いなく言っていたが、もしこの先輩達が今回のことを広めたらボッチ生活に決定打を打たれてしまう。
それは避けねば…。
その一心である。
「へぇ! なら凄い個性なんだね!」
「…いえ……。まぁ、扱いづらいですけど」
何気ない言葉に2人の目が少し開いた様に見える。
何? 俺またなんかやっちゃいましたかぁ〜〜〜。
…いや今回は冤罪なんだけど。
流石に今回は悪くないだろ? ……え、そうだよね、問題ないよね。
「そっか…それは大変だね!」
ハッハッハー! とでも今すぐに笑いそうな御芽眼栗栗さん、通称陽キャ先輩は……いや、笑ったわ。むっちゃ爆笑、全然面白くねぇし。
「シンプルに強い個性よりも、難点を克服した個性の方が強い…と、俺は考えてる。だから君は強いよ」
陰キャ先輩がなんか悟ったふうな顔をしながら声をかけてくる。
なんだこいつ。
なんだかよく分からん先輩だったが……。
うん、カレーはうまかった。次も食べに来よう。
なんか悪寒がしたので食堂でゆっくりすることなく帰りました。
まさかあの二人、パイセンと何か繋がりが!? ……と思ってたらマスコミが敷地内に入ってきただけらしい。
焦らすなよな……。
ーーーーー
現在バスに揺られて何か凄いとこに行くらしい。
災害救助訓練がどうのこうのって言ってた、細かいことは知らん。
理由? 教えてくれる友達がいないからだよ悟って。
峰田は何やら本性隠して八百万と接点を保ってるらしい。
いつか絶対八百万にバラしてやる。それでもって峰田の恋を終わらして「峰田さん、サイテーですわ」って言わせてみせる。
近いうちに叶えてみせます。
「緑谷ちゃん、個性がオールマイトに似てるわね」
「梅雨ちゃん、あれは似て非なるものだぜ」
前の方からそんな会話が聞こえる。
俺も座ってる席的にはクラスのリーダーが座る1番後ろの真ん中なのに、バスの座席が横に座る系だから一種の誕生日席みたいになってて惨めだ。俺の強運どこいった? 入試で使い果たした??
「でもキレてばっかで爆豪ちゃんは人気でなさそう。あと鞘無ちゃんも」
「るせだすわッカス!」
異議あり。
あれと俺って同列なの? 流石に傷つくんだけど。あの姿勢貞子め、死にかけてても絶対助けてやんねー。救助訓練とか知らんわ。
てかなんで俺アレと同列なの? マジで意味不なんだけど。
なんかしたか……いや、まぁ八百万泣かせたけどさ。それもこれも訓練じゃん! 仕方ないじゃん! 悪いのオールマイトじゃん(責任転嫁
まじいつか覚えとけよ、あの筋肉ダルマ。
胃袋に穴開けてプロテインを消化できない体にしてやる。
「みろよ、この付き合いの浅さでクソを下水で煮込んだような性格だって認識されてやがる。ある意味すげぇ」
あっちの事だよな。
そうだよな? 俺のことじゃないよな!?
なぁ金髪チャラ男、眉毛全部剃ってやるぞ!!
理不尽先生からお叱りを受けて全員黙る。
目的地まではもう距離はないみたいだ。
ーーーーー
「すっげぇーUSJかよ!!」
なんか凄いとこに来たなぁ、としみじみ思う。
流石はヒーロー校の中でも一、二を争う学校! と思うが、金かけることに惜しまなさすぎじゃない? こんだけ金あるなら食堂にカウンター席も作ってよ。ラーメン一蘭を見習って欲しい。
あそこはぼっちに優しすぎる。
愛してるよ、とんこつラーメン。………とんこつラーメンだよね? 塩じゃなかったよね?
まぁいいや。
なんか色々話してたら宇宙服を着たヒーローがやってきた。
なにこれ怖い、UMAが目の前にいるんだけど。
これはあれかな? 個性社会にならなかったら今頃宇宙旅行を楽しんでるって言われてる説に対する皮肉なのかな?
その全身で社会に喧嘩売るスタイル、嫌いじゃない。漢の中の漢だぜ! 14号!!
……あれ、この人って女じゃなかったっけ?
うちの理不尽先生の後輩で一応教師だってことは……。
んだよババアかよ、期待さすなよ。
「──しかし、簡単に人を殺せる力です」
明確に殺気を飛ばされたと思うんだけど。
気の所為ですか? 気の所為ですよね!? なんで俺はこう先生から目をつけられてるんだろうか。ババア呼びしたことバレた?
あの宇宙服の下で俺のこと睨んでないよね!?
「君たちの力は人を傷つける為の力じゃない、人を助ける為の力であることを忘れないでください」
せんせー、全身刃物にしかならないんですけど。
そういう人はどうすればいいですかー、握手求めてきたファンの指切り落としちゃいそうなんですけど〜。
はい、絶対言いませんよ。
そんなことしたら塵にされる。
いや、比喩抜きで。
「以上、ご清聴ありがとうございました」
えっと、じゅう……じゅう………あ、12号からの演説も終わり、訓練始めよう! っと行ったところで異変が起きた。
それは霧のようなものだった。
それは黒だった。
底の見えない底なし沼、覗けばその黒さに飲み込まれてしまうような。
そしてその黒からは人が出てくる。
明らかに物理法則を無視したそれに、緊張感が高まる。
あれは十中八九個性によるもの。そして誰のものか…。
その解によって何もかもが変わる。
ゾワッとする感覚。人間の本能が危険だと訴えかける この説明しがたい感覚。
俺がそれを見た時に昔何処かに書かれていた言葉を思い出す。
── “Beware that, when fighting monsters, you yourself do not become a monster… for when you gaze long into the abyss. The abyss gazes also into you.”
怪物と戦う者は、その過程で自分自身も怪物になることのないように気をつけなくてはならない。
深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ。
ヒーローとヴィランの境界線を引くように、俺は指先を剣に変えた。
切りよかったのでここできることにしました。
訓練の講評はUSJ中か後に誰かの回想ですことにしました。今回組み込めずに申し訳ない。
それとコスチュームですがすっかり忘れてました。申し訳ない。
真っ黒のスーツに真っ赤なワイシャツに黒のネクタイ。いまブームの鬼滅の刃みたいに黒の隊服に赤の羽織にしようと思いましたが……なんか鬼滅の刃キッズと思われるのが癪で却下。いや鬼滅の刃の二次書いたことあるけどさ……。
まぁスーツの方がジャックザリッパー感出るかなーと思いしました。そういうことにします。反論は認めません。(バーリア
ジャックザリッパー感をということでベレー帽をつけることにします。杖はつけません。杖なんて持たせたら「オルガノン」って言わせたくなるからね。
えー、なんで赤のワイシャツなのか…と思われると思いますが。
『血のショックを和らげる』為です。はい、この主人公にはジャックザリッパーをとことん言ってもらいます。ですがヴィラン堕ちは……多分しません(早口
髪の毛は黒だけど、色んな人から追い回されたストレスでちょっと白も目立つので、イメージ的には東京喰種reの琲世のプリン頭みたいな感じで。髪質は毛先やや天パ。
顔は普通くらい。イケメンでは決してない(私怨ではない
体型は身長は普通くらいで筋肉は結構ついてる。でもゴリマッチョではなく細マッチョ。
靴のサイズは27.5センチ
いま思いつくのこれくらいですが、話数を重ねたてごちゃごちゃになる前に設定話を作ることにします。
はい、なんか読者さんのイメージと違ってたらメッセージとかで教えて貰えると嬉しい。てかくれ、そんでもってイラストとか下さい(欲望の塊
それではまた次回