第二録 医者と兎と不死身の人
「おーい、永琳いるー?」
と霊夢さんは叫びながら戸を叩きまくっている。めちゃくちゃ壊れそうな音を立てている。
「はーい、ちょっと待ってくださーい、今出ますので叩かないでくださーい!」
と聞こえた。誰だか分からないがとても災難だろう。霊夢さんはかなり強引である。
「ここが永遠亭だぜ。ここの医者はかなりの腕だから、基本何でも治してくれるぜ」
と魔理沙さんが紹介してくれた。医者ってこんな竹林の奥に住んでるものですかね?
「はーい、どちら様ですかーって霊夢さんじゃないですか。どうしたんですか?もしかして今回も変な雑草食べてお腹下しました?ってどうしたんですか?その子」
と言っていた彼女は途中ニヤついていた。兎の耳が生えていた。2人からするとこういう人がいても、普通なのでしょうか。
「あー、この子のことで永琳に相談に来たのよ」
「そうなんですか。お師様は実験中なのでどうぞ中でお待ちください」
「もちろんよ。お菓子も出しなさいよね」
「分かりましたよ」
「お邪魔するぜ」
「………お邪魔します」
その後永琳さんがくるまでの一時間近くお菓子を食べながら雑談をしていた。
「ごめんなさいね〜実験してたら遅れちゃったわ」
「あんたね〜こんなに待たせて…ムシャムシャ…何してたのよ」
「そうだぜ。ゴクゴク…今回はなんの実験してたんだ?」
と魔理沙が聞くと怖い顔をしながら答えてくれた。
「聞きたい?」
この言葉からなんかこの人は恐ろしい人のような気がします。
「や、やっぱりやめとくぜ」
「魔理沙………あんまり突っかからない方がいいわよ」
「さーて、今日はどのような要件かしら?」
「今日はコイツのことを見て欲しいのよ」
というと私を猫を掴むように出した。ここに来た本題を切り出すようだ。
「この子がどうしたの?」
「この子記憶喪失らしいから魔理沙が森で拾ってきて、病気や怪我とかしてないかが気になったからここに来たのよ」
「へ〜あの霊夢が人の心配ね〜」
「なっ、何よ!私が心配しちゃだめなの?」
「いいえ〜なんか新鮮だったから。まぁ分かったわ、ちょっと診察するからここで待ってて。うどんげ〜」
そう彼女が呼ぶと呼ばれて近寄った彼女に何か耳打ちをしていた。兎の耳の方ではない方へ。あの耳は飾りなのか?にしてはたまに動いてるし、不思議すぎる。
「じゃあ後はよろしくね〜」
と言いながら私を別の部屋へ連れていった。あのうさ耳の子になにを言ったのだろうか。
「う〜ん、今の所外傷はなしね、特にこれと言った目立つようなものはないわね」
「………まだお名前を聞いていないのですが……」
「ん?あら、そうだったわね。私は永琳、八意永琳よ」
「………よろしくお願いします永琳さん」
「さっきのウサミミの娘は、鈴仙・優曇華院・イナバよ」
「………長いですね。なんと呼べば?」
「うどんげか、れいせんでいいんじゃない?あとであの子にも自己紹介させるからね」
と言いつつも少しの質問や、雑談を交えながら体を診察していった。小一時間程経ってから
「とりあえず私は問題なしなんですよね」
「ええ、皆の元に戻りましょうか」
「分かりました」
そして私達は皆の元に戻り、診断結果を報告していた。
「う〜ん、あのえーりんでも分からないなら無理だろうなー」
「ええそうね。それならこの後どうしましょうか」
「それよりこの子の服装どうにかしたら?結構ボロボロよ?」
私の今の服装はかなりボロボロである。霊夢さんは「貸す服はないわよ」と言っていたため昨日からこの服装である。少し恥ずかしい。
「そうねぇ、アリスの所ならなんとかなるんじゃないかしら?」
「確かにアリスなら何とか出来ると思うぜ?」
「なら早く行きましょうか」
「……ちょっと霊夢」
と立ち上がりかけた霊夢を永琳が呼び止めた。
「少し話があるわ」
「はぁ、分かったわよ。魔理沙はアリスん家に行ってて、私はちょっとコイツと話があるから」
「分かったぜ。先に言ってるからなー」
と言い、私の腕を引っ張って行った。そして見えなくなった時、永琳の方を振り返りながら私は言った。
「………はぁ、アンタがこう呼ぶ時はなんか重要なことなんでしょうね?」
「あの子についてなんだけど…正直私じゃ手に負えないわ」
「どうしたのよ、話が全然読めないんだけど」
「お師匠様、あの子に何があったんですか?」
「そうね。実はあの子を診察した時に見つけたことがあるのよ…」
そして皆は固唾をのみ、一泊空けて永琳は言った
「あの子は…………月に関係しているわ」
「月ね〜、なんでそう言えるのかしら」
「そうですよお師匠様!私にも教えてくださいよ〜」
と言い優曇華は永琳を揺すっていた。
「分かってるわよぅうどんげ。だから1回落ち着きなさいよぉ」
そう言われた鈴仙は「はっ!」として永琳から離れた。
「あの子の体には呪いのような模様があったのよ」
「でもお師匠様、私は月で呪いなんて聞いたことないですよ」
「私も詳しくは分からないわ。似たようなものをかなり幼い時に見ただけだから」
「ふーん、アンタでも分からないのね。でもありがとね、あとなんであんなに時間かかったの?」
「いろいろと質問とかしながらだったから、時間がかかってしまったのよ」
「なんであんなに無表情なのかは分かった?」
「おそらく、記憶と表情が結びついているから記憶が失われたことで表情も薄くなったと考えられるわ」
「でもそういうのって危なくないですか?」
「どういうことよ」
「だって感情と記憶が結びついているなら記憶を取り戻したときにその感情に飲み込まれるかもしれないんですよ?」
「そうね、うどんげの言ってることは正しいわ。あの子は恐らくとんでもない力を持っているから暴走すると止められなくなるかもしれないわ。」
「その時はこの幻想郷最強の私が止めてみせるわよ。」
「あの呪いは、『私がいた時』の月の叡智を結集しても解析出来なかったものだったと思うからあの子の力はとんでもないわよ。それでもとめられるかしら?」
「……止めてみせるわよ、必ず」
そう言った霊夢の手は強く握りこまれていた。
一方その頃魔理沙達は
「………やべぇ、はぐれちまったなこりゃ」
魔理沙ははぐれていたのだ。
「う〜ん、この竹林は迷いやすいからなー、とりあえず竹林の入口くらいで待ってるか。運よくもこたんに会えれば入口に連れてって貰えるからな。頼んでみるか」
「…………魔理沙さんは………どこ?」
う〜ん…迷子とやらになってしまったようですね。こうゆうときは魔理沙さんの名前を叫んでみましょう。
「魔理沙さ〜ん、どこですか〜?」
と叫んでみたがいくら待っても反応はなかった。するとガサガサッと言う音が近くから聞こえ、振り向いた時だった。
「誰かいるんですか?」
「ん?今叫んでいたのはお前か?」
茂みから出てきたのは白くて長い髪に小さいリボンを沢山付けた人だった。
「どこから迷い込んだんだお前?ここはお前のような人間が来るところじゃないぞ」
「………あなたも人間ではないですか」
「私は人間だが、不死身だからな」
「そうなんですか?別に他の人と変わらないですよ?」
「お前、人は見かけで判断するなって親から教わらなかったのか?」
「………」
「ん、どうした?」
「………私、記憶がないので……」
「そう………だったのか。すまなかったな、こんな話をして」
私の気持ちを察してくれたのかこれ以上、このことに関しての話はなかった。
「とりあえず、なんでお前はここにいるんだ?」
「そうでした。あの、魔理沙さんを知りませんか?はぐれてしまったのですが」
「魔理沙か、見てないな」
「そうですか」
「とりあえずここは危ないから竹林の入口付近に送ってってやるか」
「ありがとうございます。ちなみにどのくらいかかりますか」
「かなり深いところにいるからな、歩きだと一・二時間って所かな」
私は結構深いところに入り込んでしまっていたようだ。私って、方向音痴?
「そう落ち込むな。ここは誰だって迷いやすいからな」
そして私達は竹林の入口へ向かいだした。彼女の名前は藤原妹紅と言い不死身らしい。この幻想郷には色々な人がいることを再確認する事になった。それから色々な話をした。だがそのとき、
「何をしてるのだ〜?」
突然の乱入者が現れるのだった。
次回 迷子と暴走と医者(二回目)