魔法戦記リリカルなのは~EPISODE J~ 作:偽作者(ハザードフォーム)
あらすじ?:
最近読み始めた流行りの探偵物ラノベの新巻を買いに行く途中、突如の交通事故で命を落としてしまった高校生 遠山 霞。目を覚ますと目の前には神様「カドラ=スカーレット」と名乗るどっかで見た事あるような少女が
どうも今までの自分の成長を観てきたらしく、異世界転生に良くあるパティーンの別の世界にある特典を持って転生出来る展開であるらしいが…特典の在庫が無くなったらしい。
え?何それ美味しいの?というか特典に在庫とか存在するのかよ!?
とんだ理不屈な理由で結局何の特典を貰えず異世界に転生する事となる。
これはそんな不利屈な理由で何の特典も貰えず転生先の異世界で一人の一般高校生が頑張るファンタジー物語。
第2話「ゼロから始める異世界生活」
前書き
*今更感半端ないですが、3月ネタも混ざっています。
元死神様と共に異世界らしき場所に転生もとい転移に近い転生をした俺だが、転生して目を覚ました先に待ち受けていたのは、始まりの街でもベイカーストリートでもましてや○サラタウンでもない、誰もが知る無限に広がる青い空だった。
何フィートもの上空に放り出されている事に気付いた俺と死神は最初はパニッくってしまったが、知恵を絞り、忍術の一つとされる「飛翔の術」でどうにか出オチを回避した。
これで終わってくれれば良かった……なのに何でこんなにも現実は非情なのだろうか?神様は何故こんなに冷酷なのだろうか
出オチを回避した俺と死神に待ち受けていたのは
、360度何処からどう見たってニホンザルにしか見えないーー魔王幹部の一人「猿帝」だった。
一度は異世界だから、猿の種族かと思っていたが、死神の話によると、あちら側の戦闘民族の基猿の惑星の猿のお方らしい……
ここまでなら別に猿だから、バナナでも持ってきて餌躾けすりゃ良い話だが、突如と出くわしてしまったこの猿の王様……実は魔王幹部だった――
……金八先生、僕はどうすれば良いんですか?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
どうしてこうなった……ねぇ、どうしてこうなったのぉ?
「はい――まぁ、知らないのも無理はありません……まだ説明していませんので――先程の話の続きとなりますが、魔王幹部の一人で緋猿族の長「猿帝」は緋猿族の長、もとい帝王の中でも最強とされ、その強さは単独で国を一つ滅ぼせる程だと言われるほどに圧倒的な力で将軍の地位を手にしたとされています……」
淡々と目の前で仁王立ちをする猿帝について説明する死神に俺はイラ立っていた。
何呑気に説明してんのこの死神――というか、どうすんだよこの状況……!
単独で国一つ滅ぼせる序に魔王幹部の一人って、おま……こっちはレベル1どころかまだ生まれたてホヤホヤの赤ん坊のようなもんなんだけどっ!?
こんな急展開にどう付いて行けば良いの?魔王幹部なんて一体どうやって相手にすれば良いのォ!?
一体どうやってこの状況を切り抜ければ良いんだぁぁっ!!
「これは滅多にないチャンスなのでは?幹部を一人消せるんですよ?」
え、何この死神……ねぇ、何でこんな絶望的な状況下で平然と「幹部暗殺しようぜ」なんて言えるその勇気はどっから来てんの?
「消せるって……お前は俺を消すつもりかっ!!ーーなんの装備も無しに魔王幹部の一人を相手にしろとか自殺行為に等しいわっ!!何?俺に戦って死ねって言ってるの?キリト君でも苦戦したヒートクリフに何の装備も無しで○リフトと○ライ連れて挑めって言ってるのぉ!?……って、いたっ!!何すんだっ!!俺はあちら側の趣味は全くねぇ!!寧ろ罵倒する派だっ!!」
「ツッコむとこ、そこですか……」
あまりもの大声だったのか、ゴリラに尻を鞭で叩かれた俺はあまりにもの痛みにツッコむ言葉を失ってしまうがすかさず罵倒されるよりも罵倒する側と返した。
確かに罵倒される方が良い人は居るよ?あっち側な人も居るよ?でもさ、普通罵倒する方が良いよね?ほら、クラスにウザイ奴居たりするじゃん?イケメンリア充とかさーー
そいつがこけたり、先生に職員室に呼び出されて怒られたりする所を見た時、心底ではざまぁって言いながら、何かスカッとした気分になったりするじゃん?
人は皆ドの付くSなんだよ、生まれた時から誰だってお母さん罵って生きてきたんだよ!!
「で、どうすんだよ……相手は天下の魔王幹部の一人でお前の言う緋猿族の長の中でも○国無双な長だ――攻略方法というか、弱点的なのが無いわけないだろ?」
「緋猿族は幻の戦闘民族とも言われる程に神出鬼没な亜人民族――要は孫悟空のような部族で、そういうのは私達神々でも分かりません」
やっぱ人生っつうのは、糞ゲーだな――死神であるコイツが何もしない事から予想はしていたが
「じゃあどうすんだよ……このままこの猿の捕虜として生きていくのか?ヤサイ人の捕虜として生きろっていうのか!?」
「いや、そうじゃないんですが、寧ろそれだとこっちが困るんですが――あ、あの……それより、前――」
死神は前を見る事を推奨しながらも自分視点からして前方を指差す。
死神と話していて気付かなかったが、振り向いてみると目前――鼻の先から数センチくらいの0距離に等しい程の至近距離に猿帝の顔が
くさっ……何この匂い、めっちゃ懐かしい匂いがするーー中学の頃に牧場見学した時のあの牛のあの臭いがするよ!?
「……」
零距離に近い至近距離で霞の顔をジッと見つめる猿帝だったが、霞の顔に鼻息を吹き掛けるとすっと立ち上がり、自分の後ろにあった玉座に腰掛ける。
肘を付いて座りながらも、玉座の隣にあったテーブルに置いてあったバナナ一本をもぎ取り、皮を剥ぐと皮を剥かれ剥き出しとなった果実を頬張るが、視点が別の所に移動するわけでもなく霞へと向けられたままになっていた。
「何故、こちらを見ているのでしょうか……?日本産引き篭もりニートである貴方に何か興味でもあるんですかね……?」
隣で四つん這いになった状態で猿帝が俺をガン見するのを不思議に思う死神。
……あながち間違ってはいないが、コイツ――ここから脱出したら人ごみの中で亀甲縛りで吊るしてやる。
「……何か物凄い怒ってらっしゃるように見えるのですが――」
震えた声で猿帝が怒ってらっしゃるという予測を述べる死神だが、死神が言わなくとも死神とは違って表情を見れるし、昔から遠足や学校の行事で動物園に行った際にキレた猿を何度も見てきた俺にとってはかなり分かりやすかったため、雰囲気的に何となく察していた。
それでも、この状況は……
――やべぇよ、猿帝めっちゃこっち見てるよ……バナナクチャクチャしながら、緋アリのような赤い目でめっちゃこっち見てるよ……
「はは……この雰囲気――これは不味いですよ……このままだと私達、即刻死刑かも……」
「え?裁判とか反論も無しで?」
「当然じゃないですか!!私達は魔王軍のテリトリーに侵入したんですよ?即刻死刑になるのは当たり前じゃないですか!!」
小さな声で俺の疑問に答え、冷や汗を流しながら怯える死神。
いや、逆だろ――なんで死神のお前が怯えてるんだよ……普通、俺が怯えてお前が平然としているべきだよな?
「こんな時、私の本来の力があれば……」
「おい、ちょっと待て……本来の力?――イテッ!?」
隣で呟く死神の謎めいた独り言の一部を聞いたその瞬間、突如に首根を強く掴まれたかのような痛みを感じる。
後ろを向くと今まで生きて動物園等でも見た事の無い程の大きなゴリラの顔が目前にまで迫っていた。
「え、俺何かしたの?さっきまでだんまりでしたよね!?ちょっ――何かお気に召さない事でも……あ、あのちょっ……ちょっと待って!謝りますから!!頼むから待ってぇえええっ!!」
狩られた兎のように突如と首根を掴まれた状態になった二人。
霞は理不屈かつ自らにとって意味不な状況ではあるものの、死神から聞いた情報に恐怖し、とにかく死を免れようと許しを乞うために叫び続けが、ゴリラの足が止まる事はなく、王座に座る猿帝はバナナ食べ続けながらその様子を緋色の瞳で見ている。
そして、2人は一般的な大人の身長を優に超える巨大ゴリラに何処かへと連れ去られていった。
* * *
「せっかくのチャンスだったのに……」
「……ここに閉じ込められた時はクソ怯えていた癖に、良くそんな事が言えるな」
向こう側の檻の中で死神ははぁと溜息を付く。
――溜息を吐きたいのは、寧ろ俺の方なんだが
あの後、魔王の幹部の間的な所からゴリラに連れ出され、牢屋に入れられた俺と死神はやる事もないし、出来る事も無いため暇つぶしとしてこの世界とこの基地の所持者である魔王軍幹部の一人「猿帝」について話し合っていた。
緋猿族は裏工作による戦術を駆使するいわば俺の知る知識内で例えればCIAやKGBのような情報戦、破壊工作等の裏からの戦闘を得意とする部族らしい。
緋猿族の恐ろしい所はスパイ等を活用した破壊工作で敵対国家を殲滅出来る所だそうだ。
たった一人のみでもワンマンアーミーともいえる程の反則級の強さを持ち、結構様々な国家が苦戦しているとか
猿帝はその頂点に立つ超チート級の指揮官ボスらしく、倒そうとして還って来れた者は居ないらしい。
ここまでが神々が知る情報らしく、神々でもその実態を掴めない事から「幻の傭兵部族」と呼ばれているとの事。
それと魔王軍の幹部の基地である事から他にも捕虜が居るのではないか?と考えていたが、見た所人一人すら見かけなかった事から、どうやら捕虜となったのは俺達二人だけみたいだ。
死神曰く「猿帝は用心深い幹部だから捕虜にしても逃走の事も考えて普通なら直ぐに処刑する」らしい。
これは勿論、俺達も論外ではないが――どういうわけか、俺達は処刑場には行かず、牢屋にぶち込んでしまった。
何か意図的な物でもあるのだろうか……?
考えられるとすれば、拷問か何かしらの実験のためと考えられる……
死神の話によれば緋猿族も魔族ではあるが、意外にも興味を持っていないらしく、魔族だからって人を食したり、エロ同人みたいにいやらしい事はしないとのこと……
日々の食事は朝昼夜の三食でバナナやバナナケーキといったバナナの入った料理が主なメインらしく、いわば日本では米がメイン、アメリカ等のヨーロッパ地域等の西部、南部等ではパンや小麦を使った物がメインになるような物らしい。
更に緋猿族の使う技術は神々でも分からないブラックボックスの物が多く、神々の持つ技術よりも発達しているとか――
だが独自だからといって単に理論的に考えるだけで技術は発達しない――技術は常に犠牲があってこそ発達する――2000年問題や宇宙進出するために行われたアメリカのマーキュリー計画のように、技術革命には何かしらの犠牲が存在する。
つまり何かしらの相応の犠牲が存在しなければならない――医療発達や技術発達に家畜やラット、チンパンジー等の実験用動物で実験するよう、捕虜や動物を用いて実験する可能性は捨て切れない――
魔王軍において人間への人権は皆無らしいからな……
これ等の事実から緋猿族が俺達を生かした目的は、恐らく何かしらの実験か、情報を聞き出すためだと考えられる。
そんなどうこう考え続けて、俺は死神から今必要と思える知識枠の質問を聞き続けた。
で、今に至る。
「はぁ……私に本来の力があれば――」
「そういえば、それ……あの幹部の間に居た時も何か呟いていたよな?――その本来の力っていうのは何だ?死神の力とは何か別の物なのか?」
ため息を吐きながら死神の呟く独り言に、俺はあの猿帝の間に連れて来られた際の事を思い出しては死神に疑問を問う。
「まあ、そのような物です――死神は神々の中ではバイトみたいものですから……取られた神性も死神としての神性でしたが――貴方の転生特典となってしまった影響で本来の能力や神性すらも取られてしまったみたいです」
不幸だぁと、とある学園都市に住む美少女に囲まれながらそれを不幸と言う少年の台詞を呟く死神。
「死神がバイト……?」
じゃあ、ギリシャのタナトスとかエジプトのアヌビスもそうだったという事になるのか……!?
「まぁ、タナトスさんとかアヌビスさん達のような神は本職ですよ?……他にも死神が本職の神は居ますし、全ての神がバイトで死神をしているわけではありませんから――」
呟いた俺の独り言を正確に聞いてしまったのか、死神は俺の独り言に対する答えを口に出す。
それに対して俺は
(そうなんだ!!死神様には本職も居ればバイトをするフレンズも居るんだね!!うん、いらない知識どうもありがとう!それより、どうにかしてよ~!しにえもん!!)
何処ぞやの未来から来た猫型ロボットに頼む一人の小学生の如く心の底で叫んだ。
……はぁ、トラックに轢かれて異世界転生出来るとかいう異世界転生物特有のベタ展開になったと思えば、転生特典は在庫切れするわ、あの死神を転生特典に持って来れたというのに、卍解も無ければ、○スノートもくれないし、○ろせんせー並みのチート能力も使えないし、殆ど知識面以外では全く役に立たねぇじゃねえか。
「――不幸だぁ……」
「それ、先に私が使いましたよ――そのネタ」
「どうでも良い話サンキューだ……」
とある不幸少年ネタをもう一度使用した事を指摘する死神に対し、とある天才外科医の台詞で返答する霞。
死神の指摘をきっかけにふと思い出した不幸少年ネタについて考えようと思考の海へとダイブしようとしていた霞であったが、死神が突如に話し掛けてきた事で我に返る。
「それより、これからどうしますか?」
死神が訊いて来たのはこれからの方針についてだった。
勿論、俺の答えは只一つ。
「そりゃ……ここから脱出するに決まってるだろ――このままだと、ミカエルの言っていたスライムに瞬殺されたどっかの転生者のような運命を辿る事になるからな、それに転生して得た人生を無駄にはしたくはない」
せっかくもう一度手にした人生、もったいないだろ?と俺は返す。
――とはいっても、どうやって脱出すれば良いんだろうな……排煙口なんて無ければ、ダクトや換気口と思われる物も見当たらない。
手持ちは幸いにも必要と認識されなかったのか、もしくは知られなかったのか、生前から持っていて、転生してなお、気付いたらポケットにあったスマホ一機のみ
勿論、どっかのスマホ無双してる転生者のように
オーバースペックになってるわけでもなく、一般的な量産機である。
更にバッテリー切れになってた。
勿論、バッテリー切れだけならこの世界で充電ケーブルと充電器を作って充電すれば良い話だが、スマホや携帯の特徴である「一度バッテリー切れを起こしても、一回くらいなら点ければ2~30秒程は持つ」という思い出もとい体験を思い出し、一度試験的に電源を点けてみた。
電源は点いたものの、思った通りに圏外で契約切れに加えデータは初期化され、しかも出荷され間もない状態となっていた。
そのため、使い道なんて全くない。
使える点といえば……錘や音を立てる為に使える等だろうが、今の状況で使える物とは言えない。
勿論死んだふりをして死んだと見せかけ、アイツ等が鍵を開けて牢屋に入ってきた所を気絶させてから処理、その後に時を見計らって牢屋から脱走……というのとか、監視カメラの死角に隠れて逃げられたと相手を騙し、入ってきた所を気絶させての脱走という何処ぞやのルパンのような方法も考えたが……
監視カメラは檻の全方面にあるというか……何かこう、物凄いSF物にでも出そうなドローンで、どうやらサーモグラフィ機能や暗視機能みたいな物まで搭載しているらしい。
しかもスマホを投げ付けた時は経典的にスパイ映画とかに良くあるレーザーで攻撃してきた。
更にスマホに当たっても無傷で、見た目に反して高機動で動く他に反重力的な方法で浮遊しているというかなりのハイテク物。
死神曰く、息を止めたり死んだふりをしてもサーモグラフィ的な機能や微弱な生体電気すらキャッチしたりで直ぐにバレたり、死角に回っても、別のドローンと連携して直ぐにバレてしまうらしい。
ちなみにドローンの機能については死神が話してくれた……死神曰く、結構凄い物らしい。
ほんと未来に生きてんな――緋猿族って
次に先述の脱走方法「監視カメラの死角に隠れて相手を騙す脱走方法」や「死んだふりをして騙しての脱走方法」といった方法が出来ないもう一つの理由なんだが……実は俺達が入れられたこの檻は完全にサーカスの動物を入れる檻や、猪とかネズミ等の小動物から猛獣に至るまで様々な動物を捕獲する際に使用されるトラップの檻等にも使われる檻らしい……
360度見渡しても、どの方面すら縦横どちらも均等に並べられた鉄格子で覆われている。
しかもご丁寧に、鉄格子には電流が流れていて、下手すれば感電死してしまう可能性がある。(既に近くにあった小石で試験済み)
つまり、完全に打つ手無しの状態というわけだ。
どうやらガチで逃す気なんてこれっぽちも無いらしい。
「脱出するとはいえ、どうやって脱出するつもりなんですか?今私達が置かれてる状況は脱獄するなんて不可能に等しい――何か道具的な物があったら状況が違ったかもしれませんが、使えないスマホだけじゃどうにもなりませんよ?」
鎌は取られちゃいましたしと死神は小声で呟きながら、で、どうやって脱出するつもりなんですか?と脱出方法を訊いて来る。
死神の言う通りだ――この状況下での脱出は不可能に等しい……ドローン型のディープラーニングやら遺伝アルゴリズムやらを搭載したかのようなハイテク監視カメラに加え、電流の流れる鉄格子とかなりの強度で出来ている牢屋……この鉄壁なセキュリティを持つ牢屋から脱出するのは今の俺達には無理がある。
それに例えこの鉄壁の牢屋から脱出出来たとしても、ここには魔王幹部の一人である猿帝というラスボスが居る。
俺達の今のレベルじゃ、戦うことなんてましてや、倒す事すら出来ない。
勿論、死神も基の駄目神程に知力値が低いわけではない……それくらい予想している。
だが、だからってこのまま居たら……確実に何らかの実験のモルモットにされてしまう。
「あぁ~どうすれば良いんだろうなぁ――」
ほら、やっぱり無いじゃないですかーと不満を漏らしながらジト目でこっちを見る死神を他所に俺はその場で仰向けになる。
床は金属であるため、金属特有の冷たさが全身に伝わって来る。
だが焦っていたのか、それとも突然過ぎる今までの出来事の積み重なりによる心理的問題のせいなのか、冷たいと言うよりもひんやり感が強かった。
例えれば……鳥インフルエンザで寝込んだ際に熱ピタを額に張った時に感じるあのひんやりした感覚に近いというべきだろうーー
「ーーそんな呑気にしている暇あるんですか?早く脱出しないとこのままじゃ処刑されますよ?」
「今直ぐに脱出出来るわけでもないのに、そんなに急いだところで無意味だろうがーーこういう時こそ冷静なれよ」
「冷静というか……こういう時に普通、冷静になれますか?ーー」
まぁ、一理ありますがと渋々納得したかのように呟きながら、牢屋の床にあぐらをかきながら座る。
とはいえ、死神の言う通り、本当にどうにかしなきゃならないのは紛れもない事実だーーその前にふと思ったんだが……だだ、どうやって脱出すれば……
「ーーなぁ、本当にここから脱出する方法は無いのか?」
「はぁ……あのですね、先程も言いましたが……ご覧の通りーー死角のない監視用ドローンに鋼鉄の檻、おまけに格子には高電圧が流れているというおまけ付き……ルパン三世でもこんな完璧な監視を潜り抜けるには何か道具とかでも無い限り、無理な話ーー」
あ、そういえばリュパン4世っていうルパン三世の娘さんが前に読んでいたラノベに出てた気が、とルパン三世というワードでふと思い出したのか、ルパンに関連している話題を目を輝かせて振るい始める死神を他所に、俺は完全とは言えないが、死神の話にある"小さな違和感"を感じていた。
(鋼鉄の檻――高電圧電流の流れる鉄格子……)
通常、高電圧電流が流れる程ならば、導伝率が高く、優れた強度を持つのが理想的だ。
例えればSFにおいて人工筋肉や現代世界でも使われ始めているCNT(カーボンナノチューブ)や航空機等に使われるアルミニウム合金やセラミック・チタン合金のような感じの物だろう。
どれも、高い耐久性と分野で重要視されている性質を持った素材だ。
しかし、どのような物にも超えてはならない限界ラインは存在する。
電子系の工学とかでは”絶対最大定格(Absolute maximum ratings)”と呼ばれる数値が存在し、この数値を超えるとその部品、またはデバイスは破損してしまう。
他に例えると元素にては相転移におけるその状態から変わる、逆に言えばその状態を維持できる温度または圧力の事を示す臨界点、融点が例に挙げられる。
このように、例えここが魔法の世界であっても、どのような物にも必ず限界はある。
もしかすればこの牢屋を構成する金属も、限界ラインがあるかもしれない――つまりは、電流と電圧を上昇させていく事で、限界ラインを突破、檻ごと破壊出来るという事になる。
ただ、この方法は現実的じゃない――今の俺は、転生者とはいえ、只の一般人だ。
魔法なんて使えないし、ましてや電気系の能力なんて持ってるわけがない。
それに、今の手持ちじゃ電圧を上げるための昇圧回路すら作れやしないし、檻と鉄格子を構成する金属がどのような物なのかすら分からない。
死神すらも分からないらしいからな――この檻や鉄格子は暗黒物質のようなとんでも物質で出来ているに違いない
こんなに長くダラダラ考えておいて、今更どうこう言うのはおこがましいかもしれないが、重要なのはこれじゃない
最も重要な点は”鉄格子のみ”に電流が流れていて、”檻本体”には電流が流れていないという事だ。
これは檻本体が伝導体ではない何かである事を示す重要な事でもある。
もしかすれば微量なレベルで電流が通っていたりするかもしれないが――それだと、一種の静電気もといコロナ放電等が発生していてもおかしくはない。
寝転んだ時に髪を触れていたが、あの小学校の時に良くした下敷きで髪を擦って立てる奴をやった時に髪と下敷きの間に手を突っ込んだ際に感じる、微妙に何かに触れているような感触は無かった――それに導電しているならば、鉄格子の電流が床にすら流れて来て、俺は今頃黒焦げになっているだろうしな。
この牢屋を含めたこの空間自体を絶対零度を超えたマイナスの領域にまで落とす必要がある。
とはいえ、ここは猿帝の城で、夢のチキンレースもありそうな魔法の存在する世界でもある。
今はまだ解らないが、もしかすれば生前の世界での暮らしの方がよっぽどマシと思える程にここは危険な世界かもしれない……魔王も居る程だし
だからって、ここがラノベ等に良くある異世界であるとは限らない。
生前の世界と変わらないかもしれないし、
「ウホッ、ウホホッ……(最近のアニメ、面白かったのといえば、猛獣フレンズしかないよな……)」
「ウキッーーウキキキッ(激しく同意すんぜ、同志ーーまぁ、出血のオルフェンズも楽しみだったんやけど、流石に鬱展開過ぎてもう見てられへんわーー特にオル猫が死亡したシーンのせいでもう見れんわ)」
「ウキッーーウキキッ(だけど先週のバエルーー結構カッコ良かったな)」
「お、おいーー何でアイツ等、猛獣フレンズの話してんの?というか出血のオルフェンズとか聞き覚えのある単語が」
「多分、翻訳機の故障かとーーこれ、結構旧式ですので……あ、もしかして猛獣狩りの事なのでは?」
「いや……思いっきりテレビに11話のサーバルにゃんをごはんちゃんがかばってる写ってるんだけど!?」
「サルリアンがトランスオンしたんじゃないんですか?サルリアンって確か、特殊な細胞の集合体だとか何とかで、フレンズに襲い掛かっては食って相手の記憶、姿を奪うとか設定があった気がしますが、それなんじゃないんですか?」
「認めてんじゃねぇかっ!!アイツ等が猛獣フレンズ見てんの認めてんじゃねぇかっ!!というか止めろっ!!アウト発言は止めろっ!!何お前、この小説完結もさせずに終わらせたいの?」
「苦痛は長引くよりも一瞬が良いですからねぇ……それに、こんな金魂の風格をパクッたような小説をキャー面白いっ!!て読む読者なんて居ますか?まだ二話程度しか行っていませんが評価もたった6点にブックマークした人は3人ーー作者視点からはマジありがたいでしょうが、私の視点から見れば、この小説にはもう破滅しか待ってませんね。」
「メタい発言止めてくんない?――そもそも、何でこいつ等アニメやそれ等類のネタ知ってんだよ……?おかしいだろ、ここ異世界の筈だよな?魔王や勇者が存在する中世時代で中ニ設定全開な世界観持ちの異世界の筈だよな!?」
「さぁ?それについては知りませんねぇ?ーー多分、」
* * *
「ウホッウホッウホホホッ(閣下、現在ハヌマーンの量産が約95.8%まで完了いたしました。)」
「ウキッ、ウキキキキッ(順調のようだな、それでーー例の人間とスケルトンの様子はどうだ?)」
「ウホッ、ウホホッウホッ(スケルトンの方はそこまで脅威にはならないでしょう、ですが人間の方は……)」
「ウキッウキキッ?(『奴の顔を見ると妙に顔面目掛けて自分の糞を投げ付けたくなる』か?)」
が、顔面に糞を投げ付けたくなる?お、俺の顔に?
「ウホッ、ウホウホホホッ(はい、まさかとは思いませぬがーーあれは我々の言い伝えに存在する我々緋猿族を絶滅数前にまで追いやった伝説の破壊者の一人『アウターヘブンズアウェイ·ザ·メイカー』なのでは?」
「ウキッ……ウキキキキッ(そうかもしれぬな……伝説の破壊者も人間だったらしいからなーー我はあまり伝説は信じないタイプだが……もしかすればそうなのかもしれない)」
アウターヘブンズアウェイ·ザ·メイカーってーーもはや只のウンコ投げられ機だろうが!!
何だよこの天空の城!!何だよ伝説の破壊者って!!
何言ってんだよこの猿共!!
俺が聞き間違えたの?俺がアホか馬鹿類だから聞き間違えたのっ!?
「」
……何か今一瞬、寒気が――気のせいか?
――あ、そういえば……あのバナナの皮……何で突如に爆発したんだ?――只の白カビが生えた腐ったバナナなのに
「そういえば、あの白カビの生えたバナナの皮は一体なんだったんだ?普通バナナの皮が爆発する筈ないだろ?」
「簡単ですよ、あれはこの緋猿族に古来より伝わる秘術、猿王魔術(モンキーマジック)の一つを応用した物――あのバナナの皮は一種のフェイクで爆弾を爆発させる爆薬にしか過ぎません……独特の秘術なので、繊細な事までは私にも分かりませんが、魔力反応を感じた事から――恐らくは魔力を応用した設置型の爆裂魔法に近い物だと思います」
なんてこった――やっぱり猿と馬鹿にしたつもりだったが、原始人というか人類より頭が良過ぎだろ……まさか、あの猿公共――あちら側の尻尾を生やしてらっしゃる戦闘民族の親戚か何かか?
「」
「なぁ、「サルゲッチュ」って知ってるか?」
「まさか、これは……超閻魔空要塞「ハヌマーン」――かつて魔王軍最高機密トリプルA級の空中空母の一つが何故、バミューダトライアングルとも言えるこの空域に……?」
「え?何その無駄に細かい設定?何その超展開――ねぇ、俺は何処にツッコめば良いの?異世界転生したばかりでレベル1なのに突如にそんな魔王の幹部級の敵と戦う今の超展開にどう付いて行けば良いのォ!?」
「あ、まさか唐沢君?唐沢君だよね?え、いや~ごめん……ごく普通の高校生と魔王の部下やってると思ったらいつの間にかもっさりブリーフの将軍様になってたんだね、久しぶりに会ったけど、物凄い変わっちゃってたから流石に気付かなかったよ」
「いやーー確かに色んな意味で将軍で合ってますけどそっちの将軍じゃないから、どっちかというと秀吉の方だから!!……ていうか唐沢君って誰っ!?」
「」
「あぁぁぁっ!?」
「あ、あいつ等砲門どころか別の砲門開いて、とんでもない砲弾飛ばしてきやがったぞっ!?いやあぁぁっ!!何あれ!?あの巨大な砲門と砲弾、飾りなの?一体何の意味があるんだよっ!!」
「いえ、○んこではなくリキッドブルリュンバレットです……どうやら私達は何処ぞやの銀髪天然パーマの如く――あの猿公共に本能的に○んこ投げられ機として認識されたようですね……ただ、ほぼって言うより、全ての猿が貴方をロックオンしてるようですが――もしや、貴方の祖先は○リーザ様か猿とキジと犬をこき使った桃太郎でしたか?」
「リキッドブルリュンバレットってーーそんな中ニ臭く格好良く言った所で猿のビチクソと全く変わらねぇじゃねえかっ!!そもそも俺の祖先がそんな筈無いだろっ!!桃太郎のようにこき使った覚えなんてねえよっ!!――つか、そのネタはもう、辞めてくれない?○魂ファンや桃太郎愛するファンに社会的に殺されるからっ!!命幾つあっても足らないから!!○ラゴンボール幾つあっても足りないからっ!!」
「言っただろ、「減速させる事は出来ても、鳥のように完全に飛べたりはしない」って……それにこれ、歴史的に貴重な体験だぞ?まさか忍者モノの漫画とかで見かけていた飛翔の術をガチでやり遂げるなんて――」
「いや、赤の他人から見たら爆笑されて絶対○イッターに載せられて正真正銘のならずもので猿のウンコまみれの馬鹿として、どっかのコラとかに使用されて永遠に歴史的に残される光景だと思いますが――というよりこの方法、本当に大丈夫なんでしょうかね……?あくまで、この忍術(飛翔の術)は漫画の中でのみ使われている方法じゃないですか――」
「いや、赤の他人が見たら涙堪えで爆笑すると思う――」
「では、地獄でまた――」
その瞬間、全身をナイフで突き刺すかのような痛みが走る。
突如に視界が真っ暗となり、そこで俺の意識は途切れてしまった。
――とでも思っていたのか?笑止っ!!俺はそう簡単にくたばらねえよっ!!
「とぉっ!!」
「あの……せ、背中から離れてくれませんか?私、ボードじゃないんですが」
お、乗ったら折れると思ったんだが意外と硬いんだなコイツ
「」
「うっ――ここ、は……?」
意識が覚醒する。
どうやら着地は成功したらしい……
これも全てこの能無しな死神が悪い
な、何アイツっ!何自分だけ本格的に死んだ振りしてんの!?この展開は戦うシーンなんじゃないの!?
一瞬本物の屍だと思ったわ――完成度たけえな、おい……死神から屍に転職した方が良いんじゃねえのか?
「なぁ、その大鎌ーーちょっと借してくれない?」
「こんな非常時に何をというか、これは死神のアイデンティティで――ちょっおま」
抵抗する死神の手から鎌を強引に奪い取ると、共に逃げていた死神に背を向けて、ミノタウロスに向かって駆けていく。
仮にもこの死神も元々は”神”の一人だ。この大鎌が通常の鎌である筈がない。それにこのミノタウロス…○ンまちでは英雄に憧れる白兎さんだってとんでも物質で出来たナイフ二本で勝ったし?俺、こう見えて昔は剣道部で結構運動神経ある方だから勝機はある……!
只、あの死神……さっき何か重要な事を言った気がするんだが――いや、今はそんな場合じゃない!
「グオォォッ!!」
森に響き渡る程の殺気を含む咆哮を上げると、ミノタウロスは俺を睨みつけて、狙いを定めた原始人のように鋭い刃を持つ大斧を横へと力強く大きく振るう。
だがこれは俺にとって大きなチャンスでもあり、想定内の事だった。
(――今だ…!)
俺は直ぐに大斧ミノタウロスの懐へと飛び込み、大鎌を宙に振り上げ、直ぐさま力の限り勢い良く振るう。
このミノタウロス…今まで逃げてて考えてみたが、どうみても知的向きではなく、脳筋派らしい。
只、本能がままに動いているようだった。
ただ、どっかのラノベでは何故か人の言葉を良く理解しているようだったがな……脳筋だったのには違いないが
「――あり?」
だが、俺にとって予想外の事が起きた…それは鎌の刃は全くミノタウロスの皮膚へと食い込まなかった――それどころか、刃に徐々にヒビが入り始め、やがて硝子のように砕け散っていった。
へ……?なん、で?これ死神の大鎌だよね?とんでも物質で出来てる筈だよね……?というか斬魄刀だよね?これ
封印状態だから?それとも俺の霊圧が低いから?
そんな頭の中で答えを求め続ける中、求めていた答えは自分ではなく、から出た。
「貴方馬鹿ですかっ!その大鎌の刀身はクロム合金製!市販の家庭包丁と全く変わらない――そんな物じゃミノタウロスの身体には傷一つすら付けれませんよ!」
え……マジ?
恐る恐るミノタウロスの方へと向き直す。
そこにはあらまびっくり、店長のようにカンカンに怒ってらっしゃっているミノタウロスの顔が目前にあった。
そんな
「グルル……」
「あ、あの……すみません、ちょっと僕等の手違い
「おのれ――あの駄天使め……っ!!もしあっちに戻れたらぶっ飛ばしてやるっ!!」
どうやら、こっちが本命のようだな――何々……『両肩を交差すれば魔法は解ける』…?」
「死神ッ!――スイッチを……!!肩にあるスイッチを押せっ!!」
「スイッチ……っ!?」
「良いから早くしてくんない!?こっちも流石に持たないからっ!!主人公じみたように間を作らないで欲しいんだけど?!」
両手を握り締めた拳の両腕を胸の上で左腕、次に右腕と肩に交差させる 死神。
「…っ!?」
突如牛頭の男の胸部から突起物が突き出る。
その突起物は何かしらの刃で
死神はミノタウロスの真後ろに居た。
死神が握っていたのは大鎌でもましてや斬魄刀でもないーー緋い光沢を帯びた刀身を持つ唾のない二本の小太刀だった。
「ーーごはっ」
突如に自分の後方で確実に仕留めた筈の死神が、いつの間に後ろから小太刀で刺突してきた事に驚きを隠せなくなっているが、俺も驚くしかなかった。
なんだって首の骨を折られて挙句には頭撃たれて死んだ筈なのに、気付けば元通りでーーしかもいつの間にか二本の小太刀で後ろから刺してるんだもん……通り魔みたいに
「」
「ふう、ならこれはもう必要ないな」
死神はそう言い出すと、目の前でローブを脱ぎ捨てた。
燃えるような光沢を持つ様々な装飾の施された紅い西洋式の鎧
臑まである緑に銀を含んだ滑らかで日本刀のような美しさを持つツインテール
左右異なる赤と蒼の虹彩異色の瞳
ボロボロのローブを脱ぎ捨て、姿を現したのは白い白骨ではなく、華凛な一人の女騎士だった。
……いや、魔法少女か?
「名乗るとしよう…我が名は破壊神スカーレット 、カドラ·スカーレット、「破壊」と「愛」を司る女神だっ!」
自らの名前ーーもとい真名を名乗る"元死神"。
…やだぁ…まさかこんなお痛い子だったなんて
夢ってノンレム睡眠中の記憶整理とかの過程で発生する現象なのに、俺の中の『僕の考えた最強の神様』ってこんなお痛い人だったの!?
「ーー口に出てるぞ?いい加減、目覚めたらどうだ?」
スカーレットと名乗る死神だった人は俺の頬を抓っては今の状況が現実であると述べた。
ちゃんと痛いし、目を凝らしても俺の頬を抓っている翠髪の女騎士ははっきりと写っている事から恐らく、これは現実なのだろう。
「イテテ……あにょ、カドラしゃん?もう手をはにゃしても……」
「」
「おい、俺の決死の覚悟を返せ」
アームロック
「」
「何が試練だ――理由になってねえよ」
「私と契約して転生勇者になってよ」
「だが断る」
「何?さっきは契約すると言ったではないか!」
さあ――初のモンスターとの戦闘だ!
「――おまわりさん、こいつです」
こうして俺の"元"死神もとい、元破壊神とのゼロから始める異世界生活はこの異世界のお巡りさんに逮捕されてから幕を開けた。
「ところでカスミ、セーブするあれ(ぼうけんのしょ)に今までの事をセーブしないのか?」
前言撤回……やっぱ大丈夫か――コイツ……ほんとに心配になってきたんだが
* * *
あれは、いつ頃の話なのだろう……
私がまだ物心が付き始めて間もない頃、私は一度、森に迷い込んでしまった事がある。
森に迷い込んだ事なら、一見誰もが経験した事のある体験。
でもそれは私にとって人生史上最悪の経験
だった。
ーーもし、「彼」が居なかったら……私は穢れ、孵化した虫の餌食になっていた……そう想像するだけで、震えが止まらない……
"彼"のお陰で、今の私が居る――
「う~ん、朝か…。」
そして、翌朝ストレウスはベッドの上にて、起き上がる。
「あれ?身体が軽くなったな、昨日はかなり重く感じてたのに、でも、もう休暇出しちゃってるしな、今日はゆっくり、休もう。」
ストレウスはそう思いながらも、朝の空を見上げる。青く透き通った朝の空には二つの月が見え、白い雲が青く透き通った限りなく続く空を泳いでおり、そんな空を鳥達が飛び立っていた。
「やっぱり、鳥は良いな…僕達のように、限りのある地で住むよりかは、空を自由に飛べるし、普通に何処にだって、行けるし…」
すると、ストレウスの部屋のドアを開け、長く腰まである金髪の赤い瞳をした女性が姿を現す。
「身体の方は大丈夫?ストレウス。」
女性はストレウスに昨日の謎のガジェットドローンの攻撃を受けた身体の状態は大丈夫かと問う。
「あ、はい、大丈夫です、院長、すっかり、軽くなりました。」
ストレウスは女性を「院長」と呼び、身体の方はすっかり軽くなったと答える。そう、この金髪の女性はこの孤児院の院長であるようだ。
「そう、なら良かった。今日はゆっくり休んでね。ストレウスはいつも働きすぎだよ。今日はゆっくり休んでね、それと、そろそろ、資格とかも取って置いたらどうかな?ストレウスなら、勉強すれば、出来ると思うよ?」
女性はストレウスにいつもは働きっぱなしで、一度も休んでいないため、今日はゆっくりと休んでほしいと言い、そろそろ就職にも備えて、資格を取って置いたら?と聞く。ミッドチルダにては、15歳からは大人であるため、院長が言っている事は、15歳の内に就職先を見つけた方が良いという事である。
「まあ、確かに。でも、僕もここでお世話になりっぱなしですし「その事については大丈夫だから。」」
「私のツテから仕事紹介してあげるから、大丈夫。それにストレウスの気持ちは嬉しいけど、私にとってはちゃんとした職を持って、ちゃんとしたお嫁さんを持ってちゃんとした幸せを掴んで欲しいな~」
院長はストレウスを見ながらも、ストレウスの未来の姿を想像しながらも、フフッと微笑む。すると、院長は何かを思い出したかのような表情をし、
「あ、そういえば、ストレウスお客さん、来てたよ?」
とストレウスへの客が来ていたと言う。
「お客さん…?僕に?」
ストレウスは首を傾げる。
「うん、何かストレウスにお世話になったから、御礼をしに来たそうよ?それにしても凄いわね、あんな綺麗な人、私も初めて見たよ。それじゃあ、私は買い物に行ってくるね?お客さんなら、客間で待ってはずだから。」
院長はそう言うと、長い金髪をなびかせながらも、戸を開け、買い物をしに向かう。そして、部屋にはストレウス、一人のみが残る。
(…僕にお客さん?一体誰なんだろう…僕って何かしたのかな?でも、院長の話からして警察なわけ、無いし…多分)
ストレウスは自分宛に来たお客さんが誰なのか、想像しながらも、戸を開け、客間へと向かって歩いて行く。
(そういえば、アインハルトさん…大丈夫かな?怪我が無ければ、良いけど…)
ストレウスはそう思いながらも昨日、謎の怪物に襲われていた所を助けたアインハルトの事を思い出す。
(僕は傷付いても別に問題無いけど…アインハルトさんが怪我したら駄目だし…一度、院長に調べてもらってアインハルトさんの家に行ってみようかな…?)
そう思いながらも、ストレウスは客間の戸を「あの、僕に何か…?」と言いながらも、戸を開けるが…
「え…?」
戸を開けた目の前の驚きの光景に驚きを隠せなくなる。何故なら‧‧‧‧‧‧
「あ、あの‧‧‧‧‧‧‧おはようございます‧‧‧‧‧ストレウスさん。」
そこには、昨日自分が謎の怪物から助けた冬用の真っ白なコート姿のアインハルトの素顔があった。序に言うが、現在、季節は冬で正確には10月だが、温度が12月のそれと同じくらいとなっている。
「あ、アインハルトさん…ど、どうして…ここに?」
ストレウスは彼女がここに居る事に動揺しながらも彼女に問う。
「実は…昨日助けて貰ったお礼をしに来ました…その、これを」
アインハルトさんが取り出した物、それは
「ロストギアだ、ロストギアについては君も知っているだろ?真名は不明だ、私由来は君の故郷である次元世界に存在する北欧神話のシグムンドとシグルドが使っていた伝説の神剣の名からーーそして全てを知る古代ベルカの王、真王の所有物の一つだ。」
「真王…?」
忍は"ある一つの単語へと疑問を浮かべる。
ミッドチルダに来る前、忍はもしもの事に対応する為にミッドチルダの情報を全て調べ上げている。
時空管理局は地球には干渉出来ないが
地球に移住してきたミッド人や元管理局員は大勢居り、ある程度深く調べた事で直ぐに知る事が出来た。
古代ベルカについても、ヴィヴィオの事も入れて、調べていく中で知った。
古代ベルカは、いわば戦国時代、もしくは中世ヨーロッパとイングランドの間で起きた100年戦争のような時代である。
下克上は勿論、貧富の差も存在していた。
アインハルトが覇王の記憶を持つ事の他
聖王オリヴィエの伝説、聖王統一戦争、冥王イクスヴェリアやマリアージュ、覇王クラウス等…管理局とミッドチルダにて現段階で判明している全てを忍は知っている
だが、”真王ガヌロン”という単語は聞き慣れない単語だった
「あのロストギアは通常のカメラやセンサーでも捉える事は出来ない――いや、どのような者でさえも奴等を目で捉える事は出来ないだろう、そして攻撃する事さえも」
「…一体、何が言いたいの?」
「
「そうだとも、君は全てを知ったように思うが、それはほんの一部にしか過ぎない、そして奴等もほんの一部しか知らないだろう――私はね、全てを知ったのだよ」
彼はベッドに拘束されたままの忍の前に弧を描きながらも足を戻す。
「奴等は死神さ、君達の知る全ての未解決事件やこのミッドチルダで起きた未知の現象…全ては奴等の仕掛けた破壊工作の一つなのだよ、美しいフロイライン」
「まさか…」
「
それで…着いた先は異世界だった。まあ正確には目を覚ましたら、だが…
いきなりあの人におKした瞬間、意識はブラックアウト
目を覚ましたら異世界、というわけだ。
何馬鹿な事いってんの?と思うかもしれんが360度何処からどう見ても異世界だ。
空には飛行船飛んでるし、町は基の超時空要塞のあれみたいに変なドームに包まれてるし、町は普通の風景だったが、何か浮遊したりしてるし
自分の頬は抓ってみたよ?だってあんな光景見ちゃえば、誰だって夢だって疑うだろ?
でも夢からは目覚めないし、違和感も全く無い。只抓った頬が痛かっただけだった。
直ぐに知り合いに電話しようとしてみたよ?
勿論、圏外になってた。まあ予想してたけど…異世界だから通じるはずないよね…
まずはあの人ととの通信手段を探さないとならない、この状況を説明して貰わないとな?
だからまずは町を観察しに行った
ここまでは…ここまでは良かったんだ。
だが、俺は大きな罠に掛かってしまった。
もっと…もっと早く気付いていればこうなる事はなかった…そうだ、こうなる事は無かったんだ!
「それで…貴方は何故あんな所をウロチョロしていたのですか?」
「え、えっと…実は、迷子になっちゃって…」
まさか、変質者として現地の警察に逮捕されるなんてな…
「はぁ…はぁ…」
どこまでも黒く染まった霧の中、一人の少年が歩いていく。
その少年は体中、傷だらけだった。
周りを見渡せば、何処を見ても映画にでもあるような廃墟と化し、瓦礫となった町の姿があり、まだ勢いが残っている炎が燃えていた。
少年は只歩き続けた。何処までも果てのない黒い霧の中を一人で歩いていく。
だが同時に歩けば歩くほど、少年の意識は朦朧としていく。
無理もない、少年の体は通常の成人男性ですら、動けない程の傷を負っていた。
何時間、歩いたのだろうか少年は何処なのか分かりもしない黒い霧の中で倒れる。
少年の瞳には既に光は無かった。
そして、何処から落ちて来たのか分からないビルに
身体は剣で出来ている
骨は錬金で、血漿は鉄
幾度の戦場にて作られ、不壊
只一度の不傷なく、只一度の生存なし
担い手はここで一人、幻の丘で剣を錬つ。
その心は歯車となり動き出す。
故に止まる事は無く
その身体は絶対なる緋剣で出来ていた。
春真っ盛り、外では桜の花が咲き、そよ風に運ばれ空を舞う。
4月…世間じゃ就職や入学といった始まりともいえる時期で、新人にとって最も忙しいシーズンだ。
良く学園物のラノベやエロゲーのプロローグとかじゃ、主人公達の入学の際に登校中に食パン口にくわえて走り来るヒロインと角でぶつかって、それがきっかけでヒロインは主人公に惚れてしまって青春ラブコメが始まるが、リアルでは神業とも言える、もしくは自分から行動を起こさない限り有り得ない話だ。俺の知る限りはな
そんな中でも、俺は今日もチャリで登校する。
教室に入れば、いつものように見慣れた風景がそこにはある。
当たり前な日々、変わらない風景
映画や漫画にあるような大冒険すらもない、日常系漫画にでもあるような平和で平凡な世界。
このような坦々とした安担たる日々はいつまでも続く…まあ今も政府問題や、紛争は続いているし、世界の側から見れば平和で平凡な世界とは言い難いが、少なくとも俺はそう思っていた。
…と、ここまでは俺が平凡かつ平和な日々を送っていた話だ。平凡過ぎるし、夢がないから日常に刺激が欲しい的な人にとってはつまらんし、何というか…最強のボッチのような青春ラブコメなんてないからつまらねぇだろ?
それに日常、日常過ぎるからね?大事な事なのでニ回(ry
と、本題に移りたいわけだが
クリスマスの夜にはサンタクロースが来るって信じた事はあるか?
まあ、どうでもいい話だが俺はというと、そういうのは元から信じちゃいないし、幼稚園におけるクリスマスイベントで出たサンタクロースも真っ赤な嘘だと分かっていた。
真っ赤なジジイが夜中ウロチョロ街中を回って、子供達の部屋に不法侵入してはプレゼントを置いていくとか、強盗や荒らしと同じだと思ってたし、間近で見た事なくても日本や外国の法律調べたら普通に分かった。
それなら映画のように空から女の子が降って来る方がもっと現実的だ。
その時は「親方ッ!空から女の子がッ!」って叫ぶと決めてる。
だがシャーロック・ホームズの存在が架空の人物である事だけはそれよりも後に…いや、中学校3年になってようやく気付いた。魔法少女や秘密結社とかも含めてな
まあ薄々魔法少女は存在しないと感付いていたが、現実というのもそれはそれは残酷な世界でな、子供が憧れている夢を即ぶち壊したりもするが、嘘と認識出来るまでは望む結果の虚像を見せては落とす
まあ、それでもシャーロックホームズはやはり実在してるんじゃないかな?と、今でもそう思う事は良くある事だ。
あぁ~本当にシャーロックホームズが体験したような冒険がしてみたい!
そんな俺も中学を卒業、高校を通うようになった頃にはそんな子供が夢見るのは止めて、何の考えもなしに高校生活を送り始めた。
成績は小学時代から中から少し上だったし、中学ではちょっと色々やったり、血に滲むような努力して多くの大会に出ては優勝したりもしてたから、成績の心配はなかった。
そんなある日、高校生活に慣れて来た俺はある知り合いからある事を依頼された。依頼してきたその知り合いは俺のバイトの同僚、しかも今住んでるマンションのオーナーの娘ときた。
そして肝心の依頼内容はというと案外物騒な物だった。
『最近出没する通り魔の正体を突き止めて欲しいんだけど、良いかな?』
話によるとその通り魔は野試合で標的にした特定の人物をボコってるとか
幸い被害者に死亡者は居ないらしいがこのままだと被害者が増え続ける一方だから、警察が犯人を追ってるらしい
覇王とか…ソイツ、絶対中ニ病患者だろ
というか警察が捜査してるんだから警察に任せれば良いじゃん。それを何で俺に依頼すんの?
と、俺は思ったがどうもそれなりに深刻になってるらしい…どんだけ深刻になりゃ俺達みたいな民間人にまで依頼する程になんだよ。
とはいえ、結局その依頼を引き受けた。
その知り合いとオーナーさんにはいつも世話になってるし、提示された報酬はかなり弾むし、学費のせいで生活面ではギリギリな俺にその依頼を断る理由は無かった。
そして俺、グレン・Z・H・バスカヴィルは
異世界に引っ越す事になりました(笑)
「(笑)じゃ、ねぇええっ!!」
何処か分からないある公園にて、俺は叫んだ。
いや異世界だよ?ファンタジーだよ?笑えねえよ!(笑)じゃねえよ!というか誰が(笑)って書いたんだよ!絶対あのオバサンだろ!
『オバサンで悪かったわねぇ?』
「うおおっ!?お、オーナーッ!?」
目の前に姿を現したのは、黒髪に紫の瞳をし、何処か不機嫌そうな表情をした女性、「オーナー」だった。
『さて、どうしようかしら?このままミッドチルダで野だれ死にさせようかしら?』
やはりオーナーだった。ここまで不機嫌になると、ここはあの手を使うしかねぇ…
「すみませんでした!あのお願いしますから…このVR