ガンダムは伊達じゃない   作:あおい安室

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予想以上にまじめすぎてコメディが少なくて不安です。
そういったエピソードも切らざるを得なかった劇場版って大変だったんだろうなぁ。


ガンダム破壊命令

 SDガンダムが旧キットのガンダムの隣の補給ポイントに並ぶ。傍から見ると親子みたいだな、などとハジメが思っているとSDガンダムのパイロットが降りてきた。ブルーのジャケットにジーンズ、イエローの無地Tシャツの姿には見覚えがあってくすりと笑いかける。

 

 初代ガンダムのパイロット、アムロ・レイの私服である。ダイバー自身は現実での姿にどこか似たかわいらしい少女だからアムロのコスプレをしている姿はある意味シュールであった。似合っていないわけではないのだが、口にすると現実同様に蹴り飛ばされそうだ。

 

 表情が見えないヘルメットを装備していることに感謝していると、彼女が声をかけてきた。

 

「あの、すみません! あなたがこのガンダムのパイロットなんですか?」

 

「そうだが。私はハジメ、君は?」

 

 彼女の名前は知っている。母親からダイバー名を聞いて古い友人であるマギーから彼女に関する情報も聞いているが、初対面であるかのようにふるまう。

 

「レイナです、『V作戦実験小隊』っていうフォースのリーダーをやってます。旧キットのガンダムで凄い立ち回りをする人がいると聞いて会いに来ました。少しお話を聞かせてもらってもいいですか?」

 

 目を輝かせて自己紹介した彼女を見てクスリと笑う。こういう時の表情が息子そっくりだ。

 

「構わんよ。しかし、フォースリーダーをしているとはすごいじゃないか」

 

「そんなことはないですよ。メンバーは私を入れて5人の小さなフォースですし」

 

「それでもさ。フォースリーダーは人を率いる素質を問われる物だからね。人柄、教導、戦闘、指揮、等々。私が所属していたフォースのリーダーも結構苦労しているのを見た記憶がある。君もフォースリーダーだというのなら覚えはあるんじゃないかな?」

 

「ず、図星です。実は最近のフォース戦でもちょっとその辺りのことで苦戦しちゃいまして……」

 

 フォース戦。ダイバーが集まって作る組織『フォース』同士のバトルで稼いだポイントや戦績に応じたランキングがあり、も様々なフォースが上位を目指して競い合っている大人気コンテンツである。レイナがGBNにのめりこんでいる原因はフォース戦の不調だろうか? 

 

「同じファーストガンダム乗りのよしみだ、何か困っていることがあるのなら相談に乗るぞ。そこそこ有名なフォースにいたことがあるから多少はアドバイスはできると思う」

 

「ありがとうございます! まず最初にうちのフォースの編成について話しますね。うちのフォースはガンキャノン、ガンタンク、ジムスナイパーカスタム、ジムガードカスタム、そして私のSDガンダムの5機で構成されています」

 

「ふむ。砲撃支援機2機と狙撃支援機、支援機の防衛機。となると君の役目は前線での牽制役か? 前線で敵の足止めをしつつ支援機が狙う隙を作っていると見た」

 

 かつてフォースに在籍していた頃にフォースリーダーから聞いたことを思い出す。フォース戦で待ち構えて迎撃する戦法をとる場合は支援機を多めに編成し、支援機の護衛役と敵を誘い出す囮役が必要である、と。レイナから聞いた機体の編成で思い浮かべたのはそれだった。

 

「正解です! よくわかりましたね」

 

「フォースリーダーがその辺りをみっちり仕込むタイプだったからな。続けてくれ」

 

「あなたの言う通りの戦法でうちのフォースは戦ってきたんですが、最近は負けが続いています。原因はわかっていて、防衛特化の編成だとルールによっては待ち構えているだけじゃ勝てないからです。だから相手の懐へ攻める力が必要になるんですが、それが欠けているのが悩みでして……」

 

「ふむ。相手の懐へ攻め込めるのは君とガードカスタム、ガンキャノンといったところだな。残りの2機は機動力があまりないし、基本的には中距離支援向きだ。切り込む力が足りんな」

 

「私とフォースメンバーも同意見です。幸いガードカスタム使っている子が機動力の強化を行ってくれていまして、機体面での問題はクリアできる目途が立っています。後は──」

 

 

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『自分で言うのもなんだが、参考にはならんと思うぞ?』

 

「SDと普通のガンプラでは操作性が違うのは承知の上であなたの動きを見てみたいんです。私はついて行くだけですから、気にしなくても大丈夫ですよ」

 

 ガンプラに乗り込んだ私たちは補給ポイントの出入り口に立っていた。この補給ポイントはちょうど鉱山衛星基地の中心部にあり、宇宙に出るためには坑道や通路を抜ける必要がある。それらのルートをハジメさんが先行して、私は後ろからついて行く。動きを目で盗む、というやつだ。

 

 キット面以外に磨くとしたらプレイヤースキルであり、特訓してきたが伸び悩んでいる。ハジメさんのガンダムの動きを生で見ることで何かインスピレーションを受けられないかと頼んでみたらこういったことを嫌う人も少なくないが、私の頼みをハジメさんは許してくれた。感謝である。

 

『よし……ハジメ、ガンダム。出るぞ』

 

「レイナ、ガンダム、追従します」

 

 硬い通路を蹴ってハジメさんのガンダムが宙に浮かび、バックパックのスラスターを吹かして飛んでいく。私のSDガンダムも若干速度を落として後方からついて行きハジメさんのガンダムの動きを目に焼き付ける。数分程進んで抱いた感想は『普通』だった。

 

 軽く見た限りでも丁寧に作りこまれていたからステータスにはボーナスが入っているとは思われるが、それを含めても機動力は普通のガンプラよりもちょっと上ぐらいで特筆するほどじゃない。

 ちょっぴり期待外れかな、でも旧キットのガンダムはこれはこれでかっこいい、などと考えているとハジメさんから通信が入った。

 

『次の交差点で上に行きたいんだがいいか?』

 

「え、上ですか? あそこ道ありましたっけ……」

 

『隠し通路だ。天井を攻撃すれば壁が開けて通れるようになる』

 

「なるほど。わかりました、ついて行きます」

 

 先導していたガンダムが交差点に差し掛かるとくるりと一回転してスピードを殺して減速した。私は脚部を前に倒して脚のスラスターで減速する。後者がスタンダードな原則方法なのだが、ハジメさんのように回転して減速する手法は初めて見た。感心していると「気を付けろ」と言われた。

 

 天井に向かってハジメさんのガンダムがビームライフルを数射。天井の岩盤が崩れて道が開けるが、崩れた岩がこちらに向かって降ってくる。

 

「おっと」

 

 岩を盾で弾いて隠し通路を進んでいくハジメさんのガンダムについて行く。そして──ハジメさんのガンダムがアズマの映像で見たあの流れるような機動を見せ始めた。

 

「なっ、速い!?」

 

 気を抜いていると距離を離されていた。落としていた速度を上げて追従していくうちに向こうの速度が上がった理由が分かった。スラスターの音に紛れてガッ、ガッと削るような音が聞こえる。目の前のガンダムをよく見るとわずかに坑道の壁に足をぶつけていた。

 

 否、ぶつけているのではない。蹴っているのだ。かのシャア専用ザクが通常の三倍と呼ばれたのは戦艦や隕石を蹴って加速していたからと言われている。ハジメさんはそれをこの狭い坑道で行っているのだろう。壁との接触時間はわずかしかないが、塵も積もれば山となる。

 

 ぶつからないように意図的に開けていた距離が、いつの間にか全力で追いかけても埋めようとしても埋められない距離になっていた。SDだから狭い坑道を通るのも苦じゃないが、これが通常キットだったらどれだけ追いかけるのが難しかっただろうか。

 

「……ちょっと、真似してみようかな」

 

 壁を蹴れる距離まで高度を下げ、流れていく壁面から蹴れるでっぱりを探して……ここっ!! 片足をひっかけて即座に蹴り飛ばす操作をしたら──私のガンダムが、くるくると回転した。

 

「あれぇっ!?」

 

 期待に合わせてコクピット内も揺れる。慌てながらもなんとか姿勢を立て直してハジメさんのガンダムを追いかける。

 

『無理をするな、SDガンダムでこの機動の真似は難しいぞ』

 

「うえっ、見てました?」

 

『私も未熟者とはいえそれなりにバトルはこなしていたからね、周囲に気を配るのは得意なのさ。私の加速方法を真似しようとしたのだろうが、SDガンダムには向いていないぞ。蹴った後の脚部をよく見ておいてくれ』

 

 言われたとおり脚部に注目してみる。素早い機動を行いながら相変わらず見事に壁を蹴っている。そして、壁を蹴った後をよく見ると腕と足を小さく動かしていた。

 

『ガンダムにはAMBACという設定があってね。宇宙空間で四肢を高速で動かした時の反動で姿勢制御を行う技術のことなんだが、GBNではこれがオートで行われるようになっている。その設定をいじってある程度マニュアル操作にすることでこうしたテクニックが可能になるんだ。

 最も、些細な操作ミスでも大惨事を起こすことがあるからあまり使っている人はいないがね』

 

「なるほど……!」

 

『だが、君のSDガンダムではAMBACを生かした機動は難しい。四肢が短いし膝がないからAMBACをフルに生かせないし、先程みたいに反動を殺せずに回ってしまうというわけだ。

 旧キットも可動域は狭いがこれくらいならなんとかできる』

 

「そうなんですか……普通の1/144のキットとかじゃないと無理かなぁ」

 

『……いや、息子が四肢が長いSDガンダムを作っていた記憶がある。あれなら行けるかも知れんな。なんて名前だったかな……くろ……くろす……』

 

「クロスシルエット、ですね」

 

『それだ』

 

 クロスシルエット。SDガンダムのガンプラの新しいジャンルで、普通に組み立てると古いSDガンダムの四肢が短くて小さい頭身だが、内部のフレームを入れ替えたり追加パーツをつけることで通常のガンプラに近い頭身とこれまでのSDガンダムを上回る可動域を手に入れられるのだ。

 

「でも私のSDガンダムはクロスシルエットを使った改造ができないんですよね。悔しいけどハジメさんの機動の真似は諦めるしかないかな……」

 

『それが賢明だな。あるいは他のガンプラに乗り換えるのはどうだろうか。時間はあるしいつでもテクニックの指導くらいならできるぞ』

 

 乗り換え。それは私も何度か考えたことがある。私が使っているSDガンダムは武装の追加やブースターの強化などを行っていない素に近いガンプラだから、改造しているガンプラには力不足。それを戦法やプレイヤースキルで補ってはいたが、限界を感じつつあった。

 

 ガンプラを変えればもっと私が強くなれることはわかっている。初代ガンダムでも、先ほど挙げた可動域が広いクロスシルエットや武装が豊富なG30thなどいろいろなキットがある。だけど。

 

「乗り換え……したく、ないんですよ」

 

 ハジメさんの問いに答えると同時に坑道を抜けて宇宙空間に出る。ハジメさんのガンダムがこちらに向かって向き直るのを見ると、操作パネルのボタンを押す。すると、ガンダムの頭部と肩部の装甲が開かれて内部フレームをさらけ出した。

 

『驚いた。内部構造まで作りこんでいたとは君はなかなかのビルダーなんだな』

 

「いえ、この仕組みは元々このキットについていたギミックです。『BB戦士No.200 RX-78-2 ガンダム』。これが私のSDガンダムの正式名称なんです」

 

『BB戦士か。確かSDガンダムの古いシリーズ名だったな』

 

「はい。最新のガンプラに比べると可動域も狭いし不格好だけど、これは私にとって大切な人からもらった私の始まりのガンプラ。どうしても乗り換えたくないし、改造もしたくなくて──」

 

 私は思い出す。私がガンプラが好きになったきっかけを。見ず知らず、今日初めて出会ったはずのハジメさんに思い出を話す。不思議とそのことを恥ずかしく思わなかったのは、何故だろう。

 

 

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 小学生に上がりたての頃。私はお父さんに『ガンプラ』をねだった。

 お父さんはいい年して『ガンダム』というアニメが大好きで、それに出てくるロボットのプラモデル『ガンプラ』を毎週のように買ってきて休日は部屋で作っているいわゆるオタクみたいな人だった。そんなお父さんのことをどこかみっともないと思っていた、けれど。

 

「じゃーん、どうだレイナ。これが父さんが大好きなガンダムだよ」

 

「昨日頑張って作ったんだ。レイナ、このジムかっこいいだろう?」

 

「やっぱりガンダムが一番カッコいいな。レイナもそう思わないかい?」

 

 ガンプラを完成させたお父さんはすごく楽しそうで、それが羨ましかった。だから私もその楽しさを知りたかった。ガンプラを作ってみたくなって、お父さんに初めて「ガンプラが欲しい」って言った。その翌日、仕事帰りにお父さんは私にガンプラを買ってきたんです、が。

 

「……なにこれ」

 

「SDガンダム。初心者にいきなりハイグレードは厳しいだろうしね」

 

「こんなちんちくりん、お父さんと同じガンダムじゃない!」

 

 すらっとしていて凛々しい顔つきのガンダムを想像していたから、SDガンダムを買ってこられた時は怒りました。だけど、お父さんはこう言いました。

 

「まあまあ、気持ちはわかるけど一回練習もかねて作ってみたらどうかな。どんなガンプラも作るまでは魅力がわからないものさ。大丈夫、このキットはいいキットだって僕が保証するよ」

 

「……このキット作ってるところ見た記憶ないんだけど」

 

「……お母さんには内緒で買って作ったからね。一週間に一個制限じゃ我慢できなくて……」

 

「何やってるのお父さん」

 

 渋々文句を言いながらSDガンダムを作ることにした。ニッパーと紙やすりをお父さんから借りて作り方を教わりながら作っていく。SDだから丁寧に切り跡を処理していたとはいえ、一時間も経たないうちに完成した。

 そして、私はガンプラを作る楽しさを知りました。少しずつ、ちょっとずつ、ガンダムのパーツを作っていく。頭部、胸、腕、足、腰、武器。一つくみ上げるたびに嬉しさがこみあげてくる。自分がガンプラを作っている。自分がガンダムを作っている。自分が──

 

 こんなにも、素晴らしい物を作っている!! 

 

 それを実感する度に文句は減っていき、完成させた頃には。

 

「できた! 私の、私だけの、ガンダムっ!!」

 

 すっかり笑顔になっていた。不格好な顔や短い手足も気にならない。だって、私が作ったんだから。大喜びしていると、お父さんが棚の奥からSDとは違って大きな普通の頭身のガンダムのガンプラを持ってきた。ニヤリ、と笑うとお父さんは瞬く間にガンダムの装甲を外して。

 

「ほら、お揃いだろ? こういうのカッコいいと思うんだけど、どうかな?」

 

 私の作ったSDガンダムに備わっていたギミック、装甲展開。私も作ったSDガンダムの装甲を外して隣にならべ、お父さんと同じくニヤリと笑い返す。

 

「私も、そう思うよ」

 

 これが私がガンプラが好きになったきっかけ。あの日作ったガンダムを色を塗ったり合わせ目を消したりして今も使っている。大切な思い出が詰まったこの子をずっと使っていたいのだ。

 

 

 

「ところで、そんなに大きなガンプラいつ買ったの?」

 

「……こっそりへそくりを崩して買った。金額制限が厳しくてね……」

 

「何やってるのお父さん」

 

 

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『って、最後は余計でしたね。忘れてください』

 

「構わんよ。興味深い話だったし聞いていて面白かった」

 

 嬉しそうに、楽しそうに思い出を語ったレイナの声が聞こえる。彼女の話を聞いたハジメは息子の知らない……一応予想は出来た一面が知れて胸が熱くなった。それと同時にガンプラを乗り換えれない理由を知ったことで、あの日から忘れていたダイバーとしての自分が現実を告げる。

 

 私がレイナを強くするのは難しい、と。

 

 どれだけのプレイヤースキルがあったとしてもGBNはガンプラの出来栄えと性能も問われる世界である。ガンプラの長所を伸ばし、欠点を補うのがプレイヤーとしての腕の見せ所だが彼女のガンプラの欠点は「SDガンダムである」ことと言ってもいい。

 

 彼女が丁寧に作り上げたそのガンプラはどこまで行っても「SDガンダム」だから特性である運動性能の高さとリーチの狭さやステータスが普通の頭身のキットに比べると少し劣る部分がダイレクトに出てしまう。一応、SDプラモ特有の機動や戦法を磨けば彼女を強くできる可能性はある。

 

 しかし、ハジメはSDガンダムを使ったことがない。加えてGBNで使ってきた機体はほぼ純正のガンダムとジムで、どちらも特に特徴はなかったからAMBACを生かした運動性能と機動力を磨いて『ハジメのガンプラ』としての特徴を身に着けさせることに成功した。

 

 彼が磨いた技術を生かせるだけの可動性が彼女のガンプラにはない。引退前のフォースでリーダーから聞きかじったフォース戦の戦法くらいしか力になれそうにないことが歯がゆかった──

 

 その時。ゾクリ、と背後に嫌な気配を感じた。咄嗟に体勢をひねり、無理やり背後に向かってシールドを構える。「ハジメさん?」とレイナの疑問声が聞こえたがシールドにバズーカ弾が着弾して彼女の声が掻き消えた。反動でのけぞるが彼女のガンダムが受け止めてくれた。

 

『っ、NPDの攻撃ですか!?』

 

「いや、違う。この攻撃はNPDの攻撃ではない……!」

 

 バズーカ弾を受け止めたシールドはひびが入りひしゃげていた。後一発受け止めるのが精一杯と言ってもいい惨状だが、ここまでの火力はこの近辺のNPDは持っていない。と、なれば。

 

『単なる引退復帰勢かと思いきややるじゃないの、オールドキットさんよ』

 

 他のプレイヤーの攻撃である。攻撃を打ち込んできた方向から青いスラスターの光をなびかせて一機の赤いガンプラ──シャア専用ザクが現れた。お互いに戦闘体勢を取り、待ち構える。

 

「いきなりバズーカを撃ち込んでくるとは無礼な挨拶だな。何者だ?」

 

『名乗る名も持たないしがない賞金稼ぎぃ、なんてな。あんただろ、ハジメってダイバーは。ジム乗りって聞いたのにガンダムに乗ってんのかよ。まあいいや。てめぇの首にはそれなりの賞金がかかっていてな。悪いが……』

 

 ザクがバズーカを構える。咄嗟に操縦桿を無理やり動かしてビームライフルを構え──

 

『堕とさせてもらう!』

 

 ビームとバズーカ弾がお互いに発射され、ビームがバズーカ弾を貫いて爆発した。

 

「基地内に退避するぞ、レイナッ!!」

 

『は、はいっ!!』

 

 爆風と同時にお互いに坑道へ向かって全力で突っ込む。その最中爆風の中からシャア専用ザクが追いかけてくるのが見え、その手にはバズーカが変わらずあった。爆発に紛れたとはいえあの軌道ならビームがバズーカを貫いたはずだが、着弾寸前にそらしたということか。

 

 向こうもできるダイバーということか。リハビリの仕上げにはもってこいだが、旧キットではきつい……しかし、賞金だと。引退して長い私に? なんでそんなものがかかっているんだろうか……

 

『というか、なんであのシャアザクの攻撃が通ったんですか!? 普通はフィールド探索中に他プレイヤーの攻撃ってフリーバトルモードじゃないと通らないのに!』

 

「……あっ」

 

『なんですか、その声。心当たりあるんですか?』

 

「……常時フリーバトルの設定に変えていた。いちいち切り替えがめんどくさくてなぁ」

 

『あんまりこういうこと言いたくないんですけど、馬鹿じゃないんですか!? 常時フリーバトルとか常にいろんなダイバーからバトル挑まれていいカモじゃないですか!!』

 

「それすらも跳ねのけるというか、いい特訓になっていたのが当時でな」

 

『なんかいろいろと気になりますけど、後でじっくり聞かせてくださいよ!』

 

「その余裕があれば、だがな……っ、来るぞ!」

 

 シャア専用ザクが距離を詰めてきた。坑道内の機動にはコツがいるから相手を引き離せると思ったがそううまくはいかんか。腕だけを相手に向けてビームライフルで牽制射撃を行うが、ザクは狭い坑道を巧みに動いてかわした。面白い、ならば。

 

「レイナ、合図と同時にザクを撃てるか」

 

『できなくはない……いえ、やります。やってみせますよ。私もガンダムのパイロットですから』

 

「いい返事だ。行くぞ!」

 

 坑道の奥へと進ませていた機体を反転させて、出口へ、ザクの方へと加速させる。

 

『鬼ごっこは終わりかい? いい度胸じゃないの!』

 

 バズーカを構えてザクが一射。それにシールドを放り投げることで対処するが、シールドは粉々になった。それでも構わない。わずかな時間さえ稼げればそれでいいのだから!

 爆風へ無理やり飛び込みながらシールドを持っていた手でビームサーベルを引き抜く。機体が爆風で損傷するが、相手との距離を詰める行為には変えられない。数秒、数コンマの時間ザクとすれ違う。

 

「もらった!!」

 

『甘いぜ!』

 

 が、ザクが姿勢を変更したことでビームサーベルはわずかにザクのシールドを焼くだけに終わった。相手の動きに対処するには可動域が狭すぎることに舌打ちした。

 これがあのジムだったら相手のシールドを切り離す、もしくは腕を持っていくくらいは行けただろうに! だが──

 

「っ、てぇっ!!」

 

『了解!』

 

 もう一射、こちらにはある。レイナのガンダムのビームライフルが姿勢変更中だったザクへ命中した。簡易的な連携だが、まずまずといったところか。パーツが破損した様子はないが、ダメージは入ったはず。私もビームライフルで追撃しようとしたが、ライフルが切断されて壊れていた。

 

 ザクの手をよく見るとバズーカの反対の手にヒートホークが装備されており、周囲には壊れたビームライフルの破片が。ザクのパイロットもよくやるものだ。敵ながら尊敬する。

 

『……ハジメさん、おかしいですよ、このザク』

 

 レイナから通信が入る。レイナはビームライフルをザクに向かって撃ち続けており、身動きしないザクに全弾命中していたがパーツは破損しない。SDガンダムとはいえ、あれだけの作りこみがされたビームライフルの威力がここまで低いとは思えない。相手がよっぽど硬いのか……? 

 

『いやぁ、なかなか、なかなかにいい腕だよ。ま、無敵だから痛くも痒くもないけどね』

 

 ザクのパイロットの声が聞こえる。拍手音も聞こえるあたりからかってきていると見た。若干いらだっていると、突然……ザクが紫色に輝いた。ガンプラにあんな機能があったとは聞いたことがないし、GBNでもスーパーモード等似たようなものはあるがシャア専用ザクにはないはず。

 あれはいったい何なのか? 疑問の答え合わせはレイナがしてくれた。

 

『あなたまさか……ブレイクデカールを使ってるの!?』

 

「ブレイクデカール?」

 

『あったりぃ。今最高に人気なツールさね。一枚いるかい?』

 

『ふざけないで! そんな不正ツール、噂だけかと思ったら本当に存在していただなんて!』

 

「ほぉ、不正ツール……GBNにはそんなものがあったとはなぁ」

 

 ブレイクデカールの詳しい情報は知らないが、不正ツールに関してはあまり言いたくはないが私が遊んでいた初期の頃から研究はされていた。しかし、GBNの厳しいセキュリティで無力化されていると聞いていたが今は存在しているというのか。時の流れとはいいことばかりではないか。

 怒りに歯ぎしりするが、こちらの手には射撃武器はなく手出ししようがない。

 

『さ、戦いを続けようか。勝率はこっちが100%、あんたらは0%。勝ち目なんてないけどね!』

 

 ザクがバズーカをこちらに向かって構える。シールドはない。坑道は狭い。バズーカをかわすビジョンをうまく描けずにいると、レイナが動いた。

 

『勝ち目がこっちは0%だろうね、そっちが無敵なら。でもさ──』

 

 レーダーが外部から接近する何かを感知した。直感的に機体を操作し、外部から接近した何かを通す。それはザクへとぶつかって──

 

『やりようは、あるんだよ!!』

 

『何ぃっ!?』

 

 ザクを、基地の内部へと運んでいく。外部からやってきたそれは『コアブースター』。ガンダムの内部に組み込まれている脱出カプセル兼戦闘機『コアファイター』にブースターユニットを接続したそれがザクにぶつかってすさまじい速度で遠ざかっていく。

 

『逃げるよ、ハジメさん! 足を出して!!』

 

 SDガンダムがこちらに向かってきた。言われたとおりに足を出すと、レイナのガンダムが足の裏を掴んでスラスターを吹かせ、私のガンダムが押し出されるように加速していく! 

 

「お、おおっ!?」

 

『ぶっつけ本番だけど、外付けブースターみたいな感じです! 壁を蹴るより速いと思います、制御とスラスターの出力指示を任せます!』

 

「……ああ、任された! しばらくはフルブーストで頼む! しかし、コアブースターなんて用意していたとはな!」

 

『私のSDガンダムのキットはコアファイターとコアブースターが付属品なんですよ。何かあった時用に外に待機させてたんです。これで時間を稼げるはずだから、急いで逃げましょう!』

 

「そう言いたいが……難しいな」

 

 彼女の言葉に同意する言葉を飲み込んだ。あれだけのパイロットがこれで終わるとは思えないし、レーダーのシャア専用ザクが移動する速度は落ちてきている。こちらに向かってきているのだろうが、勝利する方法も逃げ切る方法も思いつかない。

 

「勝ち目は0%、か……どうすればいいんだ」

 

 諦めようとしたその時、坑道の壁に濃い青色の何かを見つけた。一瞬で通り過ぎたため細部まで見えなかったが何か懐かしさを覚えた時──通信が入った。

 

『ならば私が勝ち目を引き上げるとしよう!Cルートへ向かうんだ、曹長! ゲートに仕掛けを施している、脱出後直ちにゲートから離れてザクに一斉攻撃、やれるな!?』

 

 懐かしい声に通信コンソールを覗こうとしたが、指示されたルート変更へするためコンソールを覗く余裕がない。了解、と返してルートを変更する。

 

『だ、大丈夫なんですかハジメさん!? さっきの通信を信用していいんです?』

 

「今の私たちにはそうするしかないだろう。それに私の予測が正しければ……!」

 

 レーダーには近づいてくるザクが表示されていた。入り口への到達と相手が追い付くまではどちらが速いか──恐らく、相手が追い付くのが先。ダイバーとしての勘がそう言っているけれど。

 

「……やれるのか?」

 

 操縦桿から伝わっていた抵抗感が突然薄くなった気がした。まるでガンダムが『飛べる』と言っているかのように。ならば、ガンダムを愛する者としてそれを信じよう。スラスターの速度を限界のまま維持しつつ四肢を動かして軌道修正。ザクとの距離が縮まる速度が落ちた気がする。

 

『あと少しでゲートです! ハジメさん、脱出したら私のビームライフルを投げるので受け取ってください!』

 

「何!? だが、それでは君の武器がなくなるし、規格が違うだろう!」

 

『ハイパーバズーカが付属品にあります! それにGBNでは規格違いでも武装の使用はある程度まで可能なのは確認済みです、いけますよ!』

 

 旧キットより豪華だな、そのSDガンダム。いつか作ってみたいな、と思うと同時にゲートを抜けて機体が外へ放り出された。

 すかさずレイナがビームライフルを投げてきたのでキャッチして、ゲートから離れる。付近には私たち以外に見覚えのある機体が一機いて、そのダイバーが叫ぶ。

 

『今だ、爆破するっ! 続けて斉射急げ!!』

 

「了解!」『は、はいっ!』

 

『なぁぁっ!? 卑怯なぁ!』

 

 ゲートをザクが抜けようとした瞬間大爆発が起きた。ゲートに大量の爆薬が仕掛けられていたのだろう、相変わらずやるものだ。ザクは無敵とはいえ、私たちともう一機による一斉射撃と爆発でひるんでいた。もう一機が吐き捨てるように呟く。

 

『ブレイクデカール使いがそれを言うかね。曹長、パターンT!』

 

「任された!」

 

 パターンT。狙撃後の隙にコクピットを狙って突撃せよ。ビームサーベルを引き抜いてザクへ突っ込む。ザクが体勢を整えようとしたが、上の方から放たれた高火力の狙撃が命中して再びひるむ。その隙にビームサーベルをコクピットへ突き刺して──断末魔が響く。

 

『ば、馬鹿な!? 俺のザクは無敵なんだ! こんなのでやられるわけが……!』

 

『あるのさ。ブレイクデカールの無敵はこちらの研究によるとよほどの火力によっては貫けることが分かっている。それを弱点に喰らえば……』

 

 ニヤリ、と笑みを浮かべ。

 

『「後は、言うまでもないな」』

 

 協力してくれた機体と声を合わせて言い放ち。

 

『こんな……こんな、旧キットなんかにぃぃぃぃっ!!!』

 

 ザクがパイロットの悲鳴と共に爆発四散した。

 

『旧キットだからと言って、甘く見てはならない。作りこまれた年月と愛が乗せられたビームサーベルは私でも喰らいたくないほどの威力があるのだからね。何はともあれ無事で何よりだ、曹長。マギーから君が復帰したと聞いて急ぎ駆け付けたが正解だったな』

 

「助かりました。まさか狙撃機まで用意して駆けつけてくれるとは……」

 

『いや、彼はたまたま現地にいて手を貸してくれた一般ダイバーさ。いい腕だったね』

 

『あなたほどのダイバーにそういってもらえるとは、光栄です』

 

 狙撃機のパイロットらしい黒髪の少年が通信に出る。狙撃機の方へ機体を向けると、紺色のアーマーを装備したG-3ガンダム風のカラーリングの見知らぬ機体をカメラがとらえた。

 

『あっ、さっき外で私にハジメさんのこと教えてくれたガンダム!』

 

『ガンプラのテストをしていた彼にハジメの居場所を聞いたんだが、すれ違ったザクから嫌な予感がしたもので狙撃役を頼んだのさ。待たせている人がいるそうなのに頼んで申し訳なかったね』

 

『いえ、まだ間に合いますし大丈夫ですよ』

 

『そうか。本当に助かったよ、ありがとう……そういえばまだ名前を聞いていなかったな。聞かせてもらってもいいかね?』

 

『ヒロトです』

 

『ヒロト君か、改めて礼を言わせてもらうよ。いいガンプラとバトルセンスだ。君の幸運と活躍を祈る』

 

 その言葉を聞くとヒロトというダイバーが駆るガンダムはどこかへと飛び去って行った。その姿を私たちは手を振って見送って。

 

『あのー。いい雰囲気のところ申し訳ないんですが、そちらの方って、もしかして……』

 

 レイナが手を貸してくれたダイバーへ恐る恐る質問してきた。私が知らない間に何かやったんですか? 

 

『いつも通りにやっていただけさ。その結果少しばかり知名度が高くなったがね』

 

「でしょうね。引退している間もあなたの噂を聞くことがありましたよ。流石です」

 

『褒められるのは嬉しいが、言いすぎだよ。君も私に負けないほどの腕を秘めたなかなかのダイバーさ。久しぶりだったが腕も鈍ってないようで何よりだ』

 

『……ハジメさん、知り合いなんですか?』

 

「知り合いというか、なんというか……」

 

『言いにくいのなら自己紹介を兼ねて私が言おうか?』

 

 お願いします──大佐。

 

『了解した。私は──』

 

 フォース『第七機甲師団』リーダー、ロンメル。知将とも呼ばれることがあるちょっとした有名人かな。

 

 グリモアの改造機、グリモアレッドベレーを操縦するフェレット姿のダイバーはそう名乗った。

 

 

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 フォース『第七機甲師団』。それを率いるリーダー『ロンメル』の名をとってロンメル隊とも呼ばれることもあるこのフォースは、ランキング2位と非常に高順位を維持している強豪フォースかつサービス開始初期から存在している古参フォースの一つであった。

 

「発足当時はとにかく人手が足りなくてね。GBNも始まったばかりだからユーザー数も今みたいにそう多くはなかった。そんな第七機甲師団の初期メンバーの一人が彼、ハジメだ」

 

「と言ってもGBNを数年前に個人的な事情で辞めたんだがね。その時に第七機甲師団も抜けたから今はフリーのダイバーだよ」

 

「なるほど、元第七機甲師団。通りで上手いわけです」

 

 シャア専用ザクに勝利した私たちは場所をバースペースに移して話を聞くことにした。あの第七機甲師団にハジメさんが入っていたことが気になったのと、ロンメルさんが「旧知の仲と二人きりで飲むというのはいいものだが、寂しいからね」と誘ってくれたのだ……それはいいけれど。

 

「なんで、パンと水?」

 

 注文を任せていたら出撃前に食べた記憶のあるメニューを二人が注文していた。

 

「初代ガンダム19話のアレさ。足りないのなら追加注文しても構わんよ。代金は私が持とう」

 

「私の好物を覚えていただけたとは……恐縮です」

 

 本日二回目のあの食事にちょっぴり呆れつつチーズを追加注文。美味しそうに食べていると二人にちょいちょいつままれた。むぐぅ。

 

「それでどこから話した物かな。曹長、このお嬢さんとはどんな関係なんだい?」

 

「久しぶりにGBNを遊ぶことにして、慣らし運転をしていた時に偶然出会ったんです」

 

「フォース『V作戦実験小隊』のリーダーをしています、レイナです。若輩者ですがよろしくお願いします、えーっと……ロンメル、さん」

 

「緊張しなくていいさ。よろしく頼むよ、レイナ君。ハジメも砕けた口調でも構わないんだがね」

 

「大佐には世話になりましたから。私にとっては今も昔も憧れのダイバーです」

 

「ふふふっ、そうか。いい部下を持てて私は幸せだよ」

 

 ぐいっ、と照れを隠すかのように水を飲み干すロンメルさん。

 

「大佐……さっきから気になっていたんですけどそれってロンメルさんのあだ名なんですか?」

 

「第七機甲師団では役職に応じた階級システムがあるのさ。フォース内限定ルールだからあまり知られてはいないんだがね。ふむ、通じにくいし今後はなるべくロンメルと呼んでくれ、曹長……あっ」

 

「言った先からミスですか。相変わらずですね、大佐……あっ」

 

「君も同じじゃないか。ええい、恥ずかしい」

 

 今度は二人揃って照れ隠しにパンをかじる。気兼ねなく会話を交わす二人の間には長い時間をかけて築いた絆が感じられた。私はとんでもない有名人にあえて手の震えが止まらないのに。

 

「ところでハジメ。こうしてログインしているということは、ついにGBN復帰かね?」

 

「いや、今日はちょっとした用事でGBNに戻ってきただけです。しばらくはGBNをプレイするつもりですがしばらくしたらまた引退するかと……」

 

「……そうか。フォースネストの君の部屋はあのままで保管している。いつでも待っているよ」

 

「期待に沿えず申し訳ない、大佐。……おや?」

 

 申し訳なさそうに頭を下げたハジメさんがメニューウインドウを開いて顔をしかめた。何かあったのだろうか。ロンメルさんがその旨を伝えると。

 

「先程のシャア専用ザクのダイバーが私に賞金がかかっているとか言っていたのが気になったから、昔のつてを頼って調べてもらったんだ。その結果について話したいから来てくれ、と」

 

「賞金か、気になるな。一部のダイバーに対して復讐目的でそういった依頼をする者や自信があるプレイヤーが敵を募るために賞金を賭けることはあるが、引退していた君に賞金を賭けているのは意味が分からない。復帰しない可能性もあるだろうに……こちらでも調べてみよう」

 

「助かります、ロンメルさん。申し訳ないですがここで一旦抜けさせてもらいます」

 

「何かわかったら連絡する。気が向いたら遊びに来てくれたまえ。歓迎しよう、盛大にな」

 

 その時は是非。ニヤリと笑ったロンメルさんにハジメさんはバイザー越しにニヤリと笑い返した……気がする。終始ヘルメット脱がなかったなあの人。食べるときも最小限しかバイザー開けなかったから素顔も見えなかったし。あそこまで隠されていると気になる。

 

 

 ・

 

 ・

 

 ・

 

 

 店を出たハジメは通りを歩いて行く。適当な路地裏へ入ると後ろを振り向いて声をかける。

 

「それで私に何の用だ、お嬢さん」

 

「残念、後ろよ」

 

 声に振り向くと、先程店の外で「こちらへこい」とジェスチャーしていた少女がいた。外見通り身体能力が高いようだ。

 

「あなたに話があるダイバーから呼び出すように言われてる。同行願えるかしら」

 

「ほお……?ただの引退復帰ダイバーに何の用があるっていうのかねぇ」

 

「少なくとも私のクライアントはそう思ってはいないみたいよ。あなたに一目置いてる。理由は聞かされてはいないけれど――」

 

 少女が詰め寄り、小さな声でとある人物の名前を囁く。ハジメはバイザーの奥で目を見開いた。

 

「知っているみたいね。その人の関係者だ、とクライアントは言っていたわ。私には誰のことかわからないけれど、あなたは知っているようね」

 

「……わかった、ついて行こう」

 

 囁かれた名前は亡くなった息子の名前だった。息子の知人が私を探している?一体何があるのだろうか。疑問符を浮かべながら一つ尋ねる。

 

「お嬢さん、名前は?」

 

「私はただのメッセンジャーよ。名前なんて関係ないわ」

 

「どうだかな。なんとなくだが長い付き合いになりそうな気がしてね」

 

「それって口説き文句?もしくはニュータイプの勘とでも言うわけ?」

 

「さぁてねぇ。私はただのオールドタイプにすぎんよ。第一私には妻がいる。君みたいな小さい子を口説いたことがバレたらどやされるどころじゃない」

 

「あら、そう……面白い人。いいわ、教えてあげる。私は――」

 

 

 アヤメ。短い付き合いだろうけど、よろしく。

 

 

 




 ガンプラ紹介
・BB戦士No.200 RX-78-2 ガンダム
 初代ガンダムはその人気の高さからリメイクされることもしばしば。
 このキットもその一つで、可動域の改善とモールドや内部構造の追加、さらに付属しているコアファイターはコアブースターに換装可能と古いキットながらなかなか作りごたえがあるキット。新しいリメイク版がある今でも十分に楽しめるガンプラである。

・HGBD:R 1/144 ユーラヴェンガンダム
 『紺色のアーマーを装備したG-3ガンダム風のカラーリングの見知らぬ機体』であり、『ガンダムビルドダイバーズRe:RISE』の主人公機の換装バリエーションの一つ。
 今作に登場した形態はコアガンダム(G-3カラー)にウラヌスアーマーを装着した本編以前の形態であり、実際にガンプラで再現するためには『コアガンダム(G-3カラー)&ヴィートルーユニット』という別のキットが必要。
 余談だが、このガンプラと彼の登場はゲスト出演的な扱い。

・HGBD 1/144 グリモアレッドベレー
 『Gのレコンギスタ』に登場するグリモアをミカスタマイズしたキット。某レッドショルダーに似ているのはきっと気のせいだろう。アニメ本編だけでなく『ガンダムビルドダイバーズプロローグ』でも大活躍している人気キット。
 今作の坑道脱出シーンで目撃した『濃い青色の何か』はこのキットに付属している小型偵察機『ミニモア』。偵察に使用していた。



 第七機甲師団にかつて所属していたダイバー、ハジメ。彼の過去とGBNを引退した理由をレイナは知る。その裏でハジメはとあるダイバーに出会いある物を託されることになる。

 『ガンダムは伊達じゃない』

 次回『宇宙、思い出に染めて』

 君は、生き延びることができるか。
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