ごめんなさい!急いでます!クシャルダオラこと皇 雅人《すめらぎ まさと》です。転生したら古龍になっちゃって。しかも、彼女も出来ちゃって!
筆頭リーダーからの直々依頼を受けて和の国に向かっている途中に嵐で雨宿りしちゃって……。い、いえ何もありません!
あったのは、目が覚めたら外が大変な事になってました。山火事です!しかも火種が近くの村に向かってます!
緊急事態……。彼女と共に、村と焼け野森の間へと急いでいる所でした。
バルファルクではないけれど、私なりのスピードで村に急接近。村人達も当然、大騒ぎになっていて避難を余儀なくされています。
「だ、誰か将軍にこの事を伝えてくれ!!」
村長が助けを求めに大声で呼びかけ、2人がそれに応えて村を飛び出して行きました。いやぁ、意外と遠くが見えて、声も聞こえます。古龍って凄い。彼女もそこまでは見えてないようです。
まずは、私達であの火事を止めねば……。
「あ!龍だ!!」
「なっ!こ、こんな時に何で!!」
「は、早く非難を!急げ!!」
はは、助けると思われてないのですから、勘違いされてますね。彼女が背中に乗っている事すら気付いていないようです。
私達は村のすぐ外に降り立ちました。20m先まで火が近づいてます。彼女も背中から降りて村の中に。
「私達が食い止めますから、急いで避難を!!」
「なんじゃと!あ、あんたらは?」
「お話は後で!一刻も早く全員避難させてください!!」
「わ、分かった!すまん!皆、急ぐのじゃ!」
村長ですね。先ほど遠くからも見てましたが、村人優先に避難を指示している。いい人の様です。その掛け声で、混乱状態になるかと思ってましたが皆さん助け合って順々に移動していきます。素晴らしい。
「あっ!え~ん……。」
ん!?逃げ遅れましたか?子供が転んで泣き出しました。ですが、私もここから動くわけにはいかない……。
「大丈夫!連れてってあげる!」
子供を抱っこして急いで村人達の所まで走っていきます。さすがミラルダさん私が好きになっただけはある……。コホッ。
さて、私は火事を何とかしなくては……。竜巻で消せるか……、吹雪のブレスがいいか……。よし!やってみますか、なるようになれです。一旦ホバリングして4、5m上昇し、翼を素早く羽ばたかせ竜巻を2つ、火の向かって来る方へと放ちます。
木々を巻き込みながら前進していく竜巻……。その隙に私はゆっくり飛翔しながらブレスでその近辺の地面を雪を吹き付けてそれ以上に火が及ばない様にします。その上で私は炎と真っ黒い煙が立ち込める火事場へと移動しました。吹き付ける熱風、焦げた匂いと視界を遮るほどの真っ黒い煙……。炎が猛り狂ってました。無差別に火の粉を飛ばし、周りの木々を巻き込んで焼いて行きます。はた迷惑な奴です。落ち着きましょうよ、あなたの通った後は何にも残らないんだから。と言っても聞いてないでしょうけど。
上空からブレスを照射しながら、少しづつですが消化を始めました。嵐龍の様に天候を操って大雨でも降らせれば一気に消し止められるんでしょうけど、私にそこまでの能力はありません。なので、少しでも火事が進むのを遅らせ、鎮火できればと思ってブレスをずっと吐いていました。
その時です。後方から声がしたのは……。
「よし!放て!」
ガシュンッ!ガシュンッ!大量の水の塊が後ろからいくつも向かって来るじゃないですか!
よく見ると大型のカタパルトを利用して水を乗せて放出してくるとは考えましたね。
さすがに巨大な水玉には山火事も勝てないようです。今度は蒸発して白い煙が上がって鎮火していきます。文明の力って凄い。勿論こっちの世界での事ですよ。
でも、無事に鎮火してくれたようです。ですが、何故山火事なんか………。いくら前夜が嵐だったとしても、雷が落ちたとして木が燃えようとしても大雨で、すぐに鎮火してしまうはず。ならばどうしてここまで、燃え広がったのか……。
ん!?あの向こうに居るのは………。250mぐらい先の方に、烏竜種でしょうか?鶏冠が扇状に動く、嘴の尖ったモンスターが、立ち去って行きました。
なにか関係があるのかは分かりませんが、初めて見るモンスターです。気にしておいて損はないでしょう。
「よし!消火完了だ!村を守る事が出来たぞ~~!!」
わ~~~~!!っと歓声が上がります。食い止める事が出来て良かった。
私は、彼女が心配になり彼女の元へと戻りました。彼女の方も、私を心配してくれてすぐに近寄ってきてくれました。まずはお互い無事で良かった。村人達も無事の様ですし。
「もしかして、あんた達、筆頭リーダーからの応援の人達か?」
ああ、今掛け声をかけていた人ですね。装備もそうですが、威厳があって頼もしい感が半端ないですね。髭が白髪混じりで、シワもある。やはりこの人が将軍っぽいです。
「はい、リーダーから依頼されて来ました。」
「やはりな。ハンターが古龍と一緒に出向いてくると文が届いていてな。古き友の事だから、嘘はついていないとは思っていたが、あまりにも想像がつかなくてな。半信半疑でもあったのだ。だが、こうして君達は村を守る為に尽力してくれた。
それで確信出来た。やはり友は間違ってはいなかったと。」
あれ、でもこの人って和の国の人?将軍なのは間違いなさそうですけど。国はまだ先の方だと思いましたが?
「改めて礼を言わせてくれ、ありがとう。そしてようこそ和の国へ。」
あら!着いたって事ですか?し、しかしこの村ぐらいしか見当たらなく、城下町すらない、どして?
「おお、不思議そうな顔だな。ここは和の国の外れの方なのだ。城下町と各村は周りに点在している。だから、ここがある程度落ち着いたら、案内しよう。まずは、復旧を手伝ってほしいのだが?」
「わかりました。手伝わさせてもらいます。」
ま、彼女もそう言いますし、案内してもらえるんですから人助けです。お手伝いしましょうか。百竜夜行も近々とは言っても今日明日中にいきなり来ることは無いと思うので、村人さんを助けておけば良い事もありましょう。で、私はまず何をしたらいいんでしょう?
「凄~~い!!龍さんだ~~!!」
「ホントだスゲー!初めて間近で見た!!」
「え、怖い?怖くない?」
「大丈夫だって。ハンターのお姉さんが言ってた。」
あはは。ミラルダさんそんな事を言ってたんですか。まあ、襲ったりいじめたりする気もないし、しませんが。
私が手伝うと言っても、逆に村を破壊してもいけないし。ここは子供たちと仲良くなるのが得策ですか。
ならば遊びましょうか。私は村の外側で、犬の伏せの状態、かっこよく言えばスフィンクスの状態と言ったら分かりますかね?体勢をその状態にして翼をたたみ、顎を地面に着けて子供たちに自由に上り下り出来るようにしてあげます。子供たちは、私の身体に触れつつ感動しながら話し込んでます。まず、余程の事でない限り、普通の村の人達では古龍を目の前で見る、触れる事なんてまずないでしょう。親がすぐに子供たちを避難してしまうでしょうから。無邪気で良いですね。
お、みんな私の背中に上がるのかい?良いよ~、翼を少し広げつつ子供たちが落ちない様にゆっくりと立ち上がりました。4人の子供たちが慌てて私にしがみつきます。でも、立ち上がって子供たちの方を振り向きウィンクしてあげました。それを見て、子供たちも分かったのでしょう。顔がぱっと明るくなりました。家の屋根よりは高さはあるかな。遠くの景色に、村全体が見渡せる……。子供たちが大はしゃぎ。
いいですねぇ、無邪気で。こっちまでほのぼのになります。あら、でも1人だけ怖がっている子が居ます。女の子ですが、あまりの想定外続きで警戒してますか……。う~ん、どうしましょう。どうやって彼女の気持ちを和らげたらいいのか……。あ、そうか。こうすればいいかな?
私はおもむろに自身の鱗を1枚抜き取ります。それを咥えたまま、振り向いて彼女に差しだします。
「えっ……。」
彼女が、鱗と私の顔を交互に見ています。私がウィンクしてあげると、驚いて見つめられる私………。
「い、いいの!?」
私は頷くと鱗を彼女の手に。
「ありがとう。」
彼女の目がキラキラして、私の鱗を抱き締めていました。良かった。彼女の心が解れてくれた……。で、この子が将来名を残す程のハンターになって、私達に再会しに来るなんて、誰もどころか私にも知る由がなく……。
「あ~!楽しそうね!」
おおっと、ミラルダさん。お手伝いは終わったんでしょうか?
そんなに時間が経ったようには思えないんですけど。
「いや~~!かたじけない!助かった。ある程度落ち着いたので、移動しようと思うがいいかな?」
ミラルダも私の方を見たので、頷いて返事しました。おぅ、子供達を降ろしてあげねば。私はしゃがんで、子供達が降りやすい体勢になります。ミラルダも補助してくれて、四人とも降りられました。
「え~~~!もう行っちゃうの~~!」
「もっと遊びたいなぁ。」
「そうだよなぁ。」
「うん……。」
「これこれ、困らせちゃいかんぞ。」
おや、村長さん。
「村を救ってくれた方々じゃ。無理を言っちゃいかんぞ。今度落ち着いた時にまた遊んでもらうといい。」
「「「「は~~~い。」」」」
すまんの。また遊びに来るからね。私が前足でバイバイすると、子供達も手を振って返事をしてくれました。
そして子供達が走って村の中へと戻ろうとした時です!4輪の荷車に積まれていた丸太の山が崩れたのです!
「危ないっ!!」
ミラルダが咄嗟に走り出します!私も翼で丸太を押さえようと前に突きだします!最初に走っていた男の子が丸太の下敷きに!と思った瞬間、男の子が何かに捕まれて、あらぬ方向に引き寄せられます!私もミラルダも驚いてしまい、男の子の方向を見つめていました。誰も居ない筈のその場所で、男の子が空中からゆっくりと降りていきます。
男の子本人も何が起こっているのか全く分かってません。ただ助かったと思うばかりで。姿形が見えません。
しかし、気配は感じる事が出来ます。その男の子のいる辺りに感じてます。だけど、何も居ないんです。
(ダイ……ジョーブ。オト……コノコ……ブジ……モンダイ……ナイ……。)
!?!?!?
なっ!ま、まさかこんなところで?嘘でしょう。ま、マジで?
(き、君は……。)
(ワタ……シハ……。)
(カメレオン!!)
(チガウッ!!)
おぉ!ナイスツッコミ。ゲームでも上位種の古龍で、姿を擬態で見えなくしたり、舌で攻撃したり、かなり苦戦させられた相手でもありました。まさか、子供を助けてくれるとはね。
(助かったよ、オオナズチ君。)
(ナゼ……オレ……ダト……ワカッ……タ……?)
おお~い!そんな特殊な事が出来るのは君しか見てないんだよ!バレバレでしょ!てか、なんでこんなとこにいんの?
(どうして君がここに?)
(オモ……シロ……ソウ……ダ……カラ……キチャッ……タ……。)
まじか~~い!そんなノリで来たんか~~い!ま、来ちゃったものはしょうがないとして、はて一緒に行動する訳にもいかないし、どうしたものか……。
(オレ……サキ……ニ……イク……。キママ……ダ……カラ……。)
(え、え、ちょちょっと!)
って、行っちゃった………。大丈夫でしょうかね、ほんとに。そう簡単には見つからないですか。それはそうと、男の子は……。良かった、無事ですか。それは何よりです。じゃあ、移動しましょうか。ん!?ミラルダさん、気付いてない。そうか、私だけが気付いただけですか。一応、話しておきますかね。
と、地面に書くとミラルダさんビックリ!
でも、大騒ぎになっても困るので二人だけのひ・み・つ…………。
きゃ~恥ずかしい~!年甲斐もなく失礼しました。
ま、まあそんなこんなで、和の国に着いた私達。こんなんで良いんだろうかと思いつつ、城下町へと向かうのでありました……………。
読了ありがとうございます。次話をお楽しみに。