リメイク:)ちょくちょく更新して行くので、皆さん宜しくです。
出会いへと
昨夜、夢を見た───
朧気で、はっきりとは覚えてないけれど───
そこに確かに俺は、俺たちは存在した───
毎日みんなでバカやって、ライブやって、野球やって、何かと戦って───
自らの事だと分かっていても、思わず笑ってしまう───
そんな楽しくて、ちょっぴり悲しい俺たちの夢───
みんなとのかけがえのない思い出───
そこで俺たちは約束を交わした───
『皆でもう一度───』
もう一度、俺たちだけの『戦線』を───
その約束を胸に俺たちは足掻いた───
果てし無く続く夜の海を泳ぐように───
見渡す限り白に覆い尽くされた雪原を駆けるように───
もう一度、みんなで───
ただそれだけの為に───
そして、俺たちは───
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【?月?日:?視点】
俺または私と言うべきか、別に余り気にする事ではない。現代社会の男の一人称などかなり曖昧なのだから。
先に断っておくがオカマという訳ではないよ?
ごほんっ!さて、仕切り直そう。ここからは少しばかり俺の過去の出来事を───ゆり達『死んだ世界戦線』との出会いを、ぜひご静聴してもらおう。
始まりは小学生の時だ。この学校に入ってからの俺は、一人で本を読むのが日課となっていた。その理由は至って簡単だった。
『学校が面白くない』
学校に通っている者ならば必ず一度は思う事であろう。そして、その理由も至極簡単に説明がついてしまう。やれ勉強に着いていけないだの、やれ友達に虐められたりとそんなところであろう。
ただし、俺はそのどれにも当てはまらなかった。勉強は人並み以上に出来ていたし、虐められるような友達など初めからいなかったのだから…。
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【?月?日:?視点】
「今日から新しく私達と共に勉強する音無結弦くんだ。みんな、仲良くしてやってくれ」
「音無です、どうぞよろしく」
平均から見れば少し肉付きが良い男性教師が、廊下で待っていた俺に向かって合図する。教室の真ん中まで進み、現代社会にとって平均的な挨拶をしながら心の中で思う。
(余計なお世話だ…)
別に俺は誰かと仲良くしようなどと思った事もないし、実際そんな馴合いは真っ平御免だ。俺には医者になり、妹の病気を治すという目標がある。ただ単に思い付きで夢を語っている周りの奴等とは違う。
「それじゃあ、音無くんの席は長谷川くんの隣だ」
担任が指差した席へ向かい、その長谷川くんとやらに形ばかりの挨拶をして席に着いた。
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【?月?日:晶視点】
昨日、新しく転校生が加わった。まあ、だからといって何かが変わるかといえばそんな事は全くなく、隣同士になったにも関わらず俺はと言えばいつも通り本を読んでいた。
それこそ授業中や遠足の時にもずっと…。
授業なんて予習しておけば聞かなくても分かるし、四年間もやれ昆虫採集だのやれ自然観察だのといちいち理由を付けてつれ回していれば、嫌でもどこをどう歩けば分かるようになる。詰まる所、俺は今の学校生活に意味を見出だせなくなっていた。
例えば体育。体を動かす事は悪い事じゃないが殆ど動いていない奴がいる時点で意味を為しているとは思えない。
算数や社会なんかも予め予習しておけば分からない事など無いのに、予習すらしないで分からないなんて言っている奴等の気が知れない。
一体俺は、この先何に価値を見出せばいい……?
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【?月?日:音無視点】
転校して三ヶ月が過ぎた。俺はといえば、毎日毎日同じ事の繰り返しにうんざりしていた。同じ風景に同じ授業、全く代わり映えのしない日常というのは、思ったより精神的に響く。
それに周りの奴等の姿が俺の怒りをさらに膨らませる。遊んでばかりで、本気で学ぼうという気が全くない。学校を、遊びの場と勘違いしている。
さらに極めつけは、俺の隣にいる長谷川だ。学校に来てから帰るまでずっと本を読んでいる。授業すら聞いていない。本気で一度注意してやろうかと思ったが、こんな奴の相手をする方が時間の無駄だと判断し止めた。
今も授業中だが相変わらず本を読んでいる。何故こんな奴が俺を苛つかせるのか、本気で本人に聞いてみたかった。
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【?月?日:晶視点】
転校生が来てから四ヶ月が経った今日。いつもより周りの奴等が騒がしい気がする。どうやら、隣のクラスに転校生が来たようだ。それもかなり可愛い女の子、いわゆる美少女らしい。隣のクラスにその転校生を見に行ってるのか、教室には殆ど誰も居なかった。お隣さんが来た時とは大きな違いだ。やはり子供でも美男美女には自然と惹かれるものらしい。
ちなみに、もちろん俺は見に行っていない。
何せ、いつもは騒がしくて鬱陶しい輩が丸ごと出払っているのだ。この静かに本が読める絶好の好機を逃す手はない。
「…とは思ってはみても、整理現象には勝てないのが人間の性な訳で」
結局、トイレへと向かう羽目になった。
「ちょっと……!」
トイレまであと数メートルの所で、いきなり見知らぬ女の子に呼び止められた。
「……何?」
その声に振り返ってみると、かなりの美少女がこちらを見ていた。とりあえず普段通りに返す。
「この学校で一人になれる場所ってどこ?」
そしていきなり変な質問をされた。
(今日はいきなりづくしだな……)
見知らぬ少女にトイレ前で謎の会話。誰か、この状況の説明を出来る奴が誰かいないか?
「そうだな……トイレか屋上、それと第二音楽室だな」
「そ、ありがと」
三箇所とも、俺がよく使う絶好の読書&昼寝スポットである。それだけ聞くと女の子は走って去っていった。一体何だったんだろうか?
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【?月?日:音無視点】
この学校に来て初めての全校テストが行われた。勿論俺は一番だと、こんな適当な奴等に負ける筈がないとそう思っていた。
しかし、成績発表を見て俺は愕然とする。
・3位 音無結弦 :698点
何度見ても同じだった。
「3位…………」
そして俺の名前の上には、きっちりと成績最優秀者の判を押された二つの名前が堂々と鎮座していた。
「長谷川……に、姫野…………」
それが、俺から首位を奪った奴等の名前だった。
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【?月?日:晶視点】
例年通り、昨日七教科700満点の全校テストがあった。成績も、もうすぐ昇降口の掲示板に貼り出されるだろう。
もちろん見に行くつもりは毛頭無いが。自分がどんな点数だろうと、この学校での成績など興味が無いのだから。
「また見に行かないの?」
いつものように教室で本を読んでいると、目の前の席から一人の女の子が声を掛けてきた。だがこれもいつも通りの会話なため、よって俺もいつも通りの答えを返すことになる。
「そんなもんに興味ないし、わざわざ昇降口まで行くのめんどくさいんだよ…」
「またそんなこと言って~…」
俺の返しに、話し掛けてきた女の子――姫野が通例となった呆れた表情をする。
姫野桜、我がクラスの誇るべき委員長様である。
普通の名前の女の子だが、これがまた、如何にも委員長といった風情で、きっちりと同じ長さに切り揃えられた肩まで伸びた髪に眼鏡をかけ、折り目正しく、恐ろしく真面目で教師受けも良いという、今や漫画などにおいてさえ絶滅危惧種に指定されそうな存在なのである。
彼女とは2年前から同じクラスになった。だが、同じクラスになる前から姫野の存在は知っていた。何しろ、俺から初めて首位を奪った奴なのだから。この俺と渡り合える奴がいたことに驚いた。この学校の誰よりも、いやこの国の誰よりも、頭が良い自信があったのだ。驚かないはずがなかった。それからというもの、俺と姫野は互いに勝とうと猛勉強し、教師陣も真っ青の高得点成績バトルレースを繰り広げてきた。今まで受けたテストの点数はもちろん、通知表も全て最高位。それだけでは留まらず、中学、高校、大学の問題集にまでその勝負は続き、それすらも二人揃って解ききってしまったのだから、それを見ていた教師たちの心境が伺える。ご愁傷様でした。
ただし同じクラスになってからというもの、互いが互いを吸収し合い、どちらとも学年首位に立つようになってしまい、昔みたいなデッドヒートはしなくなった。
「どうせお前はトップだろ?」
「そうじゃないかも知れないじゃない?」
「冗談にしては笑えないな…」
「さぁて、それはどうでしょう。冗談じゃないかもしれないよ?」
「はは……ったく。大丈夫だ、お前はトップを取ってるよ。俺が保証するから」
「そう?ありがと♪」
俺の言葉に、にこりと返してきた笑みは素直に可愛いとおもった。普段通りとは些か違う会話を区切られると、本に目を落としながら、姫野に問い掛けた。
「それで、わざわざそれだけを言いに来た訳じゃないだろ?何の用だ?」
「やっぱり長谷川くんに駆け引きとか通用しないか~……」
「俺は心は読めないよ」
「覚妖怪?」
「だから今否定したよな?否定したものを掘り返すな」
「実は来週の七パの事なんだけど……」
「無視すんな。会話をしろ」
この会話をしながら姫野はクスクスと笑っている。毎回こうなのだ。こいつと話していると、いつも会話の主導権を持って行かれる。もう諦めてるんですけどね。
そして
4月に行われる春パ、6月に行われる体育大会、七夕に行われる七パ、11月に行われる秋パ、12月25日に行われるクリパ、そして卒業式の日に行われる卒パである。
何もここまでやらなくても、と心底思うがこれが昔からの伝統だそうだ。考えるだけアホらしいので、作った奴がよっぽどお祭り好きだったのだろうと勝手に納得しておいた。
話を戻すが、何故俺がこんな如何にもめんどくさそうな事を姫野と話し合っているのかというと、言わずもがな俺がこのクラスの副委員長だからである。正直違和感有りまくりだ。自分でもそう思う。では何故、俺がそんなめんどくさくて全く似合わない係りをやっているのか。
その発端は、3年前まで遡る。
3年前と言っても12月の事なので実質2年前の事である。それを話す上で先に言っておかねばならないことがある。これは俺の経験からの結論だが、『過度に真面目な人間はこうと決めたら梃子でも動かない。』
達の悪いことに、いや良いことなんだろうけれど、とにかく迷惑この上ないことに、姫野という人間は、とても面倒見のいい、善良な人間であったのだ。そして、これは素直にたちの悪いことに、とても思い込みが激しい人間でもあった。
冬休みの図書館で会った時に何を思ったのか知らないが(思えば確実に一人でいる自分を、虐められていると思われたと確信できる)冬休み、春休みが明けてクラス替えし、同じクラスになったと知るや否や姫野は、『君を更正させてみせる!』とかなんとか、俺に宣言してきたのである。
別に虐められてもなければさして問題児でもない、と思っていた俺にとって、姫野の宣言は暖簾に腕押しというか、糠に釘というか、全く、全然、これっぽっちも的を射てない発言であった。が、いくら説明しても姫野の妄想じみた思い込みは止まることを知らず、あれよあれよという間に
副委員長に任命され、そして現在、6月23日の放課後、残り13日となった七パの計画を姫野と教室で練っているという訳である。
「アンケートじゃバラけちゃうから、予め私達で候補を絞ってみんなの投票で決めるっていうのでどうかな?」
「いいんじゃないか?民主主義っぽくって」
「相変わらず嫌な言い方するよね、長谷川くんって。ひねてる?」
「やめろ、人をむやみにトンガリ呼ばわりするな!」
本当、こいつ相手だとなんか調子が狂う。そんな他愛のない会話をしていると、女の子とは思えない程の大声と共に教室のドアが開け放たれた。
「このクラスの委員長と副委員長、居るかしら?」
それがこの物語の始まり。僕らの出会いと波乱の序章。地球一の天災こと、仲村ゆりとの出会いであった。