東方憶影録   作:神凪さん

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第5話

 

第護録 黑ノ魔導書

 

アリスさんや咲夜さんの言う『いつもの所』は図書館らしい。紅魔館は大きな図書館があるらしくさらに、絵本から魔導書までいろいろとあるらしい。私をそこに連れて行って何をするつもりなのだろうか。とそんなことを考えていると図書館に到着したらしく、立ち止まったアリスさんにぶつかってしまった。

 

「ぶっ」

「大丈夫?ちゃんと前を見ないとダメよ?」

「はい、ずみません」

 

そしてアリスさんは扉を開け放ち、中に入っていった。

 

「パチュリーはいるかしら?」

 

と聞くと、

 

「アリスさんですか〜、こんにちは〜」

 

と、司書的な服装でふわふわと浮遊しながら誰かが飛んできた。アリスさんと私を見るなりニヤニヤしながら

 

「今日はどうしたんですか〜?もしかしてぇ〜、お子さんの自慢でっ」

 

言い終わる前にアリスさんからゲンコツが落とされた。すごい反射神経である。そして盛大な音を立ててゲンコツ食らった彼女はタンコブを押さえながらうずくまっている。すると奥から紫色の服を着た人がやってきた。

 

「はぁ…ごめんなさいね。また迷惑をかけて。」

「いいえ、こっちも手を出してしまったからおあいこよ」

 

アリスさんは紫色の服の人と親しそうに話をしている。この人がパチュリーさんなのでしょう。

 

「今日はどうしたの?」

「今日はね、あなたにちょっとお願いしたいことがあってきたのだけれど」

「その子の事ね、事情はレミィから聞いてるわ」

「そう、さすがレミリアね。じゃあこの子を紹介するわね」

 

するとアリスさんは後ろに隠れていた私を引っ張りだした。

 

「こ、こんにちは、私はレイラ・マーガトロイドと申します。以後お見知り置きを」

「ん?あぁそういう事ね、あなた結構律儀な子なのね。私はパチュリー・ノーレッジよ。この図書館の主をしているわ」

「よろしくお願いします。………ところで、あの隅っこの方でうずくまっている方はどなたでしょうか?」

「あー、あの子はこあ、小悪魔のこあよ。イタズラ好きだから何かされたら言ってちょうだい。懲らしめるから(主にアリスが)」

 

こあさん、お気の毒です。そして自己紹介が終わると、アリスさんから

 

「じゃあ、単刀直入に用件を言うわね。この子に魔法を使えるかどうかを見て欲しいのよ。使えるなら、ある程度身を守る魔法を教えてあげて欲しい」

「そのくらいあなたでも分かるでしょう?」

「事情が事情なのよ」

「あー、そうね。それならいいわよ」

「助かるわ、ありがとう」

「じゃあ、ちょっとだけ手伝ってもらうわよ」

「そのくらい簡単よ」

「じゃあ、準備するからなにか本でも探していて。こあも使って構わないわ」

「わかったわ。行きましょうか、レイラ」

「分かりました」

 

それから、パチュリーさんの準備が終わるまで私は本(絵のみのもの)を読み、アリスさんはいろいろな本をテーブルに置いていった。少しすると途中で扉を開ける音が聞こえ、先程会った咲夜さんが入ってきた。

 

「どうされましたか?咲夜さん」

「いえ、今から私はお嬢様と出かけることになりましたので連絡にと………パチュリー様は?」

 

と言うと奥からパチュリーさんが出てきた。

 

「ここよ。で、行き先はどこなの?」

「博麗神社です。なんでも『直接聞きたいことができた』とおっしゃっておりました」

「ふ〜ん、レミィがねぇ……珍しいわね。フランはどうしたの?」

「妹様はぐっすり眠っております」

「わかったわ」

「では、失礼します」

 

と咲夜さんは言うと私を一瞬睨み、そのまま去っていってしまった。私は咲夜さんに何もしていないはずなのですが………と思ったが私はそこまで気にもとめず、そのまま椅子に座ってアリスさんが置いていった本のうち、装丁が『真っ黒な本』を読もうとした………が、そもそも私は文字が読めないことに気づいた。

 

「………アリスさん」

「ん?どうしたの?具合でも悪くなったかしら?」

「いえ、そうではなくて………」

「………?」

「文字が………読めないのですが」

「………えっ?………あぁ、そうだったのね。ちょっと待っててね」

 

と言うとアリスさんはパチュリーさんを呼び、何か話をしているようだった。しばらくするとアリスさんが戻ってきて『パチュリーがもう少し時間がかかるみたいだからその間に文字の勉強をしましょう』といったので小一時間程文字の勉強をした。やはりアリスさんの教え方は分かりやすかった。この一時間で、大抵の文字が読めるようになった。すると大きい水晶玉を抱えたこあさんと、透明な液体の入ったワイングラスを持ったパチュリーさんがやってきた。

 

「準備が出来たわよ。こあ、そっちにそれ置いといて」

 

そう言うとこあさんは机の上に水晶玉を置くと、そのままぐでーっと倒れてしまった。

 

「まず、このグラスに手をかざして力を込めてみて」

「分かりました」

 

そしてレイラは手をかざして力を込めると、大きな音を立ててグラスは一瞬で粉々に砕け散った。

 

「ど、どうしましょう」

「………なるほどね。それでもあなたは無表情なのね………。次はこの水晶ね」

「そのままで良いのですか?」

「アリス、片付けといて」

「人使いが荒いわね」

 

とは言ったものの、どうしたものか。砕け散ったグラスはもはや目に見えないほど細かくなってしまっている。このグラスは、破片ですらも強力な魔力を図る器なのだ。そのグラスが見えなくなるほど砕け散るのなら、この子はとてつもない魔力を持っていることになる。この前霊夢は言っていた。麗羅は霊夢が『消し飛んでしまうかもしれない』くらいのビームが放てたそうだ。そう考えた私は麗羅に対して『恐怖』を感じてしまっていた。

 

「次はこっちね」

「これに手をかざせば良いのですか?」

「そうよ」

 

そして麗羅が手をかざすと、水晶はより一層、輝きと透明度を上げた。

 

「これは………」

「な、なんと………」

「………これで何がわかるんですか?」

「これは属性の適性を探るものなのだけれど…」

「だけど………?」

「あなたの適性は………」

「適性は………?」

「………………………『特になし』ね」

「そういうのってよくあるんですか?」

「確か、あんまりないはずよね?」

「そうよ。例えば、魔理沙なら熱とか光に適性があったわ」

「適性なし、ということはどういうことなんですか?」

「特に特化した性質がないだけだからほとんどの魔法が使えるわよ。魔力もかなりあるようだし」

 

と言いながらグラスが割れた付近を見ていた。

 

「じゃあ、約束通りに」

「分かってるわよ。あなたが探している本はあっちに新しく入ったわ、お気に召すか分からないけど」

「分かったわ。レイラを頼むわ」

「ええ」

 

すると、アリスさんはパチュリーさんが指さした方へ向かって行った。

 

「アリスさんが探している本ってどういったものなんですか?」

 

と聞くと、パチュリーさんはすんなり答えてくれた。

 

「アリスは完全な自律人形《オートマタ》を作ろうとしているのよ」

「オートマタですか………」

「そんなことより、さっさと魔法の練習するわよ」

「分かりました」

 

それからお昼頃まで私はパチュリーさんの指導の元に、魔法の練習、アリスさんはオートマタについてを調べていました。

 

「じゃあここまで、お昼にしましょう。確か咲夜の作り置きがあったはず」

 

と言うと、パチュリーさんは図書館を出て食堂へと向かって行った。私はアリスさんを呼びに離れた所にいるアリスさんの元に向かった。アリスさんのまわりの机の上には大量の本が開きっぱなしで散乱していた。

 

「アリスさん、お昼ですよ」

「うん?もうそんな時間かしら、時間が経つのは早いわね。レイラは魔法の練習、どうだったかしら?」

 

と、聞かれたので私は正直に言うことにした。

 

「パチュリーさん曰く『魔力量には問題ない』らしいですが、魔法を使うコツを掴むためには『実戦あるのみ』だそうです」

「たしかに、コツを掴むためには実戦あるのみよね………分かったわ、午後からは私が練習相手になるわ」

「ありがとうございます。そういえば、パチュリーさんが食堂でご飯の用意をしていますので………早めに行かないと」

「そ、そうだったわね。早く行きましょうか」

 

そして私達が食堂に着くとテーブルにご飯が用意してあった。もちろん温めてあった。パチュリーさん曰く小悪魔に用意させたとの事らしく、壁にベタっと寄りかかり疲れている小悪魔さんがそこにいた。

 

「こあさんも、お食事一緒にどうですか?」

「えっ……?い、いいんですかパチュリー様?」

「………まぁ、レイラがいいって言ってるんだからいいんじゃない?」

「うううっ、ありがとうございますぅ〜!レイラさーん!」

「あの〜泣きながら抱きつくのはやめて貰えませんか?服が汚れてしまいますので」

 

今、私の服装はアリスさんの服を私サイズに小さくしたもの………なるほど、服装がそっくりだから親子と間違われたのかと考察しながら小悪魔さんを引き剥がすのだった。それからご飯をみんなで食べ、食器をこあさんと片付けたので本を読むことにした。あの『真っ黒い装丁の本』を。だが、探しても探しても見つからなかったので諦めようとしていた時だった。

 

「探し物はこれですか?」

 

と、こあさんが見つけてくれた。

 

「ありがとうございます、こあさん」

「いえいえ、感謝されるほどでもないですよ」

 

と言うと本を渡してくれた。私がふと、こあさんの顔を見ると一瞬薄気味悪いニヤリ顔が見えた気がした。が、こあさんはそのまま他の本を持ち、司書の仕事を始めたので放っておくことにした。たぶん私の見間違いだろう。そして私はその本を読み始めた瞬間に、強い眠気に襲われた。

 

「……………むぅ………」

 

私はその眠気に勝てず、そのまま眠ってしまったのだった……………

 

 

 

少し前の博麗神社では………

 

「なぁ霊夢ー」

「………はぁ、何よ魔理沙」

「暇なんだが、なんか気を紛らわすもんないのか?」

「うちにはそんなものないわよ」

「そうか」

「………………………」

 

などと喋り、沈黙が数十秒ほど経った時だった。

 

「ずいぶんとお暇のようね」

 

と、声が響き霊夢の隣にあったお皿から大福が1つ消えていた。

 

「紫、あんたね〜人のものを勝手に食べるんじゃないわよ」

 

と、隣を見ながら告げると突然スキマが現れそこから人が日傘をさしながら現れた。

 

「あらあら〜いいじゃないの、面白い話を持ってきてあげたのに」

 

と、拗ねながら呟いた紫を横目に霊夢と魔理沙は大福を食べながら

 

「で、その話ってなんなのよ」

「そうだぜ、さっさと聞かせろよ〜紫〜」

「ふふふっ、そうこなくちゃね」

 

そして、ニヤリと笑うと話し始めた。

 

「あの子、『麗羅ちゃん』の事なんだけどね?」

「ん〜?アイツがどうかしたのか?」

「今あの子、ヤバいことになってるわよ」

 

すると霊夢の顔が険しくなり、紫を責め立てるような態度で

 

「なんで早く言わないのよ!!魔理沙!」

「ああ、分かってるぜ!」

 

と魔理沙は慌てながら反応し、箒に乗って飛ぼうとした時だった。

 

「2人とも居場所わかるの?」

「「!!」」

 

すると2人は顔を見合わせるとギギギッと音が聞こえそうな動きで紫をみると、その表情は怖い笑顔で凍りついていた。

 

「こんな所に便利なスキマ使いがいるじゃない」

「そうだな〜」

「ひいっ」

「「さっさと麗羅(アイツ)のところに連れていきなさい(ぜ)!!」」

 

急に大声で怒鳴られた紫は、

 

「そっ、そんなに攻めることじゃないじゃない!」

 

とうるうるとした目で反論していた。

が、その後泣きながらスキマを紅魔館まで繋げていた。

 

「なんで室内に直接繋がないのよ」

「う〜ん、膨大な量の魔力によってスキマが繋げないように妨害されているのよ」

「そうなのかぁ」

「魔理沙、あんたルーミアみたいになってるわよ」

「はははっ、ちょっとふざけてみただけだっての」

「あんたねぇ〜」

 

 

〜現在の紅魔館〜

 

「ん?レイラとパチュリーはどこに行ったのかしら?」

 

ふと気づいたアリスは2人を探した。

 

「ふぇ?パチュリー様なら奥の部屋で薬を服用中です」

「あ〜、ぜんそくのやつね。レイラは?」

「レイラさんですか?さっきそちらの席で寝ていましたけど……」

 

そして小悪魔は1つの机を指さしたが、そこにはレイラは居なかった。代わりに大量の本が積み重なっていた。

 

「あれ?居ませんね。起きて本でも探してるんじゃないですか?」

「そうかもしれないわね、ありがとう小悪魔」

 

言われた通り、辺りを見回したがレイラは見つからなかった。すると自室から出てきたパチュリーに出会った。

 

「パチュリー、ちょっと聞きたいのだけど」

「ふあぁ、どうしたのかしら?」

「レイラがね、居ないのよ。ここら辺は全部探したのだけれど」

「ん?おかしいわね、魔力反応は近いはずなんだけれど……………」

 

そう言うとレイラの気配を探り始めた。

 

「…………………」

「急に黙って、どうしたの?」

「……………まさか!」

 

そう言ったパチュリーは、全速力で大きな棚の近くに駆け寄ると手をかざしはじめた。私は遅れないようについて行った(そもそもパチュリーの全速力はランニングくらいだから、簡単に追いつけるのだけれど)

 

「どうしたのよ、急に走り出して」

「………………………まずいことになったわ」

「えっ」

「恐らくあの子は、『禁書庫』に入ってるわ」

「『禁書庫』?なんでそんなとこに!?」

「わからないわ………でも1つわかるのは………」

 

私もパチュリーも息を飲む

 

「私の許可無しに入れたということから、何かに操られている可能性が高いわ」

「とりあえず、早く中に入ってレイラを助けなきゃ」

「……………そうね、そうしましょう。ただし1つ条件があるわ」

「な、なによ」

「『禁書庫』には危険な本がたくさんあるのよ」

「………………本を傷つけて欲しくないの?」

「違うわ…………」

 

そう言うとパチュリーは首を横に振り、俯きながらその口を開いた。

 

「あの子が危険だと判断次第『始末する』ことよ」

「………………そういうことね」

 

そう言われた私は覚悟を決め、こう言った。

 

「………分かったわ、約束するわよ」

「それでいいわ、じゃあ行くわよ」

 

重い棚がスライドし、奥への道が現れた。私達は奥に進み、かなり奥のところで見つけた。

 

「レイラ………」

 

彼女はそこに居たが、様子がおかしかった。姿がいつもの小さいサイズではなく、私達と同じかちょっと高いくらいの身長で霊夢や魔理沙から聞いていた『黒髪』の姿になっていた………その手には『真っ黒い装丁の本』が開かれていた…………

 

次回 意識無き侵略者《インベーダー》

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