セバスチャンの中の人 作:にじさんじランク:かけだし
悔いの無い人生ではなかった。
だからこそ、この二度目の人生を有意義なものにしようと、出来る限りに努力した。
それがこんな事になるとは、全く思ってもみなかったが。
「セバスチャン!! iTunesカード買ってくるから繋いでて!!」
「かしこまりました、お気を付けて、リゼ様」
主人がドタバタと部屋を出て行き、部屋に残されたのは私一人。
モニターの表情が固まった主人の立ち絵の横を爆速で流れるコメントに苦笑しつつ、マイクに優しく囁く。
「皆様こんばんは、セバスチャンと申します。リゼ様がお戻りになられるまでの暫し、私めに御付き合い頂ければ幸いで御座います」
─きちゃー!
─きちゃああああああ!!
─¥2,434 セバスチャンきちゃああああああああぁぁぁ!!!!
─¥1,000 待ってたぜ
─相変わらずのイケボ
─抱いて
─きれいなアンジュ
─アンジュの悪口禁止な!
「皆様、あまりカトリーナ嬢の悪口を書かれないように、気にされていましたので…私が言った事は、カトリーナ嬢には内緒ですよ? ふふっ」
─えっちだ・・・
─エッチな微笑すこ・・・
─¥10,000 微笑助かる
─¥5,000 微笑代
「スーパーチャットは私めでは無く、リゼ様に是非お願いします。私めには勿体なく御座います」
─¥10,000 困った声助かる
─¥300 可愛い
─¥1,000 セバスチャンに投げてるから問題無し!
─¥500 ここまでテンプレ
「全く困った方ばかりですね…では、本日は何をお話しましょうか?」
まぁ、こんな人生も悪くない。
・・・
家の近くのコンビニに向かいながら、場繋ぎを任せたセバスチャンに思いを馳せる。
初めて出会ったのは、遊びに行った父親の部屋で仕事を手伝っている所だったか。
綺麗な男の人だなーと考えていたら、自己紹介で女と言われて驚いた記憶がある。
なんせ長身のハスキーボイスだ、初めて出会う未知の存在に、性別を疑った私は幼女としては正常だったと思う。
今にしても、宝塚ならトップスターでも可笑しくない美貌、そこらの男は目じゃないエスコート
……ただ、未だに疑問なのが、何故男性名のセバスチャンを名乗っているのか。
昔尋ねたら「偽名」とニッコリしながら言われて、それ以上聞けなくなったけど。
……もう一度聞いてみようかな? 雑談枠のネタになりそうだし。
なにより、セバスチャンの事が知りたい。
ただでさえ秘密主義なのだ、コメントを巻き込んで喋らせよう。
セバスチャンは前世も今世も女性です。