10話目スタートです!!
皆さんどうも。相変わらずバタバタしております。私は“皇 雅人《すめらぎ まさと》”30才後半のおっさんです。モンスターハンターにハマったお陰で、古龍になってしまった……。しかもクシャルダオラ。更に、今までの人生で、女性関係など全く無かった私がですよ。一人の女性ハンターから告白されて、彼女が出来ちゃったんです!嬉しい!
彼女はミラルダと言います、上位ハンターであり美人です。どうして私を好きになっかのか謎です。でも、私を好きでいてくれる彼女に感謝です。
和の国にお邪魔しているわけですが、
百竜夜行というモンスターの大行進が近々あるとの事。それを止めて欲しいと言うので来た次第で。
村を2ヶ所助け、鱗をあげた女の子とお友だちを助けて、最初に助けた村に待機する事になったんです。将軍さまもそこで歓迎会を催してくれました。
娘さんお二人の歌も聴きました。綺麗な透き通った歌声で、おじさん感動して聞き入ってました。ミラルダさんも、私に寄りかかって聞き入ってました。
「きれいな歌声だね♪」
(そうだね、和の国での歌姫なのかな?)
「う~ん、そうかも。巫女さんのようにも見えるし。」
確かに見えなくはないですね。姉妹でそうなんでしょうか?
いや~、大きな焚火の灯りがゆらゆらと周りを照らしながら炎は天に向かって登っていく……。それを眺めながらミラルダとゆっくり出来るなんて、このまま時間よ止まれ!あ、ダメか……。
「どうだ楽しんでるか?」
側に将軍様が話し掛けて来ました。勿論!心地良いですよ。女性とこんな風に一緒に居られるなんて、生きてて良かった!古龍ですけど。
「ありがとうございます。こんなに素敵なご馳走まで用意していただいて。」
「いや、礼には及ばんよ。村を2ヶ所助けてもらったしな。それにまだ百竜夜行を一緒に食い止める依頼が残っているしの。」
確かにそうですね。最終的にそれを食い止めなければ、国の存亡に関わります。なにせそれを止めるためにきてるんですから。
この国の人達はいい人ばかりのようです。この国を無くしてはいけない……。なんて柄にもないことを思った私……。自然とそう思えるのはこの国の人達の人柄でしょうね。何とか守ってあげなくては。
「マサトさん、お手洗いに行って来るね。」
は、はい、どうぞ!気をつけてね。私が頷くと、私から離れました。その後、後悔が襲って来ます。私は油断していたんです。すぐに戻ると過信していたんです。まさかが起きようとは……。
彼女が用を足して、私のところに戻ろうとしたときです。何者かが、暗闇の背後から糸の様な物で彼女を襲ったのです!しかも1本だけではなく、無数に……。彼女ももがいて、短剣で切り裂こうとしますが腕も捕られてしまい、身動きが取れなくなっていました。
(マサトさん!!)
その心の叫びが私の心に届きます。テレパシーでの会話が出来るはずもなく、しかし彼女の悲痛な声で私を呼びました。私は起き上がって、周りを見渡し彼女を探します。
ム、いた!あれか?150m位先の方に、無数に黒いものが蠢いてる。な…、あれ、蜘蛛か?1匹の体長が4~50cmのネルスキュラとは言いませんが、大きな蜘蛛達がグルグル巻きにした、ミイラの様な形の物を20匹位は居るでしょうか、必死に担いで運んでます。
「龍さん!大変!」
「一体どうした!?」
下を見ると、沙耶ちゃんと亜紀ちゃんが慌てて走って来ました。
将軍様もさすがに気になったようで。
「ミラルダのお姉ちゃんが、蜘蛛のモンスター達に捕まっちゃったの!」
「なんと!ミラルダ殿が!」
しまった、やはりあいつらか。くそっ、間に合うか?私は再度その方向に目を凝らしますが、既に姿はなくその先の方にも目を向けましたが、 姿が見当たりません!まずいな、すぐに追いかけなければ……。
私は立ち上がり、翼を広げて飛翔しようとしました。
「待て!どこに行かれる!」
足元から将軍様の声。何故止めるのか分かりませんでした。早くしないとミラルダが……。
「やみくもに探したところで見つけられはせん!奴らの正体は分かっている、居所もな。」
え、将軍様は奴らを知っていると?私は話を聞くことにしました。その方がすぐにミラルダの元にたどり着けそうなので。
(奴らは何者ですか?)
地面に文字を書いて質問していました。将軍もそれを見て頷いて話してくれました。
「うむ、奴らは群れで行動している。大型モンスターのボスは残虐非道で、我々からすると狂っているとしか言いようがない。50年前の百竜夜行の時も、奴が暗躍していたと噂された……。奴の名は”夜叉蜘蛛”シャガラクという。」
夜叉蜘蛛シャガラク……。そんな、影が動いていたとは……。残虐ならば尚更急がないと。
(奴等のアジトは一体どこに?)
再度、文字を書いて質問します。
「うむ、マサト殿なら見えるだろうか。このずっと向こう側に巨大な建造物があるのが分かるか?」
よく目を凝らすと確かにピラミッド遺跡の様な形の巨大遺跡が顔を出してます。私は分かったと頷くと、将軍様は話を続けました。
「その遺跡を越えて2km奥に進んだ所に奴等のアジトがある。当時、四人二組のハンターの手練れが討伐に向かったが、誰一人戻るものはいなかった……。」
将軍様も悔しそうですね。無念でしょうね、倒すどころか被害の方が大きかったんですから。だからと言ってミラルダを助けない事には私の存亡にも関わります。
「しょ、将軍様!大変です!!」
2人の兵が血相を変えて将軍様の傍に来て跪きました。
「どうした!何事か!」
「はっ、早急に砦の方へお越しいただきたく!」
「3km先の方に大型モンスターが集まり出しております!いよいよかと!」
「な、なんと!思ったよりも早い行動だったな。」
なんてタイミングのいい……。ま、まさか奴らこれが狙いで……。なんてことだ!この国を助けたいと思う反面ミラルダも助けに行きたい……。どうすればいいのか……。
「ミラルダさんを助けに行ってください!」
振り向くと姉妹の妹アミラさんが。傍にはサクヤさんの姿も。
「ま、待て!百竜が迫って来るというのにか?」
将軍様の言い分ももっともです。ですが、私もやはりミラルダを助けに行きたい!初めて私の事を好きになってくれた大切な女性だから……。
「いいのです!お父様もこの時の為に砦を改良し、特訓してきたのでしょう?ちょっとやそっとじゃびくともしません! ですが、マサトさんにとってはミラルダさんは最愛の人……。その最愛の人を無くしては未来永劫悔いが残るでしょう。たとえモンスターであっても、そんな姿を見るのは忍びない事……。ですから、悔いを残さぬよう助けに行って欲しいのです。」
あ、アミラさん……、ありがとう。私も後悔はしたくないです……。
(必ず、戻ります!どうか行かせてください!)
文字を書いて将軍様にお願いしてみます。最悪、止められても行く気ですが。
「よし、分かった!こっちは何とかする!ただし!必ず戻ってこい!いいな!」
(ありがとうございます!アミラさんもありがとう。)
「しかし、相手も歴戦の手練れだと聞く。勝算はあるのか?」
(はい、もう1頭仲間が居ますので。な、ナズッちゃん。)
(オイ……ラ……ノ……コト……カ?)
(他に誰か居るかい?)
(タシ……カニ……ネ……。)
私の傍で擬態を解きます。将軍様達は急に現れた仲間に驚いてます。
「お、おぉ!霞龍オオナズチか!」
おぉ、知っているんですね。さすがは将軍様、経験豊富。
「よし、ならば我らは砦へと向かうぞ!各村へ通達!各々門を固めて、襲来に備えよ!城下町も同じだ!幾人かの兵を残し、砦へと集合せよ!モンスターを入れてはならん!!」
「「はっ!!」」
兵達はそれぞれに分かれ、通達に走って行きました。私もナズッちゃんと共に向かう事にします。
(行きます!)
「お気をつけて。お二人で戻られる事、お祈りしております。」
(サクヤさん、アミラさん、ありがとう。必ず戻ります。どうかご無事で。)
私達はホバリングをして飛翔し、目的地へと飛び立ちました。姉妹と、沙耶ちゃん達がずっと見送ってくれてました……。必ず戻ります!
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将軍様達が、装備を整え砦へと向かっている頃、確かに3km 先に大型モンスターの集団が続々と集まっていました。飛竜種や牙獣種、烏竜種やありとあらゆるモンスター達の大群……。
(進軍開始だ……。)
そのモンスター達を束ねる、“怨虎竜”マガイマガドが号令をかけました。それによってモンスター達が、動き出します。確実に砦へと向かって……。
「将軍様!モンスター達が動き出したとの連絡が……。」
「分かった!総員配置につけ!バリスタ、大砲、カタパルト、連射銃、全ての砲門を開け!!」
「「「「「おおぉ!!」」」」」
地面から壁から、迎撃する為に造られた武器が現れ、弾や特殊な貫通の矢等が装填されていきます。凄い武装です。確かにそう簡単には抜けられないでしょう。
モンスター達の移動速度は体躯なりに早いもので、百竜と呼ばれるだけはあるほど。山と山の間、川沿いと一部の自然を破壊しつつ進んできます。他の野生動物たちはその場から逃げ出し、ただならぬ雰囲気が漂ってます。
「ゲートへの到達、後200m!!」
「ゲートを突破した時点で一斉に放て!十分に引き付けるのだ!!」
「「「「「はっ!!」」」」」
地響きと共にモンスター達の咆哮も聞こえてきます。地震かと思わせるほどに地面が揺れ出しました。相当の数の足音が聞こえてきます!
「まだだ!まだ放つな!引き付けてからだ!」
緊張感が張り詰めていきます。将軍様の汗が頬を伝って地面に落ちた時です!
「グルオアァァァァァァ……!!!」
ゲートを破り、モンスター達が進撃してきました!
「放て~~~!!」
いろんな射出音と共にすべての武器の弾や矢が放たれます!
「ギャガァァァ!!」
「ギギャァァァァ!!」
「ガグアァァァ!!」
先頭を切ってきたモンスター達は大型の武器の攻撃に翻弄します!十数頭はかなりのダメージを喰らい、飛竜種も地面に落ちてのたうち回ってます。ですが、後ろから更に続々と押し寄せてくるのです!
「休まず放て!!1頭たりともここから先を行かせてはならん!!!」
「「「「「「「おおおっ!!!」」」」」」」
次々と弾や矢が放たれていきます!弾や矢が間に合うのか持久戦になりそうな気配……。その時、1頭の飛竜種が弾を避けてカタパルトの方に突っ込んできました!
「ギャグワァッ!?」
「ここから先は行かせねえよ。」
「俺らを忘れてんじゃねえのか?」
「おうよ、伊達に上位張ってるんじゃねえや。」
おおぉ!!手前で飛竜種をスタンさせたのはあの3人ではないですか。いや~凄いじゃないですか!
「「「俺らって何!!」」」
いえ、あの……。スイマセン……。よろしくお願いしますね。
「たりめ~だ!こっちも報奨金がかかってるんだからよ!」
「まあ、こんだけのモンスター倒しゃ素材もがっぽりだろうしな。」
「かわいこちゃんにモテたいし。」
「「そっちか!!」」
あの……楽しそうですね。
「「どこがっ!!」」
3人さんもなかなかじゃないですか。持ちこたえてくださいね、お願いしますよ……。
お互いに命懸けの戦いが火ぶたを切っていました……。
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一方の私達は急ぎ奴等のアジトに向かっていました。彼女を助けたい……その一心で。
遺跡を越えた辺りで、オオナズチのナズッちゃんが2手に分かれて進入しようと言ってきました。確かにナズッちゃんに回り込んでもらった方が、助けられる確率がいいかもしれない。私も頷いて、OKしていました。
飛翔しながら、姿を消して離れて行きます。頼む、頼りにしてるよ。
しばらくすると、見えて来ました。巨大な洞窟が。いかにもアジトです!と言いたげな、オドロオドロしい不気味な雰囲気を醸し出した入り口です。あまり日の当たらない、草木に生い茂られた薄暗い場所にあり、独特のイヤイヤ感を出してます。
きっと中に居るであろう、ミラルダを助けに行かねば……。私は意を決して中へと入りました。私が入って行ける洞窟……。広さは想像つきますか!?巨大ですよほんと。樹海の様な木々に囲まれているから、見つかりずらいのかもしれませんがこんなところもあるなんて。
奥に進んでいくと、更に広い場所に出ました。よく目を凝らすと、モゾモゾと蠢いている物が……。
すると、突然壁に何本もの松明がつきました。その中に浮かび上がる無数の蜘蛛達、その中心に大型のモンスターが居ました。確かに蜘蛛です、ギギネブラに近いでしょうか。ただし、ネルスキュラの2本の長い触手、毒を塗り付けて挟み込んでくるあれです。ネルスキュラは1対でしたが、奴は3対もありました。あれじゃ、1対を躱しても2対目、3対目と攻撃が来る、ひとたまりもなさそうです。そんなとんでもない奴が”夜叉蜘蛛”シャガラク……。
マガイマガドを操り、百竜夜行を煽った張本人……。いや、モンスターか。
そのうちの1本の触手に彼女が掴まれて上に持ち上げられていました。
「マ、マサトさん!来ちゃダメッ!逃げて~~~!!」
ミ、ミラルダ……。とりあえずは無事の様ですが、どうやって取り戻すか……。
(クククク……。そこを動く出でないぞ。動けばこの娘がどうなるか……。)
シャガラクが話しかけてきました。私も止まります。何か起死回生の策はないか……。
(彼女を放せ。何が目的だ!)
(クク……、まずはお前たちを百竜夜行の現場から遠ざける事。もう一つは個人的にお前を食ってみようかと思っての。)
うぐっ、想像しただけで気持ち悪い。こいつに私が食われると!?後々夢見が悪そうだ。
(なら、余計に彼女は関係ない。放してやってくれ。)
すんなりと放してはくれなさそうで。
(素直に我らに捕まれば放してやろうぞ……。)
(その言葉、本当だな。)
(疑うのは構わぬが、娘がどうなってもいいのじゃな?)
(分かった。どうすればいい?)
相手が優位なのはどうしようもないのか、気配が散漫でナズッちゃんがいるかどうかも分かりません。と言って彼女の事もあるし、従うしかないのでしょうか。
(わが子らがお前を絡めとる。絡め終えたら放してやろうぞ。)
そう言うか否か体長40㎝前後の蜘蛛達が傍に寄ってきました。全部がお尻を向けて糸を放出してきます。4本の足元からグルグル巻きにされていきます。動けない様にするためか、相当分厚く巻いてきます。このまま私をミイラにする気か?そう思っているうちに胴体の方まで巻かさってきました。翼も徐々に巻かれていきます。
「い、いや~~~!!マサトさん!マサトさんっ!!動いて!逃げて~~~!!」
ミラルダ……。彼女が泣きながら叫んでます!私はじっと彼女を見つめていました。君は生きろ……、生きて私の前でまた微笑んで欲しい……。彼女が泣きじゃくって暴れますが、掴まれているのでそれ以上は動くことが出来ません。徐々に首の方へ。頭まで巻かれ始めた時に私は裏切られます。
(クククク……。お前の望みどおりにこの娘放してやろうぞ。ただではないがな。)
「アグッ!ゴホッ!!」
背中から脇腹を尖った触手で貫かれていました。尖った先端から血が滴ってます……。
(ミラルダァァァァァァァァァァ!!!!!)
「マサ……ト……さん…………。」
彼女の頭が前のめりに勢いよく下を向いてしまいます。血が足を伝い流れ落ちていきます……。
(き~さ~まぁぁぁ~~~~!!)
私は奴に向かって怒りを露にしていました。
(ふんっ、誰も生きて放すとは言うておらん。)
やはり聞いていた通り、残虐なモンスターです!彼女を助けたいが為にしたことがかえって仇になってしまった……。その光景を目にしたまま動くことも出来ず、糸に巻かれてしまいました。目の前が真っ暗に。
悔やんでも悔やみきれない後悔………。大事な人が……大切な人が……最愛の人が……。私のせいで失ってしまった………。何が守るだ、助ける事すら出来ないじゃないか!私はなんて愚かなんだ………。そう悔やみながら、気を失ってました……。
(ふん、もうこの娘には用はない。我が子の糧としようぞ。)
ミラルダを投げ捨てます。無造作に地面に転がる彼女……。子蜘蛛達が、群がろうとした時いきなり斜め上に横たわったまま、飛んでいきます。空中で止まり、姿を現す物が……。
(オマ…エ…タチ……ニ…タベ…サ…セル…ワケ…ニ…ハ…イカ…ナイ……。)
オオナズチことナズッちゃんです。彼女を救ってくれました。これ以上彼女を無惨な姿にはしたくありません。ナイスです、ありがとう!
(ほう!お仲間がいたのかい。これはこれは……。食べごたえがありそうだのう。我が子等よ、其奴も捕らえようぞ。)
子蜘蛛達が、ナズッちゃんに群がろうとします。ですが、相手は古龍です。こちらもただで捕らわれる訳がありません。舌の鞭で蜘蛛達を叩き落とし、尻尾で払ったりと彼女を守ってくれてました…………。
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(……ト………雅人……皇雅人………。)
だ、誰だ!私を呼ぶのは。その呼ばれる声で目を覚まします。しかし、周りは真っ白な世界………。全く何もありません。しかも私も浮遊している感じです。あら、私、元の人間の姿……。素っ裸で……。はずかし~~~!…………失礼しました。でも、ここどこ!?
(皇 雅人……。)
(誰だ。)
(我ハ汝ナリ。汝ハ我ナリ。)
え、ちょっちょっと待って、我ハ汝………って、まさか!?クシャルダオラ!?
(ソウダ。)
(な……でも、転生して……。)
そうなんです。転生して、古龍として生活していた筈ですがどうして?
(汝ハ、マダ思念体ノ状態ダ。)
あ、成る程。それで今人間の姿で……、納得です。
(彼女ヲ救イタイカ?)
(な、なんだって!)
それって、どういう事?彼女を助けられるのか!?
(助ケタイカ?)
(助けたい!だが、どうやって?)
(我ト同化スレバイイ。)
(同化する!?)
(ソウダ。ソウスレバ、彼女ヲ助ケル事ガ出来ル。)
もしそれが本当なら……、彼女を助けたい!生きて再会したい!彼女の微笑む姿が見たい!
(分かった!同化してくれ。どうすればいい?)
(ナラバ、条件ガ二ツアル。)
(な、なんだ。条件て。)
(ヒトツハ、我ト同化スレバ、元ノ人間ニハ戻レナイトイウ事。モウヒトツハ、我ノ生命エネルギーガ汝ニ注ガレル。膨大ナ痛ミト苦シミガ襲ッテクル。ソレニ耐エル事。)
なんと!そういう事ですか。ですが、思いは一つ……。
(それでもいい!彼女はこんな私を好きと言ってくれた。凄く嬉しかった。あんなに良い女性はいない!彼女を救えるのなら、人間に戻れなくても悔いはない!)
(イイダロウ。デハ、ハジメルゾ……。)
私は気合いを入れました。するといきなり全身に痛みが!更に熱い!
(ぐわぁぁぁぁ!あ、熱い!!身体中が焼けるようだ!ぐうぅぅぅ……、しかも何だ!更に足下から流れ込んで来るものが!こ、これ龍脈というやつか?で、でかい!ま、待ってくれそれ以上は!?く、苦しい!押し潰されそうだ!全身も火だるまの様だ!ぐあぁぁぁぁぁぁ!!!私もこんな事は当然初めての経験で………。
(も、もう、耐え……られ……ない………。)
さすがに限界が来ていました。これほどのものとは………。気を失いかけた時の事です。ほんとに一瞬の事でした。私の脳裏に彼女の微笑む姿が!?
彼女に逢いたい!彼女と……彼女と生きてあの笑顔がもう一度見たい!
(ぐおおおぉぉぉぉぉぉ!!!)
…………………………………………………………………。
(な、何だ!一体何が起きておるのだ!)
私の外側でも、異常が起きていたようで。私の身体をグルグル巻きにしていた糸の包帯の隙間から無数の光が溢れだし、膨らんでいきます!
(な、何をしておる!更に糸を巻くのだ!)
シャガラクがそう叫ぶも間に合わず、糸が粉々に弾け飛びます!
(な、なんという事だ………。)
(スゴ……イ……チ……カラ……ガ…アフ……レ…テル………。)
さすが古龍種ですね。力を感じ取っている。私は目を瞑ったまま、足元から力が溢れて来ます。透明度のある物質が私をコーティングしていきます。両前足の左右外側に上に向かって刃のようにコートされ、尻尾の先は銛の様に3本の刃が。翼膜には菱形の紋様が一つずつ浮かび上がり、角も増えて立派な形に。顔まで全身コートされます。
(な、なんだこれは………。)
シャガラクも動揺し固まってました。私は目を見開いて、奴を見据えて思いきり叫びました!
「グルォォォォォォォォ!!」(硬度10!ダイヤモンドダオラ!!)
そうなんです。同化どころか進化したんです。透明度の高い物質で鋼鉄より遥かに硬いダイヤというコーティングを全身に施して………。
横を振り向くと、ナズッちゃんが傷つきながらも、必死に彼女を守ってくれてました。
(すまない、ありがとう彼女を守ってくれて。)
(ナカ…マ……ダカ……ラ…ネ……。)
ナズッちゃん、ほんとに感謝だよ。
(これが終わって落ち着いたら、彼女に巨大こんがり肉を焼いて貰おう。ご馳走するよ、スッゴく美味いんだ。)
(ソノ…ハ…ナシ……ノッ……タ………。)
彼女を優しく受け取ると、一度地面に寝かせて息を吹き掛けます。イメージをしながら吹き掛けるとダイヤが彼女を包み込み、棺が出来上がり、それをくわえて自身の背中に乗せ、更に吹き掛けてダイヤでコートして背中にくっ付けて固定します。 そして改めてシャガラクを見据えます。
(後は私に任せてくれ。奴は私が倒す!)
土煙が舞うほどに殺気を放ち、洞窟全体に満ちていきます。
(なんという殺気だ……。)
(シャガラク、彼女を無惨な姿にしたお前だけは許さない。彼女の代わりに無念を晴らす!)
(ふん!ほざくな小わっぱが!どんな姿になろうとワシの相手にならんわ!子供達よ、こやつを殺ってしまうのじゃ!)
「キシャァ!」
無数の蜘蛛達が一斉に飛び掛かって来ました!私は即座に斜め後ろにホバリングし、翼を勢いよく羽ばたかせて2本の竜巻を発生させます。通常の倍以上の高速回転で。しかも………。子蜘蛛達が、その竜巻に吸い込まれていきます。中では、竜巻に乗せて無数の小さなダイヤの矢じりが……。それが幾重にも突き刺さり、絶息して地面に落ちていきました。元々8つある丸い目が更に大きくなってました。
(な、な、なんという事だ………。おのれ!我が子達を!)
(あんたでもそう思うのか?最愛の者を失った気持ちが分かるか?)
(ほざくな!我が毒手の餌食にしてくれる!)
シャガラクが、3対の触手に猛毒を塗り始めました。私も対向する為に、口を閉じて左右の口元を少し開き、そこから息を出していきます。あるものをイメージしながら……。
それは忍者が扱う武器の代表格の一つであるクナイ。握りがあって菱形の刃の付いた短剣です。私はそれを両刃にイメージして、口から左右にダイヤを生成していきます。巧く出来たようです。太刀並みの長さはあるでさょうか、口の中に握りの部分をイメージして固め、それをくわえて武器としました。普通のモンスターじゃやらないですよね。私は普通じゃないって?ごもっとも。
(そんな紛い物でワシを倒せると思うてか!)
(やってみればわかるさ。)
(小癪なぁぁ!)
触手を振り上げて飛び掛かって来ました!私も首を傾げて刃を上下縦にして、上に向いた刃を振り降ろしていきます!お互いに横をすり抜けたとき、悲鳴をあげていたのはシャガラクでした。
「ギャハァァァ!」(わ、ワシの触手がぁ!)
私の刃が奴の左3本の触手を肩口から切り落としてました。地面に転げ落ちます。体液が吹き出し、一気に疲弊したようです。
(お、おのれ!おのれ!!)
お互いに向き直り、突進します!私は同じく刃を縦にして振り降ろしていきます!すると、残りの3本の触手も切られ地面に落ちます。シャガラクも動きが止まりました。大量の体液が流れ、動く事が出来ずにいます。
(おのれ、許さん。許さんぞ………。)
(そのセリフそっくりお返しするよ。これはもういいな。)
そう言って刃を放り投げていました。後はブレス等で倒せるでしょう。
(甘いな、ワシに切り札が無くなったとでもおもうたか。見くびってもらっては困るのう。まだ1対あるのだよ!覚悟………ガハッ…!)
(すまんな、いいと思ったのは刃だけで私が手を下すまでもなかったと言う事さ。)
(き、貴様わざと!?)
そうです。上に放り投げて、相手の意識をこちらに向けて刃が奴の身体を突き刺すまでの時間稼ぎ……。
(ぬ、抜かったわ……。くちおしや………。ガフッ……………。)
シャガラクはその場に崩れ落ち、動かなくなりました。それを見届け、周りに灯されていた松明を全て燃やし、周りにも火を付け火葬します。2度とこんな悲劇が起こらぬ様に………。
ナズッちゃんと共に飛び立ち砦へと向かいます。その途中の、あのピラミッドのような遺跡の頂上に降り立ちます。
(ドウ…シタ…?)
私は黙って背中から彼女をダイヤの棺ごとその頂上の地面に降ろします。そして、棺の形をベッド状に。自身の翼の一部を少し切り、私の血の一滴を彼女の口に……………。
すると彼女のわき腹の怪我がみるみる治っていき、ドクン!!と胸の辺りが飛び上がりましたが、静かに鼓動のする音が………。
「う………ん………。」
彼女が目を覚ましてくれました。良かった。私は嬉しさと、生きて再会出来たことに涙を流しながら、顔を近づけました。
「マサトさん……。」
彼女がはぐしてくれます。良かった!また彼女の笑顔が見られる!
(キ…セキ…ダ……ネ……ス……ゴイ……。)
(さあ、立てるかい?)
私は彼女と共にゆっくり顔を起こしていきます。
「ええ、大丈夫、ありがとう。」
ん!?……ちょっと待って?私、今、文字を書いてませんけど、聞こえた?
「あ、ほんとだ!聴こえる!凄い!マサトさんの声って初めて聞いた!嬉しい!」
い、いや、その……照れますね。ビックリしました。会話が出来る!私も嬉しい。そしてやっぱり彼女のこの笑顔が見たかった。最高です!
そして、彼女を背中に乗せ、砦へと向かったのです。
「将軍様!後少しで弾が尽きます!」
「ぐっ……後は一番厄介な奴が居ると言うのに……。」
そうなんです。3人のハンター達を含め、モンスター達をそこで足止めしてくれてました。後は主になる連中が残ってます。
(ふん、やるではないか人間共。しかし、我らに勝てるだけのスタミナが残っているかな?)
確かに全員、ギリギリで、疲弊仕切っていました。
「こ、ここまでか………。」
「グルァァァァ!!」
「なっ!」
全員、モンスター達も上を見上げます!
「お、おぉぉ!!」
間に合いました。ギリギリではありますが、遅くなりました。奴等は私に任せてくださいね。2度とこんなことが無いよう止めてみせる!!彼女と一緒ならば!!………………………。
沢山の方々にお読みいただいてありがとうございます!
来年も引き続きお付き合いくださいね♪♪
それではよいお年をお迎えください。紅龍騎神でした……♪♪