ガンダムビルドダイバーズRe:RISE ロスト・エデン   作:パンダ焼き

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ミッション:研究所データ奪取 前編

 目の前に広がるのは青い空と海だった。同じ青なのに違う青い景色。まるで本物いやそれ以上に綺麗かも知れない。ハジメは操縦桿を握りながら思う。チラリと隣にいるアトスを見る。少女は目を輝かていた。

 

「すごくきれいね! 私こんな風景初めて見たは!」

「そう? いつも見ている光景だけどね」

「だとしたら羨ましいわ。ハジメ達はいつもこの景色を見ているのね!」

『喜んでもらってないよりじゃないか』

 

 一緒に飛んでいる《星霧》からの通信、ユーリだ。

 

「ええ、乗せてくれてありがとう。ハジメ、ユーリ」

「あ、あぁ、どういたしまして…」

『もしかして、緊張しているのかい?』

「う、うるさいな!」

 

 目線を逸らしながら照れるハジメを見てユーリは面白うに茶々を入れる。

 

「ほら、目的の島が目の前だよ」

『了解。搬入口に着地するね』

 

 ビクエスト島、Gのレコンギスタに出てくる島だ。作中ではアメリア軍の秘密独立部隊の『海賊部隊』の秘密基地であり中にはカリブ海洋研究所がある。アメリアの兵器開発などをしており今回はその研究データを誰よりも早く手に入れるのがミッションの内容だ。

 2体のガンプラは岩山に隠された搬入口へと降りた。

 

「島の中は人工物ばかりね」

「まぁ、艦艇とかを整備するところだからね」

『さぁ、ここから気を引き締めていかないといけないよハジメ」

「あぁ」

 

 《星霧》は取り回しの良いビームハンドガンを《テュールインパルス》はシールドライフルを構えた。このミッションは島の入り口は他のダイバーと同じようになっており、遭遇することがないようになっている。だが島の内部はまるで蜘蛛の巣のように複雑な迷路となっている。そして複雑な迷路で研究所が1つだけあるという事は近付くことに他のダイバーと遭遇する確率が高いという事だ。

 2人は警戒をしながら、迷路へと進んでいく。研究所の配置はミッションごとにランダム配置をされるため、ルートはほぼ存在しなく索敵をしながら進んでいかないといけない。

 

『他のプレイヤーとはまだ遭遇しないと思うけど、今回は研究所から近い場所だと良いね…』

「どうだろうか…?」

 

 警戒しながらゆっくり2人、隣のアトスもゴクリと唾を飲み込みながらその様子を眺める。すると、アラームが鳴り響く。

 

「な、なに!?」

 

 突然の警告音に驚くアトス。ハジメとユーリは武器を目の前の通路の曲がり角へ向けた。向こうの通路から、ずんぐりむっくりした体、ドーム状の頭に三つのカメラを持ったモビルスーツ《グリモア》が1体現れる。咄嗟に2人は発砲。2つのビームが《グリモア》の頭と胴体を貫く。貫かれた《グリモア》は大きい音を立てながら倒れる。

 

「びっくりしたわ…」

『グリモアという事はこれはNPCだね』

「NPC…?」

「そう、今倒したモビルスーツはグリモアって言って、この基地が所有するモビルスーツなんだ。このミッションは他のダイバーだけではなく、こうしたコンピューターも出てくるから油断は出来ないんだ」

『それにしても、こんな序盤にグリモアに遭遇するなんて運が悪いかもね』

「え、どうして?」

 

 ユーリの言葉にアトスが疑問そうな顔を作り、人差し指を頬に当てて首を傾げる。

 

「あぁ、それはこのグリモアがいる時って進むたびに、他のグリモアと遭遇する確率が高いんだよ。進むたびに数も増えていくし、その分弾もエネルギーも消費するから出来たら避けていきたいんだよ」

『まぁ、他のダイバー達と戦う可能性を考慮するなら避けていきたいところだよね』

 

 2人の会話を聞いてアトスは少し考えこむ。

 

「そうなのね。でも、なんでかしら?」

「なんでって、それは…トラップだからじゃないかな。さっきユーリも言ったけど、遭遇するたびに弾やエネルギーを消費してしまうから…それで他のダイバーに会ったら不利になってしまうから避けるべきなんだよ」

「だとしたら、この子たちはもっとバラバラに配置しないのかしら? それだったら公平なのに…」

『配置が固まる理由か…そう言われたらあんまり考えたことがなかったね』

 

 アトスの疑問にユーリが考え込む。それを見てハジメも少し考える。言われてみたら考えて事がなかった。事前に掲示板などで情報収集をした際に《グリモア》の罠についてその範囲に固まっているから対処していたら、他のダイバーと交戦したら弾薬がなく負けたり、相手をしないように避けていたら時間切りで終わったなど失敗談が多く書かれており、序盤で出会うのはハズレルートとされていた。

 だが、なんでそんなハズレルートがあるのか? ゲーム性を持たせるイベントの一つだと思っていた。

 このビクエスト島に配置されている《グリモア》の意味とは、それは世界観を崩さないためだろうと思っていたが、もし自分が研究所を守るためにどうするか? それは……。

 

「研究所の近くに配置する…」

『え? ハジメ…どうしたいんだい』

「いや、もしかしたらこのグリモア達は研究所を守るために巡回しているじゃないかな?」

 

 この世界はあくまでもゲーム。しかしこの世界観には物語が存在する。このゲームの物語が研究所のデータを守るとするならば。ユーリもハジメが何が言いたいのか理解した。

 

『そうか、外から侵入してくる敵から研究所を”守るため”に島を迷路上にして尚且つ研究所の近くにグリモアを配置するのは当たり前という事か』

「うん。普通何もないところ防衛手段を配置はしない。でも逆に防衛手段がある先にあるのは守りたい物があるってことだよね」

『ならば、グリモアの防衛が激しい所に向かえば、研究所がある可能性がある』

 

 2人は頷く。ハジメはアトスの方を向いてお礼を言う。

 

「ありがとうアトス。君のおかげでもしかしたら、研究所にたどり着くかもしれない」

「ふふふ、力になれたら良かったわ」

『それじゃ、グリモア達を追おう』

 

 ニコリと微笑むアトス。ハジメ達は鍵となる《グリモア》を探しに島の奥へと進んでいく。

 

 

 ガシャンと大きな音がなり倒れる《グリモア》奥に進む度に現れる1体、2体、3体と数が増えていく。その度に研究所へ近づいていると確信を抱きながら2体のガンプラは進んでいく。

 

「数が増えるとNPCだとしても厳しいな」

『でも、どんどん手ごわくなっているという事はこの先に研究所があるかもしれないね』

「この先になにがあるか……」

 

 曲がり角を曲がるとそこは狭い通路から変わって、広々としたドーム状となっていてまるでスタジアムのようだ。そしてそのドームの先に大きなシャッター式の入り口が見える。

 

「あのシャッターはなに?」

「研究所へ続く搬入用のシャッターだ! この先に目的の物がある!」

『どうやら僕たちが一番乗りのようだ』

 

 先にたどり着いていないか確認したところ、自分より先に侵入した形跡はないようだ。正真正銘の一番乗り。

 

「やったわね。ハジメ、ユーリ」

「あぁ! アトスのおかげだよ。君の言葉がなかったら多分たどり着けなかった」

『そうだね。お礼を言うよ。アトスさん」

「2人の役に立てたなら、何よりだわ」

 

 微笑むアトス。ハジメは操縦桿を前に倒して研究所へと向かおうと瞬間。アラームがコックピット内で響いた。

 

『ハジメ!!』

 

 ユーリの言葉にブースターを吹かせてその場から離れる。すると遅れてハジメ達がいた場所にビームが叩き込まれていた。

 

「だ、誰だ」

『オレ様だよ!』

 

 ハジメの疑問に対して看破入れず答える男の声。大変聞き覚えがある。なんならさっき聞いたばかりだ。

 振り返るとそこには《ガンダムAGE-2ダークハウンド》ベースに作中のヴェイガンのモビルスーツ《ゼダス》系列の蝙蝠羽を身に着けていた。手に持っている武器も三本の長いカギ爪であった。そして蝙蝠羽にペイントされているのは《トレジャー・ヴァイキング》のマーク。このガンプラは《トレジャー・ヴァイキング》のメンバーノアが乗るガンプラ《AGE-2ピラート》だ。

 

『これはこれは片腕のガンダム君と貴族様じゃねーの』

『やはり、彼もこのミッションを受けてきたようだね』

「でも、なんであいつらもこの場所が…」

『そりゃ、道端にモビルスーツの残骸があった気になって後を追うだろ? ヘンゼルとグレーテルだってパンの欠片を道端に置いたら小鳥に食べられたんだ。後を連れたくなかったら掃除はちゃんとしねーとな』

 

 《AGE-2ピラート》は《グリモア》の片腕を放り投げる。それを見てアトスが声を上げる。

 

「ハジメ達が倒したグリモアを追ってきたってこと? ズルいわ!!」

『賢いって言ってもらいたいな? そもそもこのミッションはサバイバルミッションだ。何もルール違反はしてないぜ。それによ俺様達は海賊だ。欲しいものはそんな手を使っても手に入れる!! やれ! 野郎ども!!』

『へへっ! 待ってましたアニキ!』『ササっと片付けて、お宝を頂きましょう!』

 

 《AGE-2ピラート》の背後ろから《Gサイフォス》《Gエグゼス》が現れる。全員が黒で統一されて、《トレジャー・ヴァイキング》のマークがペイントされていた。

 

『どうするハジメ? あっちはやる気のようだけど』

「そんなの決まっているさ」

 

 《テュールインパルス》に搭載されたフォールディングレイザー対装甲ナイフを取り出し構える。

 

「戦うに決まっているさ」

『そう来なくちゃね』

 

《星霧》も弾切れになったビームハンドガンを捨てて、腰のロングバレルキャノンを目の前の海賊へ引き金をひいた。三体の黒い海賊は散開して避ける。

 

 

『アニキここは俺に任せてくださいよ!』『こいつらは俺達が相手をしますよ』

 

《Gサイフォス》《Gエグゼス》の二体が《テュールインパルス》と《星霧》へと襲い掛かる。

 

《Gサイフォス》はスネークソードを《Gエグザス》銃剣ドッズライフルⅡBを振りかざす。 《Gエグザス》の銃剣に対し《星霧》ローラーユニット使用して後ろへ下がり、距離を詰められないようにロングバレルキャノンで牽制する。 

《テュールインパルス》に蛇腹剣が襲い掛かる。ハジメはブースターを吹かせてその場を上へ飛んで避ける。

 

『子分達に良いカッコさせてたら、アニキの名が折れちまうだろがよ』

 

 ノアの声と共に《AGE-2ピラート》が腕に仕込まれたマシンガンが《テュールインパルス》へ襲い掛かる。

 

「きゃぁぁぁっ!」

「大丈夫。この程度なら」

 

 飛笑みが上がるアトスを安心させるようにハジメは言う。実際、多くのマシンガンが《テュールインパルス》の装甲に傷つくことはなかった。

 

『VPS(ヴァリアブルフェイズシフト)装甲か。そりゃこの程度の豆鉄砲は効かんか』

 

 そのまま、《テュールインパルス》は手に持ったナイフを《Gサイフォス》へ投げつける。

 

『こんなナイフで!』

 

《Gサイフォス》がスネークソードで弾いた。だが、その瞬間ノアの声が飛ぶ。

 

『足を止めるな!!』

『へっ?』

 

 子分が疑問の声を出した瞬間、《Gサイフォス》へ向かって《テュールインパルス》は急接近しバックパックから大型レンチを取り出し、左手のマニピュレータを操作して取っ手を掴む。

 

「うおぉぉぉぉぉっ!!」

 

 頭上を目掛けて、上から下に向かって振り遅した。巨大なレンチの頭部分が《Gサイフォス》の頭がつぶれて、胴体まで伝わり、スクラップ同然へとなっていく。

 

『あ、アニキィぃィ!』

 

 子分の悲鳴と同時に《Gサイフォス》は爆発しダメージアウトした。

 

『片腕、だいぶ蛮族な武器をつかうな!』

「海賊に言われたくないって!!」

 

 子分の敵討ちを取ろうと《AGE-2ピラート》は《テュールインパルス》に急接近、カギ爪を振り下ろす。ハジメは避けようと回避行動を取ろうとするが、左手に持った巨大レンチによって重心が傾きうまく出来なかった。胴体に向かってかぎ爪が襲い掛かる。直撃した胴体はVPS装甲によって傷は軽微であったが衝撃まで無効か出来たわけではない。ハジメ達の感覚へフィードバックする。

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁ」

「きゃぁぁぁ」

 

 2人の悲鳴がコックピット内で響き渡る。

 

『ハジメ! クッ! 助けに…』

『アニキの邪魔をさせるか』

 

 ユーリが救援に向かおうとするが、それを子分が邪魔をする。《星霧》が介入してこないように《Gエグザス》常に距離を詰めようと接敵しユーリも援護はする余裕はない。

 

『その武器新しく改修した時に取り付けただろうが残念だったな。そんな巨大な武器を片手で取り扱えるわけがない。現に今の攻撃もその武器のせいでよれられなかった訳だしな。VSP装甲も物理に対しては高い耐性をもっているが、そろそろ電力も切れるだろう。それがお前の最後だ。片腕!』

 

 《AGE-2ピラート》はすかさず距離を詰めて襲い掛かる。

 

「このままだと…」

 

 ノアの猛攻に苦しげな顔をするハジメ。だが隣でぎゅっと右腕を掴まれた。

 

「大丈夫。この子はまだ本当の力を出していないよ。ハジメ」

「あ、アトス?」

「ハジメ。自分を信じて、アナタはどんな思いでこの子を作ったの? 自分が信じないとガンプラは答えてくれないよ」

「自分を信じる……」

「うん。私はあなたを信じてるわ」

 

 アトスの真っすぐな瞳を見る。彼女はあって間もない自分を《テュールインパルス》を信じている。

 

『戦闘中によそ見は余裕じゃねーか!!』

 

 ノアの声と共に《AGE-2ピラート》は《テュールインパルス》を蹴り飛ばす。

 

「クッ! なら!」

 

 ハジメはもう片方のバックパックを操作して、ビーム砲を腰の方に動かし、銃口を《AGE-2ピラート》へ向ける。

 

『ケロベロスか! だが、当たるかよ』

 

 銃口を向けられた瞬間、脚裏のブースターを点火させて距離をとる。遅れて先ほどまでいた場所に強力なビームが放たれた。回避に成功した後はもう一度ようにすればとノアが操縦桿を握りしめた瞬間、

 

「いや、これで良いんだ。これなら出来る!」

『何?』

 

 先ほどの蹴りの攻撃と、ビーム砲撃による。二体のガンプラのは十分な距離が出来た。ハジメはコックピットパネルを左手で操作して叫ぶ。

 

「アームズ・シルエットシステム起動! 噛み砕け、《バイトアームズ》!!」

 

 すると《テュールインパルス》の左手に持っていた大型レンチ《バイトウェポン》が《テュールインパルス》の右肩に接続される。青色だった装甲は接続された巨大レンチと同じ赤色へと染まっていく。先ほどまで片腕しかなかったガンプラがまるで別の姿へと変わっていくようだった。

 

「これが俺の新しいガンプラ《バイトインパルス》だ!」

 

 真っ赤なボディと巨大なレンチを自身の腕のように操り、新たな腕を手に入れた《バイトインパルス》は目の前の海賊へ襲い掛かる。

 




・《テュールインパルス》
 ダイバーハジメが使うガンプラ。
 機動戦士ガンダムSEED DESTINYの主人公機。《インパルスガンダム》をベースに改造したガンプラ。顔や細部のデザイン変更と盾ビームライフルの左腕に装備し、脚部に隠し武器フォールディングレイザー対装甲ナイフを格納している。他にバルカン等原作に使用されていた武器を装備をしているが、右腕が存在しない。これは右腕が不自由なハジメがGBNでも右手を上手に動かせないためでわざと外している。
 その代わりバックパックにはスラスターと二種類の大型武器を接続してる。
 VSP装甲も採用しており、電源を入れている間は物理のダメージに対して大幅耐久を発揮し、バックパックには大型バッテリーも内蔵されている上に、右腕がない分電力の節約も出来て長時間の運用が可能となっている。
 そして彼自身のオリジナルシステム『アームズ・シルエットシステム』を使用できる。


・『アームズシルエット・システム』
 インパルスガンダム本来のシステム『シルエットシステム』をアレンジしたシステムであり、バックパックに装備された大型武器《〇〇ウェポン》を装着することでVSP装甲のカラーリングと性能が変わる。色は装着したウェポンと同じ色となる。腕のみであるために持ち運びが楽で、換装時間も大変短い。状況に合わせて換装することが可能だ。ウェポンにかんしては装着せずに、武器として左手で持つことが可能だが、大型武器を片手で持つために100%の性能を発揮することは出来ない。
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