ガンダムビルドダイバーズRe:RISE ロスト・エデン   作:パンダ焼き

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次回でプロローグが終了すると思います。

余談
機体の解説は書くのは楽しいですが、上手くまとめるのは難しいですよね。



ミッション:研究所データ奪取 後編

 ──5年前、アマタ・ハジメは居場所を失った。小学生の頃から親戚のオジサンの影響でガンダム作品に触れた。正直、お話は難しくて全く分かっていなかったけどあの頃の俺はただテレビの向こうで自分の機体に乗って、敵を倒していく姿に釘付けになっていった。そんな様子を見た親はある日俺をGPDの試合に連れて行ってくれた。ガンプラとガンプラを実際に動かして戦わせるバトルシュミレーション。目の前に広がる光景はまさに憧れの世界だった。観客たちの熱狂、壊れながらも、宙を舞い飛び続けるガンプラ、そして己の技術と力をぶつけ合いながら操縦するプレイヤーたち。俺にとっては彼はガンダム作品の主人公に見えた。

 その日すぐに父親に駄々をこねてハジメはガンプラを買ってもらった。ケガをしないように一緒にガンプラを作り、すぐ近くのプラモデル屋でGPDデビューをした。結果はもちろん惨敗。筐体の上には手足はもがれ、頭は半分失った自分のガンプラ。ものすごく悲しかったし、悔しかった。でも、憧れは失わなかった。たとえ、負けたとしてもハジメは主人公になりたかった。壊されたら、直して、壊して、改良し、壊れて、改修し、自分だけのガンプラで主人公になりたかった。それを繰り返していたら、いつの間にかライバル、仲間が出来ていた。ガンプラも憧れた作品の主人公機と違う見た目をしていた。この時にハジメは自分の居場所を手に入れた気がした。あの時初めて見たGPDの試合のように多くの人に自分のガンプラを見てもらいたかった。

 その為に地区大会に出場した。地区大会を勝ち上がり全国大会に行ってみんなに見てもらうために、親も近所の幼馴染、お店の店員、ライバル達も応援してくれた。でもその夢は地区大会の準決勝で突然終わりを迎えた。交通事故に遭ったのだ。準決勝に行く途中に巻き込まれ、右腕が巻き込まれ、自分のガンプラと共に粉々に砕けた。手術と長い入院生活を共に右腕は戻ったが、神経の損傷がひどく、物を掴むことさえ困難のレベルだった。そんな腕ではガンプラバトルどころか、壊れた自分のガンプラを直すことさえ出来ない。

 その日から、両親も、俺もガンプラという言葉を使う事はなかった。家にいても学校にいてもどこにも自分の居場所がなかった気がした。リハビリのために辛い思いをしばがら通う病院も大嫌いだった。いつも通っていたガンプラショップの前を通るたびに胸の奥が苦しくなるだけだったから極力避けるようになった。

 何かから逃げる生き方をして、いつのまにか中学生を卒業して高校生になって月日が経った。毎週リハビリに通っていたの関わらず、ようやく指を二本を僅かに動かすことが出来るぐらいだった。どうやって動かしていたかそんな感覚はとうに忘れていた。そんなある日、教室で帰る時にスマホでニュースを読んでいた時に、ある記事が目に留まった《GBNで電子生命体誕生か? ELダイバー》電子生命体と明らかにSFの単語に気になり記事を読んだ。その時は、ハジメはGBNという電脳世界の存在を知った。仮想空間で行われるガンプラバトル、ダイバーとなり自由に冒険が出来る。ハジメはもう電子生命体の事を忘れいろんな記事を公式ページへ飛んで読んでいた。ハジメは思わず独り言をこぼす。

 

『もしかした……ここならまたガンプラバトルが出来るのか……』

 

 ──その瞬間、今まで抜けていた何かが再び胸の中で火をともした気がした。 

 

 

 

 

「うおぉぉぉぉぉっ!!」

 

 

《バイトインパルス》は右腕となった巨大なレンチを《AGE-2ピラート》の顔に向かって大きく振りかざす。

 

『腕に付いたところで、色が変わったからって、パワーアップしたわけじゃないだろ!!』

 

 ノアは後ろに下がらずに機体の姿勢を低くしゃがみ、回避をする。そして三本のカギ爪を目の前の赤色に染まったガンプラに突き刺す。

 

「クッ!」

 

 ハジメは苦し気に声を上げて、目の前に迫ってくる凶悪な爪に対して、《バイトインパルス》の左脚を操作して蹴り上げてる。無理に動かした結果、バランスを崩して後ろへと倒れる。だがそれで良かった。蹴り上げた脚は爪を上に蹴り上げ、自身のガンプラは下へ向かって倒れる。その結果、胸の装甲が掠めて火花が僅かに散ったが回避することに成功した。そのまま地面に倒れないようにバックパックのスラスター操り、《AGE-2ピラート》と距離を取る。

 

 

『面白いかわし方をするな! だがこれはどうだ?』

 

 腰裏にマウントしていたビームライフルを取り出す。しかしそのビームライフルは展開しクロスボウのような姿へと変わる。《AGE-2ピラート》が引き金を引くと、横幅が広がったビームを放つ。まるで碇が飛んでくるようだった。回避が難しと思ったハジメは《バイトインパルス》の左腕にあるシールドライフルで防ごうと構える。しかし予想以上に重たい衝撃が襲いシールドライフルが吹き飛ばされる。

 

「しまった!」

『隙あり!! これで避けれまい!!』

 

 目の前には迫りくる《AGE-2ピラート》は再び、漆黒のカギ爪を振り下ろしていた。もうこの姿勢からでは先ほどの脚払いも出来ない。刻々と迫りくる爪は胸部を切り裂こうとしている。いくらVSP装甲だからといって直撃をしてしまったらマズイだろう。

 

 ここで負けるのか? 現実で居場所を失い、この仮想の世界へやってきたのに、GBNにダイブしても、何故か動いてくれなかった自身の右手。それでも、ハジメはガンプラバトルがしたかった。もう夢をあきらめたくなかった。この胸に宿った火を消したくなかった。もし消してしまったら、この火は二度と点かないだろう。この世界だからこそ、GBNの可能性を信じてハジメはこのガンプラを作った。自分がもう一度戦えて、こんな自分だから、作れたこの《テュールインパルス》を。ハジメは自分を強く叱咤する。自分と《テュールインパルス》の”可能性”を掴めと! 

 

「動けぇぇぇぇっ!! 《バイトインパルス》!!」

 

 ハジメの願いに《バイトインパルス》の右腕《バイトウェポン》のフレームが赤く輝いた。その刹那、《バイトウェポン》のレンチが口を大きく開き、我が身を襲う三本のカギ爪へと咬みついた。まるで捕食動物が襲い閣下てくる勢いだった。巨大な咢によって《AGE-2ピラート》の攻撃は防がれる。ノアは声を上げる。

 

『白刃取りだと!! なんだ今の動きは!』

 

 腕ごと挟まれ、身動きが取れない《AGE-2ピラート》。ノアは《バイトインパルス》の右腕の武器を見る。マニピュレータがなく、ただあるもの挟んで、潰すだけの野蛮な巨大なレンチ。それがまるで生き物のような動きをして自身の一撃を止めたどころか動きまで封じられてしまった。そもそも今の間合いでは、ガンプラの腕の関節では間に合わない。蛇の骨みたいな複数の関節があるなら可能だがそんな複雑な動きをこの二本の操縦桿でとてもだが出来ない。だが、その僅かに見える《バイトウェポン》のフレームから赤い光が灯っているのに気が付く。そしてそれを理解した瞬間ノアは我が目を疑った。

 

『サイコフレームだとっ!?』

 

 宇宙世紀シリーズから出てくる操縦者の脳波を感知して機械に伝えるサイコミュの技術をフレームに移植した技術であり、操縦桿に触れずに、操縦者の意思の力で動かすことが出来る力である。これはGBNだからこそ出来た再現である。ダイバー達はダイバーギアを装着することことで自身の意識をGBNへと持っていくことが出来る。架空の世界で仮初の器へ自身の意識を定着させて我々はダイバーとなる。仮初の器を操り、操縦桿を動かしガンプラを動かす。

 その原理をダイバーからガンプラへ替えることでサイコフレームの再現に成功した。これはGPDは不可能でありGBNだからこそ可能となったシステム。ハジメのガンプラ《バイトインパルス》は自身の右腕の武器《バイトウェポン》にサイコフレームを搭載して、ハジメの意思を感知して複雑な関節を持った巨大なレンチが獲物に咬みつくサメのような動きをした。

 GBNは最近大型アップデートをしてダイバーに感覚がフィードバックされるようになり、サイコフレームなどといったダイバーの意思を使用するシステムはより柔軟に明確に再現が出来るようになった。だが、その分ダイバーへの負担が掛かるようになった。

 

(原理は分かった……。確かにサイコフレームを片腕だけなら使用者の負担も少ない。だが、いくらなんでもあの動きを腕で再現するのは不可能だろ!?)

 

 サイコフレームという事実にノアは思わず表情が強張る通常、サイコフレームは意志に反応して動くといっても、それは万能ではない。人の腕は肩、肘、手首の三点を軸に動かし、五本の指を動かして道具を使う。だが、複雑な関節で、巨大なレンチのような異質すぎる腕をあそこまで動かすのは普通の人間には不可能だ。実際に自分の腕にあんな狂気じみた腕が生えていたら気持ち悪く受け入れることが出来ない。だが、目の前の片腕だったのガンプラを操るダイバーは自身の腕のように受け入れて動かしている。独特性のギミックに驚き、それをあそこまで操るダイバーの方がノアにとっては驚愕だった。

 

「引きちぎれ!!」

 

《AGE-2ピラート》も右腕を挟んだレンチの上下にチェーンソーの歯が現れる。荒々しい金属音と共に火花が散り一瞬で《AGE-2ピラート》の腕をカギ爪ごと噛み千切った。主力の武器を失った《AGE-2ピラート》はバックパックの蝙蝠羽を使い、距離をって、もう片腕にあるビームライフルで反撃しようとしたが、先ほどの動揺のせいで一瞬の動きが遅れてしまう。それをハジメは見逃さずに自身の腕となった《バイトウェポン》を操り、がら空きとなった《AGE-2ピラート》の胴体へと口を開かせたレンチ差し込み、挟む。

 

『しまった!』

 

 動揺したノアの声が聞こえる。しかしもう手遅れだった。《バイトインパルス》は自身の右腕で《AGE-2ピラート》の胴体を真っ二つにした。過剰なダメージを受けたことにより《AGE-2ピラート》はダメージアウトして戦闘不能となった。

 

 

「や、やった……。出来た……!」

 

 目の前の相手を倒したという事実に、ハジメはゆっくりと受けいれ噛みしめる。GBNに初めてログインした時に右手が動いてくれなかった事に最初は絶望したが、それで諦めなった。GBNの可能性を信じて、自分だけのガンプラをまた作り直した。片腕だけで何度も色んなミッションに参加しては失敗を繰り返し、GBNで知り合った人に協力してもらったりした。そうして今のガンプラを作り上げた。そして初めて、ハジメは自分の手で勝利を掴んだ。長い道のりだった。

 

「やったわね! ハジメ!」

「あ、ありがとう……アトス一緒にコイツの可能性を信じてくれて……」

 

 アトスがポンと肩を叩く。ハジメは零れそうになる涙を堪えながら、お礼を言った。

 

『どうやら、勝負がついたみたいだね。すごいじゃないかハジメ!』

 

 ユーリから通信が入り、《星霧》の方を向くどうやらアッチも勝負がついたようだ。

 

「ありがとう、ユーリが一緒に色んなミッションを手伝ってくれたおかげだよ」

『僕はちょっとお手伝いをしただけさ。まさかノア君に1人で勝つなんて、これはキミの力だよ。さぁ、ミッションはまだ終わっていない。他のダイバーが来る前にデータを回収しよう』

「あぁ!」

 

 ハジメ達は研究所から目標のデータを他のダイバーに妨害されること無事に回収することが出来た。そしてミッション終了のブザーが響き渡る。こうしてビクエスト島でのデータ回収ミッションは終了した。

 

 




《バイトインパルス》
 ハジメが使用する《テュールインパルス》が『アームズシルエット・システム』を使用して右腕に《バイトウェポン》を装着した形態。近接形態の為に被弾の可能性を考えてVSP装甲への電力が上がりカラーは赤色となる。
 鉄血のオルフェンズのバルバトスが使用する特殊大型レンチをベースにしている。巨大なレンチで相手を挟み引きちぎったり、挟む面にはチェーンソーを仕込んでいるのでそれを起動することによって分厚い装甲を削り取ることも可能。なおそのまま挟まずに、頭の部分をぶつけることで相手の装甲を叩き潰すことも出来る。そして関節部分は複数あり、全てサイコフレームを使用しているため、自分の腕を動かすイメージだけ自在に操ることが出来るこれによって独特で予測不可能な攻撃をすることが出来る。
 通常の人ではこのような異形な腕を受け入れることが出来ず、ここまで性能を発揮するのが難しい。しかしパイロットのハジメは事故によって長い間右手の感覚を失っているために、本来の右腕の感覚を忘れてしまった為に、このような異形な腕を受け入れることが出来た。

 

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