風の戦巫女を継ぐもの   作:レイラレイラ

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戦巫女と魔術競技祭(競技中)

 サクヤの指揮もあってか、「飛行競争」は二組がなんと三位をもぎ取った。

 

 サラの作戦をそのまま伝えただけのサクヤであったが、生徒たちが知る由もなく。

 

 若干の罪悪感とくすぐったさを覚えながら称賛を受け取っていると、サラとイリアが戻ってきたようだ。

 

 …………ただし、ユフィとしての姿のままで。

 

「何を血迷ったことをしているのですか! その姿のままで戻ってくるなど…………」

 

「すみません、私も言ったのですけど…………」

 

「嘘だろ!?」

 

「ユフィちゃんがいるぞ!!」

 

「結婚してください!!」

 

「しー」

 

 最後の声の主は後で特定して絞める、とイリアとサクヤが心を決めているとユフィ(サラ)の周囲を和ませるふわふわした容姿と唇の魔で指を立て、静かにするように促すそれを見て逆らう者などいるはずもなく。

 

 一瞬の間に静寂に包まれた空間は、ユフィの声だけが介入することを許されたものとなった。

 

「サラちゃんに頼まれて二組の皆を応援に来たの。さっきの競技のロッド君とカイ君エンジェルかっこよかったよ! 他の皆も競技祭頑張ってね! バイバーイ!」

 

 最後にウィンクを送ったユフィが去っていくと同時に、二組はこれ以上ないほどの雄叫びをあげた。

 

『ウオォオオオオオオオオオオオオオッ!!』

 

「なあ、聞いたかカイ! 俺らユフィちゃんに名前で呼ばれちまった!」

 

「おうよ! なんなら俺、今死んでもいいわ…………」

 

「なんで男って単純なのしかいないのかしら…………」

 

「あはは…………」

 

 尚、イリアはユフィと一緒に帰ってきたことからどういう関係なのかと激しい追及され、何食わぬ顔で戻ってきたサラを恨みがましい目で見つめていたとか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 競技祭はどんどんと進み、二組の快進撃が続いていくにつれ盛り上がりも増していき、今回の魔術競技祭の注目は完全に二組に向けられていた。

 

 そして午前の部最後の競技『精神防御』の直前、サラとイリアに気が気でないシスティーナは声をかけていた。

 

「あの…………今からでもいい、ルミアを他の子に変えない? 『精神防御』…………やっぱり、こんな過酷な競技は無理よ…………ッ! 他のクラスは皆男の子じゃない! 女の子はルミアだけよ!?」

 

 競技『精神防御』。

 

 精神汚染攻撃への対処法の能力を競う競技。

 

 少しずつ呪文の威力は上がっていき、最終的に正常な精神状態を保った者が勝者の耐久勝負である。

 

 一位だけが得点を総取りということから、ルミアの精神の強さを知っているサラとイリアは彼女を選んだのだが…………それを知らないシスティーナからすれば当然の反応だろう。

 

 システィーナの言うように過酷な競技であるため精神崩壊を起こした生徒もいる。

 

 二人はルミアに任せておけば勝てると確信していると、システィーナに伝えようとしたところでギイブルから皮肉げな言葉が上がった。

 

「甘いお二人にしては実に合理的な判断ですね。彼女は捨て石にして戦力の温存、他に生きる競技がないのならそれぐらいしか使い道がありませんから。やれやれ、貴女方も冷酷なことをするものですね…………」

 

 ぐぅううううううううう!! 

 

 二人の話を遮り、二組の応援の声にも匹敵するほどの腹の虫が鳴いた。

 

「お、お腹すいた…………」

 

「この競技の後にサラさんの出番も控えているんですから、もう少し我慢してくださいよ…………」

 

「やだやだ! お腹すいた! なんか食べるったら食べる!」

 

「まったくもう、仕方ないですね…………」

 

 見かねたイリアはクッキーをサラの口に押し込むと、ものすごい勢いで租借していく。

 

「美味しい! イリアちゃんの手作りクッキーだぁーッ!!」

 

「喜んでもらえたなら何よりです。そういえばさっきサクヤさんからうb…………こほん、いただいた紅茶もありますけど…………」

 

「飲む飲む────ッ!!」

 

「二人とも、呑気にティータイムにしてる場合じゃあ…………」

 

「さっきの話だけどね…………」

 

 口のなかに詰め込んだクッキーを紅茶で流し込むと、サラは勝利を確信した自信に満ちた笑顔で答える。

 

「ルミアちゃんは捨て石なんかじゃないよ。 この競技でルミアちゃんに勝てる子なんてそうそう出ないよ」

 

 

 

 

 

 競技が進むとともにどんどんとルミアと五組のジャイル以外の生徒がバタバタと倒れていき、ついでにツェスト男爵の変態性が露出していく『精神防御』の競技。

 

 

 

「う、うそでしょ…………」

 

「彼女…………ここまで強かったのか…………」

 

 システィーナは完全にルミアの偉業に唖然とし、さすがのギイブルも動揺を隠せていない。

 

 二人の様子を見てしてやったり顔のサラとイリア。

 

 そんな二人にサラは楽しそうにイリアは苦々しく言った。

 

「白魔【マインド・アップ】は、素の精神力を強化させるだけの単純な呪文だからね。元々の精神力が強い子…………要は肝が据わっている子ほど大きな効果があるの。ルミアちゃん以上の精神力を持ってる子はうちのクラスにはいないからね~」

 

「ルミアさんの心構え…………いいえ、在り方というのが違います。素の精神力の強靭さでルミアさんの右に出るものはいません。…………ですが、誤算でしたね。ジャイルという生徒は軍人でもないのにどういう修羅場潜ってきたんでしょうか? サラさん、いざというときは…………」

 

「…………わかってる」

 

 

 

 

 

「さて、そろそろ白魔【マインド・ブレイク】の呪文に行ってみようか」

 

『ちなみに聞きますが、万が一二人が倒れた場合、治療と看病の方は…………』

 

「────いざ行くぞッ!」

 

 白魔【マインド・ブレイク】を男爵が唱え、それに白魔【マインド・アップ】で応戦する二人。

 

 それに耐えるルミアとジャイルはしっかりとした目で応じ、その熱い展開に、どっと沸き立つ観客席。

 

 徐々に威力が高まっていく【マインド・ブレイク】にルミアの精神力も少しずつ磨り減っていき…………

 

 

 

 

 

『ああ──ッとぉおおお!? ここでルミアちゃんがよろめいたぁあああ──ッ!?』

 

 バランスを崩したルミア、片膝を折って無言で俯く様は見ていて痛々しいものであった。

 

「大丈夫かね、君…………ギブアップするかね?」

 

「…………大丈夫です、まだ行けます!」

 

 ルミアの意思の強さに再び観客は盛り上がり、ルミアへの声援が会場を満たしたところでサラとイリアの宣言が割ってはいる。

 

「「棄権します」」

 

 あまりにも呆気ない幕切れに、嵐のようなブーイングが降り注ぐ。

 

 その大ひんしゅくの空気を意に介さず、サラとイリアはルミアに駆け寄ると労いの言葉をかける。

 

「よくここまで頑張りました、ルミア」

 

「まさか学院にあんな生徒がいたなんて、完全に想定外でした。…………ごめんなさい、辛かったでしょうに…………」

 

『素』のサラが頭を撫でると、ルミアは若干顔を赤らめ薄く微笑んだ。

 

 イリアの謝罪の言葉にも、ルミアは後悔のない清々しい表情で答える。

 

「私は楽しかったですよ。負けたのは悔しいけど、私も皆のために戦えているんだって気持ちになれたから」

 

 唐突にサラがルミアから離れると、ジャイルに近づいてから男爵に勝ち誇った笑みを向けた。

 

「そういえば、この子気絶してるんだけど……。いいのかなぁ? ジャイル君、第三十一ラウンドをクリアできてないんじゃないのかなぁ?」

 

「…………そうだね。ルミア君の勝ちだろう。第三十一ラウンドをクリア出来なかったジャイル君に対し、ルミア君は一応、クリアはしたからね」

 

 会場の大ブーイングは歓声へと変わり、これまでのぴりぴりした空気を塗り潰すほどに響き渡った。

 

「ありがとう、みんな!」

 

 

 

 

『担任の先生方はフィールドへと集まってください。『クラス担任』対抗戦を十分間の休憩の後、開始します』

 

「…………さてと、軽く捻ってこようかね!!」

 

「ぼこぼこにしすぎて全員病院行き…………なんてやめてくださいよ? サラさん」

 

「分かってるよー」

 

 サラはフィールドの中央に陣取ると、競技の内容について思考する。

 

『クラス担任対抗戦』。

 

 一組から十組までの担任の講師がフィールドで争うというもの。

 

 フィールド外に落とす。

 

 相手を気絶させる。

 

 この二つが基本的な勝利方法。

 

 殺傷系魔術は禁止であるが、それ以外はすべての魔術が解禁。

 

 武術や剣術も使用可能のほぼ何でもありの競技だ。

 

『さあ! 始まりました『クラス担任対抗戦』! 今回は異例の講師陣による競技です! 私としては最年少で第六階梯(セーデ)に至った魔術講師サラ=シルヴァース先生に注目しています! この競技の結果次第で二組の優勝の可能性が見えてくるでしょう! それでは先生方、始めてください!』

 

『クラス担任対抗戦』開始と同時に一部の講師を除いてほとんどがサラへと一斉に魔術を放つ。

 

 その一部の講師はサラにすっかり骨抜きにされたものたちで、イリアがサラの写真と引き換えにハーレイの結託を無かったことにさせた。

 

 残りはハーレイが結託させたものたち六名ほどであったが、サラ相手には例え十人でかかろうと傷一つ付けられないだろうが。

 

「「「《大いなる風よ》!」」」

 

「「「《雷精の紫電よ》!」」」

 

 さすがにあの数は無理だろう、ほとんどの者が思ったその時。

 

 サラが指をぱちんと鳴らした刹那────────────

 

 バタリ。

 

 サラ以外の全員が倒れ、びくびくと痙攣している状況に会場が困惑に支配された。

 

『け、決着!! 瞬きの間どころか我々に認識させることなく、『クラス担任対抗戦』は二組担任サラ=シルヴァース先生の勝利だぁあああああ!!』

 

 衝撃の決着に一同が息を呑み、声の一つもあげられないなか、イリアはサラの所業を認識していた。

 

「サラさんの固有魔術(オリジナル)の一つ【天使の時間(ヘブンズ・タイム)】。相変わらずえぐい魔術を使いますね…………」

 

【天使の時間】とはセリカの固有魔術【私の世界】を基にしたサラの固有魔術。

 

【私の世界】は五秒と限られた時間ではあるが、時間を停止できるもの。

 

 しかし、【天使の時間】にはそれがない。

 

 無制限に時間停止が行えるが、代償に止めた時間だけ魔術が使用不可能となる。

 

 ならばどうするか、答えは簡単だ。

 

 止めている間に倒す(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)だ。

 

 そして停止中にサラは黒魔【ショック・ボルト】を即興改変した黒魔改【レイン・ボルト】を頭上に放った。

 

 放たれた紫電が空中で分離、豪雨のような物量をもってフィールドの講師たちを一掃したのだ。

 

 そうして、サラの劇的な大勝利によって午前の部は幕を閉じた。

 

 

 

 




サラ…………作者が言うのもアレですけど、チートすぎでしょ…………

ハーレイ先生は見せ場もなく負けました()
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