第壱録 遭遇と記憶と名前
「……ここは…どこでしょう?」
私の起きて最初の一言はこうだった。まわりは薄暗く木に囲まれた森であることが分かった。
「………誰も……居ない……」
気づいた時にはこの状況だった。この薄暗い森の中誰がいるのだろうか。
「わはははは、誰かいるのだー?」
声がする方を向くと黒い服装の少女?がこちらに向かってきていた。地面から少し浮いていた。
「…あなたはどちら様ですか…?」
「私はルーミアなのだー、あなたは誰なのだー?」
そう言った彼女は黒いなにかを纏わせて私に近づいてくる。
「……私は………誰?」
私は誰なのか正直、今そう思った。私は…私が誰なのか分からない。さっき起きた時からの記憶しかない。
「わからないのかー?」
「…わからない」
「そーなのかー」
そう言うと彼女は狂気に満ちた目をこちらに向けながら私にこう言った。
「じゃあ、あなたは食べてもいいのかー?」
「……なんで…そうなるの…?」
そう反応した私は呆然と応えた。何故そう言ってくるのか、分からなかった。恐らく彼女がいわゆる人喰い妖怪なのだろう。そして彼女が少しずつ近づいてきた、その時だった。
「おーい、なにしてしてんだよルーミア」
「あ、魔理沙なのだー遊ぶのだー!」
誰かが割り込んできた。あの服装は典型的な魔女だろう。あれ?なぜ私はこういう記憶があるのだろうか。今はそっとしておこう、のちのち分かることだろうから。
「分かったからっ、離れろよっ、ルーミアっ」
「…あなたは……誰ですか?」
と聞くと彼女はルーミアと呼ばれた子を引き剥がしながら答えてくれた。
「ん?誰だお前?見ない顔だな。どこから来たんだ?」
「……分からない…どこから来たのかも…自分が誰なのかも…」
「はぁ?自分が誰なのかもわからないだぁ?うーん、放置するとコイツみたいに食べに来る妖怪もいるからなぁ。とりあえず霊夢んとこに連れていくか。ルーミア、お前はどうする?ついてくるか?」
「う〜ん、やめとくー。またしばかれるから〜」
すると彼女は私を連れ森を出た。途中でルーミアとは別れた。彼女の名は霧雨魔理沙というらしい。自称『普通の魔法使い』らしい。彼女によるとここは幻想郷という場所で条件はあるがたまに外から人が入ってくることがあるらしい。私はそれらしい。今は博麗神社という場所に向かっている。
「お前本当に自分の名前も分からないのか?」
「………はい」
「うーん、どうすっかなー」
「……すみませんが前を見て飛んでください。危ないですから」
「おお、すまんな」
今は、魔理沙の箒に乗って飛んでいる。魔理沙曰くここにいるやつはほとんど飛べるらしい。
「おっ、あそこが博麗神社だぜ。降りるぞー」
神社に着きました。さびれています。ほとんど人が来ないのが理由だと思われる。すると
「おーい!霊夢ー!来てやったぞー」
魔理沙さんが大声で叫ぶと神社の中から赤と白の服の少女が飛び出してきた。
「うるさいわねー!少しは静かにしなさいよ!」
「まあまあ、そういうなって。ほらキノコいっぱい持ってきてやったからさ」
「魔理沙ー!それはもらっとくけど、いつもいつも静かに来なさいって言ってるでしょって、どうしたの?その子」
「ああ、こいつはな……」
「こいつは?」
「拾った」
「拾った!?」
「ああ。拾ったぜ、森で」
「森?迷い込んだの?」
「森でルーミアに襲われてたから拾ったぜ」
そう言って魔理沙は親指を立てた。すると霊夢と呼ばれた少女は困った顔をしていた。
「うーんと、とりあえずうちで預かることにはなってるけど……」
そう言うと私の方を見る。少し睨んだような目をしながら言った。
「あんた名前はなんて言うのよ」
「…私は……」
「ああ、こいつはな名前がわかんないんだよ」
「ん?どういうこと?」
「こいつ、自分の名前も覚えてないみたいなんだよ」
「記憶喪失なのね。どこから来たのかも?」
「ああ、そうだぜ」
「とりあえず、自己紹介からね。私は博麗霊夢よ、この博麗神社の巫女をしているわ」
「……よろしく…お願いします…」
「なんか気に入らないわねー、その感情の起伏のない感じ」
「ん?そうか?」
なるほど、珍しい服装だと思ったら巫女服でしたか。私は他の人から見ると感情の起伏が乏しいようだ。私は普通に接しているのだけなのだが。
「とりあえずうちで預かるから、あんたは明日も来なさいよ。」
「ああ?なんでだよ」
「あんたが拾ってきたからでしょ!?分かったらとっと帰った帰った」
「ちぇっ、明日はパチュリーんとこに本を借りに行くのに…」
「アンタのは借りるじゃなくて盗むでしょうが」
「何を言う!私は盗むんじゃなくて死ぬまで借りるだけだぜ!」
「それを盗むというのでは?」
「アハハハハ、じゃあーなー」
と言いうと魔理沙さんは箒に乗って帰っていった。私はここに置いてけぼりである。
「さーて」
と言うと霊夢さんはこちらを向きながら
「タダでとはいかないわよ〜?キッチリと働いてもらうわよ〜?」
「……何をすればいいですか」
「まずは、そうねぇ…」
そうしてその日は終わった。結局、掃除・洗濯・家事・炊事・料理などいろいろとさせられた。途中、目を離した好きに皿ごと料理が消える現象が起きていた。そして食器を片付けている時に皿だけ戻ってきている。霊夢さんによるといつもの事らしい。不思議だなぁ。次の日、約束通り魔理沙さんはやってきた。
「おっス霊夢、来てやったぞー」
「…朝っぱらからうるさいわねー魔理沙」
「ん?何言ってんだ?今昼過ぎだぜ」
「はあ?何言って……確かに昼過ぎね」
「……魔理沙さん、ちょうど良かったのでご飯一緒にどうですか?」
「おっ、用意がいいねーコイツ」
「アンタこの食材どうしたのよ」
「朝取ってきた山菜と、昨日魔理沙さんが持ってきたキノコです」
「え!?こんなに美味しいの、アンタが?」
「はい、私の記憶にあるものを再現してみました」
「おい霊夢ー、こいつの名前はなんかつけたのか?」
「…………放置ですよ」
「お前…ムシャムシャ…放置って…ムシャムシャ…最低だな」
「だって…ムシャムシャ…面倒…ムシャムシャ…なんだもん」
「とりあえず記憶喪失なら…ゴクゴク…プハァ…永遠亭じゃね?」
「そうね…ゴクゴク…プハァ…そうしましょう。面倒だけど」
「………食べるか喋るかどちらかにしてください。………はしたないです」
「なんか……無表情で」
「棒読みで言われると」
「「なんか腹立つぜ(わ)」」
「………食べ終わったので、片付け致します」
と言いながら食器を片付け始めた。
「なんかメイドみたいだな。どうしたんだ?」
「フッフッフッ、昨日のうちに教えこんだのよ。でもまだ足りないとこがあるからどうしようか悩んでるのよ」
「紅魔館のアイツのとこは?」
「うーん、アイツに貸しを作りたくないしー」
「まぁとりあえず永遠亭に行くか」
「そうね。それもそうだし」
ということで一同は永遠亭に向かうのだった。今回、私の扱いが酷い気がします。気の所為でしょうか。